過失割合
交通事故の過失割合とは?決め方・基準や事例について被害者専門弁護士が解説!
2025.02.14

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 交通事故の過失割合とは
- 過失割合の決め方・基準
- 類型別の過失割合の考え方
- 交通事故の過失割合の交渉知識と注意点
- 納得がいかない場合の対処法
- 労災・健康保険等を活用するメリット
等について解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による過失割合解決サポートを行っております。
交通事故被害に遭い、過失割合の交渉でお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
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交通事故の過失割合とは

過失割合の定義と役割とは
民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。
これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。
この「過失割合」は、実務においてはどちらがどの程度の責任を負うべきなのかを具体的に示す指標となります。
たとえば、発生した交通事故について双方の過失割合が9:1であれば、
事故の90%が加害者の責任であり、残りの10%が被害者の責任ということになります。
この割合は事故後の損害賠償の基準となるため、非常に重要な役割を果たします。
今回の事故により被害者に生じた損害が1000万円であった場合、被害者の過失が10%となると、
この1000万円×10%=100万円は自己過失分ということで相手に請求することができず、受け取ることができる金額は自己過失分を差し引いた900万円となります。
この過失割合が8:2となると、受け取ることができる金額は800万円となり、
発生した損害の大きさは変わらないのに受け取ることができる金額が減少してしまいます。
このように、過失割合は損害賠償金額全体に影響を与えるため、被害者が適正な補償を受けるためにも、正確な過失割合を算出することが必要不可欠です。
弁護士が果たす役割
交通事故の過失割合の交渉において、保険会社は多数の事故を取り扱う中で、標準的な基準や迅速な処理を優先する傾向があります。
そのため、被害者側の個別事情が十分に考慮されないことも少なくありません。
そこで弁護士の存在が重要になります。
弁護士は、被害者の視点に立って、事故状況に基づく正確な過失割合を主張するとともに、修正要素の提示や判例を用いた具体的な交渉を行います。
また、保険会社との交渉過程での不安や不満についても被害者をサポートし、納得のいく和解や判決につなげる役割を果たします。
過失割合は誰が決めるのか?
交通事故において過失割合を決定するのは、基本的に事故当事者が契約している各保険会社の担当者です。
保険会社は、原則として東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ39号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂6版)を基に、
類型のどれに当てはまるかという観点から、事故の状況に則した妥当な割合を算出します。
この『別冊判例タイムズ39号』に規定されている類型は、それぞれ被害者にとっても加害者にとっても有利に修正できる要素が列挙されています。
しかし、加害者側保険会社の提示は被害者にとって有利な修正要素を使わずに(結果として加害者側に有利になるように)過失割合を提示してくる場合もあります。
こういった場合には、各修正要素の定義を理解し、事故発生状況を示す証拠などをもとにしっかりと被害者側に有利な修正要素を主張していくことが重要です。
最終的な決定権は当事者同士にあり、合意が得られなければ調停や訴訟といった法的手続を選択することも可能です。
また、弁護士に依頼することで、保険会社では見落とされる可能性のある事実を指摘し、被害者側に有利な交渉を進める助けとなります。
- 関連記事:交通事故の過失割合は誰が決める?専門弁護士解説
- 関連記事:相手が過失割合に納得しない?交通事故トラブルを乗り越える解決策
- 関連記事:交通事故の過失割合の交渉でもめる場合の対処法を教えてください。
【類型別】交通事故の過失割合の基準

交通事故の過失割合は、その事故の発生状況によって異なります。別冊判例タイムズ39号では、
まず双方当事者の属性などをもとに8つの類型に分けられ、そこからさらに事故発生状況によって細分化されています。
その8つの類型は以下のとおりです。
- 歩行者VS四輪車・バイク
- 歩行者VS自転車
- 四輪車VS四輪車
- バイクVS四輪車
- 自転車VS四輪車・バイク
- 自転車VS自転車
- 高速道路上の事故
- 駐車場内の事故
この類型ごとに、横断歩道上であるとか、交差点内であるとか、道路外出入時であるとかの事情を踏まえてどの類型に該当するかが決定されます。
交通事故の過失割合の決め方・基準

事故状況に関する当事者間の認識をすり合わせる
過失割合を決めるにあたって、まず重要なのが事故状況について当事者双方の認識を明確にすることです。
どちらの車両がどのような速度で走行していたか、信号の状態はどうだったか、どの車線を走行していたかといった具体的な事実関係について、
加害者と被害者の認識が一致していない場合は交渉が長引く要因になります。
ただし、そもそも当事者間に認識の相違があるからこそ、事故が発生し、過失割合が争いになるわけです。
証拠がない状態で認識を一致させるのは不可能と言ってよいでしょう。
だからこそ、
ドライブレコーダーの映像、目撃者の証言、警察の実況見分の記録などによって事故状況を確認しておくことが重要です。
当事者間で事故状況を擦り合わせ明確にしておくことで、以降の交渉の出発点が定まります。
基本過失割合を確認する
事故状況が確認できたら、別冊判例タイムズ39号の類型にあてはめて基本過失割合を確認します。
基本過失割合とは、事故態様ごとに採用される、画一的に適用される過失割合です。
