スポーツ事故・スポーツ保険は弁護士で変わる

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スポーツ事故・スポーツ保険

スポーツ事故・スポーツ保険は弁護士で変わる

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学校における体育の授業中や部活中の事故については、こちらをご覧ください。

スポーツ事故に遭われた方へ

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スポーツ事故・スポーツ保険とは

スポーツ事故・スポーツ保険とは

スポーツ事故の場合、慰謝料などの損害賠償請求が認められることがあります

プロとしてスポーツ競技を行う場合、アマチュアとしてスポーツ競技を行う場合、遊びでスポーツをする場合など、スポーツは様々な人が行っています。
その中で事故が起きてしまうことがありますが、本来スポーツというのは危険を伴うものですから、通常は、スポーツに参加する時点で、当該スポーツ特有の危険を引き受けているといえ、慰謝料などの損害賠償請求が発生することはありません。
ただし、死亡事故に至ってしまったようなケースや後遺症が残ってしまったようなケースの場合、死亡することや後遺症を残すことまでについての危険は引き受けていなかったということはあり得ます。
また、ルール違反があったためにケガをしてしまったような場合、暴力によってケガをしてしまったような場合まで許容しなければならない理由はありません。

その他、施設や器具に不備があったため事故になってしまったケース、指導者の指導が不適切であったために事故になってしまったケースなどもあります。 このような場合には、加害者・指導者・施設管理者などに対し慰謝料などの損害賠償請求をしていくことが考えられます。

損害賠償請求のスポーツ別のまとめについてはこちら
慰謝料など請求できる損害の種類についてはこちら

スポーツ保険とは

1. スポーツ保険の保険金請求

公益財団法人スポーツ安全協会を契約者とするスポーツ安全保険が有名です。
これは4名以上の団体活動を行う場合に加入でき、当該保険に加入していると、スポーツ事故でケガをしてしまった場合に傷害保険金の請求ができます。

加入区分によって請求できる保険金の金額は異なりますが、高校生以上・64歳以下のスポーツ活動の場合、

死亡 後遺障害 入院(1日につき) 通院(1日につき)
2000万円 最高3000万円 4000円 1500円

とされています。

①わざとケガをした場合、②重過失によってケガをした場合、③医学的他覚所見のないむち打ち症などでは保険金請求は認められないことになっていますが、そうした免責事由がなければ、スポーツ事故による骨折などのケガはスポーツ安全保険によって傷害保険金の給付を受けることができます。

すなわち、加害者・指導者・施設管理者などに違法性がなく損害賠償請求をすることができない場合であっても、この保険金請求は認められるということになります。
特に後遺障害の保険金は、認定される後遺障害等級によって金額が変わりますので、スポーツ事故によって後遺症が残ってしまった方については、弁護士に相談されることをおすすめします。

2. 加害者・指導者・施設管理者などへの損害賠償請求の際の証拠になることがあります

スポーツ事故によって後遺症が残ってしまったという場合、スポーツ保険が後遺障害等級を付けてくれます。
この認定等級が、加害者・指導者・施設管理者などに対し損害賠償請求をしていく際に、後遺症が残ってしまったことに対する慰謝料(後遺症慰謝料)や、今後仕事がしづらくなる/できなくなることの損害(逸失利益)の証拠として使えることがあります。
ですので、加害者・指導者・施設管理者などに対し損害賠償請求をしていくケースにおいても、スポーツ保険の利用は重要になってきます。

後遺障害等級の獲得には、専門性が要求されますので、弁護士に相談されることをおすすめします。

PATTERN

スポーツ事故で請求できる損害

不倫慰謝料・不貞慰謝料の金額

慰謝料

慰謝料には、主に、人身事故の場合に必ず発生する入通院慰謝料(傷害慰謝料)と、後遺症が残ってしまった場合に発生する後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の2つがあります。

後遺症が残ってしまった場合には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の2つの慰謝料を請求できるということになります。
なお、被害者が重度の後遺症を負ってしまった場合には、近親者も慰謝料の請求をすることができます(近親者慰謝料)。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)の相場

●原則的な入通院慰謝料相場(単位:万円)

通院\入院 0か月 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月 7か月 8か月 9か月 10か月 11か月 12か月 13か月 14か月 15か月
0か月 0 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1か月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2か月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3か月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4か月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5か月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6か月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346 352
7か月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344 348 354
8か月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341 346 350 356
9か月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338 343 348 352 358
10か月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335 340 345 350 354 360
11か月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332 337 342 347 352 356 362
12か月 154 183 211 236 260 280 298 314 326 334 339 344 349 354 358 364
13か月 158 187 213 238 262 282 300 316 328 336 341 346 351 356 360 366
14か月 162 189 215 240 264 284 302 318 328 338 343 348 353 358 362 368
15か月 164 191 217 242 266 286 304 320 332 340 345 350 355 360 364 370

※入院16か月以降は、6万円ずつ加算

※通院16か月以降は、2万円ずつ加算

※なお、大阪地方裁判所や名古屋地方裁判所では別の慰謝料基準が採用されていますが、大きな金額の差はありません。

●他覚所見のないむち打ち・軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の入通院慰謝料相場

通院\入院 0か月 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月 7か月 8か月 9か月 10か月 11か月 12か月 13か月 14か月 15か月
0か月 0 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1か月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2か月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3か月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4か月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5か月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6か月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229 234
7か月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225 230 235
8か月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219 226 231 236
9か月 109 129 147 158 169 178 185 191 197 202 208 214 220 227 232 237
10か月 113 133 149 159 170 179 186 192 198 203 209 215 221 228 233 238
11か月 117 135 150 160 171 180 187 193 199 204 210 216 222 229 234 239
12か月 119 136 151 161 172 181 188 194 200 205 211 217 223 230 235 240
13か月 120 137 152 162 173 182 189 195 201 206 212 218 224 231 236 241
14か月 121 138 153 163 174 183 190 196 202 207 213 219 225 232 237 242
15か月 122 139 154 164 175 184 191 197 203 208 214 220 226 233 238 243

※入院16か月以降は、6万円ずつ加算

※通院16か月以降は、2万円ずつ加算

※なお、大阪地方裁判所や名古屋地方裁判所では別の慰謝料基準が採用されていますが、大きな金額の差はありません。

後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の相場

後遺症慰謝料は後遺症の程度によって異なります。
スポーツ保険を利用できる場合には、スポーツ保険が後遺障害等級の認定をしてくれますから、その認定等級に応じた後遺症慰謝料を加害者・指導者・管理者などに請求していくことになります。
従いまして、スポーツ保険での後遺障害等級の認定というのは、保険金請求だけでなく、損害賠償請求においても重要ということになります。

スポーツ保険が利用できない場合や、スポーツ保険の認定した後遺障害等級が妥当でない場合には、被害者の側で、どの程度の後遺症に属するのかを立証していく必要があります。

等級に応じた後遺症慰謝料相場は下記のとおりとなっています。

14級慰謝料 110万円
13級慰謝料 180万円
12級慰謝料 290万円
11級慰謝料 420万円
10級慰謝料 550万円
9級慰謝料 690万円
8級慰謝料 830万円
7級慰謝料 1000万円
6級慰謝料 1180万円
5級慰謝料 1400万円
4級慰謝料 1670万円
3級慰謝料 1990万円
2級慰謝料 2370万円
1級慰謝料 2800万円

休業損害

スポーツ事故での治療期間中に、仕事やバイトを休んでしまい、収入が減ってしまった分(有給休暇を消費した分も含まれます。)を休業損害として請求していくことができます。
また、主婦の方など家族のための家事や介護に従事している方も、家事や介護ができなくなった損害を休業損害として請求していくことができます。

逸失利益

1. 逸失利益とは?

