骨折 下肢
【脛骨高原骨折(プラトー骨折)とは?】骨折専門医による詳細解説|後遺症専門の弁護士法人小杉法律事務所

診断書の「脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)」は、すねの骨(脛骨)の上端で、膝の体重を受ける平らな関節面が割れたり沈んだりした骨折です。
多くは膝の横を強く打って起こり、関節面の段差や沈み込みが大きければ、元の高さに戻してプレートで留める手術を受けます。
骨はついても関節面の段差やこわばりが残ることがあるため、その見分け方と、残しておく記録まで順に見ていきましょう。
このページは、整形外科専門医・医学博士の江川誠一郎先生による
- 脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)とは?
- 脛骨高原骨折はどのような事故で起こり直後に何が起きるのか?
- 手術はどう決まりいつから歩けるのか?
- どんな後遺症が残るのか?
等についての解説を踏まえながら、
交通事故で脛骨高原骨折を負った場合には、
- 今からどのような証拠を残しておくべきか?
- 脛骨高原骨折の後遺障害等級と賠償金の目安は?
等について、交通事故後遺症被害専門弁護士が解説します。
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- 脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)の治療のポイント(この記事で分かること)
- 脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)とは?-膝の骨折の中で、体重を受ける面が折れる骨折
- どんな事故で起こり、直後に何が起きる?-バンパーの高さと、膝の横からの力
- 手術はどう決まり、いつから歩ける?-関節面を戻して、動かしながら骨をつける
- 手術では何をする?-持ち上げて、詰めて、プレートで留める
- どんな後遺症が残り、今から何を残す?-段差・こわばり・ぐらつきの3つを数字に
- 意見書を書いてきた医師から、5つのこと
- 監修医コラム|数字で見る、脛骨高原骨折の後の膝
- 後遺障害等級に備えるそろえておきたい検査と記録
- 脛骨骨折で認定されうる後遺障害等級
- 脛骨骨折後に後遺障害等級が認定された場合の賠償金の目安
- 脛骨高原骨折についてのよくある質問
- 脛骨骨折でよくある質問
- 交通事故による脛骨の骨折は弁護士に相談しましょう
- 脛骨の骨折に関する弁護士法人小杉法律事務所の解決実績
脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)の治療のポイント(この記事で分かること)
- 膝は早くから動かし、体重は骨がつくまで控える: 許可があれば手術の翌日から膝の曲げ伸ばしを始める。体重をかけ始めるのは術後5〜6週前後、全体重は8〜12週が目安で、時期と量は主治医の指示に従う
- 手術かどうかは「関節面の段差」で決まる: 段差がおおむね2〜3mm以上などを目安に、ぐらつきや全身の状態も含めて手術を検討する。型はSchatzker分類で、外側か内側・両側か、沈み込み、骨幹部まで及ぶかの3点で読む
- 後遺症で問題になりやすいこと: 関節面の段差と膝のこわばり。階段の下り・しゃがみ込み・正座がつらくなり、年月をかけて外傷後の関節症に進むこともある。ほかに靱帯の損傷によるぐらつきと、膝の下のしびれ
- 急ぐ症状と写らない骨折: すねの張りと激痛、足先の冷え、足首が上がらないときはすぐ医師へ。X線で「異常なし」でも痛みが続けばMRIを相談
- 残しておく記録: 関節面を確かめる画像(必要に応じてCT)、左右同じ日に測った膝の角度、痛む場所としびれの範囲、膝のぐらつきの診察
脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)とは?-膝の骨折の中で、体重を受ける面が折れる骨折
脛骨高原骨折は膝の骨折の一つで、すねの骨の上端にある関節面が割れたり沈んだりする骨折です。
膝に強い力が加わり、太ももの骨の下端が脛骨の関節面にぶつかって起こります。体重を受ける関節の中の骨折で、頻度の高い骨折の一つです。
脛骨高原はどこ?膝関節の構造
膝関節は、太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)、膝のお皿(膝蓋骨)でできる、体で最も大きな関節です。
大腿骨の下端の丸い部分(大腿骨顆部・かぶ)が、脛骨の上端の平らな面に乗っています。
この平らな面が脛骨高原(けいこつこうげん)で、英語の plateau(台地)から「プラトー」とも呼ばれます。
受傷時の膝のX線(正面)の一例。大腿骨の丸い部分が乗る脛骨の平らな面(高原)が、矢印の部分で割れて沈み込んでいる
脛骨高原は、外側の面(外側高原)と内側の面(内側高原)に分かれます。
その上に、クッションの役目をする半月板(はんげつばん)が外側と内側にあります。
外側と内側の関節面の間からその後方にかけては、前十字靱帯と後十字靱帯(じゅうじじんたい)がそれぞれ付き、膝の前後のぐらつきを抑えています。
両脇には、横のぐらつきを止める側副靱帯(そくふくじんたい)が走っています。
外側高原のすぐ下には、すねの細いほうの骨(腓骨)の頭があります。
その首の部分を、足首やつま先を持ち上げる筋肉へ向かう腓骨神経が回り込んでいます。
脛骨高原骨折で靱帯・半月板の損傷や腓骨神経麻痺が一緒に起こりうるのは、骨と靱帯と神経がこのように近くに集まっているためです。
腓骨神経については、内側の骨折や膝の脱臼を伴う重い型、腓骨の頭の骨折で特に注意が要ります。
なぜ関節面の骨折が問題になるのか
関節面の表面は軟骨でおおわれ、体重をなめらかに受け止めています。
骨折で面に段差や沈み込みが残ると、歩くたびに一部分へ力が集中します。軟骨は自分で元に戻る力が弱いため、痛みや軟骨のすり減りにつながります。
よくあるすれ違い
「すねの骨折」とひとまとめに説明され、すねの中央の骨折と同じ経過だと受け止める方がいます。
脛骨高原骨折は関節の中の骨折なので、骨がつくことに加えて、関節面がどう治ったかが焦点になります。
明日からできること
診断書に「高原」「プラトー」「近位端」のどれが書かれているかを確かめてください。
そのうえで「骨折は関節面にかかっていますか」と主治医に聞いておくと、この先の説明が分かりやすくなります。
診断書で場所と型を確かめる―Schatzker分類の読み方
診断書に出てくる名前を、何が折れているかで整理しました。この記事で扱うのは太字の2行で、ほかの行は別記事で解説しています。
| 骨折の型 | 手術 | 残りやすい後遺症 |
|---|---|---|
| 脛骨高原骨折(外側) | 段差が大きければ手術 | 段差・体重をかけた痛み |
| 脛骨高原骨折(内側・両側) | ほとんどが手術 | こわばり・ぐらつき・関節症 |
| 大腿骨顆部・顆上骨折(別記事) | 多くは手術 | 膝の動きの制限 |
| 膝蓋骨骨折(別記事) | ずれが大きければ手術 | 膝を伸ばす力の低下 |
| 脛骨骨幹部骨折(別記事) | 髄内釘 | 脚の長さの差・ねじれ |
Schatzker(シャッカー)分類
脛骨高原骨折の型は、Schatzker分類のtypeⅠ〜Ⅵで書かれることが多く、骨折の場所と形を表します。
数字が大きいほど重い型とされますが、回復の見通しは番号だけでなく、ずれの大きさ、皮膚や筋肉の傷み、靱帯や血管の損傷も合わせて判断します。
Ⅳ〜Ⅵは、交通事故などの強い力(高エネルギー外傷)で起こるとされています。
- Ⅰ: 外側の関節面が縦に割れる
- Ⅱ: 外側が割れて、さらに沈み込む
- Ⅲ: 外側が沈み込むだけ
- Ⅳ: 内側の関節面の骨折
- Ⅴ: 外側と内側の両方の骨折
- Ⅵ: 骨幹端(関節のすぐ下の部分)と骨幹部のつながりが断たれる
型の番号を覚える必要はありません。治療と経過の見通しは、次の3点が分かればつかみやすくなります。
- 外側だけか、内側・両側か
- 沈み込みがあるか
- 骨折がすねの中央の長い部分(骨幹部)まで及んでいるか
AO分類と「脛骨近位端骨折」
AO分類では、
- 関節面の一部が折れたものを41-B
- 関節面全体が骨幹部と離れたものを41-C
と書きます。41-Aは関節面にかからない骨折で、脛骨近位端骨折ではあっても脛骨高原骨折には入りません。
よくあるすれ違い
同じ骨折が、病院や書類によって「脛骨近位端骨折」「脛骨プラトー骨折」と書かれる場合があります。
名前が変わっても、関節面にかかっていれば同じ骨折を指しています。
明日からできること
診断書の分類名を書き写し、上の3点を主治医に確かめてください。
膝の骨折・脛骨骨折の仲間との違い
膝のまわりには、太ももの骨の下端、膝のお皿、すねの骨の上端の骨折があります。
脛骨高原骨折は、体重を受ける関節面そのものが折れる点で、すねの中央の骨折とは経過の見方が違います。
膝の骨折全般は膝の骨折の記事、すねの中央の骨折は脛骨骨折の記事で解説しています。
どんな事故で起こり、直後に何が起きる?-バンパーの高さと、膝の横からの力

どんな事故で脛骨高原を骨折する?