ただし、そもそも基本過失割合という考え方が馴染む事案ではないとか、別冊判例タイムズ39号に規定されていない事故類型であるとかいった場合には、
過去の裁判例などをもとにしながら、柔軟に解決していく必要があります。
基本過失割合から修正を行う
基本過失割合はあくまでも出発点にすぎません。具体的な事故の事情に応じて修正要素を適用することで、最終的な過失割合は変わります。
修正要素には、被害者に有利なものと不利なものがあります。
加害者側の保険会社は、被害者に有利な修正要素を考慮せずに過失割合を提示してくることがあります。
こうした修正要素をきちんと主張・立証することが、適正な過失割合を確保する上で不可欠です。
当事者双方の合意のもとに最終的な過失割合を決める
基本過失割合に修正を加えた上で、当事者双方が話し合いを重ね、合意した内容が最終的な過失割合となります。
合意に至るまでには保険会社を通じた交渉が続くことがほとんどです。
どうしても合意が得られない場合には、ADR(裁判外紛争手続)や調停、裁判といった手続を利用することになります。
過失割合の交渉では、「証拠」と「知識」がものを言います。
事故直後から証拠の収集に努めること、そして、その証拠と豊富な知識をもとに適切な主張をしてくれる弁護士に依頼することが重要です。
交通事故での基本的な過失割合一覧

以下では、事故の類型別に基本的な過失割合をみていきます。
もちろん、ここから個別具体的な事情によって修正がされることになります。
自動車と自動車の事故
信号機のある交差点における直進車同士の出会い頭事故
| 青信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入した車 | 0:100 |
| 黄信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入した車 | 20:80 |
| 赤信号直前の黄色信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入した車 | 30:70 |
| 黄色信号で交差点に進入したが車vs赤信号で交差点に進入したが衝突時は青信号だった車 | 40:60 |
| 赤信号直前の黄色信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入したが衝突時は青信号だった車 | 50:50 |
| 赤信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入した車 | 50:50 |
| 赤信号で交差点に進入した車vs同じく赤信号で交差点に進入したが明らかに後から進入した車 | 40:60 |
信号機のない交差点における出会い頭事故
①同じ幅程度の道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 左方車と右方車が同程度の速度 | 40:60 |
| 減速しない左方車vs減速した右方車 | 60:40 |
| 減速した左方車vs減速しない右方車 | 20:80 |
②一方通行規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 一方通行違反車vs他方の車 | 80:20 |
③明らかに広い道路と狭い道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 明らかに広い道路を走行する車と狭い道路を走行する車が同程度の速度 | 30:70 |
| 減速しないで明らかに広い道路を走行する車vs減速して狭い道路を走行する車 | 40:60 |
| 減速して明らかに広い道路を走行する車vs減速しないで狭い道路を走行する車 | 20:80 |
④一時停止規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 一時停止規制のある道路を走行する車と他方の車が同程度の速度 | 80:20 |
| 減速して一時停止規制のある道路を走行する車vs減速しないで走行する他方の車 | 70:30 |
| 減速しないで一時停止規制のある道路を走行する車vs減速して走行する他方の車 | 90:10 |
| 一時停止規制に従い一時停止した後に交差点に進入した車vs他方の車 | 60:40 |
⑤優先道路と非優先道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 優先道路を走行する車vs非優先道路を走行する車 | 10:90 |
交差点における右折車と直進車との事故
直進車と対向右折車の場合の事故
| 基本(信号機の有無にかかわらず) | 直進車20:対向右折車80 |
| 両者ともに黄信号で進入 | 直進車40:対向右折車60 |
| 両者ともに赤信号で進入 | 直進車50:対向右折車50 |
| 右折車が青信号で交差点に進入したが右折したときには黄信号になっていた場合 | 直進車70:対向右折車30 |
| 右折車が青信号で交差点に進入したが右折したときには赤信号になっていた場合 | 直進車90:対向右折車10 |
| 右折車が右折の青矢印信号に従って右折をしたが、赤信号で交差点に進入してきた直進車と衝突した場合 | 直進車100:対向右折車0 |
左又は右から進入した場合の事故
①同じ幅程度の道路が交差する交差点
| 右折車が左方車である場合 | 右方直進車40:左方右折車60 |
| 右折車が右方車である場合 | 左方直進車30:右方右折車70 |
②明らかに広い道路と狭い道路が交差する交差点
| 右折車が狭路から広路に出る場合 | 広路直進車20:狭路右折車80 |
| 右折車が広路から直進車の進行してきた狭路に入る場合 | 狭路直進車40:広路右折車60 |
| 広路の右折車と狭路の直進車が同じ狭路に向かって進行する場合 | 狭路直進車50:広路右折車50 |
③一時停止規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点
| 右折車が一時停止規制に違反して右折したところ直進車と衝突した場合 | 直進車15:右折車85 |
| 右折車が一時停止規制に従って一時停止した後に右折したところ直進車と衝突した場合 | 直進車30:右折車70 |
