後遺障害等級の解説

上肢

手指の機能障害の後遺障害等級認定基準(弁護士法人小杉法律事務所監修)

 

手指の機能障害に認められる後遺障害等級

第4級の6 両手の手指の全部の用を廃したもの
第7級の7 1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの
第8級の4 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの
第9級の9 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの
第10級の6 1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの
第12級の9 1手の示指,中指又は環指の用を廃したもの
第13級の4 1手の小指の用を廃したもの
第14級の7 1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 

手指の機能障害の後遺障害等級認定基準

手指の機能障害の等級認定は、第14級の7を除き、「用を廃する」箇所とその範囲によって認定されている。

(1)手指の用を廃したものとは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すものとされており、具体的には、下記の場合をいう。

ア 手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

イ 中手指節関節又は近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されたもの

ウ 母指については、側回転又は掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているもの

エ 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したものも「手指の用を廃したもの」として取り扱う。

※エに関して、「深部感覚及び表在感覚が完全に脱失した」ことを確認するためには、「医学的に当該部位を支配する感覚神経が断裂し得ると判断される外傷を負った事実を確認するとともに、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認する」ことによって認定される。

(2)「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 遠位指節間関節が強直したもの

イ 屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

 

手指の機能障害の後遺障害等級認定の注意点

(1)機能障害(可動域制限)の後遺障害等級を獲得するには、単に数値として機能障害が生じているだけでは足らず、医学的に「高度な可動域が生じる原因」を立証しなければならない。

(2)「離断」や「失った」とされるためには、指の一部分の欠損だけでは足らないとされている。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。