交通事故コラム

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交通事故後に診断書は必須?警察に提出しないとどうなる?

2024.11.18

後遺障害診断書 診断書

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 診断書の重要性
  • 診断書の提出をしない場合の影響

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故被害者の方に対するアドバイスをさせていただいております。

交通事故被害に遭い、今後の進め方について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故発生から解決までの流れについてはこちらから。

 

診断書の重要性

医師面談

事故後すぐに治療を受ける理由

交通事故に遭った場合、すぐに医療機関で診察を受けることが非常に重要です。

外傷がないと思われる場合でも、内部での傷害や遅れて発症する症状があるかもしれません。

 

早期の診療は、健康の維持だけでなく、後の損害賠償請求における証明の一環としても重要です。

事故から初診日までの間が空いてしまうと、本当に今回の事故で生じた症状なのか?という点に疑問を持たれかねません。

 

診断書の役割と効用

診断書は交通事故による怪我の証明として非常に重要な書類です。

交通事故診断書は、事故に起因する怪我の具体的な内容や治療期間、症状などが詳細に記載されており、これが警察や保険会社に対し人身事故として認識させるための重要な証拠となります。

 

特に警察には、この診断書を提出することによって、物損事故ではなく人身事故として処理されることになります。

人身事故として処理されることのメリットは複数ありますが後述します。

 

また、加害者側の保険会社に対しても示談交渉を行う上で、診断書の内容が基準となり、賠償金の算出の根拠として機能します。

したがって、診断書は事故後のスムーズで公正な事故処理を進めるために不可欠な役割を果たします。

 

診断書の提出先と方法

自賠責保険による高次脳機能障害の審査

交通事故後の手続きにおいて、診断書の提出は非常に重要です。

特に、事故の処理を適切に行い、賠償金や慰謝料の請求をスムーズに進めるためには、必要な提出先に診断書を迅速に提出することが求められます。

 

主な提出先は警察と保険会社で、それぞれ異なる役割を果たします。

 

警察への提出

交通事故の発生後、まず診断書は警察に提出する必要があります。

警察に診断書を提出することで、事故が人身事故として正式に認定されます。

 

これにより、物損事故として処理されることを避けることができます。

 

物損事故として処理されるのがどうしてダメかというと、主な点は2点です。

  1. 人身事故として処理されない=軽微な事故であり、それにより生じた症状が軽いものではないかと推認させてしまう
  2. 実況見分が行われず、詳細な刑事記録が作成されない

 

1点目のデメリットは見たとおりです。

例えば交通事故発生時に救急搬送されているような場合は当然に人身事故として処理されます。

このような場合と比較すると、事故当時は特になんの症状もなく、単なる車の損傷などの損害が発生しただけと判断されたのが物損事故です。

当然物損事故として処理されている方が怪我の程度は小さいだろうと推認されてしまいます。

 

これでは後遺障害等級の認定や慰謝料の請求などで不利に働きかねません。

 

2点目のデメリットについてもほとんど見たとおりではあります。

人身事故として処理される場合は、過失運転致傷罪の適用があるかという点で捜査がされ、検察に対する送致がされることがほとんどです。

検察に送致されると、検察による捜査が為されます。

 

仮に捜査の結果不起訴となったとしても、この人身事故として処理された場合に作成される実況見分調書は、

過失割合の検討はもちろん、事故時の衝撃の大きさなどを示す証拠として非常に有用です。

 

一方で物損事故として処理される場合には、検察に送致されることはなく、実況見分も行われません。

簡易な警察の捜査のみにとどまり、その際に作成される物件事故報告書は、実況見分調書などに比べると簡易的なものです。

 

このように、物損事故で処理される場合にはその後の損害賠償請求においてデメリットが生じる可能性があり、

警察に対して診断書を提出することでこれを防ぐことができます。

 

ただし1点だけ注意が必要です。

被害者の方にも一定程度の過失が見込まれる場合、人身事故扱いとされることで被害者の方も免許に点数が付く可能性があります。

症状の程度や免許に点数がつくデメリットなどを比較しながら進めることが大切です。

 

