後遺障害等級の解説

眼の運動障害

1 後遺障害等級表

第10級2号 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
第11級1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
第12級1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
第13級2号 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

2 後遺障害等級認定のための要件

「眼球に著しい運動障害を残すもの」、すなわち、眼球の注視野の広さが1/2以下に減じたことが要件となる。

ここで注視野とは、頭部を固定した上で、眼球を固定した時に直視することが出来る範囲のことをいう。注視野の広さは、個人差があるが、平均して単眼視では、各方面約50度、両眼視では各方面45度である。

(1)「複視の症状を残すもの」すなわち、次のいずれにも該当することが要件となる。

ア 本人が複視のあることを自覚していること

イ 眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること

ウ ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置   にあることが確認されること

(2)上記(1)に該当するもののうち

ア 「正面を見た場合に複視をの症状を残すもの」とは、ヘススクリーンテストにより正面視で複視が中心の位置にあることが確認されたものをいい

イ 「正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」とは、ア以外のものをいう。

3 等級認定における注意点

複視を残す場合、併せて頭痛等の神経症状を残すことが多いが、これらは複視によって派生的に生じていると判断され、別途独立して等級として評価されない。

単眼性複視については、眼球の運動障害により生じるものではないので、視力障害として評価される。

 

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。