スポーツ事故で後遺症を残してしまった場合、今後も仕事をして稼ぎを得ることができたのにそれがしづらくなった/できなくなった、これまで家事をしてくれていたのに今後それがしづらくなった/できなくなった、まだ学生だが将来は働いて稼ぎを得るはずだったのにそれがしづらくなった/できなくなった、といった事情が生じます。
こうした事情を損害賠償請求として表したものを「逸失利益(いっしつりえき)」と呼びます。

この逸失利益をどのように算定するかというと、
①まず、被害者に後遺症がなければ今後得ることができたと認められる年収(基礎収入といいます。)を算定します。
②次に、今後働きづらくなる程度を労働能力喪失率として算定します。
③最後に、事故に遭わなければ何歳まで働いていたかを決め、その年数を掛けます。ただし、一括して賠償金を受け取るため、中間利息の控除というものが行われます。

以上の①~③を計算式に直すと、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」となります。

学生など若年の被害者の場合ですと、「基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数)」という計算式になります。

以下では、①基礎収入、②労働能力喪失率、③就労可能年数と中間利息控除について、それぞれについて見ていきます。

2. 基礎収入

原則として、スポーツ事故の前年の年収を基礎収入額とします。

何か事情があって当該スポーツ事故の前年の年収が低かったという場合、事故時の年齢が概ね30歳未満の若年労働者の場合、主婦の方など家事や家族の介護に従事していたという場合、事故時無職だったがスポーツ事故に遭わなければ就職する予定だったという場合などでは、厚生労働省の出している平均賃金をベースとした金額を基礎収入額にすることができる場合があります。

3. 労働能力喪失率

労働能力喪失率は、スポーツ保険の認定した後遺障害等級、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位・程度、事故前後の稼働状況などを総合的に判断して決められることになります。
なお、等級に応じた労働能力喪失率は下記のように定められていて、これを参考に事案ごとの労働能力喪失率を考えていくことになります。

(労働省労働基準局長通牒昭和32年7月2日基発第551号)

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級 8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
100% 100% 100% 92% 79% 67% 56% 45% 35% 27% 20% 14% 9% 5%

労働能力喪失率についての詳しい解説はこちらのページをご覧ください。

4. 労働能力喪失期間と中間利息控除

労働能力喪失期間

始期

症状固定日が始期となります。
ただし、学生・児童・幼児については、18歳を始期とすることが多いです。
学生の場合で、大学卒業を前提として逸失利益を計算する場合は、大学卒業予定の年を始期とします。

終期

終期は、原則として67歳までとされています。
ただし、職種・地位・健康状態・能力等によって、67歳を超える期間が終期とされることがあります。

高齢者が元気な時代ですから、今後は例外の裁判例が多く登場していく可能性があり、もしくは、終期67歳という原則自体が変更になる可能性があります。
67歳を超える人については、簡易生命表の平均余命の1/2が労働能力喪失期間とされます。
67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人についても、簡易生命表の平均余命の1/2が労働能力喪失期間とされます。

中間利息控除

逸失利益というのは、被害者が将来長期間にかけて取得するはずであった利益を、現在の一時金としてまとめて支給するものなので、本来ならばただちに手に入らないはずの金銭を受領して利息を得ることができるのは不公平な結果となるという理屈から控除がなされるものです。

具体的には、法定利率での利息を得ることができるだろうと考えられていて、その分が引かれることになっています。

なお、民法改正により令和2年4月1日以降と、令和2年3月31日以前とで、法定利率が異なっていますので、それに伴って中間利息控除の係数であるライプニッツ係数も変わってきます。

労働能力喪失期間 令和2年4月1日以降の
スポーツ事故
令和2年3月31日以前の
スポーツ事故
1 0.9709 0.9524
2 1.9135 1.8594
3 2.8286 2.7232
4 3.7171 3.5460
5 4.5797 4.3295
6 5.4172 5.0757
7 6.2303 5.7864
8 7.0197 6.4632
9 7.7861 7.1078
10 8.5302 7.7217
11 9.2526 8.3064
12 9.9540 8.8633
13 10.6350 9.3936
14 11.2961 9.8986
15 11.9379 10.3797
16 12.5611 10.8378
17 13.1661 11.2741
18 13.7535 11.6896
19 14.3238 12.0853
20 14.8775 12.4622
21 15.4150 12.8212
22 15.9369 13.1630
23 16.4436 13.4886
24 16.6967 13.7986
25 17.4131 14.0939
26 17.8768 14.3752
27 18.3270 14.6430
28 18.7641 14.8981
29 19.1885 15.1411
30 19.6004 15.3725
31 20.0004 15.5928
32 20.3888 15.8027
33 20.7658 16.0025
34 21.1318 16.1929
35 21.4872 16.3742
36 21.8323 16.5469
37 22.1672 16.7113
38 22.4925 16.8679
39 22.8082 17.0170
40 23.1148 17.1591
41 23.4124 17.2944
42 23.7014 17.4232
43 23.9819 17.5459
44 24.2543 17.6628
45 24.5187 17.7741
46 24.7754 17.8801
47 25.0247 17.9810
48 25.2667 18.0772
49 25.5017 18.1687
50 25.7298 18.2559
51 25.9512 18.3390
52 26.1662 18.4181
53 26.3750 18.4934
54 26.5777 18.5651
55 26.7744 18.6335
56 26.9655 18.6985
57 27.1509 18.7605
58 27.3310 18.8195
59 27.5058 18.8758
60 27.6756 18.9293
61 27.8404 18.9803
62 28.0003 19.0288
63 28.1557 19.0751
64 28.3065 19.1191
65 28.4529 19.1611
66 28.5950 19.2010
67 28.7330 19.2391
68 28.8670 19.2753
69 28.9971 19.3098
70 29.1234 19.3427
71 29.2460 19.3740
72 29.3651 19.4038
73 29.4807 19.4322
74 29.5929 19.4592
75 29.7018 19.4850
76 29.8076 19.5095
77 29.9103 19.5329
78 30.0100 19.5551
79 30.1068 19.5763
80 30.2008 19.5965
81 30.2920 19.6157
82 30.3806 19.6340
83 30.4666 19.6514
84 30.5501 19.6680
85 30.6312 19.6838
86 30.7099 19.6989

治療関係費

1. 治療費

必要かつ相当な実費全額が認められます。

2. 整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の治療関係費について

症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にあるとされています。

病院での治療費については、治療期間について争われることはあるものの、治療内容について必要性・有効性などが争われることは少ないですが、整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の治療類似行為については争われることが多いです。

医師の指示がポイントとなってくるため、仕事の都合などで整形外科に通いづらく整骨院に通いたいという方については、その旨、整形外科医に話をして、指示や同意を取り付けることが重要となってきます。

交通費

1. 通院交通費

通院交通費の基準は下記のとおりです。
・タクシーで通院する必要ある場合は、タクシーの実費相当額。
・電車やバスで通院をした場合は、電車代やバス代の実費相当額。
・車で通院をした場合は、自宅から病院までの距離に対し1㎞あたり15円。

なお、タクシー代については、スポーツ事故で足の骨折をしてしまったような場合には認められやすくなりますが、歩行可能なケガの場合には、タクシー通院の必要性が否定されてしまう事例もあります。

2. 将来の通院交通費

重度の後遺症が残ってしまい、症状固定後も通院が必要と判断される場合には平均余命までの将来治療費が認められることになっています。
将来治療費が認められる場合は、将来治療する際にかかる通院交通費も認められます。

3. 付添人交通費

近親者が入院中の被害者に付添い看護している場合、付添人が病院へ訪れる際の交通費も、被害者本人の損害として認められることになっています。
また、スポーツ事故被害者の通院に付添い看護しているという場合も、被害者本人の交通費のみならず、付添人の交通費も被害者本人の損害として認められることになっています。

4. 見舞いのための交通費や駆けつけ費用

入院看護ではなく、見舞いのために近親者が病院へ行った際の交通費も認められることがあります。
子どもが入院している場合や、スポーツ事故での被害が重大な場合に認められる傾向にあります。

5. 通勤交通費

スポーツ事故の前は電車・バス・自家用車などで通勤していたが、足のケガなどにより従来の通勤方法では通勤できなくなり、タクシーを利用して通勤したという場合、このタクシー代が事故による損害として認められることがあります。

入院雑費

入院日額1500円が入院雑費として認められることになっています。

子どもの関係の損害(入通院付添費・学習費・保育費・通学付添費など)

1. 入通院付添い費

お子様がスポーツ事故に遭われてしまった場合、その入通院の付添い費がお子様本人の損害として認められる傾向にあります。

入院付添費の裁判基準額は日額6500円、通院付添い費の裁判基準額は日額3300円となっています。
なお、親御さんが仕事を休んで、お子様の入通院に付き添われた場合、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記入通院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を入通院付添費として請求していくことになります。

2. 学習費

スポーツ事故によって進級遅れとなった場合、卒業遅れとなった場合、休学となった場合の授業料・入学金や、留年のためのアパート賃料の延長分などが損害として認められます。

これらのほか、学習の遅れや学力不足を取り戻すための補修費、家庭教師の謝礼についても、必要性が認められる場合には、実費相当額が損害として認められます。

3. 保育費・看護費

普段幼児等の保育や看護にあたっている親がスポーツ事故に遭ってしまった場合や、お子様がスポーツ事故に遭ったため付添看護をしなくてはならなくなり被害児童の弟や妹の保育や看護ができなくなった場合など、第三者に保育・看護を委託する必要性が認められる場合は、その実費相当額が損害として認められます。

