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物損事故から人身事故に変更されると何が変わる?被害者は人身切り替えをすべきか交通事故専門の弁護士が解説

2026.10.06

警察に交通事故の届け出をする際は、けが人がおらず物損のみの物損事故とけが人のいる人身事故に分けて扱われます。

そして、当初は物損事故で届け出をしていても、後から体の痛みが出てきた等の理由で、人身事故に切り替えるかどうかの選択を迫られることがあります。

その際、保険会社や警察から、「人身事故でも物件事故でも補償は変わらないので、加害者を処罰してほしいという気持ちが特になければ、物件事故のままでも大丈夫」という説明をされることも多いかと思います。

人身事故への切り替えは本当にしなくても平気なのでしょうか?

後から不利になったりはしないのでしょうか?

被害者側専門の弁護士が解説します。

 

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警察に物損事故で届け出をしても、怪我の補償を受けることはできる

結論から言うと、警察への届け出が物損事故になっていても、怪我の損害を相手に請求することは可能です。

自賠責保険に請求をする際や、保険会社と示談のやりとりをする際には、「人身事故証明書 入手不能理由書」という書類の提出を求められますが、それを出せば人身事故と同じように補償が受けられます。

物損事故で処理されているか、人身事故で処理されているかによって、補償される金額が変わるわけでもありません。

 

では、人身事故への切り替えは不要なのでしょうか?

状況によっては人身事故に切り替えておくべき場合があります。

その説明をするにあたり、まずは両者の違いや手続き方法を説明します。

物損事故と人身事故の主な違い

人身事故では実況見分が行われ、詳細な刑事記録が残る

物損事故の場合は、基本的に「物件事故報告書」という簡単な記録しか作られません。

これに対し人身事故では、当事者への事情聴取や実況見分が行われ、詳細な刑事記録が作成されます。

当事者がどのように動いて衝突したのか、速度、どの段階で相手の存在に気づき、どこでブレーキを踏んだのか、車両や現場の写真など、詳しく記録されます。

この刑事記録は、事故状況を証明する資料として有力であり、これが残ることが物損事故との最も大きな差かと思います。

人身事故では刑事責任に問われる可能性がある

物損事故だと、原則として当事者が刑事責任を問われることはありません。

一方、人身事故では、過失運転致傷罪などの罪に問われることがあります。

ただし、大きな事故以外は不起訴になることも多いです。

刑事責任に問われたか否かは、民事の賠償には基本的に影響はしません。

物件事故では原則として違反点数がつかないが、人身事故だと点数がつく

人身事故にすると、違反点数がつき、場合によっては免許停止などになることもあります。

両者に過失があるような事故の場合には、被害者側にも点数がつく場合があります。

このような行政処分も、民事での賠償には影響しません。

人身事故に切り替えた場合の手続きと切り替えの期限

具体的な手順は窓口によっても異なりますが、基本的には、警察に診断書を提出して、人身事故への切り替えを申し出ることで手続きが完了します。

その後、必要に応じて警察の実況見分などに立ち会うことになります。

実況見分は、被害者と加害者の両者立会いのもと行われる場合もありますが、被害者と加害者それぞれ別日に行われ、加害者と合わずに済む場合もあります。

最終的な判断は警察次第ですが、加害者と会いたくない場合には、その旨警察に申し出れば、融通していただけることもあると思われます。

 

また、人身事故への切り替えは、法律上では期限は定められていません。

しかし、遅くなると事故と怪我との因果関係の証明ができなくなりますし、時間が経つほど現場の状況や当事者の記憶も変わってしまい、事実確認も難しくなっていきます。

そういった理由で、あまり遅くなると警察も受理してくれなくなりますので、実質的には期限があります。

一般的には、事故発生から概ね10日以内には切り替えをした方が良いと言われています。

人身事故に切り替えた方がよい場合とは?

前述のとおり、物損事故と人身事故の一番の違いは、刑事記録という信用性の高い資料が残ることです。

過失割合や事故態様が争われるような事故の場合には、刑事記録が有利な証拠になることもありますので、人身事故にして刑事記録を残しておいた方がよいです。

 

また、事故と怪我との因果関係が争われた場合にも、事故状況が重要になります。

このような場合には、刑事記録を利用して、事故の大きさや衝撃の程度、どのような状況で怪我をしたのかなどを明らかにすることで、怪我との因果関係や、後遺症が残るほどの大きな事故であったことを立証することが有効になります。

事故の大きさは、ドライブレコーダー映像や車の破損状態などからも立証する余地がありますので、絶対に刑事記録が必須というわけではありませんが、証拠は多いに越したことはありません。

また、後遺症との関係では、人身事故に切り替えていないと、それほど大きな事故ではなかったのだろう、怪我もそれほどひどくないだろうと捉えられてしまい、後遺障害等級が認められにくくなることがあります。

後遺症が残存しそうな場合には、人身事故に切り替えておいた方が良いです。

人身切り替えにデメリットはあるのか?

賠償や補償の側面では、人身切り替えを行っても基本的にデメリットはありません。ただし、そのほかの側面でいくつか留意すべき点があります。

まず、前方不注意などの交通違反がある場合は、被害者側でも点数がつく可能性がありますので、その点は踏まえて判断した方が良いでしょう。
特に、相手や同乗者が怪我をしている場合には、点数がつく可能性があります。

また、人身切り替えをするには、病院で警察提出用の診断書を作成してもらったうえで、警察に診断書を持って行く必要があります。
さらに、実況見分や事情聴取にも対応する必要があります。

そのため、診断書代がかかってしまうことや、労力がかかる点は、人によってはデメリットに感じるかもしれません。

物損事故のままにしておくことは実際あるのか?切り替えなくてもよい場合はある?

では、実際に物損事故のままにしておくことはあるのでしょうか。

被害がそこまで大きくない事故や、10:0の追突事故などでは、そのまま物損事故にしているということも実務上珍しくはありません。

弊所にご相談いただく方でも、警察や保険会社に切り替えなくても問題ないと言われたので、物損事故のまま切り替えていないという方は、それなりにいらっしゃいます。

追突事故などで過失割合に争いもなく、怪我も後遺症など残らず完治しそうといった場合には、物損事故のままでも問題ない可能性が高いとは思われます。

 

ただ、交通事故は、後から突然状況が変わることもあり得ます。

後になって突然加害者が主張を変え「自分は悪くない、被害者の過失だから賠償しない」と言い出した

思いがけず怪我が治らず後遺症が残ってしまった

痛みが引かないと思ったら、後から靭帯損傷などの怪我が見つかって手術になり、予想外に重い怪我になってしまった

といったことも実際にあります。

不測の事態に備えるのであれば、少しでも証拠を残しておくことは重要ですので、迷った場合には人身事故に切り替えておいた方が安心です。

人身事故への切り替えで悩んだ時には弁護士への相談がおすすめです

突然交通事故の被害に遭い、治療も行わなくてはいけない中、慣れない交通事故の手続きに困ることも多いかと思います。

人身事故への切り替えも含め、手続きに悩まれた場合には専門家である弁護士へのご相談をお勧めします。

 

弊所は交通事故の被害者専門の法律事務所として、様々な交通事故や後遺症を取り扱っております。

交通事故の手続きや損害賠償請求でお悩みの場合には、ぜひ一度弊所の無料相談をご利用ください。

交通事故の被害者専門の弁護士が、ご相談者様の状況に合わせて、人身事故への切り替えをすべきかどうかや、今後の対応などについてお答えさせていただきます。

 

まずはLINEやお電話でお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者弁護士
小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。