後遺障害等級の解説

骨折 下肢 神経症状

腓骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)

こちらの記事では、腓骨の骨折について整理しております。

腓骨とは

全身骨格

人体の下腿部には2本の長管骨があり、体の内側の太い骨を脛骨(けいこつ)、外側の細い骨を腓骨(ひこつ)と言います。

2本合わせて下腿骨といいます。

腓骨の膝に近い部分を近位部足首に近い部分を遠位部中間を骨幹部と呼びます。

近位部には腓骨頭と呼ばれる部位があります。

腓骨は下肢の3大関節である足関節を構成する骨です。

下肢の3大関節についてはこちらの記事をご確認ください。

腓骨骨折の原因

交通事故による打撲などの直達外力や、スキーでの捻転力による介達外力で受傷することがあります。

腓骨骨折の症状

骨折部位の痛み等の症状が生じえます。

腓骨頭骨折の場合、腓骨神経麻痺が生じる可能性もありますので注意が必要です。

腓骨神経麻痺の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

腓骨骨折後に認定されうる後遺障害等級

後遺障害等級

自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害としては、以下のようなものが想定できます。

なお、腓骨に関連する関節は膝関節と足関節(足首)です。腓骨遠位部(外果)は足首関節を構成していますので、腓骨遠位部骨折の場合は足首関節に影響が出やすいと考えられますので、足首関節の機能障害が認定されることが考えられます。

膝関節の構造についてはこちらの記事をご確認ください。

足首関節の構造についてはこちらの記事をご確認ください。

神経症状

骨折した箇所に痛みやしびれ等が残存した場合に認定される可能性があります。

別表第二第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
別表第二第14級9号  局部に神経症状を残すもの

変形障害

別表第二第7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

脛骨および腓骨の骨幹部等、または脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの

別表第二第8級9号 1下肢に偽関節を残すもの

脛骨および腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すものの、「常に硬性補装具を必要とするもの」以外のもの

別表第二第12級8号 長管骨に変形を残すもの

→以下の2つのうちのいずれかに該当する場合

・腓骨のみに変形を残すものの場合、その程度が著しく、明らかに外部から想見できる程度のもの

・腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの

短縮傷害

別表第二第8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
別表第二第10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
別表第二第13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

下肢の短縮については、上前腸骨棘と下腿内果下端の間の長さを測定し、健側と比較して、短縮した長さを算出します。

下肢の長さの測定方法についてはこちらの記事をご覧ください。

過成長

短縮障害とは異なりますが、小児の骨折などでは、骨折を契機として逆に成長が促進され、骨折した側が健側と比較して長くなってしまう、いわゆる過成長とよばれる障害が起こることがあります。

過成長については、短縮の場合に準じ、健側と比較した長さの程度によってそれぞれ別表第二第8級相当、別表第二第10級相当、別表第二第13級相当とします。ただし、成長期であることから、認定時期については注意が必要です。

検査

X線検査は必須です。必要に応じてCT検査の実施を相談しましょう。

短縮傷害や過成長が懸念される場合は患側と健側の下肢の長さを測定し、比較しましょう。

弁護士に相談を

交通事故等の被害で腓骨に骨折を受傷した場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うためには、骨折態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。