交通事故では、歩行者や自転車・バイクの人が、車のバンパーに膝の横を打たれる場面が典型です。
車内で膝を前に強く打つ、高い所から足で着地する、といった力でも起こります。高齢の方では、立った高さからの転倒で外側が沈むこともあります。
| 事故の場面 | 膝にかかる力 | なりやすい型・けが |
|---|---|---|
| 歩行者で膝の横にバンパー | 膝が内側へ入る力(外反) | 外側の割れ・沈み込み |
| バイク・自転車で転倒 | 膝が内または外へ折れる力 | 外側、ときに内側 |
| 車内で膝を前に打ちつける | 前からの力・ひねり | 後十字靱帯など、高原の後ろ側 |
| 高い所からの転落・着地 | 脚の軸に沿った力 | 両側・骨幹部まで及ぶ型 |
なぜ外側が多いのか
膝の外側から力を受けると、膝は内側へ「く」の字に折れます(外反・がいはん)。
すると大腿骨の外側の丸い部分が、ハンマーのように外側高原へ打ちつけられます。外側高原が割れたり沈んだりする型が多いのは、このためです。
反対に、高い所から足で着地したときのように、脚の軸に沿って下から突き上げる力では、内側と外側の両方が同時に押しつぶされます。
骨折が骨幹部まで及ぶ重い型になりやすいのは、この場面です。
車内で膝を前に打ちつけた場合は、膝の前から強い力が加わり、膝をひねる力が加わることもあります。
後十字靱帯の損傷や膝のお皿の骨折、股関節の脱臼や骨折が起こりやすく、脛骨高原骨折では関節面の後ろ側が折れることがあります。
年齢による違い
若い方の骨は硬いため、関節面が縦に割れる形になりやすい傾向があります。
骨が弱くなった高齢の方では、割れるより先に関節面が沈み込みやすくなります。
よくあるすれ違い
事故の直後は全身の痛みにまぎれ、「膝を打っただけ」と受け止めがちです。
膝の腫れが強くなってから受診すると、どこにどんな力を受けたかの記録が残りにくくなります。
明日からできること
どちら向きから何がぶつかり、膝のどこを打ったかを、覚えているうちにメモしておきます。
乗っていた車両や、ぶつかった相手の車の高さが分かれば、それも書き添えます。
受傷直後の症状-立てない・腫れる・横にぐらつく
典型的な症状は、次の3つです。
- 痛みで立てない・膝を動かせない
- 膝が大きく腫れ、皮下出血が出る
- 膝が内や外へ曲がって見え、伸ばすと横にぐらつく
なぜ大きく腫れるのか
脛骨高原骨折は関節の中の骨折なので、折れた骨からの出血が関節の中にたまります。膝の皮下出血は、数日かけてすねや足首のほうへ下りてきます。
なぜ横にぐらつくのか
関節面が沈むと、その分だけ膝を支える面が低くなり、膝が横へ傾きます。
骨折と同じ力で、膝の内側の側副靱帯や十字靱帯、半月板が傷つくことも多く、これもぐらつきの原因になります。
よくあるすれ違い
受傷直後は腫れと痛みが強く、靱帯の診察を十分にできません。
骨の治療が進んでから、膝くずれや引っかかりで靱帯や半月板の損傷が分かる場合もあります。
明日からできること
膝がぐらつく、ガクッと抜ける、何かが引っかかる、といった感覚があれば、場面ごとに主治医へ伝えてください。
そのうえで、靱帯や半月板の損傷が疑われるか、MRIなどの追加の検査が必要かを主治医に相談しましょう。
X線で写らない?不顕性骨折とMRI
脛骨の上端は、受傷直後のX線に骨折線が写らない不顕性骨折(ふけんせいこっせつ)が起こる部位です。
「異常なし」と言われても痛みや腫れが続くときは、骨折が否定されるまで無理に体重をかけず、早めに再受診して追加の検査を相談してください。
なぜ写らないのか
ずれのない骨折は骨折線が細く、骨の重なりに隠れてX線では見えにくくなります。
MRIは骨の中の出血やむくみをとらえるため、X線に写らない骨折も早い時期に見つけられます。
CTとの使い分け
CTも骨折の確認に使われ、特に関節面の段差や骨片の位置を詳しく調べるのに向いています。
断面の画像や立体の画像(3D-CT)で、沈み込みの深さを確かめます。追加の検査は、診察の所見に応じて選びます。
よくあるすれ違い
「打撲でしょう」「捻挫でしょう」と言われ、数日たって痛みが引かずに撮り直し、骨折が分かる例もあります。
受傷日と骨折が分かった日がずれると、事故との関係を後から説明する材料が必要になります。
明日からできること
痛む場所、体重をかけられるか、腫れの程度を、日付を入れて書き留めます。
受診のときは、それを見せながら「MRIで確かめてもらえますか」と相談してください。
受傷直後に急ぐもの―コンパートメント症候群・血管損傷・腓骨神経麻痺
重い型では、骨折そのもの以外に、急いで対処すべき合併症があります。
- すねがパンパンに張って痛みが増す
- 足先が冷たく色が悪い
- 足首やつま先が上がらない
といった変化に注意します。
入院中ならただちに医療スタッフへ知らせ、自宅にいるならただちに救急を受診してください。
コンパートメント症候群
すねの筋肉は、膜で区切られたいくつかの部屋に分かれています。
骨折で腫れが強くなると部屋の中の圧が上がり、筋肉や神経への血流が途絶えます。
痛み止めが効かないほどの激しい痛みや、足の指を動かされたときに痛みが強くなることが手がかりです。
疑われれば、膜を切り開いて圧を下げる緊急の手術を行います。
血管の損傷
膝の裏には、脚の先へ血液を送る膝窩(しっか)動脈が通っています。
この血管が傷つくと、足先が冷たく、脈が弱くなります。
内側の骨折や膝の脱臼を伴う骨折では、特に血管の状態を確かめます。
疑われるときは造影CT(血管を写す薬を使うCT)で血管を確かめます。
腓骨神経麻痺
腓骨の頭のすぐ下を回る腓骨神経が傷つくと、足首やつま先が上がらなくなり、足の甲がしびれます。
内側の骨折や膝の脱臼を伴う重い型、腓骨の頭の骨折では特に注意が要ります。
よくあるすれ違い
骨折の痛みの陰で、しびれや足首の動きが記録されないまま過ぎてしまう例があります。
後から気づいて伝えると、事故との関係を説明しにくくなります。
今すること
入院中から、足首とつま先を上げられるか、足の甲の感覚に変わりがないかを自分でも確かめ、気づいたことは日付を入れて伝えてください。
X線・CT・MRIで何を調べる?