| 直進車が一時停止規制に違反して直進したところ左方の右折車と衝突した場合 | 直進車70:右折車30 |
| 直進車が一時停止規制に従って一時停止した後に直進したところ左方の右折車と衝突した場合 | 直進車55:右折車45 |
| 直進車が一時停止規制に違反して直進したところ右方の右折車と衝突した場合 | 直進車60:右折車40 |
| 直進車が一時停止規制に従って一時停止した後に直進したところ右方の右折車と衝突した場合 | 直進車45:右折車55 |
④優先道路と非優先道路が交差する交差点
| 右折車が非優先道路から優先道路に出る場合 | 優先直進車10:非優先右折車90 |
| 右折車が優先道路から直進車の進行してきた非優先道路に入る場合 | 非優先直進車80:優先右折車20 |
| 優先道路の右折車と非優先道路の直進車が同じ非優先道路に向かって進行する場合 | 非優先直進車70:優先右折車30 |
その他の交差点における事故
その他の交差点における事故としては、
- 左折車と直進車の事故
- 右折者同士の事故
- 左折車と対向右折車の事故
- 後続の追越車との事故
- 丁字路交差点における事故
- Y字路等の三叉路における事故
- 五叉路における事故
- ロータリーがある場合の事故
などがあります。
これらの事故に関しては、道路状況が事案によって異なることも多いため、
個別具体的な事情によって柔軟に過失割合を判断する必要があります。
道路外出入車と直進車との事故
| 道路外から道路に進入する車両と道路を直進する車両との事故 | 直進車10:路外車90 |
| 道路外に出るために右折する車両と道路を直進する車両との事故 | 直進車10:右折車90 |
センターオーバーの事故
| センターオーバー車VS対向直進車 | 100:0 |
センターオーバーの事故の過失割合は、センターラインの有無にかかわらず適用されます。
ただし、行き違いができないような狭い道路のケースだと、対向直進車にも過失が認められてしまうこともあります。
同一方向に進行する車同士の事故
追い越しをする車との事故
| 追い越し禁止場所の場合 | 追越車90:被追越車10 |
| 追い越し禁止場所ではないが追い越し危険場所の場合 | 追越車85:被追越車15 |
| 追い越し禁止場所でも追い越し危険場所でもない場合 | 追越車80:被追越車20 |
ここでいう「追い越し危険場所」とは、
- 凹凸の多い道路
- 降雨等によってスリップしやすい道路
- 見とおしがきかない道路
- 狭い道路
- 歩行者通行の多い道路
- 対向車等の通行頻繁な道路
などを指しています。
車線変更をする車との事故
| 車線変更車VS後続直進車 | 70:30 |
追突事故
| 原則 | 追突車100:被追突車0 |
| 先行車が不必要なブレーキを踏んだために追突事故になったケース | 追突車80:被追突車20 |
| 先行車が理由のないブレーキを踏んだために追突事故になったケース | 追突車70:被追突車30 |
Uターン車と直進車の事故
| Uターン中の事故 | Uターン車80:直進車20 |
| Uターン終了直後の事故 | Uターン車80:直進車20 |
緊急車両との事故
緊急車両との事故は、どのような道路状況であっても、原則としてこちら側に80%の過失があるとされます。
自動車と二輪車の事故

二輪車(単車・バイク)は、自動車と比較して身体が露出しており、交通事故発生時に大きな被害を受ける可能性が高いことから、
被害者保護・危険責任の原則・優者危険負担の原則等を考慮して、二輪車側の過失割合が小さく設定されています。
信号機のある交差点における直進車同士の出会い頭事故
| 青信号で交差点に進入したバイクvs赤信号で交差点に進入した車 | 0:100 |
| 青信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入したバイク | 100:0 |
| 黄信号で交差点に進入したバイクvs赤信号で交差点に進入した車 | 30:70 |
| 黄信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入したバイク | 20:80 |
| 赤信号直前の黄色信号で交差点に進入したバイクvs赤信号で交差点に進入した車 | 40:60 |
| 赤信号直前の黄色信号で交差点に進入した車vs赤信号で交差点に進入したバイク | 40:60 |
| 赤信号で交差点に進入したバイクvs赤信号で交差点に進入した車 | 40:60 |
| 赤信号で交差点に進入したバイクvs同じく赤信号で交差点に進入したが明らかに後から進入した車 | 25:75 |
| 赤信号で交差点に進入した車vs同じく赤信号で交差点に進入したが明らかに後から進入したバイク | 45:55 |
信号機のない交差点における出会い頭事故
①同じ幅程度の道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 左方バイクと右方車が同程度の速度 | 30:70 |
| 減速しない左方バイクvs減速した右方車 | 45:55 |
| 減速した左方バイクvs減速しない右方車 | 15:85 |
| 減速した左方バイクvs減速しない右方車 | 15:85 |
| 減速しない左方車vs減速した右方バイク | 65:35 |
| 減速した左方車vs減速しない右方バイク | 40:60 |
②一方通行規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 一方通行違反車vs他方のバイク | 90:10 |
| 一方通行違反バイクvs他方の車 | 70:30 |
③明らかに広い道路と狭い道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 明らかに広い道路を走行するバイクと狭い道路を走行する車が同程度の速度 | 20:80 |
| 減速して明らかに広い道路を走行するバイクvs減速しないで狭い道路を走行する車 | 30:70 |
| 減速して明らかに広い道路を走行するバイクvs減速しないで狭い道路を走行する車 | 10:90 |
| 明らかに広い道路を走行する車と狭い道路を走行するバイクが同程度の速度 | 40:60 |
