後遺障害等級の解説

骨折 上肢 神経症状

中手骨骨折の後遺症について(弁護士法人小杉法律事務所監修)

はじめに

中手骨は手の甲にある骨で、左右の手にそれぞれ5本ずつあります。上のイラストでは青色で塗られた骨です。指先の方にMP関節(中手指節関節)があります。

本記事では交通事故等の外傷で中手骨骨折を受傷した場合に認定されうる後遺症について記載します。

中手骨の位置や構造、どのような場合に骨折するのか、骨折した場合の症状はどのようなものかなどについてはこちらの記事をご覧ください。

中手骨骨折で認定されうる後遺症にはどのようなものがあるか

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。

神経症状

骨折部位の痛みやしびれ等の症状です。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

機能障害

関節部位に動かしにくさの傷害が残った場合ですが、発生した中手骨骨折が各手指の付け根部分の関節(MP関節)の動きにくさに影響を及ぼしている場合、以下の後遺障害が認定される可能性があります。

おや指では中手指節関節(MP)または指節間関節(IP)、他の四本の指では、中手指節関節(MP)または近位指節間関節(PIP)に著しい運動障害を残すものを、「手指の用を廃したもの」として取り扱います。著しい運動障害を残すものとは、患側の関節可動域が健側の1/2以下になったものをいいます。

また、おや指では、橈側外転または掌側外転のいずれかが健側の1/2以下になったものも「著しい運動障害を残すもの」として取り扱います。

別表第二第7級7号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
別表第二第8級4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
別表第二第9級13号 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
別表第二第10級7号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
別表第二第12級10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
別表第二第13級6号 1手のこ指の用を廃したもの

検査方法

X線画像検査は必須です。X線検査で確認しにくい場合、CT画像の撮影について主治医の先生と相談なさることをお勧めします。

弁護士に相談を

交通事故等の外傷で中手骨に骨折を受傷して後遺症が残った場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、中手骨骨折の受傷態様や残存した後遺症についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。