4. 通学付添費

お子様がスポーツ事故に遭ってしまった場合、必要性が認められれば、通学付添費が認められることになっています。

通学付添費の算定は、下記のとおりです。
・タクシーで通学する必要ある場合は、タクシーの実費相当額。
・電車やバスで通学付添いをした場合は、電車代やバス代の実費相当額。
・親が自家用車で送り迎えをした場合は、自宅から学校までの距離に対し1㎞あたり15円。

損害賠償請求関係費用その他

診断書代、スポーツ事故によって無駄になってしまった支払済みの教育費や旅行代金などが損害賠償請求関係費用その他の損害として認められることがあります。

遅延損害金

スポーツ事故の日から遅延損害金が発生します。
その利率については、令和2年3月31日までのスポーツ事故の場合は5%とされています。

令和2年4月1日以降の利率は、事故日によって異なるとされています(民法第404条3項)。
なお、令和2年4月1日から令和8年3月31日までのスポーツ事故の場合は3%と決まっています(民法第404条2項,令和4年法務省告示第64号)

弁護士費用

民事訴訟を提起すると、判決で認容された損害額の10%程度が弁護士費用の損害として更に認定されます。
なお、裁判で認定された弁護士費用は、実際依頼する弁護士に支払う弁護士費用とは別物です。
当事務所にご依頼いただく場合の弁護士費用については、こちらをご覧ください

重度後遺障害特殊の損害

スポーツ事故によって重傷・重体となってしまった場合、下記の損害が認められることがあります。

1. 近親者慰謝料

死亡事故の場合にも比肩し得べき精神上の苦痛を受けたときは、民法第709条,710条に基づいて、事故に遭った被害者のご家族自身が近親者慰謝料を請求できるとされています(最高裁判所昭和33年8月5日判決 最高裁判所民事判例集第12巻12号1901頁)。

2. 症状固定後の治療費・将来の治療費

症状固定とされた場合、これ以上治療しても症状は改善せず、後遺症として残ってしまうとの判断がされたということですから、症状固定日以降の治療費は原則として認められません。
ただし、①いわゆる植物状態(遷延性意識障害)などで生命を維持するうえで症状固定後の治療の必要性・蓋然性が認められる場合、②治療によって症状の悪化を防止する必要性が認められる場合、③症状固定後も強い身体的苦痛が残り、苦痛を軽減するための治療の必要性が認められる場合などについては、症状固定後の治療費や将来の治療費が認められるものとされています。
ちなみに、症状固定後の治療費とは症状固定後に出費した治療費のことです。

将来の治療費とは平均余命までの間に出費するであろう将来の治療費のことで、症状固定後の治療費と異なり、まだ出費のないものをいいます。

3. 入院付添費

被害者が入院している間の、家族の付添い費用が認められることがあります。

入院付添費は、日額6500円というのが裁判の一般的な基準とされていますが(東京地方裁判所平成25年3月7日判例タイムズ1394号50頁など)、症状の程度や被害者が幼児・児童である場合は1割~3割の範囲で増額が考慮されることがあります(7150円~8450円)。
また、仕事を休んで入院に付き添ったという場合で、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記入院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を入院付添費として請求していくことになります。

4. 通院付添費

スポーツ事故により足を骨折して歩行できない、まだ子どもであるため1人で通院できないといった場合、家族の通院付添い費が認められることがあります。

通院付添費は、日額3300円というのが裁判の一般的な基準とされていますが、事情に応じて増額されることがあります。
また、仕事を休んで通院に付き添ったという場合で、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記通院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を通院付添費として請求していくことになります。

5. 自宅付添費

退院後に自宅療養している間、ご家族が自宅で付添い看護をしているという場合、自宅付添費が認められることがあります。

裁判基準日額というものは決まっていませんが、入院付添費の日額6500円というのが目安になります。
ただし、入院時よりも症状が改善していることが多いと思われますので、事情によっては日額6500円よりも低額の認定となることがあります。

他方で、入院中は看護師による完全看護体制が取られているのに対し、自宅看護中はご家族が主に看護をしなければならなくなりますから、入院付添費よりも高額の日額算定がなされることもあります。

6. 将来介護費

スポーツ事故により重度の後遺症を残してしまい、今後もずっと介護が必要であるという方については、将来介護費が認められることになっています。

職業付添人に介護を頼んでいる場合や、介護施設に入所している場合については、その実費相当額が認められます。
ご家族の方が介護をしているという場合は、日額8000円が裁判基準とされています。

ただし、これらについては、具体的看護状況によって増減することがあるとされています。
また、子どもがスポーツ事故に遭い重度の後遺症を残してしまい、親がその介護をしているという場合は、親が67歳になるまでは近親者介護として計算し、親が67歳となった以降は職業付添人介護として将来介護費を算定することが多いです。

7. 将来雑費

スポーツ事故により重度の後遺症を残してしまい、おむつ代などの雑費の出費を余儀なくされているという場合、平均余命までの将来雑費が損害として認められることがあります。

8. 装具・器具等購入費

車いす・介護用ベッドなどの装具・器具の購入費は、必要性があれば認められることになっていて、また、同じものを一生使い続けるわけにはいきませんから、耐用年数に応じた将来の買い替え費用も請求できることになっています。

9. 家屋改造費・自動車改造費・転居費用等

スポーツ事故被害者の後遺症の内容や程度からして、必要性が認められる場合には、家屋改造費・自動車改造費・転居費用・家賃差額・自動車購入費などの相当額が認められることになっています。
ただし、バリアフリー化などはスポーツ事故被害者以外の他の同居家族の便益となることもありますので、全額が損害として認められずに、支出した費用の一部のみが損害として認められることも多いです。

立証の良し悪しによって、認定額が変わってくる損害費目です。

死亡事故の損害

死亡慰謝料・遺族固有の慰謝料

1. はじめに

死亡事故の場合、お亡くなりになられてしまったスポーツ事故被害者本人の精神的苦痛の慰謝料請求(民法第709条,民法第710条)と、ご遺族の精神的苦痛の慰謝料請求(民法第711条)をすることができます。
被害者の方の慰謝料については、相続するご遺族が相続分に従って請求していくことになります。

2. 弁護士に依頼した場合の慰謝料相場

裁判基準の慰謝料相場は、お亡くなりになられたスポーツ事故被害者の方の属性によって分けられていて、①一家の支柱:2800万円、②母親・配偶者:2500万円、③その他:2000万円~2500万円とされています。なお、これらの慰謝料相場は、お亡くなりになられた被害者本人の慰謝料額と、遺族固有の慰謝料額の合計の金額とされています。

①「一家の支柱」とは、「当該被害者の世帯が,主として被害者の収入によって生計を維持している場合をいう」とされています

②「母・配偶者」というのは、お亡くなりになられた方が、母親であったり配偶者であったりした場合です。

③「その他」というのは、上記①及び②以外ということになりますが、お子様がお亡くなりになられた場合や、高齢者死亡事故がここに該当するものとされています。「その他」は2000万円~2500万円と幅のある相場となっていますが、一般には、お子様の場合は高水準になりやすく、高齢者の場合には低水準になりやすいとされています。

なお、上記死亡慰謝料額相場はあくまで目安であり、当事務所では、上記死亡慰謝料相場を大きく超える解決事例が多数あります。また、死亡慰謝料額については、地方の裁判所よりも、東京地方裁判所の認容額が高くなる傾向がありますので、どの裁判所を選ぶかといった管轄の問題も重要となってきます。

3. 慰謝料請求ができる遺族の範囲

(ア)固有の慰謝料請求をすることのできるご遺族の範囲

① 父母
民法711条によって認められます。
なお、父母には養父母を含みます。

② 配偶者(夫又は妻)
民法第711条によって認められます。

③ 内縁の配偶者
民法第711条の類推適用によって認められます。
内縁関係が認められるかどうかは、スポーツ事故被害者との同居の有無、同居期間、同一家計であるか否か、親族や勤務先等対外的社会的に夫婦として扱われていてかどうかといった事情を総合考慮して判断されています。
なお、内縁の配偶者の固有の慰謝料請求は、他の遺族の慰謝料請求よりも高額となることがほとんどです。
これは、内縁の配偶者には、相続権が認められないことが理由となっています。

④ 婚約者
スポーツ事故被害者の婚約者というだけでは、原則として固有の慰謝料請求は認められません。
ただし、死亡事故の際には既に同居を開始していた場合は、固有の慰謝料請求が認められる場合があります(大阪地方裁判所平成27年4月10日判決 自保ジャーナル1952号102頁)。

