骨折 下肢 神経症状
中足骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)
この記事では足の甲にある中足骨の骨折について整理しています。
→中足骨や周囲の構造(中足指節関節やリスフラン関節、アーチ構造等)についてはこちらの記事をご覧ください。
中足骨骨折の原因
直達外力(重量物が足部に落ちた場合など)、介達外力(前足部が機械に挟まれた場合など)、疲労骨折によるものがあります。
直達外力のでは、横骨折や粉砕骨折の形をとります。
疲労骨折は第2・3中足骨骨幹部や第5中足骨近位部骨端から骨端部に好発します。
→第五中足骨骨折の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
リスフラン関節への影響
中足骨近位部の骨折は、しばしばリスフラン関節損傷や脱臼骨折として生じます。
→リスフラン関節の靱帯損傷による後遺症についてはこちらの記事で整理しています。
中足骨骨折の症状
骨折部に腫脹、変形を認め、安静時痛、歩行時痛あるいは歩行不能を訴えます。
中足骨骨折の診断
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、865頁)
足部単純X線背底像、側面像、斜位像で診断します。
リスフラン関節部は単純X線に加えてCTや3D-CT検査を行うとより詳細に骨折の状態がわかります。
疲労骨折の場合は2~3週間後の再検査やMRIあるいは骨シンチグラムが有用です。
中足骨骨折の治療
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、865頁)
転位がないか徒手整復可能な場合は、短下肢ギプスやギプスシャーレ、アルミシーネなどの外固定を4週間程度行い、その間免荷歩行をするようにします。第2、3中足骨骨幹部の疲労骨折の場合は原因となったスポーツや長距離歩行を中止するだけで旺盛な仮骨形成を認めて治癒します。
整復位の維持が外固定で不能な場合に手術を施行します。
認定されうる後遺障害
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。
神経症状
骨折部位に痛み等が残存する場合に認定可能性があります。
遠位部の骨折の場合は中足指節関節、近位部の骨折の場合はリスフラン関節に悪影響を及ぼすことがあり、痛みが残存する可能性が高まります。
また、骨折の影響で足部アーチに崩れや歪みが生じた場合も、痛みが残存する可能性が高まります。
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
機能障害
骨折の影響で中足指節関節の可動域に制限が出た場合、認定の可能性があります。
基本的には遠位部骨折の場合が想定されます。
別表第二第9級15号 | 1足の足指の全部の用を廃したもの |
別表第二第11級9号 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
別表第二第12級12号 | 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの |
別表第二第13級10号 | 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
別表第二第14級8号 | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
※足指の用を廃したもの
中足骨の骨折という前提で整理すると、中足指節関節に著しい運動障害を残す場合です。
ここでいう「著しい運動障害」とは、患側の運動可動域が健側の1/2以下になったものをいいます。
弁護士に相談を
交通事故等の外傷で中足骨骨折を受傷した場合、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、骨折の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。
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