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【腰椎捻挫】加害者が無保険の交通事故で、専業主夫の無職男性について、むち打ち被害で、無保険車傷害特約を用いて約520万円を獲得した事例

Cさん 50代・男性・専業主夫

【腰椎捻挫】加害者が無保険の交通事故で、専業主夫の無職男性について、むち打ち被害で、無保険車傷害特約を用いて約520万円を獲得した事例

解決事例のポイント

① むち打ち(腰椎捻挫)で後遺障害等級14級9号の認定を受け、約520万円を獲得
② 加害者が任意保険に加入していなかったため、被害者側の保険(無保険車傷害特約)を用いて解決
③ 無職男性について、専業主夫として休業損害約130万円・逸失利益約120万円の認定
④ 物損については加害者から直接修理費用を回収

 

法律相談前

Cさんは50代無職の男性で、奥様が仕事をして、自身は家事をするという、いわゆる専業主夫の方でした。

Cさんは、コンビニエンスストアの駐車場内で、車に乗っていたところ、駐車しようとしていた車がバックしてきて衝突されてしまい、腰椎捻挫の傷害を負ってしまいました。

Cさんは、腰椎捻挫の治療費や、傷ついた車の修理費などを加害者の保険会社に払ってもらおうとしましたが、加害者の方は任意保険に加入していないことが判明します。

そこで、Cさんは、どうしたらよいのか分からず、弁護士に依頼をすることにしました。

腰椎捻挫で後遺障害等級14級9号を獲得

Cさんは、懸命にリハビリを続けましたが、腰の痛みは完治することはありませんでした。

加害者は任意保険に加入していませんでしたが、強制保険である自賠責保険には加入していますので、自賠責保険に後遺障害等級の申請をすることにします。

主治医の先生にご作成いただく後遺障害診断書の作成要領をお渡しし、後遺障害等級獲得の可能性をなるべく上げたうえで申請を行います(被害者請求)。

また、加害者側無保険のケースでは、後遺障害等級を獲得できるかどうかによって、被害者側の無保険車傷害特約を利用できるかどうかが異なってきますので、非常に重要ということになります。

Cさんの件では、無事、見立てどおりに後遺障害等級14級9号を獲得することができました。

これによって無保険者傷害特約を利用することができますので、加害者が任意保険に加入していた場合と同水準の金額を獲得することができるようになります。

なお、これによって加害者が損害賠償金の支払いをしなくてよくなるわけではなく、後日、被害者側の保険会社から求償請求を受けることになります。

また、無保険者傷害特約というのは、弁護士費用特約と同様、使ったとしても今後の保険料が上がることが無いため、このようなケースでは利用していった方が良いということになります。

 

無職男性について専業主夫であることを認めさせ、合計約520万円を獲得

Cさんは仕事をしていませんので、保険会社の当初見解は、休業損害や逸失利益は0円とするというものでした。

しかしながら、女性の方が専業主婦として家事をしている場合には休業損害や逸失利益が認められるのに対し、男性が家事をしている場合には認められないというのは、明らかな男女差別ですから、この点の主張を行うことにしました。

具体的には、Cさんの奥様の職業・年収・仕事の頻度、Cさんの同居家族の構成、Cさんが交通事故前に行っていた家事従事の内容、交通事故後の腰痛のせいで生じた家事の支障などを立証していきました。

そうしたところ、当初は休業損害・逸失利益ともに0円認定であったものが、休業損害約130万円・逸失利益約120万円の認定を得ることに成功し、他の慰謝料などとあわせて、合計約520万円の回収に成功することができました。

 

弁護士小杉晴洋のコメント:加害者が無保険であったとしても損害賠償請求を諦めてはいけません

加害者が無保険の場合というのは、任意保険に加入しないような加害者ですから、資力も有していないことが多いです。

従いまして、交通事故で被った損害賠償を満額回収できないケースが現に存在します。

加害者が破産の申請をしたとしても、故意または重大な過失のある交通事故の場合は、破産によって損害賠償債務を免れることはできないのですが、そもそも加害者に資産や収入が無いのであれば、回収はできませんし、数百万円・数千万円単位の損害賠償金を加害者の資料から分割して支払ってもらうという場合は、途方もない時間がかかってしまいます。

また、加害者が行方をくらませて、逃げてしまうケースもあります。

このような事情があるため、泣き寝入りを余儀なくされる被害者の方がいらっしゃいますが、その前にあらゆる手を尽くすべきです。

まずは、本件のCさんのように、自賠責保険が後遺障害等級を獲得した後に、無保険車傷害特約を利用して、満額回収するという方策が考えられます。

無保険者傷害特約や人身傷害保険に加入していないという交通事故被害者の方の場合は、加害者以外の人に損害賠償請求をすることができないかを検討することが大事です。

例えば、加害者が仕事中に交通事故を起こしたという場合、加害者の所属する会社に対して、民法715条1項に基づき損害賠償請求をすることができる場合があります(使用者責任の追及)。

加害者個人よりも会社の方が資産規模が大きいことが多いので、これによって損害賠償金を回収できることがあります。

また、加害者の車の保有者情報を調査すると、運転者と車両所有者が異なるということがありますから、このようなケースでは、加害者のみならず車両保有者に対しても損害賠償請求をしていくという方法をとることができる場合もあります(自動車損害賠償保障法3条)。

その他、Cさんのケースの物損の解決のように、加害者から直接回収できることもありますし、場合によっては公証人役場にて公正証書で示談書を締結し、支払いを怠った場合には強制執行ができるようにしておいて、加害者に損害賠償金の弁済を間接的に促していくという方法もあります。

これらのように加害者側が無保険であったとしても、損害賠償金獲得のルートはいくつかありますので、まずは被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。