⑤ 子
民法711条によって認められます。
なお、子には養子、認知した子、胎児を含みます。

⑥ 未認知の子
同居して扶養しているといった事情のある場合には、民法711条類推適用によって認められます。

⑦ 兄弟姉妹
裁判例では、民法711条類推適用肯定例と否定例に分かれています。
父母・配偶者・子といった民法711条規定の者と実質的に同視できる身分関係にあったか否かと、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたか否か(最高裁判所昭和49年12月17日判決 最高裁判所民事判例集28巻10号2040頁参照)が判断のポイントになります。
なお、弁護士法人小杉法律事務所では、兄弟姉妹の慰謝料請求を行って、否定されたという例はこれまでございません。

⑧ 祖父母・孫
裁判例では、民法711条類推適用肯定例と否定例に分かれています。
兄弟姉妹と同様、民法711条規定の者と実質的に同視できる身分関係にあったか否かと、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたか否か(最高裁判所昭和49年12月17日判決 最高裁判所民事判例集28巻10号2040頁参照)が判断のポイントとなっています。
なお、弁護士法人小杉法律事務所では、祖父母やお孫さんの慰謝料請求を行って、否定されたという例はこれまでございません。

⑨ 義父母・親代わりの叔父叔母・内縁の配偶者の連れ子
これも兄弟姉妹や祖父母・孫と同様、民法711条規定の者と実質的に同視できる身分関係にあったか否かと、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたか否か(最高裁判所昭和49年12月17日判決 最高裁判所民事判例集28巻10号2040頁参照)が判断のポイントとなっています。

(イ)スポーツ事故で亡くなられた被害者本人の慰謝料請求をすることができるご遺族の範囲
亡くなられた被害者本人の慰謝料については、相続人が請求することができます。なお、慰謝料に限らず、逸失利益など亡くなられた被害者本人に発生する損害はすべて相続人が請求することになります。

a 民法による相続人の規定の説明
(a)相続人は原則として配偶者と子
民法では、故人の配偶者(夫又は妻)は常に相続人となると規定されています(民法第890条)。
また、故人の子も相続人となると規定されています(民法第886条)。
故人に子がいる場合は、他の親族(父母・祖父母・兄弟姉妹など)が相続人となることは原則としてありません(民法第889条1項参照)。
以上より、相続人となるのは、原則として、配偶者と子ということになります。
なお、スポーツ事故被害者が死亡したときに子が胎児であったとしても、その後生まれた子は相続人として扱われます(民法第886条1項)。

(b)故人に子がいない場合
故人の子が既に亡くなっている場合は、孫が相続人となります(民法第887条2項)
故人の子も孫も既に亡くなっている場合は、ひ孫が相続人となります(民法第887条3項)。
故人に子・孫・ひ孫がいない場合は、父母が相続人となります(民法第889条1項1号)。
故人に子・孫・ひ孫がおらず、父母もいないが、祖父母はいるという場合は、その祖父母が相続人となります(民法第889条1項1号)。
故人に子・孫・ひ孫がおらず、かつ、父母や祖父母といった直系の先祖(直系尊属といいます。)もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となります(民法第889条1項2号)。
故人に子・孫・ひ孫がおらず、かつ、父母や祖父母といった直系の先祖(直系尊属といいます。)もおらず、兄弟姉妹も既に死亡しているという場合で、その死亡した兄弟姉妹に子がいるという場合は、その兄弟姉妹の子が相続人となります(民法第889条2項・第887条2項)。

(c)内縁の配偶者や同性のパートナーは相続人となりません
内縁の配偶者や同性のパートナーは、現行法上は相続人とならないとされています。
ただし、民法の改正や判例法理によって、今後これらの者が相続人となることはあり得ますし、そうなっていくのではないかと予想されます。
また、現状、相続が認められないのみであって、内縁の配偶者や同性のパートナーが、亡くなられたスポーツ事故被害者に実質扶養されていたような場合には、扶養利益の喪失の損害賠償請求をすることができますし、前述した遺族固有の慰謝料を請求していくこともできます。

b 民法による相続分の規定の説明
(a)相続人が1人しかいない場合
相続人が1人しかいない場合は、故人に発生した損害賠償請求権のすべてが相続人に承継されます。

(b)相続人が配偶者と子の場合
配偶者と子が相続人の場合の相続分は、配偶者50:子50となります(民法第900条1号)。
例えば、子どもが1人の場合は配偶者50:子50となり、子どもが2人の場合は配偶者50:子25:子25となります。
配偶者には半分の相続分があり、残りの半分を子で等しく分けるということになります(民法第900条4号)。

(c)相続人が配偶者と直系尊属の場合
配偶者と直系尊属が相続人の場合の相続分は、配偶者2/3・直系尊属1/3となります(民法第900条2号)。
例えば、相続人が配偶者と父といった場合は配偶者2/3・父1/3となり、相続人が配偶者と父母といった場合は配偶者2/3・父1/6・母1/6となります。
配偶者には2/3の相続分があり、残りの1/3を直系尊属で等しく分けるということになります(民法第900条4号)。

(d)相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合の相続分は、配偶者3/4・兄弟姉妹1/4となります(民法第900条3号)。
例えば、相続人が配偶者と姉といった場合は配偶者3/4・姉1/4となり、相続人が配偶者と姉弟といった場合は配偶者3/4・姉1/8・弟1/8となります。
配偶者には3/4の相続分があり、残りの1/4を兄弟姉妹で等しく分けるということになります(民法第900条4号)。

(e)特別受益と寄与分
相続人の中に、生前のスポーツ事故被害者から贈与を受け取っていたなどの特別受益を受けた者がいる時は、特別受益を受けた相続人は、他の相続人よりも相続分が低くされます(民法第903条)。
他方で、相続人の中で、生前のスポーツ事故被害者の事業に関して労務を提供したり、療養看護をするなどして、被害者の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がいる時は、寄与した相続人は、他の相続人よりも相続分が高くされます(民法第904条の2)。

(f)相続放棄
相続人の中で、相続放棄をした者は、初めから相続人でなかったものとみなされます(民法第939条)。

c 遺産分割
遺産分割をすることによって、以上の相続分と異なる配分とすることができます。

d 遺言と遺留分
スポーツ事故被害者が生前遺言を書いていた場合には、その遺言に従うことになります。
ただし、遺言によって法定相続分を承継することができなくなった配偶者や子は、受遺者(遺言によって権利を承継する者)に対して、本来の相続分の1/2を遺留分として請求することができます(民法第1028条2号)。
また、直系尊属のみが相続人である場合は、受遺者(遺言によって権利を承継する者)に対して、本来の相続分の1/3を遺留分として請求することができます(民法第1028条1号)。

死亡逸失利益(被害者がスポーツ事故に遭っていなければ稼いでいたであろう損害)

1. 死亡逸失利益は最も大事な損害費目と評価できます

スポーツ死亡事故の場合、今後も仕事をして稼ぎを得ることができたのにそれができなくなった、これまで家事をしてくれていたのに今後それができなくなった、まだ学生だが将来は働いて稼ぎを得るはずだったのにそれができなくなった、といった事情が生じます。 こうした事情を損害賠償請求として表したものを「死亡逸失利益(しぼういっしつりえき)」と呼びます。

死亡逸失利益は、最も高額な損害費目となることも多く、スポーツ死亡事故の損害賠償請求の中でも大事な要素と位置づけられます。
この死亡逸失利益をどのように算定するかというと、①まず、スポーツ事故被害者が死亡しなければその後の就労可能期間において得ることができたと認められる年収(基礎収入といいます。)を算定します。②次に、スポーツ事故被害者がまだ存命だったとした場合、収入も得られますが、その分、生活費もかかってくるため、支出されたであろう生活費を控除します。③最後に、何歳まで働いていたかを決め、その年数を掛けます。ただし、一括して賠償金を受け取るため、中間利息の控除というものが行われます。

以上の①~③を計算式に直すと、「基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能期間の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」となります。

学生など若年の被害者の場合ですと、「基礎収入×(1-生活費控除率)×(就労可能期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数)」という計算式になります。

2. 基礎収入

基礎収入額が400万円になるのか800万円になるのかによって、死亡逸失利益の金額が倍変わってきます。
被害者の方がスポーツ死亡事故に遭わずに生きていたとしたら、どのくらいの稼ぎがあったのかについては、想像するほかありませんので、立証が難しい側面はありますが、基礎収入額は極めて重要な要素のため、被害者の方の属性に応じた丁寧な立証をしていく必要があります。
以下では、被害者の方の属性ごとに分けて、基礎収入の説明をしていきます。

・給与所得者(お給料をもらって働いている人)
・事業所得者(主に自営業者)
・会社役員
・家事従事者(主婦・主夫・家族の介護をしている人など)
・学生・児童・幼児
・失業者
・高齢者
・外国人

