骨折 上肢 神経症状
手首の骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)
手首の構造
骨の構造
↑のイラストは右手を上から眺めたものです。
一般的に手首という場合、前腕とてのひらが繋がっている部分のことを指しますが、前腕側では橈骨と尺骨、手のひら側では8つの手根骨(大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)、有頭骨(ゆうとうこつ)、有鉤骨(ゆうこうこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、豆状骨(とうじょうこつ))で構成されています。
手根骨についてはさらに、近位手根列(舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨)と遠位手根列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨)に分類できます。
手首(手関節)は上肢の3大関節の一つです。
関節部の構造
遠位橈尺関節
橈骨と尺骨の遠位で構成されれる関節です。
橈骨手根関節
橈尺骨と手根骨のうち近位手根列との間にある関節です。
手根間関節
手根骨で構成される関節ですが、主なものとして、遠位手根列と近位手根列の間の手根中央関節があります。
三角繊維軟骨複合体(TFCC)
尺骨と近位手根列の間にあります。
→TFCC損傷についての詳細はこちらの記事で整理しております。
手首の関節における骨折の種類
主なものとしては以下の通りです。
橈骨遠位端骨折
交通事故やスポーツ中の事故、あるいは転倒時に手部からの介達外力によって生じます。
古典的には、受傷部位や骨片の転位方向からコレス骨折とスミス骨折とに大別されてきましたが、近年では治療法の選択に直結するAO分類を使用することが多くなっています。
手根管症候群(正中神経麻痺)を合併することもありますので注意が必要です。
→手根管症候群(正中神経麻痺)についてはこちらの記事をご覧ください。
コレス骨折(Colles骨折)
転倒して手のひらをついた際に起こると言われています。典型的な骨折線は橈骨遠位端側から1~3cmのところで掌側から斜め背側近位方向に向かい、遠位骨片は背側に転位します。
スミス骨折(Smith骨折)
骨折線はコレス骨折の場合と逆で、背側遠位から斜めに掌側近位方向に向かい、遠位骨片は掌側に転位します。
AO分類
関節外骨折をA型、部分関節内骨折をB型、完全関節内骨折をC型として分類します。
治療方針・手術等(標準整形外科学第15版(医学書院)807頁)
高度な粉砕例、コンパートメント症候群を疑うような腫脹の著しい例、神経麻痺合併例などを除き、新鮮例ではまず徒手整復と外固定を行います。
骨折の転位が整復されない場合、あるいは整復位を保持できない場合は手術療法が選択されます。また、関節内骨折(AO分類におけるB型とC型)では関節の解剖学的整復を目指して手術が選択されることが多いです。関節外骨折においても強固な内固定を行い、早期から手関節・手指の運動を許可する治療方針が一般的です。術式としては経皮的鋼線固定、創外固定、プレート固定などがありますが、近年では掌側ブロッキングプレートによる手術療法が普及しています。
舟状骨骨折
手関節背屈位(手首を持ち上げる動き)で手をついたときに受傷することが多い骨折です。
有鉤骨鉤骨折(ゆうこうこつこうこっせつ)
有鉤骨の有鉤骨鉤部の骨折です。
手のひらに直接強い力が当たって起こることがあります。野球、ゴルフ、テニスのグリップエンドやバイクのハンドル等のほか、手をついての転倒が原因になりえます。
手首の関節を骨折した際の症状
痛み等の神経症状や、可動域制限(動かしにくさ)が生じる可能性があります。
→手首の関節を骨折した際に発生しうる症状の詳細についてこちらの記事をご覧ください。
手首の関節を骨折した場合に認定されうる後遺症
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のものが認定される可能性があります。
神経症状
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
機能障害
別表第二第8級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
別表第二第10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
別表第二第12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
→手首の関節を骨折した場合に認定されうる後遺障害等級の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
弁護士への法律相談をお勧めします
交通事故等の外傷で手首に骨折を受傷した場合、損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、手首の骨折の受傷態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。
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