圧迫骨折・体幹骨骨折 精神障害
胸椎圧迫骨折の後遺症(弁護士法人小杉法律事務所監修)
こちらの記事では、胸椎圧迫骨折後の後遺症について整理しています。
胸椎とは
脊柱(背骨)を構成する脊椎(椎骨)のうち、胸部にある12個の脊椎を胸椎と言います。
位置が高い方から順に第1胸椎、第2胸椎…と表現します。
また、T〇という形で表記することもあります。例えば第11胸椎ならT11、第12胸椎ならT12、といった具合です。
「胸」椎といいつつ、T11やT12まで低い位置になると、人によっては腰部の骨だと認識したとしても自然な位置かもしれません。
胸椎と腰椎が繋がっている部分(T11、T12、L1、L2)は応力が集中しやすい部位で、損傷されやすいと言われています。
※L=ここでは腰椎番号の意味
(標準整形外科学(第15版)(医学書院)、875頁)
圧迫骨折とは
骨に上下からの圧迫力が加わって骨折することを圧迫骨折と言います。
代表的な例は脊椎の椎体骨折で、頚椎の椎体の圧迫骨折もこれに含まれます。
椎体の前方のみが圧壊するケースをとって圧迫骨折、後方を含み全体的に圧壊するケースを破裂骨折と表現することがあります。
交通事故等で発生します
胸椎圧迫骨折を含む脊椎損傷の原因の多くは、交通事故、労災事故、高所からの転倒といった高エネルギー外傷です。
その他の原因
他方、骨粗鬆症などにより、骨強度が低下した人で起こる椎体骨折では、転倒事故などの比較的軽微な外力により生じる場合や、明らかな受傷機転が不明な場合もあります。
骨折後の症状
損傷した腰椎の周囲に強い疼痛が生じます。
後遺障害について
腰椎圧迫骨折で認定されうる後遺障害としては、変形障害・運動障害(荷重障害含む)で6級、8級、11級のいずれか、神経症状で12級か14級の認定可能性があります。
等級認定基準はどのようになっているか
自賠責保険に関する法令である自動車損害賠償保障法施行令の別表に示される後遺障害として、以下のようなものが予想されます。
脊柱の変形障害
別表第二第6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの |
別表第二第8相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの |
別表第二第11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
→変形障害の認定方法・基準の詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。
脊柱の運動障害
別表第二第6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの |
別表第二第8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
→運動障害の認定方法・基準の詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。
エックス線写真等では、脊椎圧迫骨折等または脊椎固定術が認められず、また、項背腰部軟部組織の器質的変化も認められず、単に疼痛のために脊柱の運動障害を残していると評価される場合は、局部の神経症状(12級か14級)として認定を行われます。
脊柱の荷重障害
別表第二第6級5号 | 頸部および腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの |
別表第二代8級2号 | 頸部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの |
→荷重障害の認定方法・基準の詳細はこちらの記事でご確認いただければ幸いです。
荷重機能の障害については、その原因が明らかに認められる場合であって、そのために頸部および腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を要するものを別表第二第6級5号として取り扱い、頚部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を要するものを別表第二第8級2号として取り扱います。
神経症状
受傷部位に疼痛等が残存した場合です。
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
弁護士に相談を
交通事故や労災事故等の外傷で胸椎圧迫骨折を受傷してしまうことがあり得ます。慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。