骨折 靭帯損傷/断裂 下肢 神経症状
リスフラン関節部の靱帯損傷による後遺症(弁護士法人小杉法律事務所監修)
本記事では、足の甲にあるリスフラン関節の靱帯損傷と、認定されうる後遺症について整理しています。
リスフラン関節とは
リスフラン関節は前足部の中足骨と中足部の楔状骨、立方骨で構成されます。詳細には、第1~3中足骨と第1~3楔状骨、第4~5中足骨と立方骨の関節で形成されます。
→リスフラン関節の構造等、詳細はこちらの記事で整理しています。
リスフラン靱帯損傷とは
リスフラン靱帯は、リスフラン複合体(背側靱帯、リスフラン靱帯、底側靱帯で構成)に存在する骨間靱帯ですので肉眼では確認できず、診断や治療に難渋すると言われています。
靱帯損傷の原因
リスフラン靱帯損傷は、捻挫などの比較的低エネルギーで生じる内側楔状骨と第2中足骨間の軽微な離開から、転落などによる高エネルギー外傷に至るものまであります。
損傷後の症状
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、871頁)
受傷直後から足背部を中心に強い疼痛を訴え、足部の荷重は困難なことが多いです。腫脹は足部背側だけではなく底側にも認められます。
治療について
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、871~872頁)
分類
Nunleyらの分類が最も多く用いられ、荷重時の足部単純X線正面像によって3つに分類されます。
StageⅠ | 内側楔状骨と第2中足骨の間隙を健側と比較し、開大が明らかでないもの |
StageⅡ | 開大が2~5mmのもの |
StageⅢ | 開大が2mm以上で足アーチの低下がみられるもの |
StageⅠ
基本的に4~6週間の免荷ギプス固定を行います。
StageⅡ~Ⅲ
基本的に手術療法が推奨されます。
手術療法では、3.0~3.5mm径のポジショニングスクリューで内側楔状骨と第2中足骨基部間、内側楔状骨と中間楔状骨間を固定します。スクリューは術後3~4か月後に抜去します。
靱帯損傷が著しい場合は靱帯再建術も考慮します。
検査について
(今日の整形外科治療方針第8版(医学書院)、872頁)
単純X線像で内側楔状骨・第2中足骨の離開や小骨片を認めます。これらの所見は非荷重時では不明瞭な場合もあり、できる限り荷重下で撮影します。
CT検査は健側と比較することで離開の有無を確認できるだけではなく、併存している裂離骨折や亜脱臼も把握できます。
高分解能MRI検査では、リスフラン靱帯損傷を描出することができます。
認定されうる後遺症
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害としては、神経症状での認定が予想されます。
靱帯損傷部位に痛み等が残存する場合に認定可能性があります。
また、靱帯損傷の影響で足部アーチに崩れや歪みが生じた場合も、痛みが残存する可能性が高まります。
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
弁護士に相談を
交通事故や労災事故等の外傷でリスフラン関節部の靱帯を損傷した場合、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うためには、靱帯損傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。
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