骨折 下肢 神経症状
立方骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)
この記事では足根骨の一つである立方骨(りっぽうこつ)の骨折について整理しています。
立方骨とは
足には歩行時の荷重に耐えられるだけの安定した構造と、どのような形状の地表面にでも適合できる自由度の高い足底の動きが要求されます。28個の骨が理想的に組み合わさることで、この一見相反するような2つのことが可能になっています。
ヒトが二足歩行するうえで足のアーチ構造は重要で、内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチが存在します。
足根骨(そっこんこつ)(距骨・踵骨・舟状骨・内側楔状骨・中間楔状骨・外側楔状骨・立方骨の総称)がアーチ状に配列することで骨性に安定し、さらに足底靱帯ならびに足底腱膜が支えています。
足根骨を構成する骨の一つが、立方骨です。
足は足根中足関節(リスフラン関節)と横足根関節(ショパール関節)を境にして、前足部、中足部、後足部に分類されます。
立方骨は中足部にありますが、遠位ではリスフラン関節、近位ではショパール関節に隣接し、外側縦アーチと横アーチを構成する骨の一つです。
→足の全体的な構造や他の骨折についての詳細はこちらの記事をご確認ください。
立方骨骨折の原因
足部にかかるさまざまな外力により、舟状骨に骨折をきたすことがあり、時に隣接する舟状骨の骨折も合併します。
立方骨骨折は外側遠位の剥離骨折に分かれますが、後者には強い外力により激しい圧壊を伴う骨折もあります。
高エネルギー外傷ではリスフラン関節脱臼骨折などの合併損傷を認めることも多く、腫脹が激しい場合はコンパートメント症候群の発生にも注意が必要です。
足部X線背底像、側面像、両斜位像を撮影します。3D-CTやMRIが有用で、空間的な転位の程度や方向・骨片の大きさや位置などが把握しやすいと言われています。
新鮮例で転位がないかわずかなものは保存療法の適用となり、3~5週程度の外固定と免荷でほとんどが治癒します。
骨折や脱臼による大きな転位やリスフラン関節脱臼骨折の合併は、腫脹によるコンパートメント症候群の一因になります。
また、立方骨の骨折に合併して足首の二分靱帯損傷が生じることもあると言われています。
→足首の二分靱帯損傷についてはこちらの記事をご確認ください。
立方骨骨折の症状
骨折部位の痛み等の症状が発生します。
認定されうる後遺障害
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。
神経症状
骨折した箇所に痛みやしびれ等が残存した場合に認定される可能性があります。
特に、立方骨の骨折がリスフラン関節やショパール関節にも影響を及ぼす態様の場合や、立方骨を構成要素にする外側縦アーチや横アーチに崩れや歪みがでた場合、痛みが残存する可能性が高まります。
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
弁護士に相談を
交通事故や労災事故等の外傷で立方骨骨折を受傷した場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、骨折の態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。