| 減速しないで明らかに広い道路を走行する車vs減速して狭い道路を走行するバイク | 50:50 |
| 減速して明らかに広い道路を走行する車vs減速しないで狭い道路を走行するバイク | 25:75 |
④一時停止規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 一時停止規制のある道路を走行する車と他方のバイクが同程度の速度 | 85:15 |
| 減速して一時停止規制のある道路を走行する車vs減速しないで走行する他方のバイク | 75:25 |
| 減速しないで一時停止規制のある道路を走行する車vs減速して走行する他方のバイク | 90:10 |
| 減速しないで一時停止規制のある道路を走行する車vs減速して走行する他方のバイク | 65:35 |
| 一時停止規制のある道路を走行するバイクと他方の車が同程度の速度 | 65:35 |
| 減速して一時停止規制のある道路を走行するバイクvs減速しないで走行する他方の車 | 55:45 |
| 減速しないで一時停止規制のある道路を走行するバイクvs減速して走行する他方の車 | 80:20 |
| 一時停止規制に従い一時停止した後に交差点に進入したバイクvs他方の車 | 45:55 |
⑤優先道路と非優先道路が交差する交差点における出会い頭事故
| 優先道路を走行するバイクvs非優先道路を走行する車 | 10:90 |
| 優先道路を走行する車vs非優先道路を走行するバイク | 30:70 |
交差点における右折車と直進車との事故
直進バイクと対向右折車の場合の事故
| 基本(信号機の有無にかかわらず) | 直進バイク15:対向右折車85 |
| 両者ともに黄信号で進入 | 直進バイク30:対向右折車70 |
| 両者ともに赤信号で進入 | 直進バイク40:対向右折車60 |
| 右折車が青信号で交差点に進入したが右折したときには黄信号になっていた場合 | 直進バイク60:対向右折車40 |
| 右折車が青信号で交差点に進入したが右折したときには赤信号になっていた場合 | 直進バイク80:対向右折車20 |
| 右折車が右折の青矢印信号に従って右折をしたが、赤信号で交差点に進入してきた直進車と衝突した場合 | 直進バイク100:対向右折車0 |
直進車と対抗右折バイクの場合の事故
| 基本(信号機の有無にかかわらず) | 直進車30:対向右折バイク70 |
| 両者ともに黄信号で進入 | 直進車50:対向右折バイク50 |
| 両者ともに赤信号で進入 | 直進車60:対向右折バイク40 |
| 右折バイクが青信号で交差点に進入したが右折したときには黄信号になっていた場合 | 直進車75:対向右折バイク25 |
| 右折バイクが青信号で交差点に進入したが右折したときには赤信号になっていた場合 | 直進車90:対向右折バイク10 |
| 右折バイクが右折の青矢印信号に従って右折をしたが、赤信号で交差点に進入してきた直進車と衝突した場合 | 直進車100:対向右折バイク0 |
左又は右から進入した場合の事故
①同じ幅程度の道路が交差する交差点
| 右折車が左方車両である場合 | 右方直進バイク30:左方右折車70 |
| 右折バイクが左方車両である場合 | 左方直進車50:左方右折バイク50 |
| 右折車が右方車両である場合 | 左方直進バイク20:右方右折車80 |
| 右折バイクが右方車両である場合 | 左方直進車40:右方右折バイク60 |
②明らかに広い道路と狭い道路が交差する交差点
| 右折車が狭路から広路に出る場合 | 広路直進バイクvs狭路右折車 15:85 |
| 右折バイクが狭路から広路に出る場合 | 広路直進車vs狭路右折バイク 35:65 |
| 右折バイクが広路から直進車の進行してきた狭路に入る場合 | 狭路直進車vs広路右折バイク 70:30 |
| 右折車が広路から直進バイクの進行してきた狭路に入る場合 | 狭路直進バイクvs広路右折車 50:50 |
| 広路の右折バイクと狭路の直進車が同じ狭路に向かって進行する場合 | 狭路直進車vs広路右折バイク 60:40 |
| 広路の右折車と狭路の直進バイクが同じ狭路に向かって進行する場合 | 狭路直進バイクvs広路右折車 40:60 |
③一時停止規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点
| 右折車が一時停止規制に違反して右折したところ直進バイクと衝突した場合 | 直進バイクvs右折車 15:85 |
| 右折バイクが一時停止規制に違反して右折したところ直進車と衝突した場合 | 直進車vs右折バイク 35:65 |
| 右折車が一時停止規制に従って一時停止した後に右折したところ直進バイクと衝突した場合 | 直進バイクvs右折車 25:75 |
| 右折バイクが一時停止規制に従って一時停止した後に右折したところ直進車と衝突した場合 | 直進車vs右折バイク 45:55 |
| 直進バイクが一時停止規制に違反して直進したところ左方の右折車と衝突した場合 | 直進バイクvs右折車 55:45 |
| 直進車が一時停止規制に違反して直進したところ左方の右折バイクと衝突した場合 | 直進車vs右折バイク 75:25 |
| 直進バイクが一時停止規制に従って一時停止した後に直進したところ左方の右折車と衝突した場合 | 直進バイクvs右折車 45:55 |
| 直進車が一時停止規制に従って一時停止した後に直進したところ左方の右折バイクと衝突した場合 | 直進車vs右折車 65:35 |
| 直進バイクが一時停止規制に違反して直進したところ右方の右折車と衝突した場合 | 直進車vs右折バイク 65:35 |
| 直進車が一時停止規制に違反して直進したところ右方の右折バイクと衝突した場合 | 直進バイクvs右折車 45:55 |
| 直進バイクが一時停止規制に従って一時停止した後に直進したところ右方の右折車と衝突した場合 | 直進車vs右折バイク 55:45 |
| 直進車が一時停止規制に従って一時停止した後に直進したところ右方の右折バイクと衝突した場合 | 直進バイクvs右折車 35:65 |
④優先道路と非優先道路が交差する交差点
