交通事故コラム

過失割合

高速道路上の落下物による事故の過失割合はどうなる?【弁護士解説】

2024.12.28

過失割合

このページでは、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士が、

  • 高速道路上の落下物による事故の過失割合はどうなる?

という疑問にお答えします。

 

高速道路上の落下物による事故の過失割合

民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。

これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。

過失割合は、原則として、東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)という文献をもとに判断されます。

 

この一般的に『別冊判例タイムズ38号』と呼ばれる文献の中にも高速道路上の落下物による事故の類型があります。

 

高速道路は当たり前ですが、一般道路と異なり高速で走行することが前提とされているため、

落下物による事故における過失割合の考え方も一般道路のそれとは異なるところもあります。

 

パターン別に過失割合を見ていきましょう。

 

落下物に衝突した場合と避けて他車両や設置物と衝突した場合で過失割合は異なる?

第一に、落下物自体に衝突した事故と、落下物を避けたことで他車両や設置物と衝突した場合の過失割合は異なるのでしょうか?

この点について先ほどの『別冊判例タイムズ38号』では、

非接触型の事故についても、落下物の存在と事故の発生との間に因果関係が認められる限り、本基準を適用して差し支えない」としており、

落下物自体に衝突した事故と、落下物を避けたことで事故に至った場合とで過失割合の考え方は変わらないことになっています。

 

落下物による事故の過失割合

基本的な過失割合は、

道路に物を落下させた側(先行車)の過失が60、落下物により事故を起こしてしまった側(後続車)の過失が40とされています

(後続車がバイクの場合には70:30)となります。

 

ただし、落下物が油などの危険物である場合には、更に先行車の過失が10~20程度大きくなります。

一方で、落下物が概ね200m手前からでも発見が容易な場合には、これを見落としたということになり、後続車の過失が10~20程度大きくなります。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートを行っております。

交通事故被害に遭い、お困りの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。