後遺障害等級の解説

骨折 下肢

【足首の骨折】骨折専門医による詳細解説|後遺症専門の弁護士法人小杉法律事務所

診断書の「足首の骨折」は、すねの2本の骨(脛骨・腓骨)の足首側の端、くるぶしのあたりが折れる骨折です。

多くは足を強く捻って起こり、関節のかみ合わせがずれていれば、金属で留める手術を受けます。

 

骨はついても段差やこわばりが残ることがあるため、その見分け方と、残しておく記録まで順に見ていきましょう。

 

このページは、整形外科専門医・医学博士の江川誠一郎先生による

  • 足首の骨折とは?
  • 足首の骨折はどのような事故で起こり直後に何が起きるのか?
  • 手術はどう決まりいつから歩けるのか?
  • どんな後遺症が残るのか?

等についての解説を踏まえながら、

 

交通事故で足首を骨折した場合には、

  • 今からどのような証拠を残しておくべきか?
  • 足首の骨折の後遺障害等級と賠償金の目安は?

等について、交通事故後遺症被害専門弁護士が解説します。

 

交通事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故後遺障害被害を専門としている弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、足首の骨折などのお怪我をされ、今後についてご不安をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所へお問い合わせください。

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この記事の監修者医師
江川誠一郎
整形外科専門医・医学博士大腿骨骨折治療センター長
江川誠一郎

医学意見書 63件(2018年〜 2026年10月時点)
手術 通算5,891件(2026年10月時点)・骨折手術は現在も月45件。

経歴

2005年 東京医科大学医学部卒業。大学病院と関連病院で整形外科の研鑽を積み、2016年から都内の病院で骨折治療を専門に診療。2021年に大腿骨の骨折に特化した治療部門を立ち上げ、責任者を務める。

骨折の治療と、交通事故の医学意見書の両方に携わってきた立場から、読者の方が「自分の骨折」を理解し、必要な記録を残せるよう監修しました。

 

 

目次
  1. 足首の骨折の治療のポイント(この記事で分かること)
  2. 足首の骨折とは?-3つの骨と診断名の早見表
    1. 足首の骨はどこ?3つの骨と関節のかみ合わせ
    2. 足首を支える靱帯は?脛骨と腓骨をつなぐ「遠位脛腓靱帯結合」
    3. 診断書で、骨折の場所と型を確かめる
    4. どの骨折が多い?
  3. 足首の骨折はどんな事故で起こり、直後に何が起きる?-捻る力と、突き上げる力
    1. どんな事故で足首を骨折する?
  4. 足首骨折の受傷直後の症状と検査-腫れる・体重をかけられない
    1. 主な症状
    2. 「捻挫」と言われた後に骨折が見つかることがある
    3. すぐに整復が必要な状態
    4. 受診時に撮る画像と、医師が見ているところ
  5. 足関節の脱臼骨折-すぐに整復が必要な骨折
  6. 手術はどう決まり、いつから歩ける?-かみ合わせを戻して、早く動かす
    1. 保存か手術か―かみ合わせ・ずれ・ぐらつきで決まる
    2. 手術では何をする?-戻して、プレートとスクリューで留める
    3. いつから歩ける?-体重をかける時期と、復職の目安
    4. 金属は抜く?残したままのことも多い
    5. 手術の前後で注意したい合併症
  7. どんな後遺症が残り、今から何を残す?-段差・こわばり・ぐらつきを数字に
    1. 足首のこわばりと関節症とは?骨はついても、しゃがめない・階段の下りがつらい
    2. 腓骨が短い・ねじれたままかみ合わせが外へずれる
    3. 足首がぐらつく靱帯の損傷と動揺関節
    4. 痛みが強く続く-CRPS(複合性局所疼痛症候群)
    5. 症状固定はいつ?時期の考え方
  8. 意見書を書いてきた医師から、5つのこと
    1. 1. 「骨はついた」と「足首が元どおり」は別関節面の段差はCTで
    2. 2. 足首の角度は、背屈と底屈を左右同じ条件で左の欄を空欄にしない
    3. 3. 「捻挫」と言われて痛みが続くときは、画像をもう一度
    4. 4. 痛む場面とできない動作を、言葉にして伝える
    5. 5. 通院は整形外科へ(接骨院・整骨院は勧めません)
  9. 監修医コラム|レントゲンで「骨はついた」と言われても痛みが続く理由
  10. 後遺障害等級に備える―そろえておきたい検査と記録
    1. 足首の骨折で認定されうる後遺障害等級
    2. 神経症状についての後遺障害等級と認定のポイント
    3. 機能障害についての後遺障害等級と認定のポイント
    4. 変形障害についての後遺障害等級と認定のポイント
  11. 足首の骨折後に後遺障害等級が認定された場合の賠償金の目安
    1. 足首の骨折の後遺症逸失利益
    2. 足首の骨折の後遺症慰謝料
  12. 適切な後遺障害認定を受けるためのポイント
    1. ① 症状が残っている間は、医師の指示どおり通院を続ける
    2. ② 必要な検査を受ける
    3. ③ 後遺障害診断書の記載内容をチェックする
    4. ④被害者請求により申請する
    5. ⑤ 早めに弁護士へ相談する
  13. 足首の骨折についてのよくある質問
    1. 足首の骨折はどのくらいで治りますか?
    2. 足首の骨折と捻挫は、どう見分けますか?
    3. 足首の骨折の後遺症は、必ず残りますか?
    4. 手術で入れたプレートやスクリューは抜く必要がありますか?
    5. 正座やしゃがむ動作はできるようになりますか?
    6. 足首の骨折で後遺障害は何級になりますか?
    7. 事前認定と被害者請求はどちらがよいですか?
    8. 足首の骨折で慰謝料はいくらもらえますか?
  14. 交通事故による足首の骨折は弁護士に相談しましょう
  15. 足首の骨折に関する弁護士法人小杉法律事務所の解決実績

足首の骨折の治療のポイント(この記事で分かること)

  • 骨がつくのは3か月前後が目安: ギプスなどの固定は4〜5週ほどで終えることがある。体重をかける時期は骨折の安定性と固定で決まり、復職は仕事内容と通勤方法しだい
  • 手術かどうかは「かみ合わせ」で決まる: 関節のかみ合わせや関節面がずれている、ぐらつく、ギプスで位置を保てない。このときにプレートやスクリューで留める手術を考える
  • 金属は残したままのことも多い: プレートやスクリューの多くはチタン製で、体の中に残しても問題のない金属。成人では骨がついた後も残すことが一般的。当たって痛む・違和感があれば、抜くかを主治医と相談
  • 後遺症で問題になりやすいこと: 関節面の段差と足首のこわばり。しゃがむ・正座・階段の下りがつらくなり、年単位で外傷後の関節症に進むこともある。ほかに靱帯のゆるみによるぐらつき
  • 残しておく記録: 左右同じ条件で測った足首の角度、X線3方向(必要ならCT)、痛む場面とできない動作のメモ。

 

足首の骨折とは?-3つの骨と診断名の早見表

足首の骨折は、主に脛骨・腓骨の足首側(内果・外果・後果や脛骨の下端の関節面)の骨折です。

距骨も足関節をつくる骨ですが、距骨骨折は治療の注意点が異なるため扱いません。

 

どこが折れたかで診断名が変わり、治療も後遺症の残りやすさも変わります。

 

足首の骨はどこ?3つの骨と関節のかみ合わせ

足関節をつくるのは、

  • 脛骨(けいこつ・すねの太い骨)
  • 腓骨(ひこつ・外側の細い骨)
  • 距骨(きょこつ・足首の中心の骨)

の3つです。

 

内果(ないか・内くるぶし)は脛骨の、外果(がいか・外くるぶし)は腓骨の足首側の端で、向かい合っています。脛骨の下端の後ろの縁は後果(こうか)と呼びます。

右足首の骨を外側(左)と内側(右)から見た図。脛骨・腓骨・距骨・踵骨と、外くるぶし・内くるぶし

 

脛骨の下面と内果・外果は、足首の中心の骨を上と両側から挟む関節の受け皿になっています。

この受け皿の中で足首の中心の骨が正しい位置に収まり、関節のかみ合わせが保たれていることが、足関節の骨折を考えるうえでいちばんの基本です。

 

骨どうしが向き合う面は、なめらかな軟骨で覆われています。

軟骨は体重を受け止めるクッションの役割をしますが、一度傷むと元に戻りにくい組織です。

後遺症の一つである関節症(変形性足関節症)では、この軟骨の傷みが大きな要因の一つになります。

 

つま先を上げる・下げる動きは、主にこの足関節で行われます。

足の裏を内や外へ傾ける動きは、すぐ下にある、かかとの骨との間の関節が主に受け持ちます。

そのため、足関節の骨折の後に問題になりやすいのは、つま先を上げる・下げる動きの硬さです。

 

足関節の周りは、内果・外果・脛骨の下端と、それらをつなぐ靱帯で、輪のように取り囲まれています。

輪の1か所だけが切れても形は保たれやすいのですが、2か所以上が切れると輪が崩れ、かみ合わせがずれやすくなります。

骨折だけでなく靱帯の傷みも確かめるのは、このためです。

 

足首を支える靱帯は?脛骨と腓骨をつなぐ「遠位脛腓靱帯結合」

脛骨と腓骨は、足首のすぐ上で、前・後ろと骨の間の複数の靱帯につなぎとめられています(遠位脛腓靱帯結合・えんいけいひじんたいけつごう)。

 

損傷が強く支える働きが失われると、脛骨と腓骨に挟まれた関節の幅が広がったり、かみ合わせが崩れたりします。

そのため、この部分の安定性が保たれているかは、手術の方法を決める重要な手がかりになります。

 

脛骨と腓骨をつなぐ主な靱帯は、前脛腓靱帯・後脛腓靱帯・骨間靱帯です。

 

足首の周りにはほかに、内側に扇形に広がる三角靱帯(さんかくじんたい)があります。

 

外側には前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)・踵腓靱帯(しょうひじんたい)・後距腓靱帯(こうきょひじんたい)があります。

 

