靭帯損傷/断裂 下肢 神経症状
前十字靭帯損傷について(弁護士法人小杉法律事務所監修)
膝の構造
このイラストは右ひざを正面からみたときのものです。腓骨が向かって左側、脛骨が右側にあります。
膝関節は、大腿骨、脛骨(けいこつ)、および膝蓋骨(しつがいこつ)からなる関節で、人体で最も大きな関節です。
膝関節の安定性は、関節面形状自体ではなく、半月板、靱帯を中心とした軟部組織に頼っています。
膝の靱帯の主なものは、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)、内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)、外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)の4つです。
この記事では膝の靱帯のうち、前十字靭帯損傷についての説明をしています。
前十字靭帯(ACL)とは
前十字靭帯は大腿骨外側顆の顆間窩面後方部および脛骨顆間隆起の先方に付着します。大腿骨に対する脛骨の前方制動を担っています。
前十字靭帯損傷はどのような場合に受傷するか
ジャンプのあとの着地時、急な方向転換時などで受傷することが多いです。受傷時、断裂音を体感することもあります。
(標準整形外科学第15版(医学書院)、685頁)
主にサッカー、バスケットボールなどのスポーツ活動時に、急な方向転換や切り返しなどを行うと、膝関節には外反を主とした複合的な回旋外力が加わります。その力は関節内の前十字靱帯に伸長すとれすとして加わり、過度になると断裂を起こします。
多くの場合、このような非接触型の受傷起点で発生しますが、膝関節の外側から当てられ受傷する接触性損傷もまれではありません。
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、797頁)
前十字靭帯損傷の症状は
受傷後早期に関節腫脹し、強い疼痛が発生します。
前十字靭帯損傷に対する治療
前十字靭帯損傷は自然治癒が期待できず、若年症例やスポーツ活動を希望する場合、手術適治療が必要になります。
保存療法
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、798頁)
一般の日常生活動作においては、膝の不安定性は発生しにくいので、特に活動レベルの高くない患者に対しては、一定の運動制限を確認したうえで保存的に治療することが可能です。
前十字靭帯後に対する手術
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、788頁)
手術は自家腱を用いた再建靱帯を、大腿骨および脛骨の解剖学的な靱帯付着部に作成した骨孔(こつこう:採取した自家腱の直径と同じ大きさの穴)に挿入し、固定する方法が一般的です。用いられる自家腱は、主にハムストリング筋腱、または骨付き膝蓋腱が用いられています。近年では大腿四頭筋腱の使用も増えています。
移植された再建靱帯は、骨孔内に一定の期間をもって生着しますが、十分な強度になるにはかなりの長期間を要します。ある程度の強度であると見込まれる、術後6か月以降でのスポーツ復帰を許可している施設が多いです。
認定されうる後遺障害等級は
痛み等の神経症状や関節の動きにくさ、動揺性等で認定がなされる可能性があります。
→前十字靭帯損傷後に認定されうる後遺障害等級の種類や検査方法等についてはこちらの記事をご覧ください。
弁護士に相談を
交通事故等の外傷で前十字靭帯損傷を受傷した場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、靱帯損傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。
前十字靭帯損傷に関連する弁護士法人小杉法律事務所の解決事例
【膝内側側副靭帯損傷・前十字靭帯損傷】医師面談を実施して膝の動揺性の所見を得、後遺障害等級12級を獲得
【大腿骨遠位端剥離骨折・膝前十字靭帯損傷】異議申立てにより膝の動揺関節での後遺障害等級10級相当を獲得し、約2000万円で示談解決