後遺障害等級の解説

後遺障害等級一般論

自賠責の後遺障害第10級の金額と認定のポイントは?|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、自賠責の後遺障害等級表で定められている後遺障害等級のうち、第10級に定められているものについて解説しております。

自賠責の後遺障害等級第10級の等級一覧と金額

自動車損害賠償保障法施行令における後遺障害等級表別表第二には、第10級の等級として、以下の1~11号の後遺障害等級が定められています。

なお保険金額について、単独認定・併合認定問わず、最終等級が第10級の時に支払われる保険金額は461万円です。

⑴別表第二第10級1号 1眼の視力障害

1眼の視力が0.1以下になったもの」に該当する場合に認定されます。

なお、ここでいう「視力」とは矯正視力をいい、測定方法については原則として万国式試視力表(ランドルト環を用いたもの)によるものとされています。

⑵別表第二第10級2号 眼球の運動障害

正面を見た場合に複視の症状を残すもの」に該当する場合に認定されます。

障害等級表における「複視の症状を残すもの」とは、次の( i )~(iii)のいずれにも該当するものをいいます。

( i )本人が複視があることを自覚していること

(i i)眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること

(iii)ヘススクリーンテストにより患者の像が水平方向又は垂直方向の目盛で5度以上離れた位置にあること

なお、複視によっては性的に頭痛などの神経症状が生じることがありますが、これらについては、別途の後遺障害として評価されない運用となっています。

⑶別表第二第10級3号 咀嚼(そしゃく)及び言語の機能障害

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの」に該当する場合に認定されます。

「咀嚼機能に障害を残すもの」は、固形食物の中に咀嚼できないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合を指します。また「言語機能に障害を残すもの」は、4種の語音のうち1種の発音不能のものを指します。

⑷別表第二第10級4号 歯牙障害

14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」に該当する場合に認定されます。

「歯科補綴を加えたもの」とは、以下のような場合が該当します。

a 現実に喪失(抜歯を含む)又は著しく欠損した歯牙(歯冠部の体積4分の3以上を欠損)に対して補綴したもの

b 歯科技工上、残存歯冠部の一部を切除したために歯冠部の大部分を欠損したものと同等な状態になったものに対して補綴したものをいいます。

また、補綴の具体例としては、抜歯後の入歯や架橋義歯(ブリッジ)、合金やレジン等による欠損部分の補完が挙げられます。

そして、補綴された歯数として算入するかどうかについては、厳密なルールが定められています。

入歯やブリッジを補綴した場合における支台冠又は鈎の装着歯やポストインレーを行うにとどまった歯牙は、補綴歯数には算入されません。また、第3大臼歯(親知らず)も認定の対象とはなりません。

加えて、事故時において既に補綴した歯があった場合、これを既存障害として扱い、事故後に歯科補綴を加えた歯を加重することとなります。

たとえば、事故前に10歯に補綴をしていた人が、事故後に更に4歯に歯科補綴を加えた結果、補綴歯数が14歯になった場合、加重後の等級である第10級の保険金額(461万円)と、既存障害(10歯の歯科補綴)の等級である第11級の保険金額(331万円)の差額である130万円が支払われます。

⑸別表第二第10級5号 両耳の聴力障害

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には以下のものが該当します。

a 両耳の平均純音聴力レベルが50㏈以上のもの

b 両耳の平均純音聴力レベルが40㏈以上であり、かつ最高明瞭度が70%以上のもの

⑹別表第二第10級6号 一耳の聴力障害

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、1耳の平均純音聴力レベルが80㏈以上90㏈未満の場合に該当します。

⑺別表第二第10級7号 手指の機能障害

1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「用を廃したもの」とは、具体的には以下のものをいいます。

a 手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

b 中手指節関節(MP)もしくは近位指節間関節(PIP 親指にあっては指節間関節(IP))の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの(親指については橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているものも含む)

c 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの

⑻別表第二第10級8号 下肢の短縮障害

一下肢を3センチメートル以上短縮したもの」に該当する場合に認定されます。

下肢の短縮については、下肢長(上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さ)を測定し、健側と比較してどのくらい短縮したかを算出します。エックス線写真のフィルムを貼り合わせる方法や、ロールレントゲンで撮影し1枚のフィルムに収める方法があります。

また、短縮とは異なりますが、小児の骨折などでは、骨折を契機として逆に成長が促進され、骨折した側が健側と比較して長くなってしまう過成長の障害が生じることがあります。過成長についても、短縮の場合に準じ、健側の長さと比較しその程度に応じて相当等級が認定されます。

⑼別表第二第10級9号 足趾の欠損障害

一足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、中足指節関節(MTP)以上を失ったものをいいます。ただし、基節骨の一部を残したとしても、足指を付け根から失った場合には、「足指を失ったもの」として取り扱われます。

⑽別表第二第10級10号 一上肢の機能障害

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当する場合に認定されます。

3大関節は、肩関節・ひじ関節・手関節(手首)を指し、具体的には、次のいずれかに該当するものをいいます。

a 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

b 人工関節・人工骨頭を挿入置換したもの(ただし、挿入置換した関節の可動域角度が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されている場合を除く)

⑾別表第二第10級11号 一下肢の機能障害

1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当する場合に認定されます。

3大関節は、股関節・ひざ関節・足関節(足首)を指し、具体的には、次のいずれかに該当するものをいいます。

a 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

b 人工関節・人工骨頭を挿入置換したもの(ただし、挿入置換した関節の可動域角度が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されている場合を除く)

⑿相当等級として第10級相当と認められるもの

自賠責は、以下の後遺障害について、政令別表第二備考6を適用し、別表第二第10級相当として取り扱っています。

a 嚥下の機能に障害を残すもの

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。