後遺障害等級の解説

骨折 下肢

足指の骨折|医師監修記事・後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

本稿では、足指の骨折について解説しております。

なお、本記事は損害賠償請求を専門に取り扱う弁護士小杉による執筆記事となりますが、医学的事項を含むため、医学博士早稲田医師(日本精神神経学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医、日本医師会認定産業医)に記事のご監修をいただいております。

足指の骨の構造

第1、第2及び第3中足骨は、それぞれ第1、第2、第3楔状骨と、第4、第5中足骨は、立方骨と関節を形成します。この関節をリスフラン関節といいます。5本の中足骨で横アーチを形成し、リスフラン関節に近い基部では第2中足骨が頂点となっています。遠位部はそれぞれ基節骨と中足趾節関節を形成しています。

また、足趾は、第2~5趾は基節骨、中節骨、末節骨からなり、中足骨と基節骨の間で中足指節関節、基節骨と中節骨との間で近位指節間関節、中節骨と末節骨との間で遠位指節間関節を形成します。母趾のみ基節骨と末節骨で指節間関節を形成します。

中足骨骨折・趾骨骨折

⑴概要

足背(足の甲)部分や趾(=足指のこと)を骨折した状態です。

足背に物が落下したり、自動車の車輪にひかれたりするように、受傷原因のほとんどは、直達外力です。足部が内側にかえされたときに、短腓骨筋に牽引されて第5中足骨基部裂離骨折が起きることもあります。疲労性の骨折もあり、新鮮な骨折かどうかの峻別も大事です。

⑵症状

骨折部の疼痛、腫脹、足指の運動障害が主たる症状です。

⑶認定されうる後遺障害等級

疼痛の後遺障害等級である12級13号及び14級9号以外には、以下の等級が考えられます。

後遺障害等級第7級11号  両足の足指の全部の用を廃したもの
後遺障害等級第9級15号 1足の足指の全部の用を廃したもの
後遺障害等級第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
後遺障害等級第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
後遺障害等級第13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
後遺障害等級第14級8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

⑷診断

①臨床所見

中足骨や足趾を骨折した場合には、一般に腫脹、皮下出血、疼痛、局所的圧痛が認められることが多いため、これらの所見があるかを確認してください。

亀裂骨折の場合には、腫脹や皮下出血が軽度であるのが通常なので、見逃されてしまうこともあります。

②レントゲン

足部全体を側面、上・下方面から撮影します。

③CT

通常はレントゲン撮影で足りますが、疼痛が強度であるのにレントゲンでは異常なしとされた場合には、小さな骨折が見逃されている場合もありますので、これらの検査のためにCTが有用です。

特に、趾骨の骨折は見逃されやすいので、足趾の遠位部に強度の疼痛がある場合には、念のためにCT撮影をお願いされることをお勧めします。

また、靱帯損傷の項目で述べたとおり、足部の骨折は、その転位の有無や骨折部位によって、リスフラン関節など、足部のアーチを構成する関節面に影響を与える場合があります。関節面に不整が生じているかを確認するためにも、CT撮影は有用です。

④MRI

靱帯損傷の有無や、拘縮の有無を確認するために、MRI撮影が必要な場合があります。特に、疼痛が持続する場合には、軟部組織の損傷が生じていたり、関節液貯留の範囲を確認するために、MRIを撮影することをお勧めします。

⑸評価の視点

後遺障害等級評価の視点は、以下のとおりです。

①骨折線が、関節内に達するような骨折か否か

骨折線が関節内に達しない骨折(関節外骨折)であれば、後遺障害が残りにくいとされることが多く、残ったとしても後遺障害等級は14級9号が認定されるにとどまる傾向にあります。

たとえば、中足骨の骨幹部の骨折であれば、関節面ではないので、骨折し痛みが残存したとしても、後遺障害等級は14級9号にとどまることが想定されます。

②骨折の転位があるか

転位のある骨折は、周辺の軟部組織を傷つけている可能性があり、また、完全な整復が困難なため、症状が残りやすいと評価できます。

特に、足部の骨折は、足部のアーチを構成する関節に影響を与えうるため、足部のアーチを構成する関節面の不整を導く程度の転位があるか、という視点で転位の有無を確認するのが重要といえます。

③症状固定時に関節面の不整が認められるか

症状固定時に関節面の不整が認められなければ、後遺障害等級12級13級以上が認定される可能性は高くありません。自賠責保険においては、関節面に不整が認められるからこそ、痛みが立証されていると考えられています。

症状固定時に関節面の不整が認められるかを確認するためには、レントゲンでは不十分(見えにくい)ので、CT撮影をお勧めします。

足部の後遺障害等級の視点は、「足部のアーチが崩れているか」です。足部のアーチを構成する関節面の不整が認められるか、という視点で確認してみてください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。