X線は、膝の正面と横から撮影し、骨折の有無と全体のずれを確かめます。
CTは関節面の段差と沈み込みの深さを、
MRIは靱帯・半月板の損傷とX線に写らない骨折を確かめます。
血管の損傷が疑われるときは、造影CTを撮ります。
医師が画像で見ているところ
次の6つです。
- ①折れたのは外側か、内側・両側か
- ②関節面の段差やすき間の大きさ
- ③沈み込みの深さ
- ④骨折がすねの中央の長い部分(骨幹部)まで及んでいるか
- ⑤靱帯・半月板の損傷
- ⑥腓骨の頭の骨折
②と③は、手術をするかどうかと、どのように関節面を持ち上げるかの判断に関わります。④は、使うプレートの長さや、二段階の手術にするかに関わります。
よくあるすれ違い
救急病院で撮ったCTが、手術を受けた病院やリハビリ先に引き継がれていない例もあります。
後から関節面の残り方を比べるとき、受傷時のCTは基準になる大切な資料です。
明日からできること
受診先ごとに画像の写し(CD-Rなど)をもらい、受傷時のものから順に保管しましょう。
特に受傷時と手術後の画像(CTがあればCT)は、症状固定のころに見比べることになります。
手術はどう決まり、いつから歩ける?-関節面を戻して、動かしながら骨をつける

保存か手術かー段差・沈み込み・ぐらつきで決まる
ずれと沈み込みが小さく、膝が横にぐらつかなければ、手術をせずに装具で治すことがあります。
関節面の段差や沈み込みが大きい、膝がぐらつく、開放骨折である、といった場合は手術が勧められます。
手術をしない場合(保存療法)
膝の装具(ニーブレース)で固定し、骨がつくまで体重をかけない期間を置きます。
その間も定期的にX線を撮り、関節面の沈み込みが進んでいないかを確かめます。
手術の目安
関節面の段差(ステップオフ)がおおむね2〜3mm以上あるときを、手術の目安にしています。
膝のぐらつきや脚の並びのずれ、開放骨折かどうかも合わせて判断します。
実際には、年齢、骨の質、事故の前の活動性も含めて主治医が決めます。
なぜ段差にこだわるのか
関節面の軟骨は、自分で元の形に戻る力が弱い組織です。段差が残ったまま骨がつくと、その段差は後から縮まりません。
手術は、骨をつけるだけでなく、関節面の形を戻すために行います。
よくあるすれ違い
「手術しなくて済んだから軽い骨折」と受け止められ、保存療法の間の画像の記録が少なくなりがちです。
明日からできること
保存療法なら、装具の期間、体重をかけ始める時期、次のX線の予定を主治医に確かめておきましょう。
手術では何をする?-持ち上げて、詰めて、プレートで留める
手術では、骨折の型に合わせて骨片を元の位置に戻して固定します。関節面が沈んでいれば下から持ち上げ、必要に応じて人工骨や自分の骨で支えます。
固定にはプレート(金属板)やスクリューを使い、関節鏡(膝の中を映す細いカメラ)で関節面を確かめることもあります。
外側の脛骨高原骨折をプレートとスクリューで固定した後のX線の一例
腫れが引くまで待つ理由
膝の前やすねは皮膚のすぐ下が骨で、腫れたまま切ると傷が治りにくく、感染の危険が高まります。
そのため、腫れが落ち着くまで、受傷から数日ほど待って手術するのが一般的です。
ただし、開放骨折の初期の処置や、血流の障害・コンパートメント症候群への緊急の処置は、腫れが引くのを待たずに行います。
二段階の治療
両側の骨折や骨幹部まで及ぶ重い型では、まず創外固定(そうがいこてい)の手術で、体の外の金属の枠を使って脚の長さと並びを保ちます。
腫れが引いてから、改めてプレートで固定する二段階の治療をとる場合もあります。
半月板と靱帯
手術の際に半月板の損傷が見つかれば、状態に応じて縫合などの処置を検討します。
靱帯の損傷は、骨の治療と並行して、時期を見て評価します。
高齢の方の場合
元から膝の軟骨がすり減っている高齢の方などでは、最初から人工膝関節にする選択肢も報告されています。
よくあるすれ違い
「人工骨」と「人工関節」は別のものです。
人工骨は、沈み込んだ骨のすき間を埋める材料で、関節を置き換えるものではありません。
明日からできること
手術記録の写しをもらい、関節面をどう戻したか、人工骨を使ったか、関節鏡を使ったか、半月板の処置をしたかを確かめておきましょう。
いつから歩ける?-体重をかける時期と、退院・復職の目安
部分荷重(体重の一部をかけること)は術後5〜6週前後、全荷重(全体重をかけること)は8〜12週が目安です。
| 時期 | 体の状態 | できること |
|---|---|---|
| 手術の翌日 | 傷の痛みと腫れが強い | 許可があれば膝の曲げ伸ばしの練習 |
| 1〜2週 | 腫れが引き始める | 松葉杖で安全に歩ければ退院 |
| 5〜6週前後 | 骨がつき始める | 体重を少しずつかけ始める |
| 8〜12週 | 骨がしっかりしてくる | 全体重をかけて歩き、松葉杖を外す |
| 3〜4か月〜 | 筋力が戻る途中 | 立ち仕事・階段の多い仕事の復帰を検討 |
| 6か月〜1年 | 回復が横ばいに近づく | 症状固定を検討 |
表の時期は骨折の型・年齢・手術の有無で前後し、体重をかける時期と量、復職の時期は主治医の指示が優先です。
早くから膝を動かす理由
固定の状態や合併損傷が許せば、術後早期から膝を動かします。
関節の中の骨折は、動かさずにいると膝のまわりの組織がすぐに硬くなります。
そのため、骨がつく前から、体重をかけずに膝だけを曲げ伸ばしします。
機械が膝をゆっくり曲げ伸ばしする装置(CPM)を使うこともあります。
体重をかけない理由
持ち上げた関節面は、骨がつく前に体重をかけると、また沈み込むことがあります(整復の損失)。
体重のかけ方は、骨のつき具合をX線で見ながら段階的に増やします。
松葉杖は、全体重をかけられるようになるまで(8〜12週ごろまで)使います。
仕事への復帰
復職は、仕事の内容と、歩行・筋力・膝の安定性を確かめて決めます。
デスクワークなら術後1〜2か月で戻る方がいます。
立ち仕事や階段・脚立の多い仕事は、3〜4か月以降に、膝の状態を見ながら少しずつ戻ります。
プレートを抜くか
抜くことは前提ではありません。
若い方では、骨がついてから1年〜1年半ほどで抜くことがあります。
高齢の方では、抜かずにそのまま残すことも少なくありません。
よくあるすれ違い
体重をかけてよい範囲があいまいなまま退院すると、怖くて動けなくなったり、逆にかけすぎたりします。
明日からできること
体重をかけてよい量と時期を主治医に確かめます。
時期ごとに、膝の曲がる角度、歩ける距離、松葉杖の有無を書き留めておくと、回復の経過が分かりやすくなります。
手術の前後で注意したい合併症
手術の前後には、次のような合併症に注意が必要です。
- 膝のこわばり(拘縮・こうしゅく)
- 持ち上げた関節面の沈み込み
- 傷の感染
- 深部静脈血栓症
膝のこわばり
術後の膝のこわばりは、報告により3〜18%に起こるとされています。
3か月の時点で膝の動きが小さくなりやすいのは、開放骨折、膝をまたぐ創外固定、多発外傷(ほかの部位にも大きなけががある状態)などの場合と報告されています。
リハビリで改善しないときは、硬くなった組織をはがす処置を検討します。
関節面の沈み込み
骨がつくまでの間に、持ち上げた関節面がまた下がることがあります。定期的なX線で確かめ、体重をかける時期を調整します。
傷の感染
開放骨折や、腫れが強いうちの手術では、傷の感染に注意が要ります。
傷の赤み、熱、膿が出るといった変化は、次の予約を待たずに伝えてください。
深部静脈血栓症(脚の深い静脈に血の塊ができる状態)
ふくらはぎが急に腫れる、張って痛むといった変化があれば、その日のうちに受診先へ連絡してください。
急な息苦しさや胸の痛みは、血の塊が肺へ流れた(肺塞栓症)おそれがあるため、ただちに救急を受診してください。
