後遺障害等級の解説

骨折 圧迫骨折・体幹骨骨折 上肢 神経症状

鎖骨骨折|医師監修記事・後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらの記事では、鎖骨骨折について整理しています。

なお、本記事は損害賠償請求を専門に取り扱う弁護士小杉による執筆記事となりますが、医学的事項を含むため、医学博士早稲田医師(日本精神神経学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医、日本医師会認定産業医)に記事のご監修をいただいております。

鎖骨骨折含む「その他体幹骨」の骨折についてはこちらの記事でも整理しています。

鎖骨とは

鎖骨の部位

上肢の3大関節である肩関節(鎖骨、肩甲骨、上腕骨)を構成する骨格の一つです。

上肢の3大関節の詳細はこちらの記事をご覧ください。

全体に緩いS字状の湾曲を呈する長骨で、胸骨と肩甲骨を接続しています。

鎖骨と周辺の構造

内側の胸骨端は胸骨との間に胸鎖関節(胸鎖靱帯)、外側部は扁平化し、肩甲骨との間に肩鎖関節(肩鎖靱帯)を形成しています。肩鎖関節の安定性を保つために重要な靱帯として、鎖骨と烏口突起を結ぶ烏口鎖骨靱帯があります。

どのような場合に鎖骨骨折を受傷するか

上肢を伸展して倒れたり、肩を下にして転倒した場合の介達外力によって受傷する例が多いと言われています。

鎖骨骨折は骨折全体の約10%を占め、交通事故やスポーツにより受傷することが多いです。

鎖骨骨折に合併しうる他の損傷

⑴靱帯損傷

鎖骨につながっている胸鎖靱帯、肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯の損傷があり得ます。

⑵腱板損傷

鎖骨の外側部には棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋からなる腱板が存在しますが、鎖骨骨折の際に腱板を損傷することもあります。

腱板断裂について整理した記事はこちらになります。

⑶肩甲骨骨折

鎖骨骨折に伴い、肩甲骨関節窩骨折が発生する場合があります。

肩甲骨骨折についてはこちらの記事をご覧ください。

⑷腕神経叢の損傷

腕神経叢は第5頸神経(C5)から第1胸神経(Th1)の前枝により構成され、多くの末梢神経を分枝し、上肢機能を支配しています。そのため、腕神経叢損傷では上肢の重大な機能障害が生じることになります。オートバイの転倒事故、高所からの転落や落下物にあたるなどの高エネルギー外傷で発生することが多いと言われています。

腕神経叢損傷についてはこちらの記事で整理しております。

⑸胸骨の骨折

胸骨は鎖骨と隣接する骨であることから、鎖骨骨折が生じている場合、胸骨骨折を合併する可能性が考えられます。

胸骨骨折の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

鎖骨骨折の症状

⑴骨折部位の神経症状

骨折部位に疼痛が生じたり、しびれや麻痺等の神経症状が残存する可能性があります。

鎖骨骨折後に生じる痛みについてはこちらの記事でも整理しています。

⑵肩関節の可動域制限

鎖骨は肩関節を構成する要素の一つであることから、鎖骨骨折によって肩関節の動きが悪くなり、可動域制限が残存する可能性があります。

また、鎖骨骨折の際にはスリング固定等が行われることがありますが、これにより肩関節周辺の筋萎縮等が進むことによって可動域が低下することもあります。

⑶鎖骨の変形

骨折部位が変形したまま癒合するなどして、変形が残存する可能性があります。

鎖骨骨折の分類・治療指針

診察・後遺障害診断

(今日の整形外科治療指針第8版(医学書院)、414頁)

鎖骨骨折は、その骨折部位に応じて、遠位端骨折(体幹から遠い)、骨幹部骨折(中間)、近位端骨折(体幹に近い)に分類されます。

最も頻度が高いのは骨幹部骨折で、鎖骨骨折のうち約80%が骨幹部骨折であると言われています。

⑴鎖骨骨幹部骨折

保存療法が原則ですが、開放骨折、神経血管損傷例は絶対的手術適用だと言われます。

保存療法:スリングや鎖骨バンド固定を行い仮骨出現後は積極的に可動域訓練を行います。

⑵鎖骨遠位端骨折

安定型骨折は保存療法、不安定型骨折は手術療法の適用です。

鎖骨遠位端骨折の詳細はこちらの記事でも整理しております。

⑶鎖骨近位端骨折

原則として保存療法が選択されることが多いようです。

鎖骨骨折の診断・検査

骨折の有無や程度の確認にあたり、X線画像診断は必須です。また、何らかの後遺障害が残存した場合には、X線診断に加えてCT画像検査を行い、骨折部位に疼痛や可動域制限の原因になりうる不整癒合等が残っていないか確認するのも有用です。

鎖骨骨折時に靱帯や腱板を損傷した可能性もありますので、こちらについてはMRI画像検査が有用な場合もあります。

腱板損傷を疑う場合、徒手検査としてPainful arc sign 、Drop arm sign 、Lift off test 、インピンジメントサイン等の検査方法があります。

鎖骨骨折後に認定されうる後遺障害等級

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予測されます。

まず、肩関節に可動域制限が残存した場合には、その可動域制限の程度に応じて上肢機能障害8級、10級又は12級が認定される可能性があります。

また、不整癒合等により鎖骨に変形が残存している場合には、体幹骨の変形障害12級が考えられます。

更に、骨折部位やその周辺に鎖骨骨折による疼痛等の症状が残存している場合には、神経症状12級又は14級の認定可能性があります。

鎖骨骨折後の後遺症についてはこちらの記事で認定区分や検査方法等の詳細を整理しています。

弁護士に相談を

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本記事では、鎖骨骨折の具体的な内容や、鎖骨骨折により認定される可能性がある後遺障害等級について解説いたしました。

鎖骨骨折で適切な後遺障害等級を獲得するためには、医学的な資料などを収集した上で自賠責保険請求を行うことが望ましく、

そのためには専門的な知識が欠かせないものとなります。

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者専門・後遺障害専門の弁護士が無料で法律相談を行っております

交通事故で鎖骨の骨折を負傷してお悩みの方や、交通事故による後遺障害や損害賠償請求についてお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。