(ア)給与所得者(お給料をもらって働いている人)

原則として、スポーツ事故の前年の年収を基礎収入額とします。
何か事情があって、スポーツ事故の前年の年収が低かったという場合は、その事情を説明して、賃金センサスというものを基礎収入額にすることができる場合があります。
また、スポーツ事故時の年齢が概ね30歳未満の若年労働者の場合も、原則として賃金センサスを基礎収入額とすることができます。

(イ)事業所得者(主に自営業者)

原則として、スポーツ事故前年の確定申告の事業所得を基礎収入額とします。
ただし、自営業者の場合、節税の関係などから、申告所得と実際の収入が異なることもよくあります。
その場合、申告所得よりも実際の収入が高いことを立証して、実際の収入を基礎収入額とすることを目指します。
経費として挙げられているが実際は所得に近いもの、例えば、経費として挙げているが実際はプライベートで使用している車があるといった場合は、その経費性を否認して所得を上げるといったことを行います。
また、申告所得が低い場合、賃金センサスを基礎収入額とするよう求めていくこともあります。

(ウ)会社役員

会社役員といっても、様々です。
従業員よりも働いている方もいらっしゃいますし、役職だけあって一切労働はしていないという方もいらっしゃいます。
会社役員の基礎収入は、働いた分の対価として収入を得ている場合には、その金額が基礎収入額となり、働かないで収入を得ている場合(実質株式配当と同じだと言えるようなケース)は、その金額は基礎収入額とは認められていません。

(エ)家事従事者(主婦・主夫・家族の介護をしている人など)

主婦、主夫、家族の介護をしている人がスポーツ事故で死亡した場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とするとされています(最高裁判所昭和49年7月19日判決 判例時報748号23頁参照)。
具体的には、令和3年のスポーツ事故の場合ですと、基礎収入額が385万9400円とされます(他の年のスポーツ死亡事故の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。
家事(又は介護)もしているし仕事もしているという人の場合は、仕事の収入と賃金センサスの金額とのいずれか高い方の金額が基礎収入額とされます。

(オ)学生・児童・幼児

学生・児童・幼児が動物事故で死亡した場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入額とするとされています。
例えば、令和3年の男の子のスポーツ死亡事故の場合ですと、基礎収入額は546万4200円とされます(他の年の死亡事故の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。
女の子の場合の令和3年賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額は385万9400円とされていますが、男の子の場合との金額の差が大きく、時代にそぐわないので、女の子のスポーツ死亡事故の場合には、男女差をできるだけなくす観点から男女計の賃金センサスを用いる裁判例が増えています。令和3年の男女計の賃金センサスは489万3100円とされています。

(カ)失業者

失業者がスポーツ死亡事故に遭ってしまった場合、相手方からは働いていなかったのだから死亡逸失利益は払いませんと言われることがあります。
しかしながら、労働能力があって、労働意欲もあって、就労の蓋然性があることを立証できれば、死亡逸失利益は認められます。
基礎収入額は、再就職によって得られるであろう収入が基礎とされますが、その場合、特段の事情のない限り失業前の収入が参考とされます。
また、賃金センサスを用いて認定するケースも多いです。

(キ)高齢者
a 仕事で収入を得ている場合

高齢者であっても、実際に仕事をしていて収入を得ていれば、スポーツ死亡事故の前年の年収が基礎収入額として認められることが多いです。
ただし、役員報酬である場合には、労働の対価として受け取っていることが立証される必要があります。

b 同居家族のために家事をしていたり配偶者の介護をしている場合
高齢者であっても、実際に家事や介護をしていれば、家事従事者として死亡逸失利益が認められます。
年齢別の賃金センサスが採用されることが多いですが、多くの家事労働をこなしている場合や、重労働の介護をしている場合などには全年齢の賃金センサスが採用されることがあります。
全年齢の賃金センサスが採用された裁判例としては、東京地方裁判所平成8年5月28日判決(70歳:交通事故民事裁判例集第29巻3号791頁)、横浜地方裁判所平成13年12月21日判決(67歳:自保ジャーナル1441号22頁)、横浜地方裁判所平成21年7月2日判決(82歳:自保ジャーナル1798号13頁)、大阪地方裁判所平成22年2月9日判決(75歳:交通事故民事裁判例集第43巻1号140頁)、前橋地方裁判所平成28年6月17日判決(79歳:自保ジャーナル1983号25頁)、東京高等裁判所平成28年11月17日(70歳:自保ジャーナル1990号1頁)、横浜地方裁判所平成30年11月2日(66歳:自保ジャーナル2038号1頁)などがあります。
令和3年の死亡事故の場合ですと、70歳以上の賃金センサスは286万8300円、全年齢の賃金センサスは385万9400円とされていて、年齢別とされるか全年齢とされるかで大きな差が出てきます。
最近の高齢者は元気ですから、30代主婦などと比較しても、多くの家事労働をこなしているケースも多く、その点をご遺族の話から丁寧に立証をして、全年齢平均賃金での死亡逸失利益を目指していくことが重要です。

c 年金
年金も基本的には死亡逸失利益の基礎収入額として認められます。ただし、遺族年金などスポーツ事故被害者の方が保険料を拠出したとは認められないものについては否定される傾向にあります。
具体的には、下記の種類の年金が死亡逸失利益の基礎収入額として裁判例で認められています。
①国民年金(老齢年金)(最高裁判所平成5月9月21日判決 判例時報1476号120頁)
②国民年金の振替加算額(東京地方裁判所平成28年10月31日判決交通事故民事裁判例集第49巻5号1320頁、大阪地方裁判所平成30年5月7日判決交通事故民事裁判例集第51巻4号792頁)
③老齢厚生年金(東京地方裁判所平成13年12月20日判決 交通事故民事裁判例集第34巻6号1651頁)
④農業年金(経営移譲年金及び農業者老齢年金)(神戸地方裁判所平成18年12月15日判決 交通事故民事裁判例集第39巻6号1756頁)
⑤地方公務員の退職年金給付(最高裁判所平成5年3月24日判決 判例時報1499号49頁)
⑥国家公務員の退職年金給付(最高裁判所昭和50年10月24日判決 判例時報798号16頁)
⑦港湾労働者年金(神戸地方裁判所平成8年12月20日判決 交通事故民事裁判例集第29巻6号1824頁)
⑧恩給(最高裁判所昭和41年4月7日 判例時報449号44頁)
⑨国民年金法に基づく障害基礎年金の内の子の加算分を除いた本人分(最高裁判所平成11年10月22日判決 判例時報1692号50頁)
⑩厚生年金保険法に基づく障害厚生年金の内の妻の加給分を除いた本人分(最高裁判所平成11年10月22日判決 判例時報1692号50頁)
⑪労働者災害補償法に基づく障害補償年金及び障害特別年金(東京地方裁判所平成7年3月28日判決 判例タイムズ904号184頁)
⑫私学共済年金(退職年金)(名古屋地方裁判所平成22年5月21日判決 交通事故民事裁判例集第43巻3号657頁)

(ク)外国人
外国人のスポーツ死亡事故の場合は、在留資格によって扱いが変わってきます。

a 在留活動に制限がない在留資格がある場合
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者については、日本人とまったく同じに算定することになります。 従いまして、日本で給料を得ている永住者等については「ア 給与所得者」、日本で自営業を営む永住者等については「イ 事業所得者」、日本で会社役員をされている永住者等については「ウ 会社役員」、日本人の夫を持つ外国人妻又は日本人の妻を持つ外国人夫で家事をされている方については「エ 家事従事者」、学生・児童・幼児の永住者等は「オ 学生・児童・幼児」、失業中の永住者等は「カ 失業者」、高齢の永住者等は「キ 高齢者」と同じ算定になりますので、各パートの説明を御覧ください。

b 就労可能な在留資格を持っている外国人の場合
特殊技能等の就労可能な在留資格がある外国人は、日本において得ていた収入を基礎収入額とします。
ただし、在留期間の定めがありますので、算定の対象期間が在留期間を超える場合には、在留期間が更新される可能性のあることを立証した場合は在留期間以降も日本において得ていた収入を基礎収入額として、そうでない場合は母国の平均収入などを参考に基礎収入額とします。

c 留学生や日本で研修中の外国人
留学生・研修中の外国人の場合、本国の平均収入が参考にされることが多いですが、当該外国人の状況によって個別に判断されます。

①3か月の研修目的で来日中の韓国国立保健員勤務の獣医の場合 本国での年収(東京地方裁判所平成5年1月28日 判例時報1457号115頁)、
②中国籍の新聞販売奨学生 5年間は日本での年収、その後3年間は賃金センサス男性学歴計30歳~34歳、その後67歳までは日本の年収の1/3(東京地方裁判所平成9年12月24日判決 交通事故民事裁判例集第30巻6号1832頁)
③中国籍大学院生 大学院修了後の10年間は賃金センサス男性学歴計全年齢、その後67歳までは賃金センサス男性学歴計全年齢の1/3(東京地方裁判所平成10年3月25日判決 交通事故民事裁判例集第31巻2号441頁)
④上海留学生 賃金センサス男性高専短大卒全年齢(名古屋地方裁判所平成16年9月29日判決 交通事故民事裁判例集第37巻5号1341頁)
⑤オーストラリア籍留学生 オーストラリア連邦2004年投影における製造業女性労働者の賃金(大阪地方裁判所平成19年7月12日判決 交通事故民事裁判例集第40巻4号891頁)

d 観光者や商用目的などの短期滞在者
本国に戻って生活することが通常なので、本国の収入が基礎収入とされます。

e 不法就労者・密入国者
スポーツ死亡事故後3年程度は日本に在留する可能性が高いことから、3年間は日本における現実収入額を基礎収入として、その後については本国の収入額を基礎として計算するという裁判例が多いです。