これらが、足首の中心の骨が関節の中で傾いたりずれたりしないよう支えています。

それぞれの靱帯には役割があり、切れたときに起こることも違います。

 

遠位脛腓靱帯結合

足首の中心の骨は前側が少し広い形をしているため、つま先を上げると、脛骨と腓骨の間をわずかに押し広げます。

遠位脛腓靱帯結合はこの動きを受け止めながら、2本の骨が離れすぎないよう支えています。

 

損傷が強く、支える働きが失われたまま治ると、腓骨が外へ離れて受け皿が緩み、足首の中心の骨が外へずれやすくなります。

 

足を外向きに強く捻ったときに傷みやすく、骨折がなくても起こります。

くるぶしより上の、すねの前側が痛むのが特徴です。通常の捻挫より回復に時間がかかる傾向があります。

 

三角靱帯

内くるぶしから足の内側へ扇形に広がる、厚く強い靱帯です。

足首の中心の骨が外へずれたり、外へ傾いたりしないよう、内側から引き止めています。

 

外くるぶしの骨折に三角靱帯の断裂が重なると、内くるぶしが折れたのと同じように、内側の支えが失われます。

このため、X線で見える骨折が外くるぶしだけでも、両果骨折と同じく不安定な骨折として扱われる場合があります。

 

 

外側の3つの靱帯

外くるぶしから前・下・後ろへ伸び、足首が内側へ捻れすぎないよう支えています。

いわゆる足首の捻挫で最も傷みやすいのは前距腓靱帯で、次に踵腓靱帯です。後距腓靱帯は強く、切れることは多くありません。

 

外側の靱帯が十分に治らないと、足首がぐらつく、捻挫を繰り返すといった症状(慢性の足関節不安定症)が残る場合があります。

ぐらつきを繰り返すと、そのたびに軟骨に負担がかかります。

 

診断書で、骨折の場所と型を確かめる

診断書によく出る名前を整理しました。これらは互いに重なることがあり、1人に複数の診断名が付く場合もあります。

診断名 折れた場所 手術 残りやすい後遺症
内果骨折 内くるぶし ずれれば手術 すきまの広がり
外果骨折 外くるぶし 安定なら不要も 腓骨の短縮・ねじれ
両果骨折 内・外くるぶし 多くは手術 関節面のずれ
三果骨折 内・外・後ろのくるぶし 多くは手術 関節面の段差
脱臼骨折 くるぶし+関節が外れる 整復してから手術 こわばり・関節症
脛腓靱帯結合損傷 脛骨と腓骨をつなぐ靱帯 不安定なら固定 受け皿の広がり
ピロン骨折 脛骨の下端の関節面 段階的な手術も 関節面の不整・関節症

外果骨折は「腓骨遠位端骨折」、ピロン骨折は「脛骨天蓋骨折」と書かれることもあります。

 

受傷のしかたと型

  • 内果骨折・外果骨折・両果骨折・三果骨折は、足を捻る力で起こるのが一般的です。
  • 外果骨折は、足を外向きに捻ったときに多くみられます。
  • 脱臼骨折は、足を強く捻る力や強い衝突で、関節が外れて足がずれた状態です。皮膚・神経・血管の圧迫にも注意します。
  • 脛腓靱帯結合損傷は、足を外向きに強く捻って起こり、膝に近い腓骨も折れるものはメゾニューブ骨折と呼びます。見逃されやすいけがの一つです。
  • ピロン骨折は、足の裏から突き上げる強い力で起こります。

 

三果骨折に脱臼や脛腓靱帯結合損傷が重なるように、表の診断名は同時に付くことがあります。

 

外くるぶしの骨折では、腓骨が折れた高さ(遠位脛腓靱帯結合より下・同じ高さ・より上)で、この靱帯結合が傷んでいる可能性が変わります。

画像の説明に出てくる「Weber(ウェーバー)分類」は、この高さの区分です。

 

Weber分類は、外くるぶしの骨折線が遠位脛腓靱帯結合と比べてどの高さにあるかで、A・B・Cの3つに分けます。

高さが上へいくほど靱帯結合が傷んでいる可能性が高くなり、治療の方針や、手術をする場合に何を固定するかが変わります。

 

タイプA(靱帯結合より下)

足を内側へ捻ったとき、外くるぶしの先が靱帯に引っぱられて折れる型です。

靱帯結合は保たれていることが多く、内側に損傷がなければ、安定した骨折として保存療法が選ばれやすい型です。

 

タイプB(靱帯結合と同じ高さ)

足を外向きに捻って起こる、最も多い型です。

靱帯結合は傷んでいることも保たれていることもあり、内側の三角靱帯や内くるぶしが傷んでいるかどうかで、安定か不安定かが分かれます。

立った状態での撮影やストレス撮影で、内くるぶしのすきまが開くかを確かめることもあります。

 

タイプC(靱帯結合より上)

腓骨が靱帯結合より高い位置で折れる型で、靱帯結合は傷んでいることがほとんどです。

受け皿が外へ開きやすいため、腓骨の固定に加えて、脛骨と腓骨を留める固定が検討されることが多い型です。膝に近い高さで折れたものがメゾニューブ骨折です。

 

診断書や画像の説明に「Weber B」などと書かれていたら、「靱帯結合や内側は傷んでいませんか」と主治医に聞いてみてください。手術の方針を理解する手がかりになります。

 

どの骨折が多い?

足首の骨折の大半は、くるぶしの骨折(内果・外果骨折、まとめて果部骨折)で、なかでも外果骨折が多くみられます。

ピロン骨折は、転落や強い衝突のような大きな力で起こります。数は多くありませんが、治療も経過も長くなりやすい骨折です。

 

足首の骨折はどんな事故で起こり、直後に何が起きる?-捻る力と、突き上げる力

バイク事故

どんな事故で足首を骨折する?

足首の骨折は、足を強く捻る(回旋する)力で起こるものと、足の裏からすねへ突き上げる大きな力で起こるものに分かれます。

くるぶしの骨折(果部骨折)は、捻る力で生じることが多い骨折です。足がフロアに挟まれて捻れた場合や、転倒して足を捻った場合にも起こります。

事故の場面 足首にかかる力 なりやすい骨折
バイク・自転車で転倒し、足が地面についたまま捻れる 捻る力 果部骨折、脛腓靱帯結合損傷
車内で足がフロアとペダルの間に挟まれて捻れる 捻る力 果部骨折
ブレーキを踏んだまま正面衝突する 足の甲がすねに近づく力、足の裏からの突き上げ ピロン骨折、果部骨折
歩行者として車にはねられる 直接の衝撃と捻る力 果部骨折、開放骨折
バイクから投げ出され足から着地する 足の裏から突き上げる力 ピロン骨折

 

足がどちら向きに捻れたかといった事故の状況は、骨折の型を説明する手がかりになるため、覚えているうちにメモしておくと役立ちます。

 

バイク・自転車での転倒

足が地面やペダルについたまま体だけが倒れ込むと、足首には強く捻る力がかかります。

足が外向きに捻れると、外くるぶしの斜めの骨折や、脛骨と腓骨をつなぐ靱帯の損傷が起こりやすくなります。

受傷時の足の向きや力の加わり方によって、内くるぶしや後ろのくるぶしにも骨折が及び、両果骨折や三果骨折になることがあります。

 

車内で足が挟まれる

衝突の瞬間、足がペダルやフロアに押さえつけられたまま体が前へ動くと、足首が捻れます。

くるぶしの骨折が多く、ブレーキを強く踏み込んでいた場合は、足の裏からの突き上げが加わって脛骨の関節面が傷むこともあります。

 

歩行者としてはねられる

車がすねや足首に直接当たる力と、倒れるときに捻る力が重なります。骨折部が皮膚の傷とつながる開放骨折になることもあります。

 

足から着地する

足の裏から脛骨を突き上げる力で、脛骨の下端の関節面が押しつぶされるピロン骨折が起こりやすくなります。

かかとの骨や背骨の骨折を伴うこともあるため、足首以外の痛みも伝えてください。

 

受傷直後に気づくこと

「グキッ」という音や感覚、立ち上がれない、体重をかけられないといった変化で気づくことが多くあります。

足首が明らかに変な向きになっている、足先がしびれる・冷たいときは、救急要請をためらわないでください。

ずれの小さい骨折では歩けてしまうこともあり、「歩けたから骨折ではない」とは言い切れません。

 

足首骨折の受傷直後の症状と検査-腫れる・体重をかけられない

主な症状

足首に強い痛みがあり、腫れと皮下出血(内出血)が急速に現れ、体重をかけられなくなることが多くあります。

骨のずれが少ない骨折では、見た目の変形ははっきりしません。

 

ピロン骨折では腫れが特に強く、皮膚に水ぶくれ(水疱)ができることもあります。

 

腫れは受傷から数日かけて強くなることが多く、足の甲や足先まで紫色の内出血が下りてくることもあります。

内出血が広がるのは、出血が重力で下へ移るためで、それだけで悪化したとは限りません。

 

  • 足先が冷たい・白っぽい
  • しびれが強くなる
  • 指が動かしにくい
  • 痛みが急に強まる

といった症状は、神経や血管が圧迫されているサインの可能性があります。

このような場合は、ただちに受診先へ連絡し、救急を受診してください。連絡がつかない場合も、待たずに救急を受診してください。

 

体重をかけられない

痛みで一歩も踏み出せないときは、骨折や靱帯の大きな損傷を疑う手がかりになります。

ただし、ずれの小さい骨折では、痛みをこらえて歩けることもあります。

 

変形

足首の向きが左右で違う、くるぶしの形が崩れているときは、骨のずれや脱臼を伴っているおそれがあります。

無理に動かしたり戻そうとしたりせず、そのままの形で受診してください。

 

しびれ

ぶつけた場所の近くだけがしびれるのか、足先全体がしびれるのかで、意味が異なる場合があります。

しびれの範囲が広がる、強くなるときは、上に書いたとおり急いで連絡してください。

 

受診時に伝えるとよいこと

次の5つを伝えます。

  • 事故の状況と、足がどちらへ捻れたか
  • いちばん痛い場所
  • その場で歩けたか
  • しびれの有無と範囲
  • ほかに痛む場所(膝・かかと・腰など)

