後遺障害等級の解説

後遺障害等級一般論

自賠責の後遺障害第5級の金額と認定のポイントは?|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、自賠責の後遺障害等級表で定められている後遺障害等級のうち、第5級に定められているものについて解説しております。

自賠責の後遺障害等級第5級の等級一覧と金額

自動車損害賠償保障法施行令における後遺障害等級表別表第二には、以下の1~8号の後遺障害等級が定められています。

なお保険金額について、単独認定・併合認定問わず、最終等級が第5級の時に支払われる保険金額は1574万円です。

⑴別表第二第5級1号 両眼の視力障害

1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの」に該当する場合に認定されます。

なお、ここでいう「視力」とは矯正視力をいい、測定方法については原則として万国式試視力表(ランドルト環を用いたもの)によるものとされています。

また、自賠責の後遺障害等級認定基準において「失明」とは、眼球を亡失(摘出)したもの明暗を弁じ得ないもの及びようやく明暗を弁ずることができる程度のものをいい、光覚弁(明暗弁)又は手動弁も含まれます。光覚弁は、暗室で被験者の眼前で照明を点滅させ、明暗が弁別できる視力をいい、手動弁は検者の手のひらを被験者の眼前で上下左右に動かし、動きの方向を弁別できる能力をいいます。つまり、完全に失明した状態だけでなく、明暗を認識できる程度や手の動きを認識できる程度の極めて低い視力のケースも、自賠責では「失明」として扱われるということです。

⑵別表第二第5級2号 神経系統又は精神の障害

神経系統の機能又は精神に障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に該当する場合に認定されます。

高次脳機能障害や、脊髄損傷を原因とする神経症状といった神経系統の障害を残したことにより、特に軽易な労務以外の労務に従事することができないと判断された場合に認定されます。

⑶別表第二第5級3号 胸腹部臓器の障害

胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に該当する場合に認定されます。

a 呼吸器について、動脈血酸素分圧が50Torr超~60Torrであり、かつ動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr~43Torr)にあるもの

b 胸腹部臓器について、人工肛門を増設したもので、小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチ等の装着ができない場合もしくは大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチ等の装着ができないもの

なお後遺障害等級認定の対象となる人工肛門は、永久人工肛門に限られます。

c 胸腹部臓器について、小腸皮膚瘻を残し、瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出するもので、小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻周辺に著しいびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの

d 胸腹部臓器について、大腸皮膚瘻を残し、瘻孔から大腸内容の全部または大部分が漏出するもので、大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻周辺に著しいびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの

e 泌尿器について、非尿禁制型尿路変向術を行ったもので、尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パッド等の装着ができないもの

⑷別表第二第5級4号 上肢の欠損障害

1上肢を手関節以上で失ったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、以下のようなものがあります。

a 肘関節と手関節の間において上肢を切断したもの

b 手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

⑸別表第二第5級5号 下肢の欠損障害

1下肢を足関節以上で失ったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、以下のようなものがあります。

a 膝関節と足関節との間において切断したもの

b 足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とを離断したもの

⑹別表第二第5級6号 1上肢の機能障害

1上肢の用を全廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「上肢の用を全廃したもの」とは、3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のすべてが強直し、かつ手指の全部の用を廃したものをいいます。

なお「手指の全部の用を廃したもの」とは、次の場合が該当します。

a 手指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの

b 中手指節関節(MCP)又は近位指節間関節(PIP なお母指にあっては指節間関節(IP))の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの

c 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの

なおcについては、医学的に感覚神経が断裂しうると判断される外傷を負った事実の確認に加えて、筋電系を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認する必要があります。

そして、上腕神経叢の完全麻痺も、「上肢の用を全廃したもの」に含まれます。

⑺別表第二第5級7号 1下肢の機能障害

1下肢の用を全廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「下肢の用を全廃したもの」とは、3大関節(股関節・ひざ関節・足関節)のすべてが強直したものをいいます。なお、3大関節が強直したことに加え、足指前部が強直したものもこれに含まれます。⑹の上肢全廃の要件においては手指全部の強直も求められていた一方、下肢の場合は足指前部の強直は絶対要件ではありません

⑻別表第二第5級8号 両足の足趾の欠損障害

両足の足指の全部を失ったもの」に該当する場合に認定されます。

なお「足指を失ったもの」とは、原則として中足指節関節から失ったものをいいます。ただし基節骨の一部を残したとしても、足指を基部(足指の付け根)から失った場合には、「足指を失ったもの」として扱われます。

足部、足趾骨格

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。