後遺障害等級一般論 骨折 靭帯損傷/断裂 上肢 下肢 神経症状
上肢と下肢について(弁護士法人小杉法律事務所監修)
本記事では上肢と下肢の構造等について簡単に整理しております。
各部位の詳細はそれぞれのリンク先にてご確認いただけますと幸いです。
上肢(上肢の3大関節と手指)
↑のイラストで説明しますと、鎖骨(さこつ)、肩甲骨(けんこうこつ)、上腕骨、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)、手骨から構成されます。手骨はさらに、手根骨(しゅこんこつ)、中手骨(ちゅうしゅこつ)、指骨(しこつ)に分かれます。
自賠責保険の後遺障害認定上は、上肢についてさらに、上肢の3大関節と手指に分類し、それぞれについて後遺障害等級を定めています。
上肢の3大関節、上腕骨、前腕骨
上肢の3大関節とは、肩関節・ひじ関節・手関節をいいます。これらの関節の間には、上腕骨、橈骨・尺骨という三つの長管骨があります。肩関節からひじ関節までを上腕、ひじ関節から手関節までを前腕といい、前腕にある橈骨と尺骨は前腕骨とも呼ばれます。
肩関節
肩は3つの解剖学的関節(胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節)と2つの機能的関節(肩峰下関節、肩甲胸郭関節)からなります。
また、肩関節を構成する骨格は、鎖骨、肩甲骨、上腕骨の3つです。
→肩の骨折に関する詳細については、こちらの記事をご覧ください。
→鎖骨骨折に関する詳細については、こちらの記事をご覧ください。
→肩甲骨骨折に関する詳細については、こちらの記事をご覧ください。
→上腕骨近位端骨折の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
上腕骨
上腕骨は、鎖骨、肩甲骨とともに肩関節を構成する骨格の一つです。肩関節と肘関節の間をつなぐ、二の腕(上腕)部分の長管骨になります。
→上腕骨についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
上腕骨のうち肩の付け根に近い部分を上腕骨近位端と言いますが、骨頭、大結節、小結節、骨幹部の4つの部分に分かれます。
→上腕骨近位端骨折の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
上腕骨の中央部分は上腕骨骨幹部と言います。
→上腕骨骨幹部骨折の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
上腕骨のうち肘関節に近い部分を上腕骨遠位端と言います。
→上腕骨遠位部骨折についてはこちらの記事をご覧ください。
肘関節
↑右上肢を正面から見た場合の図です。手のひらをこちらに向けて、親指は体の外側にあります。
肘関節は上腕骨の遠位端(体から遠い)と、前腕部の尺骨及び橈骨近位端(体に近い)から構成されます。尺骨の肘関節に近いところを肘頭(ちゅうとう)と言います。尺側(上の図では前腕部の右側)には内側側副靱帯、撓側(上の図では前腕部の左側)には外側側副靱帯があります。
前腕骨
橈骨と尺骨の2本の長管骨から構成され、2本合わせて前腕骨とも呼ばれます。
→前腕骨の骨折についての詳細はこちらの記事でご確認ください。
→橈骨骨折についての詳細はこちらの記事でご確認ください。
→尺骨骨折についての詳細はこちらの記事でご確認ください。
手関節
↑のイラストは右手を上から眺めたものです。
一般的に手首という場合、前腕とてのひらが繋がっている部分のことを指しますが、前腕側では橈骨と尺骨、手のひら側では8つの手根骨(大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)、有頭骨(ゆうとうこつ)、有鉤骨(ゆうこうこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、豆状骨(とうじょうこつ))で構成されています。
手根骨についてはさらに、近位手根列(舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨)と遠位手根列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨)に分類できます。
手指
各指は、おや指・ひとさし指・なか指・くすり指・こ指といいます。おや指は末節と基節、その他の四本の指は末節・中節・基節に分かれます。
おや指にある関節は、指節間関節(IP)と中手指節関節(MCP)、その他の四本の指の関節は、遠位指節間関節(DIP)・近位指節間関節(PIP)・中手指節関節(MCP)です。