3. 生活費控除率

スポーツ事故被害者がまだ存命だったとした場合、収入も得られますが、その分、生活費もかかってくるため、支出されたであろう生活費を控除することになります。
自身で稼いだ収入をどの程度生活費に回すかは、扶養する者がいるか否かによっても異なってきますので、裁判例の傾向は、概ね下記のようになっています。

(ア)被扶養者が1人の場合 生活費控除率40%
1名を扶養しているという場合、稼ぎの内、自分のための生活費として費消した分は40%程度であるとして生活費控除がなされることが多いです。
ただし、被扶養者は1名ですが、その他に相応の扶養の要のある家族がいたようなケースでは、40%よりも低い生活費控除率とされることがあります。
例えば、被扶養者1名で35%の生活費控除率を認めた例として、金沢地方裁判所平成22年8月31日判決(自保ジャーナル1850号68頁)。

(イ)被扶養者が2人以上の場合 生活費控除率30%
2名以上を扶養しているという場合、稼ぎの内、自分のための生活費として費消した分は30%程度であるとして生活費控除がなされることが多いです。
離婚をして監護権を有してはいなかったが、別居する子どもたちの養育費を負担するなど別居家族の家計を支えていたというケースでも30%の生活費控除を認めた裁判例もあります(名古屋地方裁判所平成26年12月19日判決 交通事故民事裁判例集第47巻6号1584頁)。

(ウ)女性 生活費控除率30%
女性の場合、自分のための生活費として費消した分は30%程度であるとして生活費控除がなされることが多いです。

(エ)女子年少者 生活費控除率40%~45%
女子年少者の場合、基礎収入額が賃金センサスの女性平均ではなく、男女平均とされることが多いため(詳しくはこちら)、生活費控除率は40%~45%とする裁判例が多いです。

(オ)男性 生活費控除率50%
男性の場合、自分のための生活費として費消した分は50%程度であるとして生活費控除がなされることが多いです。
ただし、結婚を約束していた女性がいたなど、将来一家の支柱となることが具体的に予想できる男性については、生活費控除率が30%~40%程度で算定されることがあります。

(カ)基礎収入が年金の場合
年金部分については、生活費控除率を通常の場合よりも高くする例が多いです。
ただし、死亡逸失利益性を有しない遺族年金などで生活費を賄えるといった事情がある場合には、生活費控除が行われないこともあります(大阪地方裁判所平成14年4月11日判決 交通事故民事裁判例集35巻2号514頁)。

4. 就労可能年数と中間利息控除

(ア)就労可能年数
a 始期

原則として、死亡した年が始期となります。
ただし、学生・児童・幼児については、18歳を始期とすることが多いです。
学生の場合で、大学卒業を前提として死亡逸失利益を計算する場合は、大学卒業予定の年を始期とします。

b 終期
終期は、原則として67歳までとされています。
ただし、職種・地位・健康状態・能力等によって、67歳を超える期間が終期とされることがあります。例えば、開業医や医学部生の場合70歳まで、税理士の場合75歳までとされた裁判例があります(京都地方裁判所平成7年12月21日判決自保ジャーナル1146号2頁、京都地方裁判所平成12年3月23日判決判例時報1758号108頁、大阪地方裁判所平成22年3月11日判決自保ジャーナル1840号57頁)。
高齢者が元気な時代ですから、今後は例外の裁判例が多く登場していく可能性があり、もしくは、終期67歳という原則自体が変更になる可能性があります。
67歳を超えるスポーツ事故被害者については、簡易生命表の平均余命の1/2が就労可能年数とされます。
67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人についても、簡易生命表の平均余命の1/2が就労可能年数とされます。
年金の死亡逸失利益については、簡易生命表の平均余命となります。

(ウ)中間利息控除
死亡逸失利益というのは、スポーツ事故被害者が将来長期間にかけて取得するはずであった利益を、現在の一時金としてまとめて支給するものなので、本来ならばただちに手に入らないはずの金銭を受領して利息を得ることができるのは不公平な結果となるという理屈から控除がなされるものです。
具体的には、法定利率での利息を得ることができるだろうと考えられていて、その分が引かれることになっています。
例えば、令和2年4月1日、年収700万円の50歳会社員(妻・子2人あり)がスポーツ事故に遭い死亡したという場合、生活費控除率30%、就労可能年数を17年として計算すると、700万円×(1-0.3)×17年=8330万円が逸失利益ということになりますが、これはもらいすぎであると考えられています。
具体的には、就労可能年数の17年をそのまま乗じるのではなく、中間利息控除が行われますので、17年に対応するライプニッツ係数13.1661年分の賠償金(700万円×(1-0.3)×13.1661=6451万3890円)をもらえば、17年間法定利率3%で運用することにより17年後に8330万円になると考えられています。
なお、民法改正により令和2年4月1日以降と、令和2年3月31日以前とで、法定利率が異なっていますので、それに伴って中間利息控除の係数であるライプニッツ係数も変わってきます。

【ライプニッツ係数(年金現価表)】

就労可能年数 令和2年4月1日以降の
スポーツ事故
令和2年3月31日以前の
スポーツ事故
1 0.9709 0.9524
2 1.9135 1.8594
3 2.8286 2.7232
4 3.7171 3.5460
5 4.5797 4.3295
6 5.4172 5.0757
7 6.2303 5.7864
8 7.0197 6.4632
9 7.7861 7.1078
10 8.5302 7.7217
11 9.2526 8.3064
12 9.9540 8.8633
13 10.6350 9.3936
14 11.2961 9.8986
15 11.9379 10.3797
16 12.5611 10.8378
17 13.1661 11.2741
18 13.7535 11.6896
19 14.3238 12.0853
20 14.8775 12.4622
21 15.4150 12.8212
22 15.9369 13.1630
23 16.4436 13.4886
24 16.6967 13.7986
25 17.4131 14.0939
26 17.8768 14.3752
27 18.3270 14.6430
28 18.7641 14.8981
29 19.1885 15.1411
30 19.6004 15.3725
31 20.0004 15.5928
32 20.3888 15.8027
33 20.7658 16.0025
34 21.1318 16.1929
35 21.4872 16.3742
36 21.8323 16.5469
37 22.1672 16.7113
38 22.4925 16.8679
39 22.8082 17.0170
40 23.1148 17.1591
41 23.4124 17.2944
42 23.7014 17.4232
43 23.9819 17.5459
44 24.2543 17.6628
45 24.5187 17.7741
46 24.7754 17.8801
47 25.0247 17.9810
48 25.2667 18.0772
49 25.5017 18.1687
50 25.7298 18.2559
51 25.9512 18.3390
52 26.1662 18.4181
53 26.3750 18.4934
54 26.5777 18.5651
55 26.7744 18.6335
56 26.9655 18.6985
57 27.1509 18.7605
58 27.3310 18.8195
59 27.5058 18.8758
60 27.6756 18.9293
61 27.8404 18.9803
62 28.0003 19.0288
63 28.1557 19.0751
64 28.3065 19.1191
65 28.4529 19.1611
66 28.5950 19.2010
67 28.7330 19.2391
68 28.8670 19.2753
69 28.9971 19.3098
70 29.1234 19.3427
71 29.2460 19.3740
72 29.3651 19.4038
73 29.4807 19.4322
74 29.5929 19.4592
75 29.7018 19.4850
76 29.8076 19.5095
77 29.9103 19.5329
78 30.0100 19.5551
79 30.1068 19.5763
80 30.2008 19.5965
81 30.2920 19.6157
82 30.3806 19.6340
83 30.4666 19.6514
84 30.5501 19.6680
85 30.6312 19.6838
86 30.7099 19.6989
5. 葬儀費用・墓石建立費など