強い息苦しさや意識がおかしいときは救急車を呼び、自分で運転しないでください。
よくあるすれ違い
「手術の後はこんなもの」と受け止め、新しい症状を伝えないままになりがちです。いつもと違う変化は、次の予約を待たずに伝えましょう。
どんな後遺症が残り、今から何を残す?-段差・こわばり・ぐらつきの3つを数字に

脛骨高原骨折の後遺症は、「骨がついたか」だけでは分かりません。
- 関節面がどう残ったか
- 膝がどこまで動くか
- 膝がぐらつかないか
の3つで見ていきます。
関節面の段差とは?-骨はついても、階段の下りやしゃがみ込みで膝が痛む
骨がついても、関節面に段差や沈み込みが残ると、体重をかけたときの痛みが続くことがあります。
年月をかけて軟骨がすり減り、外傷後の変形性膝関節症につながる場合もあります。
なぜ段差が痛みにつながるのか
関節面に段差(ステップオフ)が残ると、大腿骨の丸い部分が平らな面に均等に乗らず、一部分に力が集中します。
そこの軟骨が先にすり減り、階段の下りやしゃがみ込みのように膝に体重がかかる場面で痛みが出ます。
生活で何が起こるか
長く立つ、重い物を持って歩くといった場面でも、膝に体重が集まり痛みが出やすくなります。
こわばりが重なると正座ができなくなり、朝の動き始めに膝が硬く感じる方もいます。
残った段差と関節症の報告
外側の脛骨高原骨折の手術例では、追跡時に関節面の沈み込みが大きく残っていた人ほど、進んだ関節症が多かったという報告があります。
個人の将来の経過を予測するものではありません(くわしい数字は監修医コラム)。
関節症が進むかどうかは、段差のほかに、半月板や軟骨の傷み、膝のぐらつき、年齢や体重なども関わります。
同じくらいの段差が残っていても、痛みの出方には個人差があります。
よくあるすれ違い
「骨癒合良好」「変形癒合なし」の一文で診察が終わり、関節面がどう残ったかが記録に残らない例があります。
明日からできること
症状固定の前に、これまでの画像で関節面の段差と沈み込みが確かめられているかを主治医と見直してください。
足りなければ、追加のCTが必要か相談します。比べられるCTがあれば、同じ条件で撮ると比べやすくなります。
膝がこわばる・曲がりきらない・伸びきらない
関節の中の骨折と手術の後は、膝のまわりの組織が硬くなり、曲げ伸ばしの範囲が狭くなることがあります。
多くはリハビリで時間をかけて広がりますが、制限が残ることもあります。
時間とともに広がる
文献では、手術を受けた266例を追った研究が報告されています。
膝を伸ばした位置から曲げた位置までの動く範囲(可動域)は、術後3か月で平均113度、平均17か月で125度でした。
最大の曲がり角度だけの値ではありません。平均では、3か月の後も動きが広がっていました。
正座と角度の関係
正座やしゃがみ込みには、膝を深く曲げる必要があります。
そのため、角度の数字では制限が小さく見えても、正座ができないことは起こりえます。
測り方で数字が変わる
膝の角度は、自分の力で曲げたとき(自動)と、医師が動かしたとき(他動)で違います。
寝る姿勢や股関節の角度でも変わるため、左右を同じ条件で測ることが大切です。
よくあるすれ違い
治療中はよく曲がっていたのに、症状固定のころに制限が残る例もあります。
途中の角度の記録がないと、経過を説明しにくくなります。
明日からできること
リハビリや診察で測った膝の角度を、日付と一緒に控えておきましょう。
膝がぐらつく―靱帯損傷と動揺関節
骨折と同時に靱帯が傷ついたり、関節面が沈んだまま治ったりすると、膝が横や前後にぐらつくことがあります。
このぐらつきが残った状態を、動揺関節(どうようかんせつ)と呼びます。
なぜぐらつくのか
膝の安定は、骨の形と靱帯の両方で保たれています。
関節面が沈んだまま治ると、その側の支えが低くなり、膝が横へ傾きます。
骨折と同じ力で側副靱帯や十字靱帯が傷ついた場合も、同じようにぐらつきが残ります。
どう確かめるか
靱帯の損傷が疑われるときは、MRIなどの追加の検査が必要か主治医と相談します。
ぐらつきの程度は、診察で膝に横や前後から力をかけ、左右の差を比べて記録します。
必要に応じて、力をかけた状態でX線を撮る方法(ストレス撮影)で示します。
よくあるすれ違い
骨のつき具合に目が向き、靱帯の評価が後回しになりがちです。
膝くずれや不安定な感じがあっても、診察で伝えなければカルテには残りません。
明日からできること
階段の下りで膝が抜ける、方向転換でぐらつくなど、困る場面をメモしてください。
そのうえで、MRIとぐらつきの診察を主治医に相談しましょう。装具を使っている場合は、使う場面も書き留めておきます。
しびれと、足首が上がらない神経の症状
膝の下の内側から前にかけてのしびれは、伏在神経の枝(膝蓋下枝・しつがいかし)が手術の切開や傷で傷ついて起こることがあります。
傷あとのまわりのしびれは、皮膚の細い神経によることがあります。
足首やつま先が上がらないときは、腓骨神経麻痺が疑われます。
伏在神経の枝のしびれ
伏在神経は、太ももの内側から膝の内側を通って、すねの内側へ下りる皮膚の感覚の神経です。
その枝が膝の下の前を横切っているため、膝の手術の切開や傷で傷つきやすい位置にあります。
触った感じが鈍い、ピリピリする、といった症状が、膝の下の内側から前にかけて出ます。
傷あとのまわりのしびれ
外側の骨折で多い膝の前外側の切開では、傷あとの外側まわりの皮膚がしびれやすくなります。
皮膚の感覚を受け持つ細い神経が、切開の際に傷つくことがあるためです。
腓骨神経麻痺
腓骨神経が傷つくと、足首やつま先が持ち上がらず、つま先が引っかかって歩きにくくなります。
足の甲から指にかけての感覚も鈍くなります。
よくあるすれ違い
受傷や手術の直後は骨折の痛みが強く、しびれに気づくのが遅れがちです。
後から訴えると、事故と関係のない症状と読まれやすくなります(くわしくは下の「5つのこと」の4)。
明日からできること
しびれの範囲を、膝から下の絵に描いて日付を入れて残してください。足首やつま先の動きに変わりがあれば、次の予約を待たずに伝えましょう。
意見書を書いてきた医師から、5つのこと
私は交通事故の医学意見書を書くなかで、脛骨高原骨折について同じ論点が繰り返し問われるのを見てきました。
治療中の方とご家族に知っておいていただきたい医学的なポイントを5つにまとめます。
まず、言われがちな言葉を、医学の側でどう確かめるかと並べます(どれも誤りではなく、「それだけでは分からないことがある」という意味です)。
| 言われがちな言葉 | 医学の側で確かめること | そろえておく資料 | くわしくは |
|---|---|---|---|
| 「最初のX線では異常なし」 | X線に写らない骨折をMRIで確かめる | 受傷日からの症状のメモ | 不顕性骨折の節 |
| 「骨はついたので大丈夫」 | 関節面の段差と沈み込みを確かめる | これまでの画像(必要ならCT) | 1 |
| 「膝が痛いのは歳のせい」 | 痛む場所・場面と画像を照らす | 痛む場所と場面のメモ | 2 |
| 「膝はよく曲がっている」 | 左右を同じ条件で他動で測る | 同じ日に測った左右の角度 | 3 |
| 「しびれは手術の後だから」 | 神経の通り道と範囲を照らす | しびれの範囲を描いた図 | 4 |
1. 「骨はついた」と「関節面が戻った」は別-症状固定の前に、関節面をCTで確かめる相談を
診断書に「骨癒合良好」「変形癒合なし」と書かれていても、関節面が元の平らさに戻ったとは限りません。
骨がついたかどうかはX線で分かりますが、関節面のわずかな段差や沈み込みは、X線では骨の重なりに隠れて見えにくいからです。
意見書の検討では、受傷時・手術後・症状固定時のCTを並べて初めて、関節面の沈み込みが残っていたと分かることがあります。
