脊髄損傷 示談 バイクvs四輪車 首 自営業 後遺障害等級変更 14級 12級 医師面談
【中心性脊髄損傷】アーチファクトとする自賠責保険の見解に対し、医師の意見書を取り付け、異議申立てにより12級13号を獲得
Pさん 30代・男性・自営業
【中心性脊髄損傷】アーチファクトとする自賠責保険の見解に対し、医師の意見書を取り付け、異議申立てにより12級13号を獲得
解決事例のポイント
医師面談により中心性脊髄損傷の所見が消えたことの医学的意見書を獲得し、異議申立てで後遺障害等級12級13号獲得
相談前
Pさんは30代の自営業を営む男性です。
バイク乗車中に四輪車にはねられ、交通事故に遭ってしまいました。
整形外科にてリハビリを続けましたが、首の痛みや手の痺れがとれず、後遺障害等級の申請を行うことになります。
加害者側の保険会社を通じて後遺障害等級の申請(事前認定)を行ったところ、自賠責保険は後遺障害等級14級9号の認定をしました。
Pさんは、この後遺障害等級が妥当なのかどうか分からなかったため、弁護士に法律相談することにします。
法律相談
法律相談では、後遺障害等級と慰謝料などの損害賠償額について説明差し上げました。
後遺障害等級については、14級9号より上位の後遺障害等級とするためには画像所見が必須になってきますので、まずは、画像を取り寄せた上で、異議申立てを行うかどうかを決める旨、説明しました。
異議申立てのための医学的調査
頚部MRI画像の調査
Pさんに同意書を書いていただき、Pさんが通う病院から、画像データを含む医学的証拠を取り付けて調査を開始しました。
そうしたところ、交通事故直後の頚部MRI画像だとC5-7高位(頚椎の5番~7番目の位置)の脊髄に輝度変化=白く映っている箇所が確認でき、これは脊髄損傷の所見と整合するものでした。
ところが、その後の頚部MRI画像だと、この輝度変化は消えてなくなっています。
どうやら自賠責保険は、当初あった輝度変化が、その後無くなっていることから、交通事故直後の頚部MRI画像所見の輝度変化はアーチファクト(画像上のノイズ・誤った所見)であると判断したようでした。
神経学的所見の調査
Pさんの医療記録を調査すると腱反射の亢進所見が認められました。
腱反射というのは、医師がハンマーで上腕二頭筋・腕橈骨筋・上腕三頭筋などを叩き、その反応を見るものですが、脊髄損傷のある方だと、反応が過大(通常の反応よりも動きすぎる)になります。
医学的調査のまとめ
以上の医学的調査の結果、Pさんは、軽い脊髄損傷となっている可能性があり、交通事故直後の頚部MRI画像所見の脊髄の輝度変化は、アーチファクトなどではなく、脊髄損傷を示す所見であった可能性があるという仮説が生まれました。
損害賠償請求の世界というのは、いかに証拠による裏付けを行うかですので、さっそく上記仮説を裏付ける専門医の医学的意見を求め医師面談を実施することにしました。
脊髄損傷に関する医師面談の実施と医学的意見書の作成
脊髄損傷を扱う東京の整形外科医に話を伺いに行ったところ、Pさんは、症状からしても神経学的所見からしても、軽度の脊髄損傷となっているとのことでした。
また、Pさんの脊髄損傷は、中心性脊髄損傷と呼ばれるもので、経過と共に頚部MRI画像の輝度変化の所見は消えるものなので、交通事故直後の頚部MRI画像所見の輝度変化は、アーチファクトなどではないという回答を頂くことができました。
そこで、これらの内容をこちらで意見書案として作成し、この先生にチェックしていただいて、Pさんの中心性脊髄損傷に関する医学的意見書を作成しました。
異議申立て 中心性脊髄損傷による後遺障害等級12級13号獲得
当該医学的意見書をもとに自賠責保険に対して異議申立てを行ったところ、交通事故直後の頚部MRI画像所見の輝度変化はアーチファクトなどではなく、中心性脊髄損傷を裏付けるものであると認められ、後遺障害等級12級13号を獲得することができました。
約1000万円での示談解決
以上の後遺障害等級12級13号をもとに示談交渉を行い、約1000万円での示談解決となりました。
弁護士小杉晴洋のコメント:自賠責保険は疑わしきは低い後遺障害等級を付けるという運用です。
Pさんのケースは、中心性脊髄損傷の所見を、アーチファクトであるとして後遺障害等級14級9号の認定がなされていたというものでした。
このまま示談交渉に進んでいた場合、賠償額は後遺障害等級14級9号を前提になされますので、300万円程度になっていたものと思われます。
Pさんのケースのように、被害者側専門の弁護士が介入することにより、症状の画像上の裏付けを発見できるケースがあり、その場合、損害賠償額が3倍以上になることもあります。
ですので、後遺障害等級が出たが、この後遺障害等級が妥当なのかどうか分からないという方については、無料相談を実施していますので、まずは法律相談されることをおすすめします。