加重障害・既存障害 示談 歩行者vs四輪車・バイク 膝・脛 主婦 骨折 後遺障害等級変更 14級 12級
【脛骨近位端骨折等】【加重障害】既存障害14級認定を、紛争処理申請により既存障害非該当とし、後遺障害等級併合12級満額での解決をした事例
Pさん 80代・女性・主婦
【脛骨近位端骨折等】【加重障害】既存障害14級認定を、紛争処理申請により既存障害非該当とし、後遺障害等級併合12級満額での示談解決をした事例
解決事例のポイント
過去に通院していた病院のカルテを取り寄せて分析し、紛争処理申請により、既存障害なしの後遺障害等級併合12級に変更
相談前
Pさんは80代の主婦です。
横断歩道を歩いていたところ、四輪車にはねられてしまうという交通事故に遭い、脛骨の近位端(膝の部分)を骨折してしまいます。
交通事故に関する処理をどうしたらよいのか分からなかったため、弁護士に依頼して事件解決をしてもらうことにしまいた。
後遺障害等級の申請と既存障害14級9号の認定
こちらで後遺症診断書などの後遺障害等級申請書類を取り付け、被害者請求を行いました。
そうしたところ、見立てどおりに後遺障害等級12級13号を獲得することができました。
しかしながら、この認定理由には、Pさんの膝の過去治療歴の言及があり、Pさんは元々右膝に後遺症を有していたとして、後遺障害等級14級分の賠償額を引く旨の記載がありました。
この考え方を「加重障害」といいます。
自賠責保険の既存障害の認定は甘めになされることが多いため、過去の治療歴を分析した上で、異議申立てを行うことにしました。
過去に通院した整形外科のカルテ分析
Pさんが今回の交通事故より前に膝の治療を受けていたことは確かでしたが、その治療内容や症状を調べるべく、以前のカルテを取寄せて分析することにしました。
そうしたところ、カルテ上は、「数日前、転倒し両膝を打った」との記載はあるものの、その後は主に左膝についての治療が行われていて、右膝についての症状や治療についての記載が見当たりませんでした。
異議申立てと紛争処理申請による自賠責保険の判断変更
以上のカルテ分析結果を異議申立書に記し、自賠責保険に対して異議申立てを行いましたが、自賠責保険の判断は変わりませんでした。
しかしながら、カルテをどう読んでも、Pさんが主に治療を受けていたのは今回の交通事故で受傷した右膝とは反対の脚である左膝についてであって、自賠責保険の判断が誤っていることが明らかでしたので、紛争処理申請を行うことにしました。
そうしたところ、紛争処理員会は右膝の既存障害を否定してくれて、今回の交通事故による後遺障害等級併合12級のみを認定してくれました。
弁護士小杉晴洋のコメント:自賠責保険は既存障害については甘めの認定を行うので注意が必要です
異議申立てや紛争処理申請というのは、本来、被害者に残った後遺症が酷いことを立証するものです。
これに対して、既存障害の異議申立てや紛争処理申請というのは、過去の後遺障害が軽いことを立証するものですから、通常の異議申立てや紛争処理申請とやることが逆になっています。
その点で難しさもありますが、当事務所の弁護士は、こうした加重障害事案を多く扱っていますので、既存障害の後遺障害等級を下げて、今回の交通事故における後遺障害等級を獲得することを得意としています。
自賠責保険は既存障害の後遺障害等級認定については、浅い調査で等級認定してしまう傾向がありますので、自賠責保険の既存障害等級認定については、異議申立てで判断が覆る可能性が高いです。
本件のように異議申立てで判断が覆らなかったとしても、紛争処理申請で判断が覆ることもあります。
既存障害の存在によって後遺障害等級を否定もしくは軽減されてしまったという方については、被害者側専門の弁護士に相談されることをおすすめします。