過失割合 示談 バイクvs四輪車 膝・脛 靭帯損傷 骨折 会社員 後遺障害等級変更 12級 10級 医師面談
【大腿骨遠位端剥離骨折・膝前十字靭帯損傷】異議申立てにより膝の動揺関節での後遺障害等級10級相当を獲得し、約2000万円で示談解決
Sさん 50代・男性・会社員
【大腿骨遠位端剥離骨折・膝前十字靭帯損傷】異議申立てにより膝の動揺関節での後遺障害等級10級相当を獲得し、約2000万円で示談解決
解決事例のポイント
① 医師面談の実施により自賠責保険の不十分な認定部分を指摘し後遺障害等級12級⇒10級に変更
② 刑事記録の詳細な分析により過失割合20:80⇒10:90に変更させ、約2000万円の示談解決
相談前
Sさんは50代の会社員の男性で、バイクを運転して交差点を直進しようとしたところ、対向車線から右折進行してきた四輪車にはねられて、転倒してしまいます。
この交通事故によって左大腿骨遠位端剥離骨折や左膝前十字靭帯損傷などの大怪我を負ってしまいました。
Sさんは、6か月間の治療を終え、保険会社の担当者の言うとおり、主治医の先生に後遺障害診断書を作成してもらい、完成した診断書を病院から受け取りました。
この受け取った後遺障害診断書を保険会社に提出すれば、担当者が事前認定手続によって後遺障害等級の申請をしてくれるのですが、Sさんは、このまま保険会社の指示どおりに進めていってしまってよいのだろうかと疑問を持つに至り、弁護士に法律相談してみることにしました。
法律相談-被害者請求と事前認定の違い―
Sさんはこれから後遺障害等級の申請を行うという段階でしたので、後遺障害等級の申請についてご説明差し上げました。
後遺障害等級の申請方法は2種類あり、1つは保険会社の担当者による申請で、事前認定や加害者請求と呼ばれるものです。
これは、保険会社の担当者に診断書などを渡せば、あとは勝手に申請手続をしてくれるため、被害者側としては手間なく申請を行うことができます。
難点としては、加害者側の保険会社が申請を行うという点です。
加害者側の保険会社というのは、被害者が重症であればあるほど、支払わなければいけない損害賠償額が高くなってしまいますから、重い後遺障害等級が認定されてほしくない立場にあります。
そこで、被害者にとって後遺障害等級認定上有利となる資料があったとしても、必須の資料でなければわざわざ提出することはしませんし、それどころか、この被害者の後遺症は大したことないであるとか、交通事故と因果関係がないなどの意見書を添えて申請を行うケースも存在します。
もう1つの申請方法は、被害者自身で申請するもので、被害者請求や16条請求と呼ばれるものです。
これは、被害者側で後遺障害等級申請の書類を集めて、自身で請求しなければならないため手続的に面倒です。
しかし、後遺障害等級認定上有利となる資料をすべて提出することができますので、適切な後遺障害等級を得るためには被害者請求の方法で申請するのが望ましいということができます。
ただし、被害者の方自身で後遺障害等級認定上有利となる資料をすべてをそろえることは難しいため、被害者側専門の弁護士に申請を依頼するのが良いケースがほとんどです。
Sさんも、後遺障害等級の申請から弁護士に依頼することにしました。
左膝の疼痛につき後遺障害等級12級13号の獲得
局部の痛みの後遺障害等級は2種類あり(CRPS除く。)、重たいものが後遺障害等級12級13号、軽いものが後遺障害等級14級9号とされています。
Sさんのケースでは、痛みの神経症状の最上位等級である後遺障害等級12級13号を獲得することができました。
しかし、Sさんの症状の中には、膝の痛みのほかに、膝の不安定感というものもあったのですが、これについての評価がなされていません。
これは認定漏れの可能性があるため、この点につき再度調査を行うことにしました。
医師面談実施と新たな検査実施
膝の不安定感というのは、後遺障害等級でいうと「動揺関節」のパートに該当する可能性があります。
前回と同じ資料では、後遺障害等級12級13号以上の判断が期待できなかったことから、医師面談を実施して、新たな資料の獲得に動きました。
主治医の先生と相談の上、ケガをしていない方の膝も含めてストレスレントゲンを撮影し、左右のレントゲン画像比較によって、膝のずれを立証するという方針を立てました。
そして、その新たな検査結果を後遺障害診断書に追記していただきました。
異議申立てによる後遺障害等級10級相当の獲得
この両膝のストレスレントゲンの所見を元に異議申立てを行ったところ、膝の不安定感についても評価をしてもらうことができ、後遺障害等級10級相当の認定がなされました。
約2000万円での示談解決
獲得した後遺障害等級10級相当の認定をもとに示談交渉を開始しました。
保険会社側は、過失割合20:80を主張してきましたが、刑事記録の調査結果を説明し、加害者の右折が早回り右折に該当することから、過失割合は10:90になることを説明しました。
そうしたところ、こちら側の過失割合の主張も認めざるを得えなくなり、結果として約2000万円の損害賠償金を支払ってもらうことでの解決となりました。
弁護士小杉晴洋のコメント:後遺障害等級認定の際はすべての症状が認定されているかをチェックする
本件は、最初の申請の段階で、局部の神経症状の最高等級である12級13号の認定がなされましたから、これに安堵して示談交渉に進んでしまうことも考えられます。
しかしながら、最初の認定では、膝の不安定感についての審査が行われていませんでした。
自賠責保険の判断漏れを指摘するためには、後遺障害等級認定の要件が頭に入っていなければいけません。
当事務所の弁護士は後遺障害等級1級~14級までのすべての後遺障害等級を経験していますので、後遺障害等級の認定漏れに気づかないということはありません。
自賠責保険の後遺障害等級認定を受けたが、この等級が妥当かどうか分からないという方は、無料の法律相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。