神経症状
CRPS・RSD・カウザルギーに認められる後遺障害等級認定基準(弁護士法人小杉法律事務所監修)
CRPS・RSD・カウザルギーとは
CRPSとは、交感神経に異常が生じ、受傷部位はもちろんのこと、そこから離れた部位にまで異常に強い痛みや皮膚変化が生じる病態のことをいう。
交感神経の異常の原因が、末梢神経の損傷であるとはっきりしているものを「カウザルギー」、はっきりしていないものを「RSD」という。
外傷によって末梢神経が損傷していることが明らかな場合には、「カウザルギー」として、後は等級判断に進んでいくが、
神経損傷が明らかでない場合には、そもそも等級認定の要件に該当するかどうかの判断を行った上で、これを満たした場合に、等級判断に移ることになる。
CRPS・RSD・カウザルギーに認められる後遺障害等級
第7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽微な労務以外の労務に服することができないもの |
第9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
CRPS・RSD・カウザルギーの後遺障害等級認定のための要件
自覚症状及び確定診断の存在
灼熱痛、誘発痛、感覚異常(知覚鈍麻)、腫脹、皮膚変化等のCRPS特有の自覚症状が症状固定時に残存しており、医師によってCRPSとして診断されていること。
他覚所見による裏付け
関節拘縮、骨萎縮、皮膚の変化の全てが、症状固定時に健側(受傷していない側)と比較して明らかに認められることが必要である。
関節拘縮
健側と比較して、CRPSの症状を呈している患部の関節に可動域制限があるかどうかで判断する。
CRPSというほどの疼痛がある場合、長期間関節を動かせないことにより、関節が固まってしまうと考えられている。
他覚所見を裏付けるものとして、健側と患側の可動域を測定した結果が必要になる。
骨萎縮
症状固定時のレントゲン画像にて判断する。
レントゲン画像では通常、骨は白く映るが、骨萎縮がある場合は、骨密度の低下により、白色の部分が薄く透けて見え、健側の骨と比較して黒く見える部分が多くなる。
他覚所見を裏付けるものとしてレントゲン画像が必要になる。
皮膚の変化
CRPSの症状が出てくると、血流障害が生じ、皮膚に栄養がいかなくなる結果、皮膚に次のような変化が生じる。
皮膚の萎縮(皮膚が乾燥して、カサカサになる)、皮膚が固くなる、光沢が出てくる、皮膚が腫れてくる、爪の形状の変化等の異常化、皮膚温の変化。
他覚所見を裏付けるものとして、健側と患側の左右差が分かる写真、サーモグラフィーの検査結果
その他、筋萎縮が生じている場合には、それを証するものとして、
MMT値の結果や周径を測った結果を提出したり、異常に汗が出ている場合には、発刊テストの結果を提出することも有用である。
CRPS・RSD・カウザルギーの後遺障害等級認定の注意点
CRPSと診断された場合、後遺障害申請に際して、後遺障害診断書とは別にRSD症状に関する所見を主治医に記載してもらい提出することが有用である。
なお、CRPSの疼痛と可動域制限は、通常派生する関係にあることから別々に評価されない(併合評価されない)点には注意が必要である。