手の骨は、末節骨・中節骨・基節骨・中手骨、そして大小八つの骨から成る手根骨で構成されています。
→中手骨の位置や構造、受傷原因や骨折後の症状はこちらの記事で整理しています。
→中手指骨折後に認定されうる後遺症や検査方法等についてはこちらの記事で整理しています。
下肢(下肢の3大関節と足指)
↑のイラストで説明しますと、大腿骨、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、足骨から構成されています。足骨はさらに、足根骨(しこんこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)、趾骨(しこつ)に分かれます。
自賠責保険の後遺障害認定上は、下肢についてさらに、下肢の3大関節と足指に分類し、それぞれについて後遺障害等級を定めています。
下肢の3大関節、大腿骨、下腿骨
下肢の3大関節とは、股関節・ひざ関節・足関節をいいます。これらの関節の間には、大腿骨・脛骨・腓骨という三つの長管骨があります。股関節からひざ関節までを大腿、ひざ関節から足関節までを下腿といい、この下腿にある脛骨と腓骨は下腿骨ともよばれます。さらに足関節以下足指までの間に、足根骨と中足骨があり、この間をリスフラン関節といいます。
股関節
股関節を構成する骨は、寛骨(かんこつ)と大腿骨です。
寛骨の半球状の陥凹部が寛骨臼(寛骨臼)であり、寛骨臼の頭側部分は荷重を主に支える部分で臼蓋(きゅうがい)と呼ばれます。寛骨臼には月状面という馬蹄型をした関節軟骨に覆われた関節面があり、球状の大腿骨頭と股関節を形成しています。
大腿骨近位部(大腿骨の股関節に近い部分。)は体幹に近い方から、球状の大腿骨骨頭と、これを連結する大腿骨頚部、転子部(てんしぶ)(大転子と小転子)、転子下(てんしか)に分類されます。
大腿骨
→大腿骨骨幹部の骨折について詳細はこちらの記事をご覧ください。
膝関節
このイラストは右ひざを正面からみたときのものです。腓骨が向かって左側、脛骨が右側にあります。
膝関節は、大腿骨、脛骨(けいこつ)、および膝蓋骨(しつがいこつ)からなる関節で、人体で最も大きな関節です。
大腿骨と脛骨の間の大腿脛骨関節(FTJ)は内側コンパートメントと外側コンパートメントに分かれています。もう一つの関節面が膝蓋骨と大腿骨の間の膝蓋大腿関節(PFJ)になります。
→膝関節の骨折全般についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
→脛骨高原骨折(プラトー骨折)の詳細はこちらの記事をご確認ください。
膝関節の安定性は、関節面形状自体ではなく、半月板、靱帯を中心とした軟部組織に頼っています。
膝の靱帯
内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)、外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)の4つが主な靱帯です。
→膝の靱帯損傷全般に関しての詳細はこちらの記事をご覧ください。
半月板
半月板は繊維軟骨よりなり、荷重分散機能を有する重要な組織です。
→半月板損傷後の後遺障害についてはこちらの記事をご確認ください。
下腿骨
脛骨と腓骨の2つの長管骨を指します。
足関節
こちらのイラストは、右足を正面から見たものです。
脛骨と腓骨の遠位脛腓関節でつながり、距骨との間で足関節を形成しています。
足指
足には歩行時の荷重に耐えられるだけの安定した構造と、どのような形状の地表面にでも適合できる自由度の高い足底の動きが要求されます。28個の骨が理想的に組み合わさることで、この一見相反するような2つのことが可能になっています。
足根骨(そっこんこつ)(距骨・踵骨・舟状骨・内側楔状骨・中間楔状骨・外側楔状骨・立方骨の総称)がアーチ状に配列することで骨性に安定し、さらに足底靱帯ならびに足底腱膜が支えています。
足は足根中足関節(リスフラン関節)と横足根関節(ショパール関節)を境にして、前足部、中足部、後足部に分類されます。
→趾節骨の骨折について、原因や症状、検査方法、認定されうる後遺障害等級等はこちらの記事で整理しています。
→中足骨の骨折やその原因、症状や治療法、後遺症等治療についてはこちらの記事をご覧ください。
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交通事故や労災事故等で身体のどこかに骨折を受傷してしまうことがあります。一口に骨折と言っても、部位や骨折態様、発生する症状は様々です。医学的な知識を基に、個々の受傷態様に応じて、治療のしかたや検査方法、後遺障害の見込みについて、被害者側専門の損害賠償請求に特化した弁護士へがアドバイスをさせていただきます。