腫れや内出血の様子を日付が分かる形で写真に撮っておくと、後から経過を説明する手がかりになります。

 

「捻挫」と言われた後に骨折が見つかることがある

足首の骨折と捻挫は、どちらも腫れと痛みが出るため、見た目だけでは区別できません。

小さな骨片がはがれる骨折やずれのない骨折は、受傷直後のX線では写りにくいものです。痛みや腫れが続く場合は、X線の撮り直しやCTで確かめます。

 

メゾニューブ骨折のように膝に近い腓骨が折れている場合は、足首だけのX線には写りません。

「捻挫」と言われた後に見つかることがある主な型は、次のとおりです。

  • 外くるぶしの小さな骨折: 骨折線が斜めに走り、ずれがないと、1方向のX線では見えない場合があります。正面・側面・内旋位正面像の3方向をそろえると見つかることもあります
  • 剥離骨折(はくりこっせつ): 靱帯が骨に付く部分が、骨ごと小さくはがれる骨折です。外くるぶしの先端に多く、小さいため「捻挫」として扱われることがあります
  • 脛腓靱帯結合損傷: 骨は折れていないのに、脛骨と腓骨をつなぐ靱帯が切れている状態です。くるぶしより上の、すねの前側が痛むのが特徴です
  • 初回X線に写らない骨折: ずれのない骨折や、関節面の軟骨と骨の傷み(骨軟骨損傷)は、受傷直後のX線では分からない場合があります。CTやMRIで見つかることもあります
  • 足首の周りの別の骨の骨折: かかとの骨の前の出っぱりや、足の外側の甲の骨の付け根(第5中足骨基部)の骨折も、捻挫と似た痛みが出ます

痛む場所を指で押して、いちばん痛い一点を主治医に示すと、どこを撮影するかの手がかりになります。

受傷から1〜2週たっても体重をかけると痛い、腫れが引かないときは、悪化を待たずに再撮影やCT・MRIを相談してください。

 

すぐに整復が必要な状態

関節の脱臼を伴って足首が大きくずれたまま変形している場合は、できるだけ早い整復(ずれを元に戻すこと)が必要です。

くわしくは、この章の最後の「足関節の脱臼骨折」で説明します。

 

骨折部が皮膚の傷とつながっている開放骨折(以前は複雑骨折とも呼ばれました)は、感染を防ぐための緊急の処置が必要です。

 

受診時に撮る画像と、医師が見ているところ

足首のX線は、正面・側面・内旋位正面像(モーティスビュー)の3方向が基本です。

内旋位正面像は、下腿を内側に15〜20度ひねって撮る正面像です。CTやMRIは、X線で分かりにくいときに必要に応じて追加します。

 

医師がX線で見ているところ

次の3点です。

  • 内くるぶしと足首の中心の骨のすきま: 開いていれば、内側の靱帯が傷んで関節のかみ合わせが外へずれているサインのことがあります
  • 関節面の段差: 脛骨の天井の面にずれや沈み込み(陥没)がないか
  • 後果の骨片の大きさと形: 大きさや形によっては固定が必要になる場合があります

後果の骨片の大きさ、関節面の沈み込みやずれ、関節のかみ合わせを確かめるうえではCTが有用です。

不安定性が疑われればストレス撮影、靱帯や軟骨の傷みはMRIで調べます。

 

手で靱帯のゆるみをみる徒手検査は、受傷直後は痛みと腫れのために評価が難しく、腫れが引いてから改めて確認することもあります。

 

どの画像で何が分かるかを、主治医に聞くときの一言とあわせて整理しました。

検査 分かること 主治医に聞ける一言
X線 正面 骨折の有無と場所、内くるぶし・外くるぶしの骨折の高さ 「どの骨が、どの高さで折れていますか」
X線 側面 後果の骨折、骨の前後へのずれ、関節面の段差 「後ろのくるぶし(後果)は折れていますか」
X線 内旋位正面像 関節のすきまが内側・上・外側で均等か、脛骨と腓骨の間が開いていないか 「関節のすきまは均等ですか。開いているところはありますか」
CT 関節面の段差や沈み込み、骨片の大きさと数、骨のつき具合、腓骨のねじれ(左右を比べる) 「関節面に段差は残っていますか」
MRI 靱帯・軟骨の傷み、X線に写らない骨の傷(骨挫傷・こつざしょう) 「靱帯や軟骨に傷みはありますか」
ストレス撮影 力を加えたときの関節の開きやぐらつき 「力をかけたとき、関節は開きますか。けがをしていない側と比べてどうですか」
エコー 特定の靱帯や腱の傷みを補助的に確認 「靱帯の状態は、どの検査で確かめますか」

どの検査が必要かは、骨折の型と経過をみて主治医が判断します。

 

エコーは、特定の靱帯や腱の損傷が疑われ、検査に習熟した医師がいる場合に補助的に用いられます。

X線や、必要に応じたCT・MRIの代わりになるものではありません。表の一言は、説明を受けるときの手がかりとしてお使いください。

 

受傷時と同じ方向で撮った画像を時期ごとに並べると、骨のつき方やずれの変化が分かります。

 

足関節の脱臼骨折-すぐに整復が必要な骨折

足関節の脱臼骨折は、くるぶしの骨折に加えて足首の関節が外れ、足が本来の位置からずれた状態をいいます。

足首を強く捻る力や、強い衝突で起こることが多い骨折です。できるだけ早く、ずれを元に戻す処置(整復)が必要です。

 

足関節の脱臼骨折(受傷直後の外観)

足関節の脱臼骨折(受傷直後の外観)

同じ症例の整復前のX線(側面)。足首の関節が外れ、距骨が脛骨の下からずれている

同じ症例の整復前のX線(側面)。足首の関節が外れ、距骨が脛骨の下からずれている

同じ症例の整復後のX線(正面)。距骨は脛骨の下に戻り、くるぶしの骨折が残っている
同じ症例の整復後のX線(正面)。距骨は脛骨の下に戻り、くるぶしの骨折が残っている
同じ症例の3D-CT
同じ症例の3D-CT

 

見た目では、足首が外側や後ろに大きくずれ、変形が一目で分かることが多くあります。

ずれた骨に皮膚が内側から突き上げられ、その部分が白っぽくなることもあります。

 

ずれたままにしておくと、皮膚や神経、血管が圧迫され続けます。

皮膚が傷んだり、足先のしびれや血の流れの悪さが出たりすることがあります。そのため、できるだけ早く元の位置に戻す(整復する)必要があります。

 

治療では、まず手で引いて元の位置に戻し(徒手整復)、ギプスなどで固定することが多くあります。

その後、皮膚と腫れの状態をみて時期を決め、手術で骨(必要に応じて靱帯も)を固定するのが一般的です。

 

関節面や靱帯の傷みが大きいため、くるぶしだけの骨折に比べて後遺症が残りやすい傾向があります。

 

整復後に何を見るか

整復の後は、X線で関節のかみ合わせが元に戻ったかを確かめ、足先の感覚・指の動き・血の流れ、皮膚の色と腫れを繰り返し確認します。

腫れや水ぶくれが落ち着いて皮膚の状態が整うまで、手術を待つことがあります。

 

腫れが強く位置を保ちにくい場合は、創外固定(そうがいこてい・体の外の金属の枠で骨を支える方法)で一時的に支えることもあります。

 

なぜ後遺症が残りやすいか

関節が外れるほどの力が加わると、骨だけでなく、関節面の軟骨、周りの靱帯、関節を包む袋(関節包)まで一度に傷みます。

骨を正しい位置に戻しても、受傷時の軟骨損傷まで完全に回復するとは限りません。後から関節症や動きの硬さとして現れる場合があります。

 

損傷の状態によっては、軟骨・骨軟骨損傷に対する追加治療を検討することもあります。

このため、骨がついた後も、痛みと動きの経過を記録しておくことが大切です。

 

手術はどう決まり、いつから歩ける?-かみ合わせを戻して、早く動かす

保存か手術か―かみ合わせ・ずれ・ぐらつきで決まる

ずれがないか少なく、関節のかみ合わせがずれていない骨折では、ギプスなどの保存療法が選ばれる場合があります。

 

かみ合わせや関節面のずれ、不安定性があり、ギプスなどで適切な位置を保てなければ手術が検討されます。

 

わずかなずれでも将来の関節の傷みにつながりうるため、足首の骨折では整復の精度が重視されます。

 

手がかりは、

  • ①関節のかみ合わせがずれていないか、
  • ②内側と外側の支えが両方壊れていないか、
  • ③遠位脛腓靱帯結合が保たれているか、

の3点です。

 

両果骨折・三果骨折や、外果骨折に内側の靱帯損傷を伴うものは、不安定な骨折として手術が検討されます。

実際の判断では、年齢や全身の状態、皮膚の状態もあわせて考えます。

 

保存療法では、ギプスや装具で足首を固定し、腫れが引いた後も骨のずれが進んでいないかを、X線で繰り返し確かめます。

腫れが引くとギプスの中にすきまができ、骨が動きやすくなるためです。途中でずれてきた場合は、手術に切り替える場合もあります。

 

手術を受ける場合も、受傷直後にすぐ手術するとは限りません。

腫れが強い時期に皮膚を切ると、傷の治りが悪くなりやすいためです。腫れが引くのを待ち、皮膚にしわが戻ってから手術する場合もあります。

 

手術では何をする?-戻して、プレートとスクリューで留める

ずれた骨を元の位置に戻し(整復)、金属で体の中から留める(内固定)のが基本です。

外くるぶしはプレート、内くるぶしはスクリューで留めることが多くなります。

 

腫れが強いピロン骨折では、先に創外固定の手術で、体の外の金属の枠を使って仮に留めることもあります。

 