| 右折車が非優先道路から優先道路に出る場合 | 優先直進バイクvs非優先右折車 10:90 |
| 右折バイクが非優先道路から優先道路に出る場合 | 優先直進車vs非優先右折バイク 30:70 |
| 右折車が優先道路から直進バイクの進行してきた非優先道路に入る場合 | 非優先直進車vs優先右折バイク 80:20 |
| 右折バイクが優先道路から直進車の進行してきた非優先道路に入る場合 | 非優先直進バイクvs優先右折車 60:40 |
| 優先道路の右折バイクと非優先道路の直進車が同じ非優先道路に向かって進行する場合 | 非優先直進車vs優先右折バイク 70:30 |
| 優先道路の右折車と非優先道路の直進バイクが同じ非優先道路に向かって進行する場合 | 非優先直進バイクvs優先右折車 50:50 |
交差点における左折車両と直進車両の事故
| 直進バイクvs先行左折車 | 20:80 |
| 直進バイクvs追越左折車 | 10:90 |
| 追越左折バイクvs直進車 | 80:20 |
渋滞車両間の事故
| 渋滞中の車両間を右折又は直進によって抜けようとした車vs渋滞車両横を走行してきたバイク | 70:30 |
道路外出入車と直進車との事故
| 道路外から道路に進入する車両と道路を直進するバイクとの事故 | 直進バイクvs路外車 10:90 |
| 道路外から道路に進入するバイクと道路を直進する車両との事故 | 直進車vs路外バイク 30:70 |
| 道路外に出るために右折する車両と道路を直進する車両との事故 | 直進バイクvs右折車 10:90 |
| 道路外に出るために右折するバイクと道路を直進する車両との事故 | 直進バイクvs右折車 75:25 |
センターオーバーの事故
| センターオーバー車VS対向直進バイク
センターオーバーバイクVS対向直進車 |
センターオーバー側100:対向直進側0 |
センターオーバーの事故の過失割合は、センターラインの有無にかかわらず適用されます。
ただし、行き違いができないような狭い道路のケースだと、対向直進車にも過失が認められてしまうこともあります。
同一方向に進行する車同士の事故
追い越しをする車との事故
| 追い越し禁止場所の場合 | 追越バイク80:被追越車20 |
| 追い越し禁止場所ではないが追い越し危険場所の場合 | 追越バイク75:被追越車25 |
| 追い越し禁止場所でも追い越し危険場所でもない場合 | 追越バイク70:被追越車30 |
ここでいう「追い越し危険場所」とは、
- 凹凸の多い道路
- 降雨等によってスリップしやすい道路
- 見とおしがきかない道路
- 狭い道路
- 歩行者通行の多い道路
- 対向車等の通行頻繁な道路
などを指しています。
車線変更をする車との事故
| 車線変更車VS後続直進バイク | 80:20 |
| 車線変更バイクVS後続直進車 | 60:40 |
追突事故
| 原則 | 追突車100:被追突車0 |
| 先行車が理由のないブレーキを踏んだために追突事故になったケース | 追突車60:被追突車40 |
| 先行バイクが理由のないブレーキを踏んだために追突事故になったケース | 追突車80:被追突車20 |
Uターン車と直進車の事故
| Uターン中の事故 | Uターン車90:直進バイク10
Uターンバイク70:直進車30 |
| Uターン終了直後の事故 | Uターン車80:直進バイク20
Uターンバイク60:直進車40 |
ドア開放事故
| ドア開放事故 | ドア開放車90:バイク10 |
自動車と自転車の事故

一方で、
- 自転車は未成年者から高齢者まで幅広い年齢層が、免許の取得なしに利用できる
- 自転車は生身で運転していること、速度や重量に大きな差があることなどから、自転車対自動車では自転車側に大きな被害が生じやすい
等の理由で、自転車と車(自動車・バイク)が関わる交通事故では、車同士の事故とは異なる独自の特徴があります。
詳しくは以下のページをご覧ください。
自動車と歩行者の事故

交通弱者保護の観点から、自動車と歩行者の事故では自動車側に特に重い過失が認められます。
- 小走りをしている人
- ジョギングをしている人
- 路上で工事をしている人
- 遊んでいる人
- 経っている人
- 寝ている人
- 時速10㎞以下の低速度で走行している自転車
- バイクや自転車を押して歩いている人
横断歩行者の事故
横断歩行者が、横断歩道上を歩行していた場合に事故に遭ったというケースでは、原則として歩行者に過失は認められません。
ただし、歩行者側の信号が赤信号であったり黄信号(歩行者青信号の点滅を含む。)であった場合には、
歩行者に過失が認められてしまうことがあります。
また、横断歩道のない場所を横断しようとした歩行者が事故に遭ったというケースも、歩行者に過失が認められてしまうことがあります。
対向又は同一方向進行歩行者の事故
この場合には、歩行者が歩いていた地点(交通事故が起きた地点)が、
- 歩行者用道路
- 歩道
- 歩車道の区別のある道路の車道
- 歩車道の区別のない道路の車道
のどこで起こったかによって変わります。
歩行者用道路における交通事故の場合は、歩行者用道路の通行を許可されている車が徐行運転によって走行している前に急に飛び出したような場合でない限り、歩行者に過失が認められることはありません。
歩道上の事故は、歩行者に過失が認められるというのは、基本的には考えられません。
車道上の事故の場合は、歩道がなく、かつ、歩行者が道路交通法第10条1項に従って右側通行をしていたという場合には、歩行者に過失が認められるというのは、基本的にはありません。
歩道があるのに車道を通行していた、歩道はないが道路の左側を通行していた、道路の端ではなく真ん中付近を通行していたなどといった場合には、歩行者にも過失が取られることがあります。
路上に寝ている人などの事故
路上に寝ている人、路上で四つん這いになっている人、路上に座り込んでいる人などが交通事故に遭った場合、
基本的には過失0と判断されることはなく、一定程度の過失は認められてしまいます。
バックする車との事故
歩行者の過失は5%が原則であると定められています。
交通事故の過失割合の交渉知識

交渉で押さえておきたい基礎知識
交通事故の過失割合は、発生した事故に対する当事者の責任割合を示す重要な要素です。
