靭帯損傷/断裂 下肢 神経症状
半月板損傷の後遺症について(弁護士法人小杉法律事務所監修)
本記事では交通事故等で半月板損傷を受傷した方に向けて、半月板損傷後に認定されうる後遺障害について説明しています。
半月板とは
膝関節の半月板は繊維軟骨よりなり、内側および外側脛骨関節面の辺縁部を覆っています。
辺縁は楔上に厚くなっていて関節接触面の安定性を増大させ、荷重を分散・吸収する機能をもちます。
上のイラストは右ひざを正面から見た時のものですが、内側には内側半月板、外側には外側半月板があります。
→半月板の構造等について詳細はこちらの記事をご確認ください。
半月板損傷とは
半月板断裂の形態は、縦断裂、横断裂、水平断裂、バケツ柄状断裂、弁状断裂、変性断裂等で分類できます。
荷重が負荷された状態で、膝関節に強い内・外旋の力が加わると、半月板が損傷を受けます。内側および外側半月板ともに中節から後節にかけて損傷を受けやすいと言われています。
半月板損傷後の後遺症について認定されうる後遺障害等級

後遺障害等級
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。
神経症状
骨折部位に痛み等が残存する場合に認定可能性があります。
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
機能障害
半月板損傷の影響で股関節の可動域に制限が出た場合、認定の可能性があります。
別表第二第8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
→関節が強直したもの、関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの |
別表第二第10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
→患側の関節可動域が健側の1/2以下に制限されたもの |
別表第二第12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
→患側の関節可動域が健側の3/4以下に制限されたもの |
半月板損傷の診断・検査方法
(標準整形外科学第15版(医学書院)、676頁、682~683頁)
受傷のきっかけ、症状の経過、身体所見および画像所見を総合的に判断して診断がなされます。
症状
身体所見では損傷側の関節裂隙(かんせつれつげき:関節の隙間。)に圧痛を認め、多くの場合は大腿四頭筋委縮(下図ご覧ください。)も認めます。
誘発テスト
半月板損傷の誘発テストとしてマクマレーテストやアプリ―テストがあります。いずれも断裂した半月板をねじったり関節間に挟みこんだりすることにより、疼痛やクリックを誘発するものです。
マクマレーテスト(McMurray test)
仰臥位で膝を最大屈曲位として、内側もしくは外側の関節裂隙に手指をあて、下腿に回旋を加えながら膝を伸展させます。外側半月板損傷では下腿内旋、内側半月板損傷では下腿外旋で疼痛やクリックが誘発されることが多いです。
アプリ―テスト(Apley test)
腹臥位で膝を90°屈曲位として、足底から圧迫力を加えながら下腿を回旋させると疼痛が誘発されます。また、靱帯損傷に対する診察では牽引力をかけながら回旋させます。
画像所見
単純X線像では異常を認めないことが多いです。
MRIは半月板断裂の診断に有用で、正常ではT1強調像、T2強調像ともに低信号の領域として描出されます。半月板の中にT2強調像にて線上の高信号の病巣があり、関節面に達している場合は、半月板の断裂が強く疑われます。
靱帯損傷や半月板損傷の診断には、脂肪抑制を併用したT2強調像、T2*(T2スター)強調像、プロトン強調像が有用です。
半月板損傷の治療
→半月板損傷の治療についての詳細はこちらの記事をご確認ください。
交通事故等での慰謝料等請求については弁護士に相談を
交通事故等の外傷で半月板損傷を受傷した場合、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、半月板損傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。
半月板損傷に関連した弁護士法人小杉法律事務所の解決事例
→半月板損傷全般についての解説記事の末尾で半月板損傷関連の解決事例のリンクをまとめております。
よろしければご覧ください。