  • 外果(腓骨): プレート(金属板)をあててスクリューで固定し、腓骨の長さとねじれを元どおりに戻します
  • 内果: スクリュー、または引き寄せ鋼線締結法(鋼線とワイヤーで締める方法)で固定します
  • 後果: 骨片の大きさや形、関節面の段差、脛骨と腓骨の間の安定性をみて、固定するかを判断します
  • 遠位脛腓靱帯結合: 脛骨と腓骨の間が開く場合は、スクリューや糸を用いた器具で留めます。スクリューの抜去の要否や時期は経過や施設によって異なり、残したまま経過をみることもあります
  • ピロン骨折: 腫れや皮膚の傷みが強い場合には、まず創外固定で支え、皮膚などの状態が回復してから内固定を行う段階的治療が選ばれます。創外固定は、皮膚の上から骨にピンを刺し、体の外に置いた金属の枠で骨折部を支える方法です

 

手術の一つひとつには、次のような狙いがあります。

 

外果のプレートとスクリュー

外くるぶしは、関節の外側の壁です。プレートで固定するときは、折れた骨をつなぐだけでなく、短くなった長さとねじれを元に戻すことを重視します。

わずかに短いまま、ねじれたまま固まると、関節の受け皿の形が変わるためです。

 

内果のスクリュー

内くるぶしは、骨片の大きさに応じた本数のスクリューで留めるのが一般的です。

骨片が小さい、骨が弱いといった場合には、鋼線とワイヤーで締める方法が選ばれます。内くるぶしを正しく戻すことで、内側の支えが取り戻されます。

 

後果の固定

後果の骨片が大きい場合や、関節面に段差がある場合は、後ろ側から直接プレートやスクリューで固定する場合があります。

後果には脛骨と腓骨をつなぐ靱帯が付いているため、後果を固定すると、脛骨と腓骨の間も安定しやすくなります。

 

脛骨と腓骨を留める固定と、後で外すことがある理由

脛骨と腓骨は、本来わずかに動きながら体重を受けています。

脛骨と腓骨を留めるスクリューは、靱帯が治るまでの間、この2本を固く留めておくためのものです。

 

そのため、歩き始めた後に違和感や動きにくさが出たり、スクリューが折れたりゆるんだりすることがあり、後で抜くことがあります。

糸を用いた器具は、わずかな動きを残したまま留める方法で、抜かずに済むことが多いとされています。どの方法を選ぶかは、骨折の型や施設の方針で異なります。

 

いつから歩ける?-体重をかける時期と、復職の目安

くるぶしの骨折(果部骨折)では、骨がつくまで3か月前後が目安です。

体重をかける時期は骨折の安定性・固定の方法・皮膚の状態で決まり、復職は仕事内容と通勤方法で判断します。

 

時期 足首の状態 できること
直後〜腫れが引くまで 腫れと痛みが強い 足を高く上げる・松葉杖
4〜5週ごろ 骨が少しずつつながる ギプスを外し、体重をかけ始める
〜3か月前後 骨がついてくる 全体重で歩く・復職を検討
4〜5か月〜半年 筋力と動きが戻る途中 スポーツ・立ち仕事を検討
6か月〜1年 回復が横ばいに近づく 症状固定を検討

 

表の時期は骨折の型や年齢、ほかのけがで前後し、体重をかける時期と量は主治医の指示が優先です。

 

ピロン骨折では長くなることがあり、主治医の指示に合わせて進めることが大切です。

固定の状態や合併するけがが許せば、より早くから体重をかけ始めることもあります。

 

目安としては、受傷(手術)から4〜5週間ほどでギプスなどの外固定を終える場合があります(骨癒合の完成を意味しません)。

 

骨癒合の目安は3か月前後です。スポーツなど運動への復帰を検討する時期の一例は4〜5か月から半年くらいで、

競技内容、痛みや腫れ、筋力や動作の回復をみて判断します。

 

いずれも骨折の型や年齢、手術の有無によって前後し、個人差があります。

 

入院からの流れは、おおむね次の順に進みます。

 

入院中

足を心臓より高く上げて腫れを引かせ、足の指や膝を動かして血の流れを保ちます。

松葉杖や歩行器での移動を練習し、自宅の段差や階段を安全に移動できるようになってから退院するのが一般的です。

 

入院の期間は、骨折の型、手術の時期、自宅の環境で変わります。

 

固定

手術の後は、ギプス・シーネ(添え木)・装具で足首を守ります。

固定の方法と期間は、骨折の型と固定の強さをみて主治医が決めます。

安定した固定ができた場合は、早い時期から装具を外して足首を動かす練習を始めることもあります。

 

可動域訓練

足首を動かす練習は、つま先を上げる・下げる動きから始めます。

固定していた期間が長いほど関節は硬くなりやすいため、許可が出たら毎日続けることが大切です。

 

部分荷重から全荷重へ

体重をかける練習は、体重計に足をのせて、許可された重さを確かめながら進めることがあります(部分荷重)。

骨のつき具合をX線で確かめながら少しずつ増やし、全体重をかけてよい段階(全荷重)へ進みます。

 

早く体重をかけすぎると、固定が緩んだり骨がずれたりすることがあるため、許可の範囲を守ってください。

全体重をかけてよい段階になっても、必要に応じて松葉杖を使います。痛みや歩き方、筋力・バランスを確認しながら、杖を減らしていきます。

 

全荷重の後

ふくらはぎの筋力、片足で立つバランス、階段や坂道の動作の練習が続きます。足首の腫れは夕方に強くなりやすく、数か月続くことがあります。

 

よくあるすれ違い

ギプスが外れると「治った」と受け取られがちです。ギプスが外れることと、骨がつくこと、元の仕事や運動ができることは別のものです。

 

明日からできること

次のことを、時期ごとに書き留めておきましょう。

  • 体重をかけてよい量と、歩ける距離
  • 階段の上り下りの様子
  • 仕事でできたこと・できなかったこと

 

金属は抜く?残したままのことも多い

プレートやスクリューの多くはチタン製で体の中に残しても問題がないため、成人では骨がついた後も残すことが一般的です。

器具が当たる、違和感がある、腱への刺激が心配されるときは、抜く手術(抜釘)を行うことがあります。

 

抜くかどうかは、違和感の有無や仕事・生活への影響と、抜く手術の負担を合わせて主治医と相談します。

 

後遺障害等級の認定にあたっては、プレートを抜くことは要件とされていません。

 

抜くかどうかを考える材料

主に次の3つです。

  • 器具が当たって痛む、靴が当たる
  • 腱がこすれて痛む
  • スポーツや仕事で足首を強く使う

 

抜く時期

骨が十分についてから、が一般的で、受傷から1年前後が一つの目安です。

脛骨と腓骨を留めるスクリューは、これとは別に時期を判断します。

 

抜いた後しばらくは、スクリューの穴の部分で骨が弱くなっているため、強い衝撃を避けるよう指示される場合があります。

 

よくあるすれ違い

「金属が入っている間は、まだ治っていない」と受け取る方もいます。抜くかどうかと、骨がついたかどうかは、別に判断します。

 

明日からできること

器具が当たる場所や、靴が当たる場面を書き留めておきましょう。抜くかどうかの判断とその理由を主治医に確かめ、カルテに残してもらいます。

抜釘を予定している場合は、症状固定の時期とどちらを先にするかを、主治医と相談しておくと見通しが立てやすくなります。

 

手術の前後で注意したい合併症

  • 感染・傷の治りにくさ: 足首は皮膚が薄く、開放骨折やピロン骨折で特に注意が必要です
  • 偽関節(骨がつかずに終わった状態): 原因に応じて、固定の見直しや骨移植などの追加治療が必要になる場合があります
  • 変形治癒: 骨がずれたままつき、関節のかみ合わせに影響します
  • 深部静脈血栓症: 足を動かさない期間に、脚の深い静脈に血の塊ができる場合があります
  • CRPS(複合性局所疼痛症候群): 骨折の程度に比べて強い痛みが続き、腫れや皮膚の色・温度の変化を伴う場合があります。従来RSDと呼ばれた病態を含みます

 

それぞれの兆候と、受診の目安です。

 

感染

傷が赤く腫れて熱をもつ、傷から膿や濁った汁が出る、熱が下がらないといった変化は、感染のサインのことがあります。

傷の様子が変わったら、次の予約を待たずに受診先へ連絡してください。

 

深部静脈血栓症(脚の深い静脈に血の塊ができる状態)

固定や安静で足を動かさない期間に起こりやすくなります。

ふくらはぎが急に腫れる、張って痛む、色が赤紫になるといった変化があれば、その日のうちに受診先へ連絡し、診察を受けてください。

 

急な息苦しさや胸の痛みは、血の塊が肺へ流れた(肺塞栓症)おそれがあるため、ただちに救急を受診してください。

強い息苦しさや意識がおかしいときは救急車を呼び、自分で運転しないでください。

 

CRPS

軽く触れるだけで痛い、皮膚の色や温度、汗のかき方が左右で違うといった変化が出たら、早めに主治医に伝えます。

早く気づいて痛みの治療とリハビリを始めることが大切です。

 

偽関節

体重をかけると骨折部の痛みが続く、時間がたっても痛みが引かないといった場合に疑われ、X線やCTで骨のつき具合を確かめます。

喫煙や糖尿病は、骨のつきを遅らせる要因になります。

 

変形治癒

歩くと関節が痛む、足首の向きが左右で違うといった形で気づかれる場合があります。

保存療法中や手術の後にX線を繰り返し撮るのは、ずれが進んでいないかを確かめるためです。

 

どんな後遺症が残り、今から何を残す?-段差・こわばり・ぐらつきを数字に

診察・後遺障害診断・医師面談

足首の骨折の後遺症は、「骨がついたか」だけでは分かりません。

関節面がどう治ったか、足首がどこまで動くか、ぐらつかないかの3つで見ていきます。

どれも、本人が伝え、測ってもらって初めて数字になります。

 

足首のこわばりと関節症とは?骨はついても、しゃがめない・階段の下りがつらい

足首の骨折では、骨はついても、関節面の段差と足首のこわばりが残ることがあります。

 

つま先が上がりきらないと、しゃがむ、階段や坂道を下りる、正座するといった動作がつらくなります。

段差が残った関節では、年単位で軟骨がすり減り、外傷後の変形性足関節症に進むこともあります。

 

