【寛骨臼骨折等】
自賠責因果関係不明の判断に対し、医師より
意見書などを複数取り付け、異議申立てで
後遺障害等級1級(賠償金約1億4000万)獲得

自賠責因果関係不明の判断に対し、医師より
意見書などを複数取り付け、異議申立てで
後遺障害等級1級(賠償金約1億4000万)獲得
自賠責より因果関係不明の判断がなされたということでご家族が法律相談にこられました。県内の弁護士を回ったが、難しくてよく分からないなどの回答で対応してもらえなかったそうです。
当事務所の弁護士は、飛行機に乗り、主治医と面談をして、その後も医師とメールで連絡を続け、医学的証拠を5通作成してもらいました。
当該5通の医学的証拠を元に異議申立てをしたところ、自賠責は、因果関係不明の判断を覆し、後遺障害等級1級の認定を出しました。
この事例は、寛骨臼骨折や高次脳機能障害に長けた弁護士でなければ後遺障害等級1級の獲得はできない事案といえると思います。

Aさんは会社経営の60代男性です。
ある日、優先道路を走行中、脇見運転の車に衝突されてしまい、寛骨臼骨折のケガをしてしまいました。手術が必要なほどの大怪我で、手術をしますが、その際にMRSA菌血症に感染してしまいます。
その後、元々有していた胃がんが進行し、肺に転移してしまい、Aさんはお亡くなりになってしまいます。Aさんのご家族は、Aさんが交通事故の前は、元気に仕事をしていて、体調にも何ら問題がなかったため、Aさんがお亡くなりになったのは交通事故のせいだと考えていました。
しかしながら、自賠責が出した判断は、交通事故との因果関係は不明というもので、Aさんのご家族が思うような結果にはなりませんでした。Aさんのご家族は、交通事故のせいでないなら病院のせいだと考えますが、病院は責任を認めようとしません。
結局、Aさんのご家族は、Aさんの交通事故後の体調悪化や死亡の事実の原因が何なのかわからないまま過ごすことになってしまいます。自分たちだけでは埒が明かなかったため、Aさんのご家族は、地元の弁護士のところに法律相談に行くことにしました。ところが、地元の弁護士には、「医療過誤で勝つのは難しい」「骨折から癌で死亡するというのは認められない」「うちの法律事務所では対応できない」などと言われてしまい、どの弁護士も受任してはくれませんでした。Aさんのご家族は、このまま因果関係不明ということで終わらせることに納得がいかず、県外の弁護士を探すことにしました。
こうした経緯でAさんのご家族とAさんの件について法律相談を実施することになりました。
Aさんのご家族からご事情をお伺いしたところ、交通事故の前は元気に働いていたAさんが、いきなり体調を悪化させ死亡するに至ったというケースですから、
このまま終わらせることに納得がいかないという想いはごもっともだなと感じ、難しい事案であるが、やれることをすべてやってみるとお約束して、受任することになりました。
Aさんのご家族は、地元の弁護士では対応できなそうな気配だったため、少し安心した様子をみせておられました。
他方、弁護士小杉は、確かにこの事案は非常に高難度な交通事故事案である、それと同時に、
必ず私が適切な解決をしなければならない事案であると感じ、身が引き締まる思いとなりました。
ひとまず、交通事故の加害者側保険会社に対する損害賠償請求と、医療過誤での病院に対する損害賠償請求の両睨みで方針を考えることにしました。
診断書・カルテなどの調査・分析から
高次脳機能障害の後遺障害等級該当該当性を見出す
まずは、Aさんの死亡診断書や、交通事故に際して作成された経過診断書を分析します。死亡診断書によると、胃がんが肺に転移して肺がんとなり、
その後、肝不全が直接死因となってAさんが死亡したことになっていて、死因の種類としては「病死及び自然死」とされていました。医療過誤の損害賠償請求をする場合は、胃がんが肺がんに転移したことに病院側の過失が介在していないといけないことになりますが、具体的には、手術の際のMRSA菌血症に病院の過失を構成することができ、このMRSA菌血症により胃がんが進行して、肺がんに転移までしたということを立証しなければなりません。
交通事故の損害賠償請求をする場合は、寛骨臼骨折から癌になることは通常考えられませんので、寛骨臼骨折の手術の危険の現実化としてMRSA菌血症となったことを立証し、その上で、このMRSA菌血症により胃がんが進行して、肺がんに転移までしたということを立証しなければなりません。いずれにしても困難な立証を伴います。
その後、数千枚に及ぶカルテの内容を分析しましたが、医療過誤の因果関係や過失を構成することは困難で、また、カルテ内容だけでは交通事故とAさんの死亡との因果関係を繋げることも困難であるとの調査結果となりました。
ただ、Aさんの死亡の結果は、Aさんが元々有していた胃がんも合いまって生じた結果であることは明らかでしたが、
Aさんは肝不全で死亡する前に、高次脳機能障害になっていることがカルテから読み取ることができました。
そこで、方針を変えて、元々有していた疾患と関係する死亡の事実との因果関係を繋げるのではなく、元々の疾患と関係のない高次脳機能障害での後遺障害等級1級の獲得を目指すことにしました。民事の損害賠償請求の場合は、文字通り、「損害賠償」の請求ですので、慰謝料などの損害賠償金を多く獲得することが、我々弁護士の仕事となります。損害賠償金という観点で見た場合も、医療過誤構成や死亡事故構成でいくよりも、死亡の直前に高次脳機能障害になっていたという後遺症構成で行く方が、損害賠償金が高くなるという分析結果となりました。
