圧迫骨折・体幹骨骨折
第12胸椎圧迫骨折(Th12骨折)の後遺症|医師監修記事・後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

本稿では、交通事故で第12胸椎圧迫骨折を受傷した場合の後遺症や、自賠責で認定される可能性がある後遺障害について、被害者専門・後遺障害専門の弁護士が解説いたしております。
なお、本記事は損害賠償請求を専門に取り扱う弁護士小杉による執筆記事となりますが、医学的事項を含むため、医学博士早稲田医師(日本精神神経学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医、日本医師会認定産業医)に記事監修をしてもらっています。
第12胸椎圧迫骨折とは?
⑴胸椎圧迫骨折の原因
「胸椎」と聞いて、どの部位を指すかイメージできる方は多くないのではないでしょうか。
本稿冒頭の画像のとおり、人間の背中には脊柱と呼ばれる骨(一般的には背骨と呼ばれています)が存在しています。脊柱は、たくさんの椎骨により構成されており、ある程度の椎骨のまとまりごとに名称が当てられています。首のあたりに位置する頚椎、胸部に位置する胸椎、腰部に位置する腰椎、そして仙骨と尾骨です。更にこれらには椎骨ごとに番号が振られており、頚椎は第1頚椎~第7頚椎(C1~C7)、胸椎は第1胸椎~第12胸椎(Th1~Th12)、腰椎は第1腰椎~第5腰椎(L1~L5)となっています。つまり本稿で扱う第12胸椎とは12番目の胸椎の椎骨というわけです。
さて、胸椎圧迫骨折とは、背骨である胸椎が外部からの衝撃等により潰れる状態を指します。特に第12胸椎は腰椎に接する部分に位置しており、上半身の荷重が集中しやすいことから、圧迫骨折が発生しやすい部位です。また、骨粗鬆症がある場合には、軽微な外力でも起こることがあります。この骨折が発生すると、胸椎が潰れるように変形し、神経圧迫による下肢のしびれや麻痺、痛みなどの症状を引き起こします。また、背骨の形状が変化し、姿勢や動作にも影響を与えます。これらにより、寝返りや起き上がりといった日常動作にも支障を及ぼすこととなります。
⑵第12胸椎圧迫骨折の診断方法
第12胸椎圧迫骨折の主な診断は、XPやCTの画像所見と患者の受傷経緯や症状の確認によって行われます。XPやCTを用いることで、第12胸椎の骨の状態を詳細に確認することができます。また場合によってはMRIが撮影されることもあり、これによって第12胸椎骨折が軟部組織や神経に影響を及ぼしていないか等を確認することができます。
第12胸椎圧迫骨折の後遺症とは?
第12胸椎圧迫骨折を負傷すると、前述のとおり、痛みやしびれ、麻痺といった神経症状のほか、胸腰椎の可動に負の影響が現れることもあります。そして、治療を続けた結果、これらの症状が後遺症として残存してしまった場合、自賠責保険に後遺障害等級の認定の申請を行うことができます。以下では、第12胸椎圧迫骨折による後遺症について認定される可能性がある等級をみていきましょう。
⑴変形障害
第12胸椎圧迫骨折では、骨が押し潰されることで脊柱の配列が崩れ、背骨の変形障害を残す可能性があります。この変形は、側面から見た際に背中が湾曲する「後彎」や、正面から見た際に体幹が左右に湾曲する「側彎」として現れることが多いです。このような変形が進行すると、体のバランスが取りにくくなり、姿勢の悪化や周囲の筋肉への負担を引き起こし、胸椎の体幹支持機能に支障をきたすこととなります。
変形障害について、自賠責の後遺障害等級では3つの等級が定められています。なお等級判断にあたっては、XP写真やCT画像又はMRI画像により胸椎圧迫骨折等を確認できることを前提としたうえで、脊柱の後彎又は側彎の程度について評価がなされることとなります。
①別表第二第6級5号
「脊柱に著しい変形を残すもの」に該当すると認められた場合には、第6級5号が認定されます。
具体的な認定基準は次のとおりです。
a 脊椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの。
b 脊椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの。
②別表第二第8級相当
「脊柱に中程度の変形を残すもの」に該当すると認められた場合には、相当等級として第8級相当が認定されます。
具体的な認定基準は次のとおりです。
a 脊椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生じているもの。
b コブ法による側彎度が50度以上であるもの。
c 環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む)により、60度以上の回線位となっているもの。
d 環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む)により、50度以上の屈曲位又は60度以上の進展位となっているもの。
e 環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む)により、側屈位になっており、XP写真等により矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの。