手術直後には平らに戻っていた関節面が、骨がつくまでの間に少し下がることもあります。
関節面に段差が残ると、後に関節症になりやすいという報告もあります(くわしくは監修医コラム)。
関節面の残り方は、痛みの原因を画像で確かめるときの大事な手がかりの一つです。靱帯や半月板の損傷はMRIで確かめます。
ですから、症状固定が話題に出たら、これまでの画像で関節面がどこまで確かめられているかを主治医と見直してください。
関節面の評価が足りないときは、追加のCTが必要か相談します。
比べられる画像があれば撮影の条件もそろえられるため、受傷時と手術後のCTの写しも受診先ごとにもらっておきましょう。
2. 痛みの場所を言葉にする外側か内側か、階段の下りか
「膝が痛い」という言葉だけでは、その痛みがどこから来ているのかを画像と結びつけられません。
脛骨高原骨折の痛みは、関節面が沈んだ側の膝の横に出ることが多いからです。
体重をかけたとき、階段を下りるとき、しゃがみ込むときに強くなるのも特徴です。
意見書のためにカルテを読むと、「膝痛」「疼痛軽減」の記載が続き、どこがどう痛むのかが一度も書かれていない例があります。
そうなると、後からCTで外側に沈み込みが見つかっても、痛みとの関係を説明しにくくなります。
痛む場所や動作の記録は、画像の所見が症状を説明しうるかを考える手がかりになります。ほかの原因も含めて、診察と合わせて判断します。
診察では、指一本で痛む場所を示し、どの動作で痛むかを具体的に伝えてください。
押すと痛む場所(圧痛)を確かめてもらうのも一つの方法です。痛みの日記に、場所と場面を書き添えておくと伝え漏れを防げます。
3. 膝の角度は左右・他動・同じ日に正座ができないことと数字は別
膝の曲げ伸ばしの角度は、測る人、姿勢、自分で動かすか医師が動かすかで数字が変わります。
けがをしていない側と比べて初めて、どれだけ制限されているかが分かります。
それなのに、けがをした側だけが測られていたり、左右が別の日に測られていたりする例が見られます。
また、正座やしゃがみ込みができないことと、角度の数字は別の話です。
角度の制限が小さく見えても、深く曲げる動作ができないことはあります。
治療中に膝がよく動いていたのに、症状固定のころに制限が残ることもあります。
途中の角度の記録があれば、その経過を説明できます。
測定のときは「けがをしていない側も、同じ日に同じ姿勢で測ってください」と頼んでください。
日付と左右の値を控え、正座やしゃがみ込みでできない動作も、あわせて伝えておきましょう。
4. 膝の下のしびれは、神経の地図と照らして早めに申告
膝の下の内側から前にかけてのしびれは、手術の切開や傷で伏在神経の枝が傷ついて起こることがあります。
傷あとのまわりのしびれも、皮膚の細い神経によることがあります。
ただし範囲だけでは原因を断定できないため、感覚や筋力の診察で確かめます。
神経にはそれぞれ受け持つ皮膚の範囲があり、しびれの範囲と傷あとの位置を照らし合わせると、どの神経が関係しているかの手がかりになります。
ところが、受傷や手術の直後は骨折の痛みのほうが強く、しびれに気づくのが遅れがちです。
数か月たってから初めて訴えると、カルテに記録のない期間ができ、「事故とは関係がないのでは」と読まれやすくなります。
しびれに気づいたら、次の診察まで待たずに伝えてください。
膝から下の絵に、しびれる範囲を線で囲み、日付を入れて残しておくと伝わりやすくなります。
足首やつま先が上がりにくい感じがあれば、それも同時に伝えましょう。
5. 通院は整形外科へ(接骨院・整骨院は勧めません)
症状が事故の後から続いていることを示す、いちばん確かな材料は、診察のたびにカルテに残る症状・所見・画像です。
症状が続く間は、病院の整形外科か整形外科のクリニックで、医師の診察を定期的に受け続けることが大切です。
接骨院・整骨院への通院は、監修医に限らず多くの整形外科医が勧めていません。症状が落ち着けば、月1回程度で経過をみることが多くなります。
交通事故の後、通院先が整形外科から接骨院・整骨院に移ってしまうことがあります。
その間に医師の診察や画像の評価が行われなければ、関節面や膝の動きを確かめた記録が不足します。
後遺障害の評価の段階で「医師の診察記録がない期間」が問題になり、資料が足りない事態が起こりえます。
通院先は、整形外科のある病院・クリニック(リハビリを行うクリニックを含む)にしてください。
通院でのリハビリも、病院・クリニックで受けます(自宅でのリハビリは、主治医や理学療法士の指示に沿って続けます)。
次の受診までの間隔を主治医に確かめ、受診を途切れさせないようにしましょう。
監修医コラム|数字で見る、脛骨高原骨折の後の膝
文献では、一つの施設で11年間に脛骨高原骨折の手術を受けた266例を追った研究が報告されています。
膝を伸ばした位置から曲げた位置までの動く範囲(可動域)は、術後3か月で平均113度、平均17か月では125度でした。
最大の曲がり角度だけを示した値ではありません。膝のこわばりで追加の処置が必要になったのは10例(3.7%)です。
3か月時点の動きが小さかったのは、開放骨折、膝をまたぐ創外固定、多発外傷などの例でした。長い目で見ると、年齢が高いことと深い感染も関係していました。
関節面の残り方については、外側の脛骨高原骨折をプレートで固定した73例を平均54か月追った研究も、文献で報告されています。
追跡時のX線で沈み込みが2mmを超えて残っていた群では44%に進んだ関節症がみられ、2mm以下の群では11%でした。
この2mmは治ったあとに残っていた沈み込みで、手術前に測る段差やすき間の目安とは、測っているものも時期も違います。
どちらも海外の報告で、個人の将来の経過を予測するものではありません。
後遺障害等級に備えるそろえておきたい検査と記録

症状固定が近づいたら、残っている症状を医学的に示せる検査と記録がそろっているかを、主治医と確かめておくことが大切です。
| 検査・記録 | 何が分かるか | そろえるときのポイント |
|---|---|---|
| X線(膝の正面・側面) | 骨のつき方・プレート位置 | 受傷時・手術直後・症状固定前を同じ向きで比べる |
| CT | 関節面の段差・沈み込み | 追加が必要か主治医と相談 |
| MRI | 靱帯・半月板の損傷 | ぐらつき・引っかかりがあれば相談 |
| 左右の膝の可動域 | 曲げ・伸ばしの制限 | けがをしていない側も同じ日に同じ姿勢で、他動で測る |
| 膝のぐらつきの診察 | 靱帯の損傷による動揺 | 左右差を記録(必要ならストレス撮影) |
| 痛みとしびれの記録 | 痛む場所・場面・しびれ | 絵と日付で残す |
| 手術記録 | 戻し方・人工骨・関節鏡 | 写しをもらって保管する |
| 生活の支障の記録 | 階段・正座・立ち仕事など | 場面と程度を日付入りで |
いつ受けておくか
X線と可動域の測定は、次のような治療の節目ごとに受けておくと、経過を比べられます。
- 退院のとき
- 松葉杖が取れたころ
- プレートを抜く前後
- 症状固定の前
すべての検査を受ける必要はなく、どの検査が必要かは骨折の型と症状で変わります。
CTやMRIを撮るかどうかは、主治医と相談して決めてください。
記録の残し方
次の3つを、手帳やスマートフォンに書き留めておきます。
- 検査を受けた日付
- 検査の種類
- 説明された結果
画像の写しは受診先ごとにもらい、受傷時のものから順に保管します。
生活の支障は「非常階段を下りると膝の外側が痛む」「法事で正座ができず座椅子を借りた」のように、場面と程度が分かる言葉で残すと伝わりやすくなります。
症状固定前の最終確認
残っている症状と、これまでに受けた検査の結果をメモにまとめます。
次の受診で主治医に見せて、追加の評価が必要かを相談します。