過失割合がどのように決まるか、またその影響についての基本を理解しておくことは、被害者として納得のいく賠償金を得るための第一歩です。
過失割合は保険会社が提示する場合が多いですが、提示された数値の根拠を確認し、不明点や納得できない点があれば適切に交渉する準備が必要です。
こうした基礎知識を事前に知っておくことで、不当に低い過失割合を受け入れずにすみます。
被害者側が活用できる証拠とデータ
交通事故の過失割合を交渉する際には、客観的な証拠とデータが重要な役割を果たします。
- 事故当日の現場写真
- ドライブレコーダーの映像
- 現場付近の防犯カメラの映像
- 目撃者の証言
- 警察(検察)の刑事記録
などは、被害者が自身の主張を裏付ける有力な証拠となります。
また、交通法規や過去の判例を参照し、相手側や保険会社が提示する根拠に対抗できる材料を揃えることも有効です。
ドライブレコーダーの映像はSDカードの容量が満杯になると古い映像から削除される機能があります。
付近の防犯カメラは、様々ですが1週間~2週間ほどで消えてしまうものが多いです。
これらの映像データは決定的な証拠になることも多いですから、事故後速やかにデータを保存しておくことが重要です。
これらを積極的に活用することで、より有利な過失割合を得られる可能性が高まります。
過失相殺による賠償金への影響
交通事故では、過失割合は賠償金の金額に直接影響を与えます。
たとえば、過失割合が8:2で自分に20%の過失が認められる場合、請求できる損害のうち20%分を差し引いた金額しか受け取ることができません。
これを「過失相殺」といい、被害者の過失が多いほど賠償金が減額される仕組みです。
仮に発生した損害が1000万円の方の過失割合が20%か10%かでもめている場合には、受け取れる金額が800万円か900万円かということになり、100万円もの差が出てしまいます。
同じ事故態様で、同じ損害が発生しているにもかかわらず、過失割合の交渉をきちんとしなかっただけでこれだけの損が発生する可能性があるわけですから、
過失割合の交渉は非常に重要であり、不適切な過失割合を受け入れないよう慎重に対応する必要があります。
交通事故の過失割合の交渉での注意点

過失割合が10対0の場合に保険会社は示談交渉を代行できない
交通事故の過失割合が10対0(いわゆる「もらい事故」)の場合、被害者が自身の加入する損害保険の示談代行サービスを利用することができません。
通常であれば、交通事故に遭った場合、被害者が加入する保険会社の担当者が加害者側との示談交渉を代行してくれます。
しかし過失割合が10対0の場合、被害者側に支払い義務が一切ないため、被害者の保険会社が代わりに交渉することは弁護士法に違反してしまうのです。
その結果、被害者自身が直接加害者側の保険会社と交渉するか、弁護士に依頼するかのいずれかになります。
専門知識のない方が保険会社と直接交渉することは大きな負担となるため、このようなケースでは弁護士への依頼を検討することが重要です。
保険会社から低額な示談金を提示される可能性がある
過失割合が10対0であれば賠償金を全額受け取れると思われがちですが、
そもそも加害者側の保険会社が提示してくる示談金の額が、本来受け取るべき金額よりも低く抑えられている可能性があります。
適切な賠償金を計算する基準を裁判基準(弁護士基準)と言いますが、任意保険会社が計算に用いる基準である任意保険基準は、
この裁判基準より低いことがほとんどです。
保険会社は営利企業ですから、自社の支払いを抑えようと、示談金額を相場よりも安く提案することがあります。
弁護士が介入することで、弁護士基準(裁判基準)による慰謝料の増額交渉が可能になり、受け取れる金額が大幅に増える可能性があります。
保険会社から示談の提案を受けた場合は、その場で受け入れず、まず弁護士に相談することをお勧めします。
10対0の過失割合であっても物損事故では慰謝料請求できない
過失割合が10対0であったとしても、物損事故(人身被害がなく物だけが損傷した事故)の場合には慰謝料の請求ができない点に注意が必要です。
慰謝料は精神的苦痛に対する賠償であり、身体への被害がある人身事故でのみ請求が認められます。
物損事故で認められるのは車両の修理費や代車費用などの財産的損害のみです。
また、慰謝料は入通院期間と連動します。
少し体が痛いけれど、病院に行くのが面倒くさがって行かなかった結果、慰謝料を受け取ることができなかった、ということもあり得ます。
交通事故被害に遭った後は、速やかに病院を受診しましょう。
交通事故の過失割合に納得がいかない場合の対処法

有利になりえる証拠を探す
提示された過失割合に納得がいかない場合、まず行うべきことは被害者にとって有利な証拠を収集・確認することです。
- ドライブレコーダーの映像
- 現場の防犯カメラ映像
- 目撃者の証言
- 警察・検察の捜査記録
など、事故状況を客観的に示す証拠があれば、被害者の主張する過失割合が正しいことを裏付けることができます。
これらの証拠は時間が経つにつれて消失・消去されるリスクがあるため、できる限り早期に確保することが重要です。
保険会社から過失割合の計算基準として使用された判例や修正要素について説明を求め、
自分の事故と照らし合わせながら適切であるかを判断することも大切です。
弁護士に依頼する
過失割合の交渉は、法律や判例に関する専門的な知識が必要になる場面が多くあります。
保険会社との交渉が難航している場合や、提示された過失割合に明らかな不当性があると思われる場合には、弁護士に依頼することが最も有効な対処法の一つです。
弁護士は専門知識を活かし、被害者側に有利な主張を展開できるため、裁判などの手続きでも心強い支えとなります。
弁護士が交渉に入るだけで保険会社の対応が変わり、過失割合が修正されるケースも少なくありません。
片側賠償を行う
「片側賠償」とは、双方の損害を相殺せずに、一方当事者が相手方に対して自らの過失に相当する賠償のみを行う方法です。
たとえば、過失割合が9対1で争われている場合に、1の過失を認めないことから交渉が膠着しているとき、
9対0での賠償を行うことをいいます。
この場合、被害者は発生した損害の90%の賠償金を受け取りつつ、相手に生じた損害の10%分の支払いを行う必要がなくなります。
