後遺障害等級一般論
自賠責の後遺障害第1級の金額と認定のポイントは?|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

こちらのページでは、自賠責の後遺障害等級表で定められている後遺障害等級のうち、第1級に定められているものについて解説しております。
自賠責の後遺障害等級第1級は2種類ある?
自動車損害賠償保障法施行令の後遺障害等級別表には二つの種類があります。一つが別表第一で、もう一つが別表第二です。
別表第一では介護を要する後遺障害について、別表第二ではその他の後遺障害についてそれぞれ定められています。
以下で、別表第一、別表第二それぞれで規定されている第1級の後遺障害の内容と金額をみていきましょう。また、後遺障害の具体的内容について記載しているページへのリンクも添付しておりますので、そちらも合わせてご覧いただけたらと思います。
別表第一第1級の後遺障害の内容と金額
後遺障害等級別表第一には、第1級について以下の1~2号の後遺障害が定められています。
また、別表第一第1級が認定された場合の自賠責保険金額は4000万円です。
⑴別表第一第1級1号 神経系統又は精神の障害
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」に該当する場合に認定されます。
具体的には、以下のようなものが該当します。なお、見ていただくと分かるように、脳損傷による高次脳機能障害や、脊髄損傷による四肢麻痺・対麻痺など、非常に重篤な後遺障害が残り、常に介護や看視が必要であると認められるような場合に認定されます。なお、自賠責保険においては、高次脳機能障害と身体性機能障害によって生じる就労制限や日常生活制限の程度によって総合的に等級評価を行っています。
a 高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
以下の(a)又は(b)がこれに該当します。
(a)重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
(b)高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの
b 身体機能性障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
以下の(a)~(c)がこれに該当します。
(a)高度の四肢麻痺が認められるもの
(b)中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
(c)高度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
c 脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
以下の(a)~(d)がこれに該当します。
(a)高度の四肢麻痺が認められるもの
(b)高度の対麻痺が認められるもの
(c)中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
(d)高度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
⑵別表第一第1級2号 胸腹部臓器の障害
「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」に該当する場合に認定されます。
具体的には、以下のようなものが該当します。なお、a又はbにより第3級以上に該当する場合は、cによる等級判断は行われません。
a 呼吸器について、動脈血酸素分圧が50Torr以下のもので、呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの
b 呼吸器について、動脈血酸素分圧が50Torr超~60Torr以下であり、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr~43Torr)にないもので、かつ呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの
c 呼吸器について、スパイロメトリーの結果につき%1秒量が35以下又は%肺活量が40以下であり、高度の呼吸困難が認められ、かつ呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの
なお、「高度の呼吸困難」とは、呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないものをいいます。
別表第二第1級の後遺障害の内容と金額
後遺障害等級別表第二には、第1級について以下の1~6号の後遺障害が定められています。
また、別表第二第1級が認定された場合の自賠責保険金額は3000万円です。
⑴別表第二第1級1号 両眼の視力障害
「両眼が失明したもの」に該当する場合に認定されます。
なお「失明」とは、眼球を亡失したものや摘出したもの、明暗を区別できないものだけではなく、ようやく明暗を区別できる程度のものも含まれます。その具体例としては、光覚弁や手動弁が挙げられます。光覚弁は、暗室において眼前で照明を点滅させ、明暗が区別できる程度の視力をいいます。また手動弁は、眼前で手のひらを上下左右に動かし、動きの方向を識別できる程度の視力をいいます。これらは、仮に視力の数値になおすとすると明らかに0.01を下回るレベルといえます。
⑵別表第二第1級2号 咀嚼(そしゃく)及び言語の機能障害
「咀嚼及び言語の機能を廃したもの」に該当する場合に認定されます。
なお「咀嚼の機能を廃したもの」とは、流動食以外は摂取できないものをいいます。
また「言語の機能を廃したもの」とは、4種の語音のうち、3種以上の発音ができないものをいいます。4種の語音とは以下のものを指し、構音部位によって分類されています。
①口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ)
②歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)
③口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
④喉頭音(は行音)
⑶別表第二第1級3号 両上肢の欠損障害
「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」に該当する場合に認定されます。
具体的には、以下のものが該当します。
a 肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの
b 肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
c ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨を離断したもの
⑷別表第二第1級4号 両上肢の機能障害
「両上肢の用を全廃したもの」に該当する場合に認定されます。
「上肢の用を全廃したもの」とは、3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のすべてが強直し、かつ手指の全部の用を廃したものをいいます。
また「手指の全部の用を廃したもの」とは、次の場合が該当します。
a 手指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
b 中手指節関節(MCP)又は近位指節間関節(PIP なお母指にあっては指節間関節(IP))の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの
c 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの
なおcについては、医学的に感覚神経が断裂しうると判断される外傷を負った事実の確認に加えて、筋電系を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認する必要があります。
そして、上腕神経叢の完全麻痺も、「上肢の用を全廃したもの」に含まれます。

⑸別表第二第1級5号 両下肢の欠損障害
「両下肢をひざ関節以上で失ったもの」に該当する場合に認定されます。
具体的には、以下のものが該当します。
a 股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
b 股関節とひざ関節の間において切断したもの
c ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断したもの


⑹別表第二第1級6号 両下肢の機能障害
「両下肢の用を全廃したもの」に該当する場合に認定されます。
「下肢の用を全廃したもの」とは、3大関節(股関節・ひざ関節・足関節)のすべてが強直したものをいいます。なお、3大関節が強直したことに加え、足指前部が強直したものもこれに含まれます。⑷の上肢全廃の要件においては手指全部の強直も求められていた一方、下肢の場合は足指前部の強直は絶対要件ではありません。
後遺障害等級の併合の注意点
介護を要する後遺障害が残存している場合には、介護を要する後遺障害の等級を評価することになります。
たとえば、両眼が失明したもの(別表第二第1級1号)と神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(別表第一第2級1号)が残存した場合には、介護を要する後遺障害の該当する等級によって、別表第一第2級と認定されることになります。
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