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【外傷性頚部症候群】異議申立てにより後遺障害等級14級を獲得し、無職男性について主夫としての損害額約170万円を上乗せして示談解決した事例

Rさん 40代・男性・主夫

【外傷性頚部症候群】異議申立てによりむち打ち被害の後遺障害等級14級を獲得し、無職男性について主夫としての損害額約170万円を上乗せして示談解決した事例

解決事例のポイント

① 自賠責保険むち打ち非該当の判断に対して異議申立てを行い、刑事記録・物損資料・症状の推移・症状固定後の被害者の動き・生活上の支障の立証によって後遺障害等級14級9号を獲得
② 無職男性について、専業主夫として休業損害・逸失利益の合計約170万円を上乗せさせて示談解決

 

法律相談前

Rさんは40代無職の男性で、奥様が仕事をして、自身は家事をするという、いわゆる専業主夫の方でした。

Rさんは、自動車に乗って走行していたところ、交差点で出会い頭の交通事故に遭い、外傷性頚部症候群(むち打ちの一種)の診断を受けます。

Rさんは、総合病院の整形外科に通いリハビリをしますが、首の痛みが取れず、後遺障害診断を受けることになりました。

ところが、自賠責保険は、後遺障害の申請に対して後遺障害等級非該当の判断をしたため、Rさんは弁護士に依頼をすることにしました。

異議申立てにより後遺障害等級14級9号を獲得

Rさんは、法律相談時もとても首を痛そうにしていたため、まずは自賠責保険に対して後遺障害等級の異議申立てを行うという方針決定をしました。

刑事記録から身体に加わった衝撃が強かったことを立証

まずは、Rさんが被害に遭った交通事故についての刑事記録を、福岡県弁護士会を通じて取り寄せました。

そうしたところ、加害車両のトラックの形状や、トラックに衝突された後に約21m先の田んぼに落下してようやく停止したことなどが記されていました。

これらの情報は、交通事故によってRさんの身体に加わった衝撃が大きかったことを裏付ける資料となりますので、実況見分時の写真などをもとに、Rさんが首に大きな衝撃を受けたことを異議申立書上の表現していきました。

物損資料から身体に加わった衝撃が強かったことを立証

刑事記録分析と同じ視点となりますが、被害車両の損傷状況も、被害者の身体に加わった衝撃の程度を裏付ける資料となります。

被害車両や加害車両の交通事故後の写真や、修理見積書などを入手し、その損傷具合から、Rさんが首に大きな衝撃を受けたことを異議申立書上の表現していきました。

医学的な証拠を取り付け首の症状の推移に不自然さがないことを立証

むち打ち症にて後遺障害等級14級9号を獲得するためには、身体に加わった衝撃の強さを示すことが1番大事ですが、他の要素として、後遺症の対象とされる症状の推移が不自然ではないことも加味されます。

これは減点方式で審査されているものと思われ、例えば、急性期よりもその後の症状経過が悪化している、一度治っていた若しくは軽快していたものが後で悪化しているなどの症状推移となっている場合、症状の推移が不自然であるとして後遺障害等級非該当の判断がなされるのです。

そこで、「症状の推移について」という書面を主治医の先生から取り付け、Rさんの症状推移に不自然さがないことを異議申立書上に表現していきました。

症状固定後の被害者の動きの立証

症状固定というのは、これ以上治療を続けたとしても、症状が固定していて良くならないという状態を示していますので、症状固定後の治療費については治療効果が無いものとして加害者側に損害賠償債務が原則として発生しません。

すなわち、症状固定後の治療費は、被害者の自腹となるのです。

これまで加害者側の保険会社が治療費を支払ってくれていたのが無くなるわけですから、症状固定後には病院へ通わなくなるという交通事故被害者の方もいらっしゃいます。

なぜ交通事故被害に遭ったのに自腹を切らなくてはいけないのかという疑問は至極当然ですので、症状固定後はリハビリ通院を継続しなかったとしても、それ自体は責められる話ではないのですが、治療費が自腹となってもなおリハビリを続けるといった場合は、後遺障害等級認定上プラスに評価されることがあります。

勝手な解釈ですが、自賠責保険や裁判所は、自腹となってもなおリハビリを続けるのであれば、本当に痛いんだなと思うのです。

Rさんは、自身の収入もありませんし、裕福でもなかったことから、症状固定後の通院はしませんでした。

しかし、首の痛みがひどく、日常生活に大きな支障がでていたことから、薬局で痛み止めや湿布を買っていました。

そこで、異議申立てにあたっては、これらの薬局での痛み止めや湿布購入のレシートを提出して、症状固定後も後遺症として首の痛みが残り続けていることを異議申立書上に表現していきました。

生活上の支障の立証

Rさんの交通事故前後の生活状況を聴き取り、それを対比させて異議申立書上で整理することによって、Rさんの首の痛みの程度やそれによる支障を表現していきました。

画像所見からの立証は行わず

これらに加えて、頚部MRI画像やXP撮影画像などを摘示して、画像所見から異議申立書を構成することもありますが、Rさんの場合、まったく画像所見がありませんでしたので、画像所見からの立証は敢えて行いませんでした。

後遺障害等級14級9号の認定

以上の、刑事記録や物損資料による身体に加わった衝撃が大きいことの立証、医学的な証拠取り付けによる症状の不自然さが無いことの立証、症状固定後の痛み止めや湿布購入からの後遺症残存の立証、生活上の支障の立証を異議申立書によって表したところ、自賠責保険は、当初の後遺障害等級非該当の判断を改め、後遺障害等級14級9号の認定をしてくれました。

 

無職男性について専業主夫であることを認めさせ、示談金に休業損害・逸失利益の約170万円を加算させた

Rさんは仕事をしていませんので、保険会社の当初見解は、休業損害や逸失利益は0円とするというものでした。

しかしながら、女性の方が専業主婦として家事をしている場合には休業損害や逸失利益が認められるのに対し、男性が家事をしている場合には認められないというのは、明らかな男女差別ですから、この点の主張を行うことにしました。

具体的には、Rさんの奥様の職業・年収・仕事の頻度、Rさんの同居家族の構成、Rさんが交通事故前に行っていた家事従事の内容、交通事故後の頚部痛のせいで生じた家事の支障などを立証していきました。

そうしたところ、当初は休業損害・逸失利益ともに0円認定であったものが、休業損害と逸失利益で合計約170万円を加算させることに成功し、他の慰謝料などと合わせて示談解決となりました。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。