一般に、葬儀(訪問客の接待も含みます。)やその後の法要(四十九日・百日の法要等)・供養等を執り行うためにする費用、仏壇、仏具購入費、墓碑建立費等については、150万円の範囲内で賠償を認めるという取扱いがなされています(なお、香典が引かれない代わりに香典返しは損害として認められていません。)。

総額が150万円に満たない場合には、現実の支出額の全額が認められます。
葬儀費用等の総額にかかわらず、遺体搬送料など葬儀を行わなくてもかかる費用については、葬儀費用とは別に損害として認められることになっています。
なお、事例によっては、150万円以上の葬儀費用が認められることもあり、弁護士法人小杉法律事務所でも150万円を超える葬儀費用を獲得した実績があります。

6. 駆けつけ費用

家族の病院への駆けつけ費用や、遠方の家族の葬儀参加のための費用などが認められることがあります。

MERIT

スポーツ事故における損害賠償請求や保険金請求を弁護士に依頼するメリット

不倫慰謝料・不貞慰謝料を弁護士に依頼

保険金や賠償額が高くなることが多いです

スポーツ保険の保険金請求は、後遺障害等級が何級になるかによって保険金額が大きく変わります。

後遺障害等級というのは法的判断と医学的判断の組み合わせによって行われますので、適切な後遺障害等級の獲得には高い専門性が要求されます。

当事務所の弁護士は、1級~14級まですべての等級についての経験があり、後遺障害等級の獲得を得意としています。
また、加害者・指導者・管理者等に対する損害賠償請求は、スポーツ事故の場合、相手方が責任を認めないことも多く、責任が否定されてしまっては賠償金額は0円となってしまいます。

スポーツの種類ごとに過失責任を認めさせる要件や要素が異なってきますので、相手方に損害賠償責任を認めさせるためには、スポーツ事故ごと・事案ごとの緻密な分析が必要となってきます。
また、相手方の責任を認めさせることができた後は、慰謝料などの損害賠償額がいくらになるのかを定めなくてはいけませんが、これもスポーツ事故被害者側専門の弁護士が介入することにより、金額が大きく上がることがほとんどです。

スポーツ事故の弁護士の選び方

弁護士選びは、専門性と相性が重要です。

スポーツ事故損害賠償請求における専門性がなければ、適切な賠償額を獲得することはできません。
ただし、いくらスポーツ事故損害賠償請求の専門性があったとしても、弁護士との相性が合わなければ適切な解決は困難です。
どのようなスポーツ事故の内容であったのか、どのようにお仕事がしづらくなったのか、どのような精神的苦痛を被ったのかといった責任認定や損害算定のために必要な事情は、依頼者と弁護士とのコミュニケーションがとれていなければ、適切な立証を行っていくことができません。

合う弁護士というのは人によって違うと思いますので、ご自身で法律相談をしてみて、合う弁護士と感じられるか試されるのが良いと思います。

弁護士費用について
相談料 着手金 報酬金
0円 19万8000円(税込) 認められた金額の
19.8%(税込)

※裁判をする場合は費用が異なります。詳しくは法律相談にてお尋ねください。
※スポーツ事故の場合、弁護士費用特約が使えることがあります。

ご依頼から解決までの流れ

01

電話・メール・LINE
によるお問い合わせ

02

法律相談

03

ご依頼

04

損害額や後遺症の調査・
スポーツ保険への保険金請求

05

内容証明郵便の発送など
による請求

06

示談交渉

07-A7A

示談による解決

07-B7B

裁判による解決

PATTERN

スポーツ事故別の弁護士解説

柔道事故

柔道
1. 柔道事故の損害賠償請求

柔道は危険性が高く、重度の後遺症を残すケースや死亡事故も多いです。
裁判例を見ると、損害賠償請求が認められるかどうかは、被害者の状況・習熟度などがポイントとされています。
また、柔道は室内競技であるため、指導者・管理者が何らの熱中症対策を取らずに柔道をさせていた場合には、損害賠償責任が認められることがあります。

2. 柔道事故で損害賠償請求が認められる具体例

CASE.01受け身をマスターしていない相手に技をかけたケース

(損害賠償額約1100万円熊本地方裁判所昭和45年7月20日判決判例時報621号75頁,損害賠償額約2000万円松江地方裁判所出雲支部昭和54年3月28日判決判例時報940号101頁,損害賠償額約330万円名古屋地方裁判所平成4年6月21日判決判例タイムズ800号244頁,損害賠償額約約1900万円松江地方裁判所平成5年12月8日判決判例タイムズ847号263頁)

CASE.02既に弱っている相手に対して、連続して技をかけたケース

(損害賠償額約1850万円 東京高等裁判所昭和52年4月27日判決 判例タイムズ357号253頁)

CASE.03技量差のある相手に対して乱暴な技をかけたケース

(損害賠償額約4900万円静岡地方裁判所平成6年8月4日判決判例時報1531号77頁,損害賠償額約3500万円新潟地方裁判所高田支部平成9年1月30日判決判例時報1633号124頁)

CASE.04症状を把握していたにもかかわらず、指導者が柔道を続行させた又は病院に受診させなかったケース

(損害賠償額約1億円東京高等裁判所平成21年12月17日判決判例時報2097号37頁,損害賠償額約1億5000万円福島地方裁判所郡山市部平成21年3月27日判決判例時報2048号79頁,損害賠償額約9000万円横浜地方裁判所平成23年12月27日判決判例時報2140号28頁,損害賠償額約1億3700万円札幌地方裁判所平成24年3月29日判決判例時報2148号101頁)

野球事故

野球
1. 野球事故の損害賠償請求

野球の場合、ルールに従ってプレーをしていれば、加害選手が損害賠償責任を負うことはほとんどありません。
ただし、ルールや練習方法に従わずにプレーをしたがために事故が生じた場合には、損害賠償請求が認められることがあります。
また、指導方法や練習方法が不適切であった場合にも、損害賠償請求が認められている裁判例が複数存在します。

2. 野球事故で損害賠償請求が認められる具体例

CASE.01主審にマスクをさせずに審判をさせ、ファールチップによって眼を負傷したケース

(損害賠償額約1700万円 京都地方裁判所平成5年5月28日判決 判例タイムズ841号229頁)

CASE.02外野にノックするつもりが打ち損じて、ライナーが内野手の顔面に当たり眼を負傷したケース

(損害賠償額約1400万円広島高等裁判所平成4年12月24日判決判例タイムズ823号154頁,損害賠償額約800万円名古屋地方裁判所平成18年11月28日判決 判例タイムズ1241号189頁)

CASE.03投球距離を短くした打撃練習で、打球が投手の頭部を直撃したケース

(損害賠償額約1億2000万円 東京高等裁判所平成6年5月24日判決 判例タイムズ849号198頁)

CASE.04防球ネットが破れているにもかかわらず打撃マシンによる打撃練習を継続し、打球が防球ネットの破れている箇所を通過して、マシンに球をいれていた選手が眼を負傷したケース

(損害賠償額約800万円 神戸地方裁判所平成11年3月31日判決 判例タイムズ1011号229頁)

CASE.05ダブルプレーの練習をしていた際に、ノックを補給したサードが、本来セカンドに送球するべきところを、いきなりファーストに送球したため、ファーストの選手が右眼を失明したというケース

(損害賠償額約3000万円 大阪地方裁判所平成11年7月9日判決 判例時報1720号161頁)

CASE.06公園でキャッチボールをしていたところ、付近の遊具で遊ぶ小学生に投球が当たり、死亡したケース

(損害賠償額約3000万円 仙台地方裁判所平成17年2月17日判決 判例タイムズ1225号281頁)

CASE.07バットを放り投げるスイング練習で、放り投げたバットが他の選手にあたり、目を失明したケース

(損害賠償額約5800万円 福岡地方裁判所小倉支部平成17年4月21日判決 判例タイムズ1896号136頁)

サッカー事故・フットサル事故

サッカー事故・フットサル事故
1. サッカー・フットサル事故の損害賠償請求

サッカー・フットサルの場合、ルールに従ってプレーをしていれば、加害選手が損害賠償責任を負うことはほとんどありません。

サッカー特有の点としては、サッカーゴールの下敷きになってしまう事故が挙げられ、この場合、管理者に損害賠償責任が認められることがあります。
また、グラウンドなどの敷地外へボールが飛び出してしまい、それによりバイクや自転車が転倒してしまうという事故があり、この場合、ボールを蹴った選手に損害賠償責任が認められることがあります。