後遺障害診断書をお願いするときにも同じメモを渡すと、書き漏れを防ぐ手がかりになります。
弁護士法人小杉法律事務所では、後遺障害診断書の作成に当たって、被害者の方からお伺いした情報を踏まえて、
主治医宛に実施していただきたい検査や記載時のポイントなどをまとめたお手紙をお送りしております。
後遺障害診断書の記載内容は、適切な後遺障害等級の認定にあたって非常に重要ですから、
専門弁護士のサポートを受けることはお勧めです。
記録がそろった段階で、それを等級の判断にどうつなげるかを一度弁護士に相談しておくと安心です。
次の章からは、弁護士が後遺障害等級の考え方を解説します。
脛骨骨折で認定されうる後遺障害等級

交通事故による傷害により後遺症が残ってしまった場合には、自動車損害賠償保障法施行令に定めのある後遺障害等級のどれに当てはまるかということで、
後遺障害等級の認定がされます。
脛骨骨折後に問題になることが多いのは以下の5つです。
- 神経症状:骨折部の痛みやしびれが残る
- 機能障害:膝関節や足関節の可動域角度が狭くなる
- 変形障害:骨が完全に癒合しなかったり、曲がって癒合したりする
- 短縮障害:脚が短くなる
- 過成長:(被害者が小児の場合)過剰に骨が伸びる
順に見ていきましょう。
神経症状についての後遺障害等級と認定のポイント
骨折した箇所に痛みやしびれ等が残存した場合に認定される可能性があります。
| 別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
| 別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級と14級の分かれ目は、痛みの原因を、レントゲン・CT・MRIなどの画像所見や神経学的検査等で医学的に証明できるかにあります。
例えば、
- 骨がきれいにつながっていない
- 変形して癒合している
- 関節面に不整がある
といった所見が確認できれば、12級13号が認められる可能性があります。
脛骨高原骨折のような関節面の骨折の場合には、関節面の不整が残りやすく、後遺障害等級第12級13号の認定可能性が比較的高いです。
監修医の補足脛骨高原骨折の関節面の段差や沈み込みは、X線よりもCTではっきり分かります。 これまでの画像で関節面の評価が足りないときは、追加のCTが必要かを主治医と相談してください。 比べられるCTがあれば、関節面がどう残ったかを示しやすくなります。 あわせて、痛む場所(外側か内側か)と、体重をかけたときや階段を下りるときの痛みを、診察のたびに主治医へ伝えてください。 |
機能障害についての後遺障害等級と認定のポイント
脛骨は近位で膝関節、遠位で足関節を構成しているため、
骨折が膝関節または足関節の可動域制限につながっている場合に、認定の可能性があります。
可動域は、原則として健側(けがをしていない側)と比べた割合で評価されます。
また、人工関節が挿入置換された場合には別の認定基準が準備されています。
| 別表第二第8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
→以下の2つのうちいずれか。 ・関節が強直したもの、関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの ・人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの |
| 別表第二第10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
→以下の2つのうちいずれか ・患側の関節可動域が健側の1/2以下に制限されたもの ・人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下には制限されていないもの |
| 別表第二第12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
→患側の関節可動域が健側の3/4以下に制限されたもの |
機能障害の認定では、可動域制限があるだけでなく、その原因となる骨や関節の器質的な変化(骨癒合不全、関節面の変形、人工関節など)が確認できるかが重要になります。
人工関節を入れた場合にはそれ自体で後遺障害等級10級11号の対象となり、そこから可動域制限の程度によって後遺障害等級8級7号の認定可能性が出てきます。
| 監修医の補足
脛骨高原骨折で問題になりやすいのは、膝の曲げ伸ばしの制限です。 けがをしていない側と同じ日に、同じ姿勢で、医師が動かした角度(他動)を測ってもらうことが、測定値を比べる前提になります。
また、靱帯の損傷を伴うと、膝が横や前後にぐらつく状態(動揺関節)が残ることもあります。 ぐらつきの程度は、診察で左右差を比べ、必要に応じて力をかけた状態で撮るX線(ストレス撮影)で評価します。 靱帯損傷の状態を詳しく調べる必要があるときは、MRIなどを検討します。 |
変形障害についての後遺障害等級と認定のポイント
| 別表第二第7級10号 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
→脛骨および腓骨の骨幹部等、または脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの |
| 別表第二第8級9号 | 1下肢に偽関節を残すもの
→脛骨の骨幹部等、または脛骨および腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すものの、「常に硬性補装具を必要とするもの」以外のもの |
| 別表第二第12級8号 | 長管骨に変形を残すもの
→以下の4つのうちのいずれかに該当する場合 ・脛骨に変形を残すものであって、その程度が外部から見てわかる程度以上のもの。 具体的には、15度以上屈曲して不正ゆ合したもの。 なお、腓骨のみに変形を残すものであっても、その程度が著しく、明らかに外部から想見できる程度のものであれば「長管骨に変形を残すもの」として取り扱います。 ・脛骨の骨端部にゆ合不全を残すもの。 また、腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すものについても、「長管骨に変形を残すもの」として取り扱います。 ・脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの ・脛骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの |
短縮障害についての後遺障害等級と認定のポイント
| 別表第二第8級5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
| 別表第二第10級8号 | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
| 別表第二第13級8号 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
下肢の短縮については、上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さを測定し、健側と比較して、短縮した長さを算出します。
この他に、下肢長の測定を行う方法としては、エックス線写真を使用する方法があります。
これには、通常のフィルムを貼り合わせる方法と、必要な長さに応じて調節し下肢全体を1枚のフィルムに収めることのできるロールフィルムを使用する方法があります。
下肢長に疑問があるときは、このような画像検査資料を取り付けることにより適切な認定を行う必要があります。
過成長についての後遺障害等級の認定のポイント
