過失割合 示談 バイクvs四輪車 膝・脛 治療費関係 アルバイト 主婦 骨折 12級
【脛骨高原骨折】後遺障害等級12級13号の被害者について、労災を利用しながら、保険会社との示談交渉で解決した事例
Kさん 40代・女性・主婦
【脛骨高原骨折】後遺障害等級12級13号の被害者について、労災を利用しながら、保険会社との示談交渉で解決した事例
解決のポイント
① 労災を利用することによって過失割合の不利益を軽減
② 脛骨高原骨折で後遺障害等級12級13号獲得
③ 損害賠償金約1000万円獲得
法律相談前
Kさんは40代の主婦です。
アルバイトにバイクで向かう途中に、一時停止規制のある道路から出てきた四輪車にはねられてしまい、左膝脛骨高原骨折などの傷害を負ってしまいます。
Kさんから見たら、いきなり四輪車が交差点に進入してきたように見えましたが、四輪車の運転手は一時停止をした後に交差点に進入したことを主張していて、警察作成の実況見分調書にもその旨記載されていました。
Kさんは、交通事故に遭うのが初めてで、どうしたら良いのか分からず、弁護士に依頼をすることにしました。
労災利用のすすめ
この交通事故は、加害者側が一時停止をしていたと主張していて、刑事記録上もその旨の記載が残っていましたので、Kさんにもある程度の過失割合が認定されてしまうおそれのあるケースといえました。
過失割合の基準について定めた、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(全訂5版)によると、一時停止規制のある四輪車が一時停止をした後に交差点内に進入し、そこでバイクと衝突したという交通事故の過失割合について、バイク35:四輪車65の過失割合を定めています(【169】図)。
脛骨高原骨折の場合、治療費が高額となることが多く、交通事故損害賠償の場合によく用いられる自由診療で治療をしてしまうと、治療費が1000万円程度まで膨れ上がってしまう可能性があります。
仮に、加害者側の保険会社が自由診療の治療費1000万円を病院に支払った場合、過失割合が35:65とすると、1000万円の治療費のうちの350万円は被害者が払わなければいけないことになってしまい、結果として慰謝料額など他の損害費目が減らされて、損害賠償金を少ししかもえなくなってしまうという事態があり得ます。
そこで、Kさんには、労災の療養補償給付を利用して治療をしてもらうことにしました。
Kさんは、アルバイト勤務ですが、アルバイトの方であっても労災は使えます。
この療養補償給付を利用することによって、自由診療の治療費よりも金額を圧縮することができ、更に、被害者が本来負担するべき過失分について、慰謝料や休業損害などの他の種類の損害費目から引き算をして帳尻合わせをすることが禁止されるという効果が発動されます(費目間拘束)。
これにより、慰謝料額などを減らされずに、解決をすることが可能となるのです。
また、この原理は、休業損害でも当てはまりますので、Kさんには、労災の療養補償給付のほかに、休業補償給付も受けてもらいました。
自賠責保険による後遺障害等級12級13号の獲得
Kさんに、労災の療養補償給付を利用して治療を続けてもらいましたが、膝の痛みが完治することはありませんでした。
そこで、Kさんの骨折の回復具合を画像で確認したところ、骨癒合が良好とはいえないことが分かりました。
骨折による痛みの後遺障害等級というのは、後遺障害等級12級13号と後遺障害等級14級9号の2つがありますが、この両者の違いは、骨癒合の状態で判断されることがあります。
そこで、Kさんの骨癒合が良好とはいえないことを後遺障害診断書に盛り込んでもらい、自賠責保険に対して後遺障害等級の申請(被害者請求)を行うことにしました。
そうしたところ、見立てどおりに、後遺障害等級12級13号を獲得することができました。
損害賠償金約1000万円を示談により獲得
獲得した後遺障害等級12級13号をもとに示談交渉を行いました。
労災利用の甲斐もあり、過失相殺による減額幅を最小限に抑えることができたので、損害賠償金約1000万円での示談解決となりました。
弁護士小杉晴洋のコメント:過失割合のあるケースでは積極的に労災を使いましょう
交通事故であるからと言って、なんでもかんでも加害者側の保険会社に支払わせようとすると、被害者が損をしてしまうことがあります。
過失割合のあるケースでは、労災保険や人身傷害保険を積極的に使うことによって、被害者の方が受け取れる損害賠償金を増やすことができます。
当事務所は、労災保険や人身傷害保険などの保険利用にも精通しておりますので、被害者の方が損することなく事案を解決することができます。