2. サッカー・フットサル事故で損害賠償請求が認められる具体例

CASE.01サッカーゴール転倒による事故で設置管理者の損害賠償責任が認められたケース

(損害賠償額約1350万円岐阜地方裁判所昭和60年9月12日判決判例時報1187号110頁,損害賠償額約5060万円鹿児島地方裁判所平成8年1月29日判決判例タイムズ916号104頁)

CASE.02サッカー大会中の落雷事故で大会主催者などの損害賠償責任が認められたケース

(損害賠償額合計約3億円 最高裁判所平成18年3月13日判決判例時報1929号41頁)

CASE.03練習中にサッカーボールが道路に飛び出し、バイクが転倒したケース

(損害賠償額約1500万円 大阪地方裁判所平成23年6月27日判決 判例時報2123号61頁)

バスケットボール事故

バスケットボール

バスケットボールの場合、ルールに従ってプレーをしていれば、加害選手が損害賠償責任を負うことはほとんどありません。
ただし、ルールから逸脱した行動を行ったために事故となってしまった場合には、損害賠償請求が認められることがあります。
例えば、バスケットボールの試合中に、わざと顔面を蹴り上げたケースにおいて、加害選手に約4000万円の損害賠償責任が認められた事例があります(鹿児島地方裁判所平成23年11月22日判決)。
また、バスケットボールは体育館など室内で行われることが多いため、指導者・管理者が何らの熱中症対策を取らずにバスケットボールをさせていた場合には、指導者・管理者に損害賠償請求責任が認められることがあります。

ラグビー事故

ラグビー

ラグビーの場合、ルールに従ってプレーをしていれば、加害選手が損害賠償責任を負うことはほとんどありません。

他方、タックルなど高い危険性を有する行為が認められているスポーツであるため、指導者・管理者には危険の発生を未然に防止すべき細心の注意が要求されています。

大阪地方裁判所平成5年12月3日判決(判例タイムズ868号234頁)は、スクラムの練習中に頚髄損傷をしてしまったケースにおいて、約9400万円の損害賠償責任を認めています。

ゴルフ事故

ゴルフ
1. ゴルフ事故の損害賠償請求

ゴルフでは、周りの人に注意してスイングをしたり、ボールを打つ必要があり、注意を怠り他人にケガをさせた場合には、損害賠償責任を負うことになります。
また、ゴルフカートによる事故での損害賠償請求のケースもあります。

2. ゴルフ事故で損害賠償請求が認められる具体例

CASE.01スイングをした際、他者にクラブが当たってしまったケース

(損害賠償額約850万円東京地方裁判所平成2年9月19日判決判例タイムズ756号233頁,損害賠償額約1020万円神戸地方裁判所平成5年5月25日判決判例タイムズ840号172頁)

CASE.02打ったボールが他者に当たってしまったケース

(損害賠償額約1140万円東京地方裁判所平成3年9月26日判決判例タイムズ775号190頁,損害賠償額約4200万円東京地方裁判所平成6年11月15日判決884号206頁,損害賠償額約2400万円東京高等裁判所平成11年11月2日判決判例時報1709号35頁,損害賠償額約1050万円名古屋地方裁判所平成14年5月17日判決判例時報1807号124頁,損害賠償額約2220万円大阪地方裁判所平成17年2月14日判決判例タイムズ1199号249頁)

CASE.03ゴルフカートの事故

(損害賠償額約8010万円 東京地方裁判所平成17年1月17日 交通事故民事裁判例集38巻1号57頁)

スイミング事故

水泳

スイミング事故は件数は少ないですが、事故となってしまった場合には、重い後遺症が残ってしまったり、死亡してしまうというケースが多く、数千万円の損害賠償請求が認められている例が多数存在します。

類型としては、飛込みの際の事故と溺れてしまった事故が多くなっていて、損害賠償請求が認められるか否かは、指導者・管理者の監視体制がどのようなものであったかがポイントとされます。

スキューバダイビング事故

スキューバダイビング

スキューバダイビングの場合、事故となってしまった場合には、重い後遺症が残ってしまったり、死亡してしまうというケースが多く、1億円前後の高額な損害賠償請求が認められている例が多数存在します。

損害賠償請求が認められるか否かは、引率者・インストラクターが事故を防ぐための措置を適切に行っていたかどうかがポイントとなってきます。
なお、事故があったとしても、ダイビング主催会社やインストラクターに対して損害賠償請求をしない旨の免責同意書にサインをさせられるケースがありますが、これは消費者契約法第10条ないし民法第90条に反し無効とされますので、免責同意書にサインをしてしまったからといって、損害賠償請求ができなくなるわけではありません。

スキー事故・スノーボード事故

スキー事故・スノーボード事故 
1. スキー・スノーボード事故の損害賠償請求

スキー・スノーボードについては、事故が多く、損害賠償請求が認められた裁判例も多数存在します。

最高裁判例は、「スキー場において上方から滑走する者は、前方を注視し、下方を滑走している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う」としていて(最高裁判所平成7年3月10日 判例時報1526号99頁)、衝突事故においては上から滑ってきた者が原則的に責任を負うものとされています。
また、初心者がスキーやスノーボードを習っているという場合、指導者・インストラクター・その所属会社が損害賠償責任を負うことがあります。
さらに、滑落危険箇所に防護ネットなどを設置していなかったために事故になってしまったという場合には、スキー場経営会社やゲレンデの管理会社が損害賠償責任を負うことがあります。

2. スキー・スノーボード事故の損害賠償請求が認められる具体例

CASE.01転落事故

(損害賠償額約820万円東京地方裁判所平成2年3月26日判決判例タイムズ737号173頁,損害賠償額約3620万円東京高等裁判所平成10年11月25日判決判例時報1662号96頁,損害賠償額約6410万円東京地方裁判所平成12年7月4日判決判例タイムズ1056号218頁)

CASE.02衝突事故

(損害賠償額約750万円東京地方裁判所平成7年3月3日判決判例時報1560号114頁,損害賠償額約5940万円大阪高等裁判所平成18年4月27日判決判例時報1940号124頁)

登山事故

登山
1. 登山事故の損害賠償請求

遭難、滑落、転倒などの事故が登山やロッククライミングでは生じることがあります。
仲間うちで登山などを行う場合には、パートナーに決定的な過失がない限りは、損害賠償請求をすることが難しいとされています。
他方で、ツアーなど引率型の登山では、指導者・引率者やそれらの者が所属する組織に対して損害賠償請求をすることができることがあります。

2. 登山事故で損害賠償請求が認められる具体例

CASE.01雪が降っている・道が凍結しているといった危険な状況下で登山をさせたケース

(損害賠償額約2130万円静岡地方裁判所昭和58年12月9日判決判例タイムズ513号187頁,損害賠償額約6500万円最高裁判所平成2年3月23日判決判例タイムズ725号57頁,損害賠償額約8500万円長野地方裁判所松本支部平成7年11月21日判決判例時報1585号78頁,損害賠償額約8360万円富山地方裁判所平成18年4月26日判決判例タイムズ1244号135頁)

CASE.02ロッククライミングにおける転落事故

(損害賠償額約4320万円 横浜地方裁判所平成3年1月21日判決 判例タイムズ768号192頁)

CASE.03熱中症となったケース

(損害賠償額約5100万円 浦和地方裁判所平成12年3月15日判決 判例タイムズ1098号134頁)

CASE.04吊り橋が落下したケース

(損害賠償額約2450万円 最高裁判所平成元年10月26日判決 判例タイムズ717号96頁)

スカイダイビング事故

スカイダイビング

強風の中でスカイダイビングを実施した場合、パラシュートが開かずに落下してしまった場合など、スカイダイビングでの事故の場合、主催会社に対して損害賠償請求をすることができます。
横浜地方裁判所平成21年6月16日判決(判例時報2062号105頁)では、主催会社に対する1億円以上の損害賠償請求が認められています。

FAQ

スポーツ事故でよくある質問

スポーツ事故でよくある質問

スポーツイベントに参加をしてケガをしてしまったのですが、参加する前に、「主催者は一切の損害賠償責任を負わない」という内容の免責同意書にサインしていしまっています。
この場合、損害賠償請求はできなくなるのでしょうか?

なぜケガをしたのかによりますが、免責同意書や免責約款は公序良俗(民法第90条)に反し無効であるとする裁判例が複数存在します(東京地方裁判所平成13年6月20日判決 判例タイムズ1074号219頁など)。
従いまして、免責同書にサインしたからといって損害賠償請求ができなくなるわけではありません。
まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

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