短縮障害とは異なりますが、小児の骨折などでは、
骨折を契機として逆に成長が促進され、骨折した側が健側と比較して長くなってしまう、いわゆる過成長とよばれる障害が起こることがあります。
過成長については、短縮の場合に準じ、健側と比較した長さの程度によってそれぞれ、
- 別表第二第8級相当
- 別表第二第10級相当
- 別表第二第13級相当
とされます。
ただし、成長期であることから、認定時期については注意が必要です。
また、例えば変形障害を残すとともに短縮障害を残してしまったようなケースでは、より上位の等級が採用されたり、
そのほかの後遺障害等級と併合して最終的な等級が定められたりと、後遺障害等級の認定については細かい実務上の運用があります。
ご自身の後遺障害等級が何級になるかについて疑問をお抱えの方は、専門弁護士に相談しましょう。
脛骨骨折後の後遺障害等級の認定にあたり重要になる診断・検査
| X線(レントゲン) | 必須。骨折の状態、骨癒合、変形の確認 |
| CT | 関節面の圧潰・陥没・不整の確認、偽関節・遷延癒合の評価。 |
| MRI | 内側側副靱帯・十字靱帯・半月板の損傷の確認。X線で写らない不顕性骨折の確認 |
| 造影CT | 血管損傷が疑われる場合 |
| 関節可動域の測定 | 膝関節・足関節について、健側と患側を測定・比較 |
| 下肢長(脚長差)の測定 | 短縮障害・過成長が懸念されるとき |
X線は必須です。
それ以外にも、脛骨骨折後の後遺障害等級の認定にあたっては、基本的には画像上で痛みや関節の動かしにくさ、変形などの原因が確認できるかが最重要になります。
主治医と相談しながら、原因を確認できる画像の撮影を行うことは重要です。
監修医の補足脛骨高原骨折では、表のうちCTが特に大切です。 既にある画像を主治医と確かめ、関節面の評価が足りないときに追加のCTが必要かを相談してください。
また、膝の下の内側から前にかけてのしびれや、足首が上がらない症状(腓骨神経麻痺)がある場合は、範囲と程度を診察のたびに伝えてください。 しびれは、手術の切開などで伏在神経の枝が傷ついた可能性があり、記録に残してもらうことが大切です。
足首やつま先が新たに上がりにくくなったときは、次の予約を待たずにすぐ受診先へ連絡してください。 |
弁護士法人小杉法律事務所では、後遺障害診断書の作成に当たり、被害者の方の自覚症状や日常生活における支障などをお伺いしながら、
主治医宛てに「後遺障害診断書に記載していただきたい内容や実施していただきたい検査」等についてまとめたお手紙をお送りしています。
適切な後遺障害等級の認定を得るために、ポイントを押さえた後遺障害診断書を作成することは極めて重要です。
脛骨骨折後に後遺障害等級が認定された場合の賠償金の目安

脛骨の骨折後に後遺障害等級が認定された場合には、認定された後遺障害等級に応じて、
- 後遺症逸失利益
- 後遺症慰謝料
が請求可能になります。
それぞれについて解説します。
脛骨骨折の後遺症逸失利益
そもそも後遺症逸失利益とは、後遺症が残ってしまったことによって、働きにくくなってしまい、
将来得られるはずであった収入が得られなくなるという損害をいいます。
逸失利益の計算式は、
| 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数) |
ですが、
この計算式の中の労働能力喪失率が認定される後遺障害等級と連動します。
実務では基本的には、労働能力喪失率表(国土交通省ホームページより)に従い、認定される後遺障害等級に応じて定められている労働能力喪失率を採用しています。
例を挙げてみてみましょう。
事故前の年収が500万円の40歳の方が交通事故に遭い、右の脛骨を骨折してしまったとします。
懸命な治療・リハビリを続けたものの、膝関節の可動域が左と比較して2分の1に制限されてしまいました。
認定される後遺障害等級は後遺障害等級第10級11号であり、労働能力喪失率は27%です。
そうすると、この方の逸失利益の金額は、
500万円×27%×18.3270(67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数)=2474万1450円
が一つの目安となります。
仮に、認定された後遺障害等級が一つ下の後遺障害等級第12級8号であった場合はどうでしょうか。
後遺障害等級第12級8号の労働能力喪失率は14%ですから、この方の逸失利益の金額は、
500万円×14%×18.3270(67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数)=1282万8900円
が一つの目安となります。
この場合、認定された後遺障害等級が1つ違うだけで、逸失利益の金額に1000万円以上の差が生じています。
適切な後遺障害等級の認定を得ることの重要性がお分かりいただけると思います。
脛骨骨折の後遺症慰謝料
後遺症慰謝料は、その名のとおり後遺症が残ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
後遺症慰謝料も、原則として認定される後遺障害等級に応じて金額が決まります。
裁判基準(弁護士基準)の後遺症慰謝料の目安は以下のとおりです。
| 第1級 | 2800万円 |
| 第2級 | 2370万円 |
| 第3級 | 1990万円 |
| 第4級 | 1670万円 |
| 第5級 | 1400万円 |
| 第6級 | 1180万円 |
| 第7級 | 1000万円 |
| 第8級 | 830万円 |
| 第9級 | 690万円 |
| 第10級 | 550万円 |
| 第11級 | 420万円 |
| 第12級 | 290万円 |
| 第13級 | 180万円 |
| 第14級 | 110万円 |
先ほどと同じように第8級と第12級を比べてみると、500万円以上の差があります。
後遺症慰謝料についても、適切な後遺障害等級の認定が得られるかどうかは大きな差になります。
脛骨高原骨折についてのよくある質問
脛骨高原骨折は、どのくらいで歩けるようになりますか?
固定の状態や合併損傷が許せば、術後早期から膝を動かし、骨がつくまでは体重を控えて松葉杖で歩きます。
部分荷重は術後5〜6週前後、全荷重は8〜12週、症状固定の検討は6か月〜1年ごろが目安です。
ただし骨折の型・年齢・手術の有無で前後し、開始の時期と量は主治医の指示に従ってください。
復職は仕事の内容と、歩行・筋力・膝の安定性を確かめて決めます。
次にすることとして、主治医に以下の3つを確かめておきましょう。
- 体重をかけてよい量と時期
- 松葉杖を外してよい時期
- 仕事に戻れる時期
正座やしゃがみ込みはできるようになりますか?
膝の曲がる範囲は、術後しばらくかけて広がっていくことが多く、正座ができるまで戻る方もいます。
一方で、関節面の段差や膝のこわばりが残ると、深く曲げる正座やしゃがみ込みが難しいままになることもあります。
角度の数字では制限が小さく見えても、正座ができないことは起こりえます。
次にすることとして、膝の角度を左右同じ日に測ってもらい、正座やしゃがみ込みでできない動作を具体的に主治医へ伝えてください。
手術で入れたプレートは抜きますか?
抜くことは前提ではありません。若い方では、骨がついてから1年〜1年半ほどで抜くことがあります。
高齢の方では、抜かずにそのまま残すことも少なくありません。
プレートが皮膚の下で当たって痛む、膝を動かすと違和感がある、といった場合も、抜くかどうかを相談します。
次にすることとして、抜く予定があるかどうかと、その時期を主治医に確かめておきましょう。
症状固定の時期との関係も、抜く予定や治療の見通しを踏まえて主治医に確認してください。
膝の下の内側がしびれます。骨折と関係がありますか?