なぜ段差とこわばりが残るのか

足関節は、体重が集中するわりに、骨どうしが接する面積が小さい関節です。

関節面にわずかな段差やかみ合わせのずれが残ると、体重を受ける面がかたより、一部の軟骨に負担が集中します。

 

固定や安静の間に、関節を包む袋(関節包)や周りの組織が硬くなり(線維化)、組織どうしがくっつく(癒着)ことも、こわばりの原因です。

骨の位置がきれいに戻っていても、事故の衝撃で軟骨が傷ついていた場合には、後から関節症が生じることがあります。

 

関節症はどう進むか

はじめに、関節面の段差やかみ合わせのずれ、受傷時の衝撃によって、軟骨の一部が傷みます。

体重を受ける面がかたよると、傷んだ軟骨が少しずつすり減り、関節のすきまが狭くなっていきます。

 

やがて軟骨の下の骨に負担が直接かかり、骨が硬くなったり、関節の縁に骨のとげ(骨棘・こつきょく)ができたりします。

文献では、足関節の骨折の手術の後に、時間をかけて関節症が進む例が報告されています。

 

どこまで、どのくらいの速さで進むかは、ずれの程度、軟骨の傷み、年齢、体重、足首の使い方で大きく異なります。

比較的早く画像に変化が出る方もいれば、長い年月をかけてゆっくり進む方、大きくは進まない方もいます。

初めは長く歩いた後や朝の歩き始めに痛み、進むと足首の腫れや、つま先を上げる動きの硬さが目立ってきます。

 

しゃがむ・下りるときに何が起こるか

しゃがむときは、つま先を上げる方向(背屈)へ足首を深く曲げる必要があります。

硬いとかかとが浮いて、後ろへ倒れそうになります。

 

階段や坂道を下りるときも、体重を支える側の足首を深く曲げるため、足首の前側で詰まるような痛みが出やすくなります。

正座は、つま先を下げる方向(底屈)へ足首を伸ばしきる必要があります。床からの立ち上がりや和式トイレも、足首が硬いと手すりや支えが必要になることがあります。

 

よくあるすれ違い

「骨はきれいについています」の一言で診察が終わり、こわばりや痛む場面がカルテに残らないことがあります。

関節面のわずかな段差は、X線では骨の重なりに隠れて見えにくいこともあります。

本人も「固定していたから仕方ない」と考え、診察で伝えないまま時間がたちがちです。

 

明日からできること

しゃがむ、正座、階段の下りのうち、できない動作とつらい動作を書き出してください。

足首の角度は、つま先を上げる・下げるの両方を、けがをしていない側と同じ姿勢で測ってもらうよう頼みます。

痛みが続くときは、まず診察とX線で原因を確かめ、必要なときにCTなどを追加するかを主治医に相談しましょう。

 

治療とリハビリの考え方

まずは、靴や中敷きの工夫、足首の周りの筋力訓練、サポーター、痛み止めなどで負担を減らします。

硬くなった組織は、一度に強く伸ばすより、毎日少しずつ伸ばすほうが戻りやすいとされています。

 

痛みや腫れが強くなるほど無理に曲げると、炎症が長引くことがあります。

痛みで生活に大きな支障が出る場合は、骨を切って体重のかかる位置を変える手術や、関節を固定する手術などを検討することがあります。

 

腓骨が短い・ねじれたままかみ合わせが外へずれる

腓骨が短いまま、あるいはねじれたまま骨がつくと、関節の受け皿の幅や形が変わります。

遠位脛腓靱帯結合が広がったまま治った場合も同じで、かみ合わせが外へずれたり傾いたりします。

 

わずかに外へずれるだけでも、体重を受ける面がかたよって軟骨に負担が集中し、関節症の原因になりえます。

 

仕組み

腓骨は、外くるぶしの位置を決める骨です。手術では、腓骨の長さとねじれ、脛骨と腓骨の間の幅を元どおりに戻すことを重視しますが、わずかな違いが残ることがあります。

腓骨がいくつもの骨片に割れている場合や骨が弱い場合は、長さやねじれを正確に戻すのが難しくなります。

 

手術中のX線は平面の画像のため、わずかなねじれは見分けにくい面があります。固定の後に、ねじがゆるんだり骨がつぶれたりして、位置が少しずつ変わることもあります。

 

どの画像で分かるか

内旋位正面像では、関節のすきまが内側・上・外側で均等か、脛骨と腓骨の間が開いていないかを見ます。

腓骨の長さは、外くるぶしの先端と関節面の位置関係から読み取ります。ねじれはX線では分かりにくく、左右を比べたCTで確かめます。

 

症状の出方

体重をかけたときの足首の外側や前側の痛み、腫れが引かない、長く立っていられないといった形で現れる場合があります。

 

明日からできること

どこが、どんな場面で痛むかを書き留め、診察で具体的に伝えてください。

腓骨のねじれや、脛骨と腓骨の間の位置のずれが具体的に疑われる場合は、けがをしていない側と並べたCTが選択肢になります。

 

どの検査が必要かは、診察とX線をもとに主治医が判断します。

 

再手術

ずれがはっきりしていて症状が強い場合には、再手術を検討することがあります。

腓骨の骨を切って長さやねじれを整え直す手術や、脛骨と腓骨の間を固定し直す手術です。

行うかどうかは、ずれの程度、軟骨の状態、症状、年齢などをみて判断します。

 

足首がぐらつく靱帯の損傷と動揺関節

靱帯を損傷した場合は、時間が経ってから関節がぐらつく動揺関節が残ることがあります。

坂道やでこぼこ道で足首が崩れるような感じがする、捻挫を繰り返すといった症状として現れます。

 

症状の出方

段差を下りる、急に向きを変える、でこぼこ道を歩くといった場面で、足首が「ぐにゃっ」と崩れる感じや、いつ崩れるか分からない不安感として現れます。

崩れるたびに腫れや痛みがぶり返し、小走りや坂道を避けるようになる方もいます。

 

仕組み

靱帯は、切れた後に伸びたまま治ると、関節を引き止める力が弱くなります。

外側の靱帯が弱いと足首が内側へ傾きやすく、三角靱帯や遠位脛腓靱帯結合が弱いと、関節のかみ合わせが外へずれやすくなります。

ぐらつきを繰り返すと、そのたびに軟骨に負担がかかり、関節症が進む原因になることがあります。

 

明日からできること

足首が崩れた日と場面、捻った回数、サポーターや装具が必要な場面を書き留めておきます。

ぐらつきは診察で確かめ、必要に応じて力を加えて撮るストレス撮影などで、けがをしていない側と比べて評価します。

足首を前へ引き出したり内側へ傾けたりする徒手検査や、補助的に動かしながら靱帯を見るエコー、靱帯と軟骨の状態を見るMRIを組み合わせることもあります。

 

治療の方向性

まずは、主治医や理学療法士から許可された範囲で訓練を行います。

すねの外側の筋肉を鍛える訓練や、支えを使って安全を確保した片足立ちのバランス訓練です。

場面に応じて、サポーターや装具も使います。

 

検査と治療は、どの靱帯や骨の位置に問題があるかで異なります。

外側の靱帯のゆるみが原因なら修復や再建を、脛骨と腓骨をつなぐ靱帯の不安定性が原因なら整復や固定などを検討することがあります。

 

痛みが強く続く-CRPS(複合性局所疼痛症候群)

骨折の程度に比べて強い痛みが続き、腫れや皮膚の色・温度の変化を伴う状態です。早く気づいて治療を始めることが大切です。

 

仕組み

十分には分かっていませんが、けがの後に、痛みを伝える神経の働きや、血の流れ・汗を調節する神経の働きが乱れることが関わると考えられています。

 

症状の出方

軽く触れただけで痛い、皮膚がてかてかする、足が冷たい、あるいは熱い、汗のかき方や爪・毛の伸び方が左右で違う、といった変化が出ます。

痛みのために動かさないでいると関節がさらに硬くなり、骨が弱くなることもあります。

 

明日からできること

皮膚の色や腫れは日によって変わるため、左右を並べた写真を日付入りで残しておくと、診察で伝えやすくなります。

疑わしいときは早めに主治医に相談し、必要に応じて痛みを専門とする診療科と連携してもらいます。

 

早めに伝える理由

CRPSは、早い時期に気づいて治療を始めるほど、痛みと硬さの悪循環を断ちやすいと考えられています。

「骨折の痛みだから仕方がない」と我慢していると、気づくのが遅れることがあります。

焼けるような痛み、布団や靴下が触れるだけで痛いといった、骨折の痛みとは質の違う痛みがあれば、その言葉のまま伝えてください。

 

治療の方向性

治療の軸は、痛みを調整しながら少しずつ機能を取り戻すリハビリです。

薬物療法などを組み合わせ、痛みが強くリハビリを進められない場合などには、痛みを専門とする医師が神経ブロックを検討することがあります。

動かさずにいると硬さやむくみが進みやすいため、無理のない範囲で動かし続けることが勧められます。

経過が長くなることもあり、整形外科、痛みを専門とする診療科、リハビリの担当者が連携して進めます。

 

症状固定はいつ?時期の考え方

症状固定とは、治療を続けてもそれ以上の改善が見込めなくなった状態をいいます。

時期に一律の決まりはなく、骨のつき具合や症状の経過、今後の治療で改善が見込めるかを踏まえて主治医が判断します。

 

受傷後6〜12か月が一つの区切りになることがありますが、期限ではありません。

 

歩ける距離や階段など残る症状を書き留めておくと、診察で伝えやすくなります。

 

主治医はどう判断するか

主治医はまず、骨のつき具合をX線やCTで確かめます。

そのうえで、痛み・腫れ・可動域が数か月にわたって横ばいか、リハビリや追加の治療で良くなる見込みがあるかをみて判断します。

抜釘など予定している治療があれば、その後に判断することもあります。

 

症状固定の前に確かめておきたいこと

次の4点です。

  • 左右の可動域を同じ条件で測ってもらったか
  • X線3方向に加え、残る症状に応じて必要な画像評価(CTなど)を受けたか
  • ぐらつきについて診察を受け、必要に応じてストレス撮影などで評価されたか
  • 痛む場面や生活の支障を、受診のたびに伝えてきたか

