後遺障害等級の解説

骨折 下肢 神経症状

リスフラン関節(弁護士法人小杉法律事務所監修)

手術

本記事ではリスフラン関節部の受傷(脱臼骨折や靱帯損傷)について整理しています。

リスフラン関節とは

足は足根中足関節(リスフラン関節)と横足根関節(ショパール関節)を境にして、前足部、中足部、後足部に分類されます。

リスフラン関節は前足部の中足骨と中足部の楔状骨、立方骨で構成されます。詳細には、第1~3中足骨と第1~3楔状骨、第4~5中足骨と立方骨の関節で形成されます。

リスフラン関節は足根中足関節ともいいますが、蹴り出し時には大きな力がかかり、第2中足骨近位が3つの楔状骨で形成されたほぞ穴のなかに入り込んでいることで足根骨全体の安定性に寄与しています。

中足骨骨折についてはこちらの記事をご覧ください。

立方骨骨折についてはこちらの記事をご覧ください。

以下、本記事では、リスフラン関節脱臼骨折について整理します。

リスフラン関節損傷時に靱帯損傷が発生することもあります。

リスフラン靱帯損傷の原因、症状や認定されうる後遺障害等はこちらの記事で整理しています。

靱帯損傷全般についてはこちらの記事をご覧ください。

リスフラン関節脱臼骨折の原因

リスフラン関節の脱臼と脱臼骨折は、高所から飛び降りた際の前足部への強い衝撃、交通事故での捻転力など高エネルギー外傷により生じます。足関節底屈にて足部に軸圧とともに回旋または外転力がかかる介達外力により損傷します。

解剖学的に、第2中足骨基部はほぞ状に楔状骨間に嵌り込んでおり、構築学的に安定しています。脱臼時には、第2中足骨基部の骨折を合併することが多いです。

リスフラン関節脱臼骨折の症状

受傷部位に痛み等の症状が発生します。

リスフラン関節脱臼骨折の診断

(標準整形外科学第15版(医学書院)、847頁)

受傷直後には局所の変形が明らかですが、早期に足部の腫脹が強くなります。

単純X線検査は正面・側面・斜位像を撮影します。

脱臼の形態をより明らかにするために3D-CTは有用です。

リスフラン関節脱臼骨折の治療

(標準整形外科学第15版(医学書院)、847頁)

腫脹が強いため、早期整復を試みないと軟部組織の損傷が強くなります。麻酔下に後足部を固定し前足部を牽引すると整復できますが、整復位を保つことが困難であることが多いため、解剖学的整復を得るためには、観血的整復が必要になります。内固定材としてスクリューやKirschner鋼線を用いて固定を行うことが多いです。

荷重については慎重に行った方がよく、6週以降から開始します。その後、足部の横アーチが崩れることを予防するためアーチサポートの足底挿板を用います。

足部の横アーチの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

リスフラン関節脱臼骨折で認定されうる後遺障害について

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害としては、神経症状での認定が予想されます。

骨折部位に痛み等が残存する場合に認定可能性があります。

また、骨折の影響で足部アーチに崩れや歪みが生じた場合も、痛みが残存する可能性が高まります。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号 局部に神経症状を残すもの

弁護士に相談を

交通事故や労災事故等の事故でリスフラン関節部を損傷した場合、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

弁護士法人小杉法律事務所の解決事例

【リスフラン関節開放性脱臼骨折及び足部醜状】後遺障害等級併合11級を獲得し、裁判基準を超える後遺症慰謝料額で示談解決した事例

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。