関係していることがあります。膝の下の内側から前にかけては、伏在神経の枝(膝蓋下枝)が皮膚の感覚を受け持っています。
この枝は、手術の切開や受傷時の傷で傷つくことがあり、触った感じが鈍い、ピリピリするといった症状が出ます。
次にすることとして、しびれの範囲を膝から下の絵に描いて日付を入れ、主治医へ伝えてください。
足首やつま先が新たに上がりにくくなった場合や、しびれが急に悪化した場合は、次の予約を待たずに受診先へ連絡してください。
足先の冷たさ・色の変化や、強まる激痛を伴うときは、ただちに救急を受診してください。
将来、人工膝関節になりますか?
人工膝関節が必要になるのは一部の方です。
ただ、関節面の段差が残った場合などでは、年月をかけて軟骨がすり減り、外傷後の変形性膝関節症になることがあります。
痛みが強くなり生活に支障が大きい場合には、人工膝関節の手術を検討することもあります。
将来、人工膝関節が必要になるかは、CTの段差だけでは判断できません。
次にすることとして、痛みや生活の支障が続く場合は、診察とこれまでの画像をもとに主治医と相談してください。
追加のCTは、関節面の評価が足りない場合に検討します。
脛骨高原骨折の後遺症は、必ず残りますか?
必ず残るわけではありません。関節面が元の高さと平らさに戻り、膝がよく動いてぐらつきもなければ、大きな支障なく過ごせるまでの回復が期待できます。
一方で、関節面の段差、膝のこわばりやぐらつき、神経のしびれが残った場合は、痛みや動かしにくさが後遺症として残ることがあります。
次にすることとして、痛む場所と場面、膝の角度の推移、しびれの範囲を日付入りで書き留め、症状固定の前に主治医と一緒に見直してください。
脛骨近位端骨折・脛骨プラトー骨折と書かれています。同じものですか?
脛骨プラトー骨折は、脛骨高原骨折の別の呼び方で、同じ骨折です。
脛骨近位端骨折は、すねの骨の膝に近い部分の骨折全体を指す、より広い呼び方です。
そのうち関節面にかかる骨折が、脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)にあたります。
次にすることとして、診断書や画像の説明で「骨折が関節面にかかっているか」を主治医に確かめてください。
この記事の内容がそのまま当てはまるかどうかが分かります。
脛骨骨折でよくある質問

脛骨骨折には、どんな種類がありますか?
折れた場所によって、
- 近位部(膝に近い。脛骨高原骨折など)
- 骨幹部(すねの中央)
- 遠位部(足首に近い。内果骨折など)
に分かれます。
皮膚に傷がある「開放骨折」と、ない「皮下骨折」という分類もあります。
監修医の補足脛骨高原骨折は、このうち近位部の骨折で、関節面にかかるものです。 脛骨近位端骨折と書かれていても、関節面にかかっていれば同じ骨折を指します。型はSchatzker分類で書かれることが多く、治療と経過の見通しは次の3点で変わります。
です。 |
脛骨骨折は、どのくらいで治りますか?
一般的な目安として、骨癒合まで約8〜12週、荷重歩行の再開は受傷後2〜3か月、完治まで約3〜6か月とされていますが、個人差があります。
関節内骨折や開放骨折は、長引きやすい傾向があります。
監修医の補足脛骨高原骨折では、骨がつく時期、体重をかけて歩ける時期、症状固定の時期を、それぞれ別に考えます。 目安として、体重をかけ始めるのは術後5〜6週前後、全体重は8〜12週、症状固定を検討するのは6か月〜1年ごろです。
骨がついた後も、関節面の段差や膝のこわばりが残っていないかを確かめてから、症状固定の時期を主治医と相談して決めます。 完治の目安を過ぎても、膝の痛みやこわばりが続くときは、その経過を記録に残しておきましょう。 |
脛骨骨折では、どんな後遺障害等級が認定されますか?
- 痛みなら12級13号・14級9号
- 膝や足首の可動域制限なら8級7号・10級11号・12級7号
- 骨のつながらない偽関節なら8級9号・7級10号
- 変形なら12級8号
- 脚の短縮なら8級5号・10級8号・13級8号
などが想定されます。
脛骨高原骨折で、膝の痛みが残っています。後遺障害等級は認定されますか?
脛骨高原骨折は関節内骨折のため、関節面の不整があり、CTなどで確認できると、12級13号の可能性があります。
画像で証明できなくても、治療経過から痛みが説明できれば14級9号の可能性があります。
脛骨と腓骨を一緒に折りました。等級は変わりますか?
脛骨と腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全が残る場合として、常に硬性補装具を必要とするなら7級10号、必要としないなら8級9号の基準があります。
脛骨骨折後の後遺障害慰謝料はいくらくらいですか?
認定される後遺障害等級によって異なりますが、弁護士基準の場合には、
| 第1級 | 2800万円 |
| 第2級 | 2370万円 |
| 第3級 | 1990万円 |
| 第4級 | 1670万円 |
| 第5級 | 1400万円 |
| 第6級 | 1180万円 |
| 第7級 | 1000万円 |
| 第8級 | 830万円 |
| 第9級 | 690万円 |
| 第10級 | 550万円 |
| 第11級 | 420万円 |
| 第12級 | 290万円 |
| 第13級 | 180万円 |
| 第14級 | 110万円 |
が目安となります。
交通事故による脛骨の骨折は弁護士に相談しましょう

交通事故により脛骨を骨折した場合、適切な賠償金を獲得するためには、適切な後遺障害等級の認定を得ることが大前提です。
そのためには、骨折の態様や残ってしまった症状などを裏付ける立証資料を適切に集めていく必要があります。
この立証資料の収集は、ご本人のみで行うのはなかなか難しい作業であり、後遺症を専門としている弁護士に相談することがお勧めです。
交通事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故後遺症被害専門の弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。
交通事故被害に遭い、脛骨を骨折してしまい、ご自身の後遺障害等級などについて疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故後遺症被害専門弁護士との初回無料の法律相談はこちらのページから。
脛骨の骨折に関する弁護士法人小杉法律事務所の解決実績
- 脛骨開放骨折・腓骨骨折等で後遺障害等級併合11級の認定をうけ、通院以外の交通費・家屋改造費を含む合計900万円以上を獲得して示談解決した事例
- 【脛骨近位端骨折等】【加重障害】既存障害14級認定を、紛争処理申請により既存障害非該当とし、後遺障害等級併合12級満額での解決をした事例
- 【脛骨高原骨折】後遺障害等級12級13号の被害者について、労災を利用しながら、保険会社との示談交渉で解決した事例
- 【脛骨近位端骨折】後遺障害等級12級13号認定の被害者について、弁護士介入から1か月で保険会社示談提示額を2倍にして解決した事例
- 【脛骨高原骨折・膝内側側副靭帯損傷・鼻部挫傷】示談提示60万円が裁判で約1350万円獲得。症状固定時に膝可動域制限が出ていたが、治療期間中は膝が動いていた被害者について、福岡高裁で後遺障害等級併合11級が認められた事例
参考文献: Kugelman DN, et al. Knee Stiffness After Tibial Plateau Fractures: Predictors and Outcomes (OTA-41). J Orthop Trauma 2018;32:e421–e427/Parkkinen M, et al. Factors predicting the development of early osteoarthritis following lateral tibial plateau fractures. Scand J Surg 2014;103:256–262/伊藤陽介ほか. 変形性膝関節症を伴う脛骨高原骨折に対して一期的人工膝関節置換術を行った2例. 千葉医学 2020;96:69–73/『標準整形外科学 第15版』医学書院

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