後遺障害等級の解説

靭帯損傷/断裂 上肢 神経症状

関節唇損傷(弁護士法人小杉法律事務所監修)

この記事では肩関節と股関節にある関節唇の損傷について整理します。主に肩関節の関節唇損傷について記載します。

関節唇とは

体中にある関節のうち、可動性(運動性)と支持性の両方の担うものが可動関節です。他方で、可動性が(ほとんど)なく、支持性を担うのが不動関節です。

一般的に言う「関節」とは可動関節のことを指しますが、可動関節の補助構造として、靱帯や関節唇、半月板などが存在します。

関節唇は肩関節では肩甲骨関節窩に、股関節では寛骨臼辺縁に存在し、関節面を拡大する働きをしています。

靱帯損傷一般についてはこちらの記事をご覧ください。

肩関節関節唇は、上腕骨の受け皿の骨(肩甲骨関節窩)の輪郭を土手のように覆っている線維性の組織のことで、その部位ごとに、上方関節唇、前方関節唇、後方関節唇、下方関節唇に分けられます。

以下本記事では、肩関節の関節唇損傷を念頭に整理していきます。

肩関節の関節唇損傷の原因

外傷性の関節唇損傷の場合、肩関節外転位で転倒して手をつく際の突き上げ、重量物の挙上、急激または不意な牽引、肩関節(亜)脱臼などにより生じます。

肩関節の関節唇損傷の症状

痛みや引っ掛かり感等があります。

検査

徒手疼痛誘発テストとMRI画像所見が有用です。

後遺障害

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予測されます。

機能障害

肩関節に動きにくさが残った場合に認定される可能性があります。

別表第二第8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
別表第二第10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
別表第二第12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

神経症状

肩関節に痛み等が残存した場合に認定される可能性があります。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

弁護士に相談を

交通事故や労災事故等で関節唇損傷を受傷した場合、加害者に対しての損害賠償請求を適切に行うために、関節唇損傷の態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集する必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士に是非ご相談ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。