交通事故の解決実績

過失割合 裁判 醜状 弁護士費用特約 四輪車vs四輪車 主婦 9級

【顔の線状痕】①保険会社よりこちら側が9割悪いとされていたケースで過失割合を4割まで減少、②弁護士の醜状面談動向により後遺障害等級9級獲得、③保険会社0円提示⇒裁判で300万円獲得

Oさん 50代・女性・主婦

【顔の線状痕】①保険会社よりこちら側が9割悪いとされていたケースで過失割合を4割まで減少、②弁護士の醜状面談動向により後遺障害等級9級獲得、③保険会社0円提示⇒裁判で300万円獲得

解決事例のポイント

① 詳細な現地調査に基づき保険会社側の交通事故鑑定書の信用性を失わせて過失割合90:10⇒40:60に変更させ勝訴
② シートベルト非装着と傷害との因果関係が無いことを立証し被害者の過失0に持ち込む
③ 醜状面談に同行し、後遺障害等級9級獲得

 

法律相談前

Oさんは、50代主婦の方です。

家族で買い物に行く途中に、出会い頭の交通事故に遭ってしまい、割れた窓ガラスによって顔を傷つけてしまいます。

加害者側は、こちらの方が優先道路を走行していたのであるから、Oさんの側に9割の落ち度があるとして、一切の賠償に応じてくれませんでした。

Oさん家族は、弁護士費用特約に加入していたこともあり、弁護士に法律相談してみることにしました。

 

法律相談

Oさんご家族で対応しても一切の賠償が得られないケースですから、弁護士が入って解決することが適切である旨説明をし、Oさんご家族の件を対応させていただくことになりました。

 

後遺障害等級9級16号(自賠責保険金616万円)の獲得

Oさんには、交通事故の時に割れた窓ガラスで傷つけられた顔の線状痕が残っていました。

濃い部分のみを見ると、長さ3㎝程度でしたが、濃い部分以外のキズもきちんと測定すると長さ5㎝程度の線状痕になっていました。

醜状障害の後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構の職員の方が醜状痕の測定を行い、その測定結果をもとに後遺障害等級の認定がなされる運用になっています。

濃い部分のみで測定されてしまうと、後遺障害等級12級となってしまいますので、適切に測定するべく、弁護士も醜状面談に同行することにしました。

案の定、損害保険料率算出機構の職員の方は、濃い部分のみで測定しようとしていたため、横から、線状痕の始点と終点につてい具体的に説明をし、適切に測定していただくことができました。

結果として、見立てどおり後遺障害等級9級16号の認定を得ることができ、自賠責保険金616万円(傷害部分を含めると736万円)を獲得することができました。

 

民事裁判 福岡地方裁判所

裁判では主に過失割合が争われました。

被告側は、自身が優先道路を走行していたという主張を行っていました。

しかしながら、現地調査をした結果、優先道路に見られるセンターライン(実線)とは異なり、白色の破線が道路中央に引かれていました。

この白色の破線は、法定外表示の内のドットライン表示と呼ばれるものです。

関連する通達を調べたところ、「法定外表示等の設置指針について」の通達において、当該白色破線は、優先関係とは関係ないと明記されていて、被告のように優先関係の表示と誤認する者がいるため、「優先関係が明確でない交差点部には今後、原則として設置しないこと」と記されていることが判明しました。

要は、加害者側の主張は、道路交通法規を勘違いしたものであることが判明します。

その他、加害者側からは難解な物理式などが記載された交通事故鑑定書も提出されましたが、そもそも公式をあてはめる前提事実に誤りがあったため、その指摘を行い、信用できない証拠であると裁判所に認定させることができました。

また、Oさんの醜状障害は、Oさんがシートベルトをしていなかったために生じたもので、Oさんにはシートベルト非装着の過失がある旨の主張もなされました。

これに対しては、窓ガラスが割れた状況を説明し、Oさんがシートベルトを装着していたとしても、Oさんの顔には割れた窓ガラスによるキズができてしまっていたことを立証し、シートベルト非装着の過失についても勝訴することができました。

以上の結果、過失割合原告90:被告10を主張されていた本件で、原告40:被告60で勝訴することに成功し、裁判前に回収していた自賠責保険金736万円のほかに約300万円を得ることができました。

 

弁護士小杉晴洋のコメント

①醜状面談には弁護士の同行をおすすめします

Oさんのケースは、弁護士の同行がなければ醜状障害12級と認定されていた可能性が高いです。

9級と12級では、賠償額が倍以上異なりますから、醜状面談の際には、被害者側専門の弁護士を同行させることをおすすめします。

②過失割合で勝訴するには弁護士の力量が問われます

本件で過失割合勝訴に至ったポイントとしては、①現場の丹念な調査、②通達を含めた道路交通法規の理解、③保険会社側の交通事故鑑定を読み込む力と弱点を突く力、④シートベルト非装着とケガとの因果関係を考察する力が挙げられます。

これらは、日頃から過失割合の判断についての勉強や経験をしていないと、なかなか身に着けることのできない力ということができます。

過失割合に争いのあるケースの被害者の方は、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。