③別表第二第11級7号
「脊柱に変形を残すもの」に該当すると認められた場合には、第11級7号が認定されます。
具体的な認定基準は次のとおりです。
a 脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがXP写真等により確認できるもの。
b 脊椎固定術が行われたもの。
c 3個以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの。
⑵運動障害
胸椎圧迫骨折の後遺症としてしばしば見られるのが、運動障害です。第12胸椎は胸椎の一番下に位置し、腰椎との境目にある重要な骨です。この部位の骨折によって、脊柱全体の動きに制限が生じることがあります。その結果、体を前後に曲げたりひねったりする動作が困難になることがあります。
自賠責の後遺障害等級では別表第二第6級5号と第8級2号の2つの等級が定められていますが、第6級5号は頚部と胸腰部両方に可動域制限が残存していることが要件となるため、第12胸椎圧迫骨折による胸腰部の可動域制限のみをもってして認定されることはありません。他方、第8級2号は頚部と胸腰部のいずれかに可動域制限が残っていれば認定される可能性があるものですので、第12胸椎圧迫骨折による可動域制限で認定される可能性があります。なお、具体的な認定基準は以下のa~cのとおりです。
a 胸腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるものであって、胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの。
b 胸腰椎に脊椎固定術が行われたものであって、胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの。
c 項背腰部軟部組織に明らかな気質的変化が認められるものであって、胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの。
等級判断にあたっては、変形障害と同様にXP写真やCT画像又はMRI画像により胸椎圧迫骨折等が確認できることが前提となっています。そのため、疼痛が原因となって生じている運動障害(痛みがするので動かせないようなもの)については、局部の神経症状として別途評価がなされます。
⑶荷重機能障害
荷重機能障害もまた、胸椎圧迫骨折の後遺症としてみられるものの一つです。第12胸椎は胸椎の一番下に位置し、腰椎との境目にある重要な骨です。この部位の骨折によって、脊柱全体の動きに制限が生じることがあります。その結果、背骨にかかる荷重をうまく分散できなくなり、脊柱の体幹支持機能の低下が生じたり、立位や歩行時に痛みを伴うことが増える点も挙げられます。
自賠責の別表第二には荷重機能障害の等級が定められていないため、相当等級として認定されることとなります。詳しくは次の①~②のとおりです。
①別表第二第6級相当
荷重機能障害の原因が明らかに認められる場合であって、頚部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具の着用を要するものである場合に認定されます。要件上、腰部だけでなく頚部の保持の困難も要求されるため、第12胸椎圧迫骨折のみを受傷した場合に認定される可能性はまずないと考えられます。
②別表第二第8級相当
荷重機能障害の原因が明らかに認められる場合であって、頚部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具の着用を要するものである場合に認定されます。こちらは、第12胸椎圧迫骨折による腰部の保持困難があり、常時硬性補装具の着用が必要である旨を立証できれば、認定される可能性があります。
⑷腰痛や神経症状などの神経への影響
第12胸椎圧迫骨折では、腰痛や背部痛といった慢性的な痛みが後遺症として残ることがあります。特に骨折による脊柱の変形が神経を圧迫する場合、神経症状が発症する可能性もあります。症状としては、下肢のしびれや脱力感、さらには排尿や排便に関する障害が生じることもあります。これらの神経障害は、圧迫骨折の重大な後遺症であり、後遺障害等級第12級13号または第14級9号として認定されるケースが見られます。
おわりに

本稿では、第12胸椎圧迫骨折の原因や後遺症、そして自賠責で認定される可能性がある後遺障害について解説しました。
弁護士法人小杉法律事務所では、後遺症専門・被害者専門弁護士による無料相談を実施しております。
また、小杉法律事務所では保険会社との連絡や示談交渉だけでなく、
自賠責保険からの依頼への対応などについても窓口となるなど、これまでの経験やノウハウに基づき、後遺障害等級獲得に向けてサポートしてまいります。
お悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。
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