これにより双方の希望がある程度満たされる形での解決につながることがあります。
ただし、10:0が適切な過失割合である場合には損となってしまうので、
本当に10:0での解決ができないかどうかを弁護士に相談した上で判断することが重要です。
ADR(裁判外紛争手続き)を利用する
ADR(裁判外紛争解決手続)とは、訴訟によらずに中立的な第三者機関を通じて紛争の解決を図る手続きです。
交通事故の分野では、公益財団法人日弁連交通事故相談センターや交通事故紛争処理センターが利用できます。
ADRは、裁判と比べて費用・時間・手続の面で負担が少なく、
専門知識を持った弁護士等の調停委員が間に入って交渉をまとめてくれるため、被害者にとって利便性の高い解決手段です。
ただし、相手方がADRの手続に応じない場合には利用できない点に注意が必要です。
調停を申し立てる
調停は、裁判所の調停委員会を通じて当事者間の合意形成を図る手続きです。
当事者双方が調停に出席し、調停委員の仲介のもとで話し合いを行い、合意が得られれば調停調書が作成されて確定判決と同様の効力を持ちます。
合意が得られなかった場合は、訴訟による解決を検討することになります。
交通事故の過失割合交渉を弁護士に依頼するメリット

交通事故の過失割合における交渉は、保険会社が提示する主張に対して適切に対応する必要がありますが、専門性の高い知識が求められます。
そのため、弁護士に依頼することが被害者にとって大きなメリットとなります。
① 適切な過失割合の主張
弁護士は別冊判例タイムズ39号の類型や修正要素に関する専門知識を持っており、被害者に有利な根拠を論理的に組み立てて交渉します。
被害者の方お一人お一人の事故発生状況に合わせ、正確な証拠を踏まえた的確な主張を行い、適切な過失割合を勝ち取るサポートを期待できます。
② 示談交渉の代行と精神的負担の軽減
保険会社との交渉というのは被害者側からすると非常に精神的負担が大きいです。
こちらの主張が認められないばかりか、こちら側に大きな非があるような物言いをされることもあるでしょう。
専門的な対応を依頼することで精神的な負担を軽減し、迅速かつ公平な解決を図ることが可能です。
特に、納得できない過失割合が提示された場合には、弁護士の介入が最適な選択と言えるでしょう。
③ 賠償金額全体の増額
弁護士が介入することで、過失割合の修正だけでなく、慰謝料の算定基準を弁護士基準(裁判基準)に引き上げることができ、賠償金額が大幅に増額されるケースがあります。
④ 10対0のもらい事故でも活躍
過失割合が10対0の場合、被害者の保険会社は示談代行ができません。
このような場合も弁護士が代理で示談交渉を行うことで、被害者の負担を軽減しつつ適切な賠償金の獲得を目指すことができます。
過失割合の関係で労災や健康保険等を利用するメリット

ここまで見てきたように、適切な過失割合を交渉で勝ち取ることに全力を尽くすことは重要です。
とはいえ、交通事故発生は一瞬のことであり、どうしても被害者側として過失が一定程度認められることを避けられないこともあります。このような場合に、
- 労災保険
- 健康保険/国民保険
- 人身傷害保険
などを利用することによって、実質的に被害者が自己過失分として負担せざるを得ない部分を減少させることができます。順にみてみましょう。
労災保険(労働者災害補償保険)
通勤労災と認められる場合には、被害者は加害者側保険会社や自賠責保険だけでなく、労災保険に対しても療養や休業、障害の給付の支給を申請することができます。
この労災保険から支給される
- 療養給付
- 休業給付
- 障害給付
については、
発生した損害に対する填補を目的としているため、被害者の加害者に対して有する損害賠償請求権(過失相殺後)の一部と相殺されます。
しかしこの時「費目間流用の禁止」の原則により被害者にメリットが発生します。
少しわかりにくいので例を見てみましょう。
今回の事故で被害者に発生した損害が、治療費50万円、休業損害100万円、慰謝料100万円の計250万円であるとします。
被害者の過失が40%あるとすると、被害者が加害者に請求することができる金額は250万円×(100%-40%)=150万円となります。
ここで、仮に労災保険から療養給付として30万円、休業給付として70万円を受け取っているとすると、
「費目間流用の禁止」の原則が無い場合には、150万円-(30万円+70万円)=50万円が最終的な受取金額になります。
しかし、実際には「費目間流用の禁止」の原則があります。これは読んで字のとおりで、費目の間で流用をしてはいけないという原則です。
より具体的に言うと、療養給付として支払われたものは治療に関するものとのみ損益相殺(差し引き)をして良く、それ以外の休業損害などと差し引きしてはいけないという原則です。
「費目間流用の禁止」の原則が働く場合、まず費目ごとに過失相殺がされます。
- 治療費50万円×(100%-40%)=30万円
- 休業損害100万円×(100%-40%)=60万円
- 慰謝料100万円×(100%-40%)=60万円
となり、被害者が加害者に対して請求できる金額は合計150万円です。
ここから労災保険からの支払分の損益相殺がされますが、費目間の流用は禁止ですから、療養給付は治療費と、休業給付は休業損害と、のみ損益相殺されます。
- 治療費30万円-療養給付30万円=0円
- 休業損害60万円-休業給付70万円=-10万円
この休業損害と休業給付の損益相殺後の-10万円は、「費目間流用の禁止」の原則がなければ慰謝料の60万円と差し引きし、50万円が受取金額となります。
しかし「費目間流用の禁止」の原則があるため、この-10万円はいわばなかったこととなり、慰謝料の60万円がそのまま受取金額となります(+10万円)。
このように、労災保険を利用することで過失がある場合(無い場合でも)、被害者は得をすることになります。(参考:最高裁判所第三小法廷昭和58年4月19日判決 民集第37巻3号321頁など)
さらに労災保険の休業給付には「特別支給金」が存在します。最高裁判所平成8年2月23日判決(判例時報1560号91頁)によれば、
この特別支給金は被災労働者の損害を填補する性質を有するものとは言えず、被災労働者が労災保険から受領した特別支給金をその損害額から控除することはできないと判示されています。