医師面談の実施:高次脳機能障害に関する
医学的証拠を5通作成
飛行機に乗って大学病院まで赴き、寛骨臼骨折後の脳の萎縮などの高次脳機能障害に関する医学的知見について話をお伺いしました。その結果、カルテ分析のとおり、入院中、死亡までの間に、高次脳機能障害になっていたことが判明し、この高次脳機能障害になった経緯というのが、
簡単に説明すると、寛骨臼骨折の手術を行う⇒MRSA菌血症となる⇒良くない血が体の中をめぐるようになりそれが脳にも流れる⇒高次脳機能障害となる、という因果の流れになることが分かりました。そこで、大学病院の先生に、死亡についてではなく高次脳機能障害に関する医証を作成してもらうことにし、具体的には、
1.意見書
2.後遺障害診断書
3.神経系統の障害に関する医学的意見
4.脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書
5.頭部外傷後の意識障害についての所見
という5通の医学的証拠を作成してもらうことにしました。
これらの医学的証拠の作成にあたっては、医師面談の際、数時間に及ぶ打合せを行い、また、その後も弁護士と医師とのメールや電話のやりとりによって協議を重ね、5通すべてを作成してもらうことができました。
奥様に対するヒアリング:
交通事故前後の違いがわかるように
日常生活状況報告書を作成
大学病院にて医学的証拠を5通作成してもらったことにより、「交通事故→寛骨臼骨折→高次脳機能障害」という因果関係を繋げる証拠が揃いましたが、
こちらの思惑どおり高次脳機能障害の因果関係が認められる判断がなされたとしても、その程度も適切に後遺障害等級認定してもらわないといけません。
目標は、後遺障害等級別表一第1級1号の高次脳機能障害認定となりますが、程度の立証をおろそかにしてしまうと、後遺障害等級2級以下の認定がなされたり、若しくは、元々有していた病気が原因などと言われてしまうことがあります。
そこで、交通事故前の状況や、交通事故後の状況、これらの比較について、1番詳しいAさんの奥様にヒアリングを行いました。朝起きてから夜寝るまでの様子、普段の感情の起伏、仕事での様子など交通事故前後の比較を丁寧にヒアリングをして、日常生活状況報告書をAさんの奥様と共に完成させました。
高次脳機能障害で後遺障害等級別表一第1級1号の獲得
以上の、数千枚に及ぶカルテ、5通の高次脳機能障害に関する医学的証拠、Aさんの奥様にご作成いただいた日常生活状況報告書を元に異議申立てを行いました。
高次脳機能障害の判定の場合、後遺障害審査会高次脳機能障害部会という特定事案部会が後遺障害等級の判定を行います。
要は、他の後遺障害等級と異なり、高次脳機能障害審査固有のメンバーによる等級判定がなされるのです。
医学的分析の結果、高次脳機能障害等級に必要な書類をすべて揃えましたので、見立てどおり、
「生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」として後遺障害等級別表一第1級1号を獲得することができました。
その後、加害者側の保険会社へ示談提示をしましたが、その回答は「1円も払いません」ということでしたので、民事裁判に移行しました。
裁判に移行すると、保険会社の顧問弁護士は、
①動いている者同士の場合は被害者にも過失割合も認めなければいけない
②足の付け根の骨折から高次脳機能障害になるはずがない
③癌で亡くなっているのだから交通事故と関係がない
④被害者が経営していた会社がつぶれたとしても、社長は他の人間でも交代できるのだから交通事故とは関係がない
などと反論してきました。
これらに対して小杉法律事務所の弁護士は下記の立証を行い、裁判所に全面的に被害者側の請求を認めてもらうことに成功しました。
①加害者のわき見運転を刑事記録から立証して被害者の過失0に
②国立感染症研究所データや厚生労働省通達などの証拠を提出して、交通事故→寛骨臼骨折→MRSA菌血症→高次脳機能障害という因果の流れを立証して、交通事故と高次脳機能障害の因果関係を認めさせる
③最高裁調査官解説を引用して交通事故後に癌で死亡したとしても満額の逸失利益を認めさせる
④会社の設立時からの株主構成や規模を立証して会社が倒産した損害も認めさせる
結果として獲得した損害賠償金は1億4000万円となりました。
父親が大きな交通事故に遭い、どうしたらよいのか分からず、母と共に、県内の弁護士を探し回りました。
難しい事件だったのか、県内の弁護士は、誰も相手にしてくれませんでした。母はあきらめかけていましたが、新幹線に乗って、県外の弁護士を探すことを提案し、何軒かまわり、ようやく小杉先生の元へたどり着きました。
はじめて「このまま終わらせてはいけない、一緒に戦いましょう」と言ってくれた弁護士さんに出会えて、大きな不安から解き放たれた気分になりました。なぜか、あの時点で、もう父の交通事故は解決できるなという安心に包まれました。
小杉先生はその後、飛行機で大学病院へ行ったり、裁判で戦ったりして大変だったでしょうが、私が法律相談時に感じた安心感は本物でした。解決までの道のりは長く、父の過失割合を言われたり、私達家族の付添いは必要なかったと言われるなど、保険会社側の見解には腹の立つことも多かったですが、小杉先生が全部はねのけてくれました。
まさかここまでの解決になるとは思いませんでしたが、小杉先生と共に戦うことができて、よかったです。父の墓前にも晴れやかな気持ちで解決を報告しました。
