後遺障害等級一般論 骨折 上肢 下肢 神経症状
基節骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)
この記事では、手指と足指を構成する基節骨の骨折について整理しています。
基節骨とは
手指と足指にある骨ですが、いずれも指の付け根に一番近い骨です。
手指の基節骨
↑のイラストの通り、基節骨は「指骨」に含まれます。5本の指のすべてに存在します。
近位(体幹に近い)では中手骨とMP関節(中手指節関節)を、遠位では中節骨とPIP関節(近位指節間関節)(親指の場合は末節骨とIP関節(指節間関節))を構成します。
骨折の原因
直達外力、介達外力のいずれによっても生じます。
※直達外力:受傷部位に直接的に働く外力
※介達外力:受傷部位から離れた部位に働く外力、間接的に働く外力
症状
手指の疼痛、腫脹、変形を生じます。
検査
通常の2方向(正面像、側面像)での単純X線を撮影しますが、正確な側面像は得にくいため、必要に応じてCTや3D-CT像で骨折の転位を調べます。
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、506頁)
治療方針
転位が軽度の場合、MP関節屈曲位置として徒手整復を行い、背側ギプスシーネ固定、またはギプス固定をし、早期からPIP関節の運動を許可します。
徒手整復や整復位保持が困難な場合は、手術療法へ移行します。
手術療法としては、透視化に整復が可能であれば、Kirschner鋼線にて経皮的に固定します。整復が困難な際は背側切開にて伸筋腱を縦割し、骨折部を観血的に整復した後にKirschner鋼線、ミニスクリュー、ミニプレートにて固定します。
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、506頁)
後遺障害
疼痛等の神経症状、関節の動きにくさで機能障害の認定可能性があります。
→手指の基節骨骨折で認定可能性のある後遺障害等級については、「指の骨折」の記事で整理しています。
固定や腱癒着による関節拘縮、経皮的鋼線刺入による疼痛などに警戒すべきですだと言われています。
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、506頁)
足趾の基節骨
足指は手指との区別のために足趾(足趾)や趾(趾)ともよばれますが、母趾(第1趾)、第2趾、第3趾、第4趾、小趾(第5趾)の5本の趾節骨で構成されます。
基節骨はいずれの指でも指の付け根に一番近いところの骨です。
近位(体幹に近い)では中足骨とMTP関節(中足趾節関節)(↑のイラストではMP関節と表記。)を、遠位(体幹から遠い)では基節骨とPIP関節(近位趾節間関節)を構成します。
骨折の原因
重量物を足趾に落としたり、足趾を硬いものにぶつけたりして生じます。
打撲などの直達外力によって骨折する場合と、捻挫時などに腱や靱帯によって裂離骨折が生じる場合があります。
母趾基節骨内側基部は疲労骨折の頻発部位です。
局所の安静のために正常歩行が困難ですが、踵で歩行することはできます。
症状
骨折部の腫脹、変形、疼痛を認めます。患肢をかばえば歩行できることが多いため骨折しているとは思わず受診が遅れる傾向にあります。
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、865頁)
検査
足趾の単純X線背底像、側面像、斜位像で診断します。小さくてわかりにくい小骨片にはCTや3D-CTが有用です。
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、865頁)
後遺障害
骨折部位の痛み等で神経症状、関節の動きにくさで機能障害等の認定可能性があります。
→認定されうる後遺障害等級等については足指の骨折の記事でまとめております。
弁護士に相談を
交通事故や労災事故、介護事故等で手指や足指(足趾)の基節骨に骨折を受傷した場合、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、骨折の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。