時期の決め方に迷うときは主治医とよく相談し、手続きのことは弁護士にも確認しておくとよいでしょう。

 

 

意見書を書いてきた医師から、5つのこと

交通事故の医学意見書を書くなかで、足首の骨折について繰り返し問われてきた論点を、5つにまとめます。

治療中の方とご家族に、知っておいていただきたい医学的なポイントです。

 

まず、治療の途中で迷いやすい場面を、医学の側でどう確かめるかと並べます。

主治医の説明が誤りという意味ではなく、症状が残るときに確かめておきたいことの一覧です。

こんなとき 医学の側で確かめること そろえておく資料 くわしくは
骨がついた後も症状が残る 関節面の段差とかみ合わせ 時期ごとのX線(必要ならCT) 1
動きが戻ったと言われても支障がある 背屈・底屈を左右同じ条件で 同じ日に測った左右の角度 2
捻挫と言われた後も痛みが続く 痛みが続けば画像をもう一度 受傷日からの症状のメモ 3
痛む場面をうまく伝えられない 痛む場面と所見を照らす 痛む場面と動作のメモ 4
落ち着いて受診の間隔があく 受診が空くと記録が残らない 整形外科の定期受診の記録 5

 

1. 「骨はついた」と「足首が元どおり」は別関節面の段差はCTで

診断書に「骨癒合良好」と書かれていても、足首が元どおりに動き、痛みなく体重を受けられるとは限りません。

 

X線は骨がつながったかをよく写しますが、関節を包む組織の硬さや、軟骨・靱帯の傷みは写らないからです。

関節面のわずかな段差も、骨の重なりに隠れてX線では見えにくいことがあります。

 

意見書のために、受傷時・手術後・症状固定時の画像を時期順に並べ直すことがあります。

 

すると、症状固定の時点で「変形なし」とされた足首に、受傷時からの段差がわずかに残っていたと分かることがあります。

カルテに残っているのはX線の所見だけで、痛みや硬さの訴えが書かれていない、という例もあります。

 

骨がついたと言われても痛みや硬さが残るなら、そのことを具体的に伝えてください。

まず診察とX線で評価し、関節面や骨の位置を詳しく見るならCT、軟骨・靱帯が疑われればMRIと、原因に応じた検査を主治医が選びます。

画像の写し(CD-Rなど)は、受診先ごとにもらっておきましょう。

 

2. 足首の角度は、背屈と底屈を左右同じ条件で左の欄を空欄にしない

足首の動きには、つま先を上げる背屈(はいくつ)と、つま先を下げる底屈(ていくつ)があります。

 

片方だけでは動きの全体は分からないため、両方を、けがをしていない側と同じ条件で測ることが大切です。

標準的な測定では膝を曲げた姿勢で測り、自分で動かした値(自動)か、医師が動かした値(他動)かも区別します。

足関節の動き。左から、つま先を上げる(背屈)・下げる(底屈)・足裏を内に向ける(内がえし)・外に向ける(外がえし)
足関節の動き。左から、つま先を上げる(背屈)・下げる(底屈)・足裏を内に向ける(内がえし)・外に向ける(外がえし)

 

意見書の資料を読むと、けがをした右足首の角度だけが書かれ、左の欄が空欄のまま症状固定を迎えている例があります。

測るたびに姿勢が違い、時期ごとの値をそのまま比べられないこともあります。背屈は、膝を伸ばしたときと曲げたときで、測れる角度が変わるためです。

 

測定のときは「けがをしていない側も、同じ日に同じ姿勢で測ってください」と頼みましょう。

測った日付と左右の値を控えておきます。正座やしゃがむ動作ができないことも、角度とは別に伝えてください。

 

3. 「捻挫」と言われて痛みが続くときは、画像をもう一度

受傷直後は腫れと痛みが強く、靱帯のゆるみを確かめる診察が十分にできない場合があります。

小さな剥離骨片やずれのない骨折、脛骨と腓骨をつなぐ靱帯の損傷は、最初のX線に写らないこともあります。

このため、「捻挫」と言われた後に、骨折や靱帯の断裂が見つかることがあります。

 

意見書の資料では、初診の診断名が「足関節捻挫」のまま、数か月後に別の病院で骨折が見つかっている例に出会います。

その間に通院が途切れていると、後から見つかった損傷と事故との関係を説明する記録が足りなくなりかねません。

 

受傷から1〜2週たっても体重をかけると痛い、腫れが引かない、足首がぐらつくときは、悪化を待たずに主治医に相談してください。

「再撮影やCT・MRIを考えてもらえますか」と具体的に聞いてみましょう。痛む場所と、いつから続いているかを伝えると、検査の手がかりになります。

 

4. 痛む場面とできない動作を、言葉にして伝える

「足首が痛い」という言葉だけでは、その痛みがどこから来ているのかを画像と結びつけられません。

足首の骨折の後の痛みは、歩き始め、長く歩いた後、階段の下り、しゃがむときなど、決まった場面で強くなることが多いからです。

 

痛む場所が外くるぶしか、足首の前か、内くるぶしかでも、考える原因が変わります。

 

意見書のためにカルテを読むと、「足関節痛」「疼痛軽減」の記載が続き、どこがどう痛むのかが一度も書かれていない例があります。

そうなると、後からCTで段差が見つかっても、痛みとの関係を説明しにくくなります。

通院やリハビリの記録が途切れていると、「それほど困っていなかった」と読まれる場合もあります。

 

診察では、指一本で痛む場所を示し、どの動作で痛むかを具体的に伝えてください。

痛みで動けなかった日や、できなかった動作は、日付を入れて書き留めておきます。自宅で続けているリハビリの内容も、あわせて伝えましょう。

 

5. 通院は整形外科へ(接骨院・整骨院は勧めません)

症状が事故の後から続いていることを示す、いちばん確かな材料は、診察のたびにカルテに残る症状・所見・画像です。

症状が続く間は、病院の整形外科か整形外科のクリニックで、医師の診察を定期的に受け続けることが大切です。

 

接骨院・整骨院への通院は、監修医に限らず多くの整形外科医が勧めていません。症状が落ち着けば、月1回程度で経過をみることが多くなります。

 

交通事故の後、通院先が整形外科から接骨院・整骨院に移ってしまうことがあります。

その間に医師の診察や画像の評価が行われなければ、骨のつき具合や関節の状態を確かめた記録が不足します。

 

意見書を書いてきた経験でも、医師の診察が途切れた期間の経過を後から説明するのは、難しいことが少なくありません。

 

通院先は、整形外科のある病院・クリニック(リハビリを行うクリニックを含む)にしてください。

通院でのリハビリも病院・クリニックで受けてください(自宅でのリハビリは、主治医や理学療法士の指示に沿って続けます)。

主治医が決めた間隔で受診し、症状が変わったときは次の予約を待たずに相談しましょう。

 

 

監修医コラム|レントゲンで「骨はついた」と言われても痛みが続く理由

「骨はつきましたね」と言われたのに、歩くと足首が痛む。診察でよく伺う声です。

骨がつくことと、足首が元どおりに働くことは別の話だからです。

 

X線で確かめる「骨がついたか」は、折れた骨どうしがつながったかという問いです。

痛みにかかわるのは、つながった骨が関節として正しく働いているかで、私が画像でまず確かめるのは3点です。

 

1つ目は関節面の段差です。

脛骨の天井にわずかな段差が残ると、体重を受ける面が狭くなり、段差の縁の軟骨に負担が集中します。

軟骨そのものには痛みを感じる神経がありませんが、受傷後の痛みには、軟骨の下の骨、滑膜、関節包など複数の組織が関わります。

そのため、軟骨のすり減りがX線ではっきりする前から痛む場合もあります。

 

2つ目は関節のかみ合わせです。

足首の中心の骨がわずかに外へずれたり傾いたりすると、段差がなくても体重を受ける面がかたより、同じことが起こります。

内旋位正面像で関節のすきまが均等かどうかを見るのは、このためです。

 

3つ目は遠位脛腓靱帯結合です。

ここが広がったまま治ると、関節の受け皿そのものが緩み、歩くたびに足首の中心の骨が受け皿の中で動いてしまいます。

X線では分かりにくく、ずれが疑われるときは左右を並べたCTで違いが見えることがあります。

 

加えて、骨の位置がきれいに戻っていても、事故の瞬間に軟骨が傷ついていれば、その傷まで完全に回復するとは限りません。

損傷の状態によっては、軟骨・骨軟骨損傷に対する追加治療を検討する場合もあります。骨の位置だけでは説明しきれない痛みが残るのは、このためです。

 

脛骨の下端の骨折を整理するAO/OTA分類(43。くるぶしの骨折は44として別に分類)でも、関節面に及ぶかどうかが大きな区切りです。

骨がついた後も痛みや腫れが続くときは主治医に伝え、必要に応じてCTで確かめてもらってください。

 

後遺障害等級に備える―そろえておきたい検査と記録

診察・後遺障害診断

症状固定が近づいたら、残っている症状を医学的に示せる検査と記録がそろっているかを、主治医と確かめておくことが大切です。

検査・記録 何が分かるか そろえるときのポイント
左右の可動域(背屈・底屈) 足首がどこまで動くか けがをしていない側も同じ日に、膝を曲げた標準の姿勢など測り方をそろえて測る。自分で動かした値か、医師が動かした値かを区別する
X線3方向(正面・側面・内旋位正面像) 骨のつき具合、関節のかみ合わせ、関節症の進み具合 受傷時からの画像を同じ方向で比べる
CT 関節面の段差、骨のつき具合 必要なとき(X線で分かりにくいとき)に相談
ストレス撮影 関節のぐらつき(動揺関節) ぐらつきが疑われる場合に、けがをしていない側と比べる
MRI 靱帯・軟骨の損傷 X線に写らない靱帯の断裂や軟骨の傷みを確かめる
腓骨の短縮やねじれの計測 腓骨の長さとねじれのずれ ずれが疑われるとき、左右をCTで比べる
痛みと生活の支障の記録 歩ける距離、階段、正座、仕事への影響 日付を入れて書き留め、診察で伝える