つまり、特別支給金は被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権の額と差し引きされません。
労災保険からの休業給付(事故前収入の60%)と休業特別支給金(事故前収入の20%)を合わせると、
休業給付として60%、相手から40%、特別支給金として20%の計120%を受け取ることができるようになるのです。
健康保険/国民保険
被害者に過失がある場合、健康保険を利用することでも被害者は得をすることになります。
交通事故で怪我をした場合でも、第三者行為による傷病届を提出することで、健康保険を利用した治療を受けることができます。
(一般社団法人日本損害保険協会ホームページ「交通事故の治療で健康保険は利用できる?手続き方法を解説」を参照)。
健康保険を利用しない場合
健康保険を利用しない場合には、基本的に1点当たり20円という単価で治療費の計算がされます。
治療期間トータルで1万点分の治療を受けたとすると、1万点×20円=20万円の治療費がかかります。
被害者の過失が40%とすると、相手に請求できる金額は20万円×(100%-40%)=12万円となり、ここから20万円を差し引くと、-8万円となります。
このマイナス分は他の慰謝料などの費目と相殺されることになります。
健康保険/国民保険を利用する場合
健康保険/国民保険を利用する場合は、1点あたり10円で計算されます。
1万点の治療を受けたとすると10万円の治療費がかかります。ただし、健康保険を利用した場合に本人が窓口で負担する金額はこの3割ですから、10万円×0.3=3万円となります。
被害者の過失が40%とすると、相手に請求できる金額は3万円×(100%-40%)=1万8,000円となり、
ここから3万円を差し引くと、-1万2,000円となります。このマイナス分は他の慰謝料などの費目と相殺されることになります。
このように、単純に他の費目と相殺される金額が少なくなる=他の費目で受け取れる金額が増えることになります。
これは、窓口負担で3割分支払う際に、健康保険協会が肩代わりする7割分に実質的に被害者の過失分も含まれるためです。
ただし、健康保険/国民保険を利用した場合は、病院によっては自賠責様式の診断書や診療報酬明細書、後遺障害診断書などを作成してくれない場合があるため、事前に医師に確認しておくことが必要です。
人身傷害保険
人身傷害保険とは、被害者が交通事故などで怪我を負った場合に、自身の怪我に対して一定程度の補償を得られるように予め加入している保険をいいます。
この人身傷害保険は、「被害者の過失割合にかかわらず一定のお金が支払われる」という性質があります。
この性質と、最高裁判所第一小法廷平成24年2月20日判決(判例時報2145号103頁)で判示された内容を踏まえると、
被害者に過失がある場合であっても、民事裁判を提起して裁判上の和解または判決を得た後に人身傷害保険を請求することで、被害者の過失分を含めて発生した損害満額を受け取ることができるようになります。
交通事故の過失割合に関するよくある質問

交通事故で休業補償は過失割合により減額されますか?
はい、休業損害も過失割合に応じて減額(過失相殺)されます。
休業損害とは、交通事故によってケガを負い仕事を休まざるを得なかったことで生じた収入の減少を補うための賠償です。
給与所得者の場合、事故前の収入をもとに休業日数分の損害が算定されますが、被害者に過失がある場合にはその割合分が差し引かれます。
たとえば、認定された休業損害が100万円で被害者の過失が20%の場合、実際に請求できる金額は80万円となります。
交通事故の過失割合が50対50になるのはどういう場合ですか?
過失割合が50対50(5:5)になるのは、双方に同程度の過失があると認められる事故態様の場合です。
代表的な例として、駐車場内での事故が挙げられます。
駐車場は一般公道と異なり、右折・左折の優先関係や信号機などが明確でないため、双方が同程度の注意義務を負っているとみなされることが多く、過失割合が5対5になるケースがあります。
なお、別冊判例タイムズ39号では、駐車場通路を進行する車と駐車区画から出てきた車の基本過失割合は30:70(通路進行車:駐車区画発進車)とされており、
事故状況によって5対5が主張されることもありますが、証拠によって修正できる可能性があります。
5対5の場合も弁護士に相談することで、修正要素を活用して被害者側の過失を減らせる可能性があります。
交通事故の過失割合が10対0になるのはどんな条件の場合ですか?
過失割合が10対0(いわゆる「もらい事故」)になるのは、被害者に一切の過失がないと認められる場合です。主な例としては以下が挙げられます。
- 追突事故:信号待ちや渋滞中に停車していたところに後方から追突された場合
- センターラインオーバー:対向車がセンターラインを越えて走行し、こちらに衝突してきた場合
- 赤信号無視:相手が赤信号を無視して交差点に進入し、青信号で通行していたこちらに衝突してきた場合
- 歩道への突入:歩道を歩いていたところ、自動車が突っ込んできた場合
- 路側帯歩行中の衝突:路側帯を歩いていた歩行者に自動車が衝突した場合
ただし、同じような事故態様であっても、修正要素や個別の状況によって10対0にならないケースもあります。
また、10対0と認められた場合でも、自身の保険会社による示談代行が使えないことや、加害者側保険会社から低額な示談金が提示されるリスクがあることに注意が必要です。
提示された示談内容に不安を感じる場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
被害者の方お一人お一人の事故発生状況に合わせ、正確な証拠を踏まえた的確な主張を行い、適切な過失割合を勝ち取るサポートをさせていただきます。
交通事故被害に遭い、過失割合についてお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士との初回無料の法律相談の流れについてはこちらから。
弁護士法人小杉法律事務所における過失割合を有利に修正した事例の一部はこちら。
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