後遺障害等級の解説

脊髄損傷

脊髄損傷の回復見込み|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、交通事故で脊髄損傷を負ってしまった時の回復見込みについて解説しております。

そもそも脊髄損傷とは何か?

脊髄損傷の定義

脊髄損傷とは、運動機能や感覚機能を司る脊髄が事故や転倒により損傷を受けることをいいます。脊髄損傷によって身体各部に影響を及ぼすことがあり、また損傷の程度によって発症する症状や回復の見込みも大きく異なります。脊髄は脳と体をつなぐ重要な役割を果たし、運動の制御や感覚情報の伝達、自律神経の調節などを行っているため、脊髄が損傷を受けると、運動麻痺や感覚の喪失、自立的な身体機能の低下といった深刻な影響を及ぼすことがあります。

脊髄損傷の原因とメカニズム

脊髄損傷の主な原因としては、交通事故による強い衝撃などが挙げられます。急激な外力が身体に加わることにより、脊髄自体に衝撃が加わって圧迫・損傷してしまったり、衝撃による脊椎(背骨)の骨折や脱臼等によって脊髄にも損傷が及ぶこともあります。また、急激な外力により脊髄や脊柱に過屈曲や過伸展が生じ、これによって骨折を伴わずして脊髄を損傷することもあります(非骨傷性脊髄損傷)。これらの衝撃や圧力によって、脊髄の構造が破壊され、神経伝達が阻害されることになります。

脊髄損傷の分類と段階

脊髄損傷は、損傷の程度に応じて完全損傷不完全損傷に分類されます。完全損傷とは、脊髄が完全に機能を失い、損傷部位以下の感覚や運動機能が全く働かない状態を指します。一方、不完全損傷は、損傷部位以下の機能が部分的に残っている場合を指し、ある程度の感覚や運動が維持されることがあります。これにより、回復の可能性やリハビリの成果が大きく異なります。また、損傷は急性期、亜急性期、慢性期などの段階に分かれ、各段階での治療法やリハビリテーションのアプローチが異なります。特に急性期治療では、損傷の進行を抑え、回復を促進するための医療的介入が重要となります。

脊髄損傷の影響と症状

各レベル(C1〜L5)の脊髄損傷の影響

脊髄損傷の症状や影響は、損傷を受けた部位の高さによって異なります。具体的には、脊髄は頚髄(C1〜C7)、胸髄(T1〜T12)、腰髄(L1〜L5)に分かれており、損傷レベルによって患者の運動機能や感覚が異なる影響を受けます。一般的に、損傷部位が高ければ高いほど(脳に近ければ近いほど)症状が重篤になる傾向があります。例えば、頚髄(C1〜C7)の高いレベルで損傷が起きると、体幹や下半身のみならず腕や手の動き、さらには呼吸にも支障が出る可能性があります。これに対して腰髄(L1〜L5)の損傷であれば、主に下肢の筋力や感覚に影響が現れます。各レベルでの損傷の影響を理解することは、患者の治療計画を策定し、効果的なリハビリテーションを行うために不可欠なものとなります。

一般的な症状と後遺症

脊髄損傷によって現れる症状は多岐にわたり、一般的には運動神経麻痺や感覚の喪失(感覚神経障害)が見られます。具体的には、完全損傷では人体の特定の部位以下の運動や感覚が完全に失われ、不完全損傷では部分的にその機能が残る可能性があります。そのため、意思のとおりに身体を動かすことができなくなったり、熱い・冷たいといった温度を感じることが困難になったり、物に触れた時の感覚や痛覚が鈍くなったりすることとなります。その他にも自律神経障害排尿障害排便障害なども通常の症状として挙げられます。こうした症状に対しては、一人ひとりの状態に応じた治療と継続的なリハビリテーションが重要となります。

脊髄損傷の回復と治療法

手術による治療

脊髄損傷の治療においては、初期対応が非常に重要です。初期診療によって神経学的評価を行い、速やかに治療・リハビリの方針を策定することが肝要とされています。特に重大な損傷の場合は、緊急手術が必要となることがあります。手術の目的は主に損傷を受けた脊髄を安定させることや、神経の圧迫を取り除くことにあります。手術によって脊髄の圧迫を解放し、さらなる損傷を防ぐことで回復の見込みが高まります。また、最近では再生医療の進展により、手術と併用した治療法が模索されています。このように進化してきた医療技術が、脊椎・脊髄損傷の急性期治療に大きな希望をもたらしています。

リハビリテーションの役割

脊髄損傷の回復過程において、リハビリは欠かせない要素です。リハビリは損傷の程度や患者の状態に応じて、個別にプログラムが組まれます。その中でも、運動神経や感覚神経の回復を目指して座位訓練や立位訓練、移乗訓練、可動域訓練や筋力トレーニング、歩行訓練などが行われます。リハビリは社会復帰を目指す上で重要であり、特に家庭復帰や職業復帰、復学といった目標を達成するための支援が行われます。また、心理的サポートも重要であり、精神的な不安を軽減し、回復力を高める役割があります。こうした取り組みにより、回復の可能性を最大限に引き出すことが可能となっています。

回復の現実と可能性

回復率の統計と事例

脊髄損傷の回復見込みは、損傷の程度や患者の年齢、健康状態などによって大きく異なります。日本には約15万人の脊髄損傷患者が存在しており、毎年4,000〜5,000人が新たに脊髄損傷を受けているとされています。特に70代における転倒による損傷が増加傾向にあります。回復の可能性は、完全損傷よりも不完全損傷の方が高く、適切な治療とリハビリを継続することで、ある程度の機能回復が期待できます。最新の研究によれば、再生医療とリハビリテーションが組み合わさることで、運動機能のさらなる回復が可能になってきているとされています。このような統計データや事例から、適切な医療とケアの選択が重要であることがわかります。

精神的・社会的サポートの重要性

脊髄損傷を受けた患者においては、精神的な支援も欠かせません。突然の損傷により、多くの患者が不安や抑うつを感じることがあります。精神的サポートは、単なる医療的回復を超えて、患者が社会に復帰するための重要な要素です。各種カウンセリングやピアサポート、メンタルヘルスケアの提供が、患者の生活の質を向上させます。また、家族や友人からの支援も大きな励みとなり、社会復帰の意欲を高める要因となります。脊髄損傷の患者は、リハビリテーションにおいて、身体的な治療だけでなく、精神的・社会的なサポートを受けることで、より充実した生活を取り戻すことが可能です。

おわりに

本ページでは、交通事故で脊髄損傷を負ってしまった場合の回復見込みについて解説いたしました。

交通事故による脊髄損傷により後遺症が残ってしまったなどでお悩みの方は、ぜひ一度、小杉法律事務所にご相談ください。

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また、脊髄損傷の症状や治療・リハビリ、損害賠償請求とのかかわり等、脊髄損傷に関する詳しいことは以下のページで解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。

●脊髄損傷全般の解説や、その他脊髄損傷に関する記事についてはこちらから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。