 

どの検査が必要かは骨折の型と症状で変わります。

 

いつ受けておくか

可動域の測定とX線は、固定を外したとき、全体重をかけ始めたとき、症状固定の前といった治療の節目ごとに受けておくと、経過を比べられます。

痛みやぐらつきが続く場合は、まず診察と必要なX線評価を受けます。

 

そのうえで、関節面や骨の位置を詳しく調べる必要があればCT、軟骨・靱帯が疑われればMRIなど、原因に応じた検査を主治医が選びます。すべての検査を受ける必要はありません。

 

記録の残し方

検査を受けた日付、検査の種類、説明された結果を、手帳やスマートフォンに書き留めておきます。

画像データは受診先ごとに写し(CD-Rなど)をもらい、受傷時のものから順に保管します。

生活の支障は「階段を下りるのに手すりが要る」「長く歩くと夕方に腫れる」のように、場面と程度が分かる言葉で残すと伝わりやすくなります。

 

症状固定前の最終確認の段取り

症状固定の時期が話題に出たら、残っている症状と、これまでに受けた検査の結果をメモにまとめます。

次の受診でそのメモを主治医に見せ、残る症状について追加の評価が必要かを相談します。

後遺障害診断書をお願いするときにも同じメモを渡すと、書き漏れを防ぐ手がかりになります。

 

なお、症状については、「●●するときに痛む」などと詳しく書きすぎてしまうと、「では●●するとき以外は痛くないのね」という判断をされてしまう可能性があります。

症状の書き漏れはいけませんが、簡潔に書いてもらうことが重要です。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、後遺障害診断書の作成に当たって、適切な症状の記載や検査をいただけるよう、

主治医宛てのお手紙を作成していますので、漏れのない後遺障害診断書の作成のサポートを受けられます。

 

後遺障害等級と賠償金の目安

足首の骨折で認定されうる後遺障害等級

交通事故による傷害により後遺症が残ってしまった場合には、自動車損害賠償保障法施行令に定めのある後遺障害等級のどれに当てはまるかということで、

後遺障害等級の認定がされます。

 

足首の骨折後に問題になることが多いのは以下の3つです。

  • 神経症状:骨折部の痛みやしびれが残る
  • 機能障害:足関節の可動域角度が狭くなる
  • 変形障害:骨が完全に癒合しない

 

順に見ていきましょう。

 

神経症状についての後遺障害等級と認定のポイント

骨折した箇所に痛みやしびれ等が残存した場合に認定される可能性があります。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

 

12級と14級の分かれ目は、痛みの原因を、レントゲン・CT・MRIなどの画像所見や神経学的検査等で医学的に証明できるかにあります。

例えば、

  • 骨がきれいにつながっていない
  • 変形して癒合している
  • 関節面に不整がある

といった所見が確認できれば、12級13号が認められる可能性があります。

 

脛骨天蓋骨折のような関節面の骨折の場合には、関節面の不整が残りやすく、後遺障害等級第12級13号の認定可能性が比較的高いです。

 

監修医の補足

診察では、痛む場所(外くるぶし・足首の前・内くるぶし)と、強くなる場面(歩き始め・階段の下り・しゃがむとき)を、実際の状態どおり主治医へ伝えてください。

関節面の段差は、X線で分かりにくいときにCTで確かめます。後遺障害診断書への記載は、診察所見と経過をもとに主治医が判断します。

 

機能障害についての後遺障害等級と認定のポイント

交通事故による足首の骨折により足関節の可動域角度が制限されてしまった場合には、機能障害としての後遺障害等級認定の可能性があります。

 

可動域は、原則として健側(けがをしていない側)と比べた割合で評価されます。

靱帯損傷などにより関節に動揺性が生じた(動揺関節)場合にも、以下の等級を準用した後遺障害等級が認定されます。

 

別表第二第8級7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの →以下の2つのうちいずれか。 ・関節が強直したもの、関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの ・常に硬性補装具を必要とするもの(動揺関節の場合)
別表第二第10級11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの →以下の2つのうちいずれか ・患側の関節可動域が健側の1/2以下に制限されたもの ・時々硬性補装具を必要とするもの(動揺関節の場合)
別表第二第12級7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの →以下の2つのうちいずれか ・患側の関節可動域が健側の3/4以下に制限されたもの ・重激な労働などの際以外には硬性補装具を必要としないもの(動揺関節の場合)

機能障害の認定では、可動域制限があるだけでなく、その原因となる骨や関節の器質的な変化(骨癒合不全、関節面の変形、人工関節など)が確認できるかが重要になります。

 

監修医の補足

足首の角度は、つま先を上げる背屈と、つま先を下げる底屈の両方を測ります。けがをしていない側と同じ日に、同じ姿勢で測ってもらうことが、左右を比べる前提になります。

ぐらつきは診察で確かめ、必要に応じてストレス撮影で、けがをしていない側と比べます。

 

変形障害についての後遺障害等級と認定のポイント

別表第二第12級8号 長管骨に変形を残すもの →脛骨の骨端部にゆ合不全を残すもの

監修医の補足

足首の骨折で骨がつかずに終わる(偽関節)ことは多くありません。

体重をかけると骨折部の痛みが続くときは、X線で骨のつき具合を確かめ、分かりにくいときはCTを追加します。

 

 

また、例えば変形障害を残すとともに神経症状を残してしまったようなケースでは、より上位の等級が採用されたり、

そのほかの後遺障害等級と併合して最終的な等級が定められたりと、後遺障害等級の認定については細かい実務上の運用があります。

ご自身の後遺障害等級が何級になるかについて疑問をお抱えの方は、専門弁護士に相談しましょう。

 

足首の骨折後に後遺障害等級が認定された場合の賠償金の目安

足首の骨折後に後遺障害等級が認定された場合には、認定された後遺障害等級に応じて、

  • 後遺症逸失利益
  • 後遺症慰謝料

が請求可能になります。

それぞれについて解説します。

 

足首の骨折の後遺症逸失利益

そもそも後遺症逸失利益とは、後遺症が残ってしまったことによって、働きにくくなってしまい、

将来得られるはずであった収入が得られなくなるという損害をいいます。

 

 

逸失利益の計算式は、

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)

 

ですが、

この計算式の中の労働能力喪失率が認定される後遺障害等級と連動します。

 

実務では基本的には、労働能力喪失率表(国土交通省ホームページより)に従い、認定される後遺障害等級に応じて定められている労働能力喪失率を採用しています。

 

例を挙げてみてみましょう。

 

事故前の年収が500万円の40歳の方が交通事故に遭い、右の足首を骨折してしまったとします。

懸命な治療・リハビリを続けたものの、足首の可動域が左と比較して2分の1に制限されてしまいました。

認定される後遺障害等級は後遺障害等級第10級11号であり、労働能力喪失率は27%です。

 

そうすると、この方の逸失利益の金額は、

500万円×27%×18.3270(67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数)=2474万1450円

が一つの目安となります。

 

仮に、認定された後遺障害等級が一つ下の後遺障害等級第12級8号であった場合はどうでしょうか。

後遺障害等級第12級8号の労働能力喪失率は14%ですから、この方の逸失利益の金額は、

500万円×14%×18.3270(67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数)=1282万8900円

が一つの目安となります。

 

この場合、認定された後遺障害等級が1つ違うだけで、逸失利益の金額に1000万円以上の差が生じています。

適切な後遺障害等級の認定を得ることの重要性がお分かりいただけると思います。

 

足首の骨折の後遺症慰謝料

後遺症慰謝料は、その名のとおり後遺症が残ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

 

 

後遺症慰謝料も、原則として認定される後遺障害等級に応じて金額が決まります。

裁判基準(弁護士基準)の後遺症慰謝料の目安は以下のとおりです。

 

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

 

先ほどと同じように第8級と第12級を比べてみると、500万円以上の差があります。

後遺症慰謝料についても、適切な後遺障害等級の認定が得られるかどうかは大きな差になります。

同じ骨折でも、後遺障害等級が1つ違うだけで賠償額が大きく変わるため、適切な等級認定を受けることが極めて重要です。

 

適切な後遺障害認定を受けるためのポイント

① 症状が残っている間は、医師の指示どおり通院を続ける

一貫した通院履歴がなければ、事故による怪我との因果関係や症状の継続が認められにくくなります。

自己判断で通院をやめないようにしましょう。

 

監修医の補足

通院は、記録を残すためではなく、治療を進めるためのものです。診察のたびに、医師は骨のつき具合、関節の動き、腫れや傷の状態を確かめ、体重をかける量、リハビリの内容、薬や装具を調整し、合併症の兆しがないかも確かめます。受診時には、次のことを伝えると治療の調整に役立ちます。

  • 前回の受診から良くなったこと、悪くなったこと(新しくできるようになった動作も含めて)
  • 痛む場所と場面(歩き始め、階段の下り、夕方など)
  • できなかった動作や、仕事・家事で困ったこと
  • 自宅で続けているリハビリの内容と、やりにくかったこと
  • 新しく出た症状(しびれ、腫れの増加、皮膚の色や温度の変化など)
  • 痛み止めの効き方や、痛みで眠れない日があるか
  • サポーターや装具が必要な場面と、使ってみての感じ
  • 仕事に戻った場合は、どの作業がつらいか

 

監修医から一言

受診の間隔は主治医と決めますが、症状が落ち着いた段階では月1回程度で経過をみることが多くあります。

受診が数か月途切れると、その間の経過を医学的に説明しにくくなります。通院先は整形外科にしてください(くわしくは上の「5つのこと」の5)。

 

② 必要な検査を受ける

機能障害を主張する場合は関節可動域の測定、動揺関節が疑われる場合はストレス撮影や徒手検査、軟部組織の損傷が疑われる場合はMRI検査など、症状に応じた検査が必要です。

どの検査が必要かは基本的には主治医と相談することになります。

 

とはいえ、主治医は治療が専門であり、後遺障害等級の認定に必要な検査はなにかということをご存じないことも多いです。

 