保険会社への提出

診断書は、被害者の治療や損害賠償請求に関連して、保険会社にも提出します。

加害者側の任意保険会社や自賠責保険会社に診断書を提出することで、賠償金や慰謝料の支払いの判断資料となります。

 

また、示談交渉の際に診断書が重要な根拠となり、必要に応じた形式での提出が求められます。

自賠責保険の後遺障害等級認定の申請時にも、正確で詳細な診断書が必須となります。

 

このように、適切な提出先に診断書を提出することは、交通事故後の手続きを円滑に進める上で不可欠です。

弁護士とも相談しながら、迅速で的確な手続きを行うことが望まれます。

 

診断書を提出しない場合の影響

警察への未提出がもたらす影響

先ほどもみたように、交通事故後に診断書を警察に提出しない場合、事故は物損事故として処理される可能性が高まります。

人身事故として扱われないため、適切な監査が行われず、事故の詳細な記録が残らずに終わるケースがあります。

この結果実況見分調書が作成されず、特に過失割合を争う際に不利になることがあります。

 

保険金や慰謝料への影響

診断書を警察や保険会社に提出しないと、賠償金や慰謝料の請求に大きな影響が出ます。診断書は損害賠償の根拠となる重要な証明資料です。

診断書がなければ、事故による身体的被害を証明することができないため、保険会社からの適切な賠償金を受け取ることが難しくなります。

 

さらに、入通院に関わる慰謝料額にも大きな影響が生じるため、事故後すぐに医療機関で診察を受け、診断書の作成及び提出を確実に行うことが重要です。

 

診断書の作成と費用

作成に必要な時間

交通事故後に診断書を作成するには、まず医師の診察を受けることが必要です。

診断書の作成には、医師による精密な診断が行われた後、数日程度かかる場合があります。

 

特に交通事故の被害として認定される場合には、診断書の内容が賠償金や慰謝料の請求に重要な役割を果たしますので、医師としっかりとコミュニケーションを取り、早めに依頼することが大切です。

 

作成費用とその負担方法

診断書の作成には費用が発生します。一般的にこの費用は診察料としてかかり、その額は医療機関によって異なりますが、数千円から数万円が相場となっています。

この費用は、通常本人が負担することが求められますが、事故の状況によっては加害者の保険会社から負担される場合もあります。

 

自賠責保険に対する請求をする場合には自賠責様式の診断書の作成が不可欠ですので、

発行費用についてしっかり確認し、必要に応じて弁護士に相談するのも一つの方法です。

 

まとめと注意点

交通事故に遭った場合、診断書の取得と適切な提出は非常に重要です。

診断書は、事故の正確な状況を証明するための重要な書類であり、警察や保険会社、さらには弁護士にとっても不可欠な情報源です。

交通事故診断書があることで、人身事故として正しく処理され、適切な賠償金や慰謝料の請求が可能となります。

 

診断書がないと、物損事故として処理され、結果的に賠償額にも影響を及ぼす恐れがあります。

断書を取得する際には、医師としっかりコミュニケーションをとり、必要な内容を正確に反映してもらいましょう。

診断書の作成には時間や費用がかかる場合がありますが、早めに依頼することでスムーズに進めることが可能です。

 

特に後遺障害等級認定の申請時に自賠責保険に対して提出する後遺障害診断書の記載は重要です。

後遺障害等級認定の審査は書面によるのが原則ですから、後遺障害診断書の作成にあたっては専門弁護士によるアドバイスを受けることで、

適切な後遺障害等級の認定可能性が大きく上がります。

 

関連記事:後遺障害診断書について弁護士に相談した方が良い4つの理由とは?

 

適切な賠償金を獲得するためには、治療期間中から専門弁護士のアドバイスを受けるべきでしょう。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

治療期間中から適切な賠償金の獲得に向けたサポートを行います。

 

交通事故被害に遭い、賠償金額について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。