このような場合にも必要な検査を受けていただくために、弁護士法人小杉法律事務所では後遺障害診断書の作成に当たり、

主治医宛てに「後遺障害等級の認定のポイントや必要な検査」についてまとめたお手紙をお送りしております。

これにより後遺障害診断書の作成を適正に行うことができ、適切な後遺障害等級の認定を得られる可能性を高めるよう努めています。

 

 

③ 後遺障害診断書の記載内容をチェックする

後遺障害診断書は、等級認定の中心となる書類です。症状や検査結果が正確に記載されているか、確認することが重要です。

この記載内容のチェックは後遺障害被害を専門とする弁護士に行ってもらうと良いでしょう。

 

監修医の補足

医師の立場からは、次の欄が、これまでの診察で伝えてきた症状や受けてきた検査の結果と食い違っていないかを確かめておくとよいでしょう。書き漏れが起きやすいのは、けがをしていない側の可動域、途中で受けたMRIやストレス撮影の結果、受傷直後には分からず後から見つかった損傷です。主治医には「この検査の結果も書いていただけますか」と具体的な項目を挙げてお願いし、事実と違う点があれば短く示して、主治医の判断を尊重する形で相談してください。

  • 傷病名: 骨折だけでなく、靱帯損傷や脛腓靱帯結合損傷など、治療の対象になった損傷が書かれているか
  • 自覚症状: 痛む場所と場面、しびれ、ぐらつき、できない動作が、ご自身の言葉に近い形で書かれているか
  • 他覚症状および検査結果: 腫れや押したときの痛みなどの診察所見と、X線・CT・MRIの所見(関節面の段差、骨のつき具合、関節のすきまなど)が書かれているか
  • 関節機能障害: 背屈・底屈が左右とも測られ、自分で動かした値(自動)と医師が動かした値(他動)が区別して書かれているか
  • 障害内容の増悪・緩解の見通し: 今後の見通しが空欄になっていないか

 

④被害者請求により申請する

後遺障害等級の申請には、加害者側の保険会社に任せる事前認定と、被害者自身が資料を添付して申請する被害者請求があります。

被害者請求は、自分で資料を収集しなければいけないという手間がかかる反面、自分で必要な資料を選んで提出できるため、症状を的確に主張しやすい方法です。

 

弁護士に依頼することで、この被害者請求の手続を代行してもらうことができるため、デメリットなく良い申請方法を選ぶことができます。

 

 

監修医の補足

医学的な資料は、「受傷時」「治療の途中」「症状固定時」がつながって見えるようにそろえると、経過が伝わりやすくなります。画像は受傷時から症状固定までのものを受診先ごとに写し(CD-Rなど)でもらい、撮影日が分かる形で保管します。どの資料を提出するかは弁護士と相談するとして、医師の立場からは、次のものが手元にあるかを確かめておくとよいでしょう。

  • 受傷時と症状固定時の画像(同じ方向で撮ったX線を含む)
  • CT・MRI・ストレス撮影など、途中で受けた検査の結果
  • 左右の可動域を測った記録(測った日と測り方が分かるもの)
  • 手術を受けた場合は手術の記録と、リハビリの経過が分かる記録
  • 痛みや生活の支障を書き留めたメモ

 

⑤ 早めに弁護士へ相談する

適切な等級認定と、適正な賠償額を得るには、骨折の態様の把握と、後遺障害の立証資料の収集が不可欠です。

治療期間中から弁護士に相談することで、適切な後遺障害等級の認定を見据えたアドバイスを受けることができます。

 

監修医の補足

医師の立場から見た「早めに」の意味は、腫れや可動域など、その時点の足首の状態は後から同じように再現できないことがあるためです。症状の変化は治療中から主治医に伝え、必要な診察や検査を相談しておくことが大切です。治療中から相談しておくと、次のような点に早く気づき、記録の取りこぼしを防ぎやすくなります。

  • 残る症状について、追加の評価が必要かを主治医と相談したか
  • けがをしていない側の可動域も、同じ条件で測ってもらっているか
  • 受傷直後の「捻挫」などの診断名の後に見つかった損傷が、診察で伝わっているか
  • 画像の写しを受診先ごとにもらっているか

 

足首の骨折についてのよくある質問

足首の骨折はどのくらいで治りますか?

骨のつながりは数週間から数か月かけて進みます。

体重をかける時期は骨折の安定性や固定、皮膚の状態で異なり、早期から許可される場合もあります。

仕事への復帰は仕事内容と通勤方法に応じて判断し、ピロン骨折ではより長くかかる場合があります。

 

目安としては、受傷(手術)から4〜5週間ほどでギプスなどの外固定を終える場合があります(骨癒合の完成を意味しません)。

骨癒合の目安は3か月前後です。スポーツなど運動への復帰を検討する時期の一例は4〜5か月から半年くらいで、競技内容、痛みや腫れ、筋力や動作の回復をみて判断します。

いずれも骨折の型や年齢、手術の有無によって前後し、個人差があります。

 

次にすることとして、主治医に

  • 「体重をかけてよい時期」
  • 「足首を動かし始める時期」
  • 「仕事に戻る目安」

の3つを確かめておきましょう。

見通しは経過で変わるため、受診のたびに確認し直すと、職場への説明もしやすくなります。

 

足首の骨折と捻挫は、どう見分けますか?

見た目だけでは区別できません。体重をかけられない、くるぶしを押すと強く痛むといった場合は骨折を疑ってX線を撮ります。

受傷直後のX線では写らない骨折もあるため、痛みが続くときは再診してください。

 

次にすることとして、痛む場所を指で押していちばん痛い一点を確かめ、受診時に示してください。

痛みや腫れが引かないときの相談のしかたは、「意見書を書いてきた医師から、5つのこと」の3にまとめています。

 

なお、交通事故により足首を痛めたようなケースでは、治療費の対応などにも関わるので、

症状の重さにかかわらずできるだけ早期に整形外科を受診するようにしてください。

 

 

足首の骨折の後遺症は、必ず残りますか?

必ず残るわけではありません。関節面がきれいに合い、かみ合わせがずれずに骨がつけば、大きな支障なく過ごせるまでの回復が期待できます。

一方で、関節面の段差、足首のこわばり、靱帯のゆるみが残った場合や、受傷時に軟骨が傷ついていた場合には、痛みや動かしにくさが後遺症として残ることがあります。

 

次にすることとして、しゃがむ・正座・階段の下りでつらい動作を日付入りで書き留め、左右の角度の測定や必要な画像検査を主治医に相談してください。

 

手術で入れたプレートやスクリューは抜く必要がありますか?

抜くことが前提ではありません。多くはチタン製で、体の中に残しても問題のない金属です。

成人では残したままにすることも一般的で、違和感や器具が当たる場合、ご本人の希望などによって抜釘術を行うことがあります。主治医と相談して決めます。

 

次にすることとして、器具が当たる、靴が当たる、腱がこすれて痛むといった症状があれば、主治医に伝えてください。

抜く場合は、骨のつき具合と、症状固定や仕事の予定とのかね合いをみて、主治医と時期を決めます。

 

後遺障害等級の認定においても、これらのプレートやスクリューを抜くことが要件となっているわけではありません。

 

正座やしゃがむ動作はできるようになりますか?

正座はつま先を下げる底屈を、しゃがむ動作はつま先を上げる背屈を、それぞれ足首の動く範囲いっぱいまで使う動作です。

時間をかけて戻る方もいれば、難しさが残る方もいます。できない動作や痛む動作は、具体的に書き留めて主治医に伝えておくことが大切です。

 

次にすることとして、正座やしゃがむ動作の練習は自己流で無理をせず、リハビリの担当者と相談しながら進めてください。

左右の可動域を同じ条件で測ってもらい、時期ごとの値を控えておくと、回復が横ばいになったかどうかの目安になります。

 

足首の骨折で後遺障害は何級になりますか?

症状によって異なります。

  • 神経症状で12級13号・14級9号
  • 機能障害で8級7号・10級11号・12級7号
  • 変形障害で12級8号

などが考えられます。

 

事前認定と被害者請求はどちらがよいですか?

症状を的確に主張するためには、必要な資料を自分で選んで提出できる被害者請求を選択するメリットは大きいといえます。弁護士に相談しながら進めると安心です。

 

 

足首の骨折で慰謝料はいくらもらえますか?

入通院期間や認定される後遺障害等級によって変わります。

 

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

後遺障害等級別の後遺症慰謝料の目安はこちらですが、ご自身の慰謝料額が気になる方は無料相談をお受けください。

 

 

交通事故による足首の骨折は弁護士に相談しましょう

弁護士に相談を

交通事故により足首を骨折した場合、適切な賠償金を獲得するためには、適切な後遺障害等級の認定を得ることが大前提です。

そのためには、骨折の態様や残ってしまった症状などを裏付ける立証資料を適切に集めていく必要があります。

 

この立証資料の収集は、ご本人のみで行うのはなかなか難しい作業であり、後遺症を専門としている弁護士に相談することがお勧めです。

 

交通事故に強い弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故後遺症被害専門の弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

 

交通事故被害に遭い、足首を骨折してしまい、ご自身の後遺障害等級などについて疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故後遺症被害専門弁護士との初回無料の法律相談はこちらのページから。

 

足首の骨折に関する弁護士法人小杉法律事務所の解決実績

参考文献: 標準整形外科学 第15版(医学書院)/AO/OTA骨折分類/Faldini C. Osteoarthritis after an ankle fracture: we can’t really avoid it. Musculoskeletal Surgery, 2023

この記事の監修者医師
江川誠一郎 整形外科専門医・医学博士
大腿骨骨折治療センター長
江川誠一郎
医学意見書 63件(2018年〜 2026年10月時点) 手術 通算5,891件(2026年10月時点)・骨折手術は現在も月45件。

経歴

2005年 東京医科大学医学部卒業。大学病院と関連病院で整形外科の研鑽を積み、2016年から都内の病院で骨折治療を専門に診療。2021年に大腿骨の骨折に特化した治療部門を立ち上げ、責任者を務める。 骨折の治療と、交通事故の医学意見書の両方に携わってきた立場から、読者の方が「自分の骨折」を理解し、必要な記録を残せるよう監修しました。
この記事の監修者弁護士
小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。