自転車事故 過失割合
自転車と車の事故の過失割合|シーン別の過失割合や事故後の対処法、慰謝料についても解説
2025.01.11

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 自転車と車による事故の過失割合の特徴
- シーン別の過失割合の考え方
- 過失割合を左右する修正要素
- 事故後の対処法・注意事項
- 損害賠償請求の方法
等について解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故解決サポートを行っております。
自転車と車の事故に遭い、過失割合についてお困りの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による自転車事故解決サポートの詳細についてはこちら。
自転車と車による事故の過失割合の特徴

自転車は道路交通法において「車両」として分類されるため、自転車運転者にも交通ルールを守る義務が課されています。
| 道路交通法第2条8項「車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」
11項「軽車両 次に掲げるものであつて、移動用小型車、身体障害者用の車及び歩行補助車等以外のもの(遠隔操作(車から離れた場所から当該車に電気通信技術を用いて指令を与えることにより当該車の操作をすること(当該操作をする車に備えられた衝突を防止するために自動的に当該車の通行を制御する装置を使用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)により通行させることができるものを除く。)をいう。 11項の2「自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車、小児用の車及び歩行補助車等以外のもの(原動機を用いるものにあつては、人の力を補うため原動機を用いるものであつて内閣府令で定める基準に該当するものを含み、移動用小型車及び遠隔操作により通行させることができるものを除く。)をいう。」 |
一方で、
- 自転車は未成年者から高齢者まで幅広い年齢層が、免許の取得なしに利用できる
- 自転車は生身で運転していること、速度や重量に大きな差があることなどから、自転車対自動車では自転車側に大きな被害が生じやすい
等の理由で、自転車と車(自動車・バイク)が関わる交通事故では、車同士の事故とは異なる独自の特徴があります。
ここでは、自転車運転中の方が被害者となる場合に絞って、自転車と車の事故における過失割合の特徴を解説します。
自転車側の交通違反も多い
自転車は自動車と異なり免許が不要なこともあり、交通ルールへの意識が低くなりがちです。
しかし、自転車も「車両」である以上、道路交通法上のさまざまなルールが適用されます。
たとえば以下のような行為は道路交通法違反にあたります。
- 信号無視
- 一時停止の無視
- 右側通行(逆走)
- 夜間の無灯火走行
- 傘差し運転・スマートフォンを操作しながらの運転
- 飲酒運転
- 二人乗り
こうした交通違反は、過失割合の算定において自転車側に不利な修正要素として働きます。
「自分は被害者だから」と思っていても、自転車側に交通違反があれば過失割合が加算される点には注意が必要です。
自転車側の過失割合は小さくなる傾向がある
自転車と車の事故では、車側の過失割合が大きく設定される傾向があります。
これは、
- 自転車側は生身で運転しており、大きな被害が生じやすいこと
- 車は速度が大きいこと
- 車は重量が大きいこと
などから、自転車という交通弱者を保護するとともに、危険な物体(車)を運転しているということにより高度の注意を求めることによります。
ただし、自転車の過失割合が0(ゼロ)になることは基本的にありません。
自転車も車両である以上交通規範の遵守は求められます。
そのうえで事故が発生しているということで、何らかの注意義務違反(過失)が認められることは致し方ないケースも多いです。
また、自転車側の過失割合が小さくなる傾向があるのは、自転車対車(バイク)の場合に限られます。
歩行者を轢いてしまったというような、自転車が加害者になるようなケースでは、当然自転車側に大きな過失が認定される可能性が高いです。
賠償金が高額になることが多い
自転車と車の事故では、生身で運転している自転車側に重度の後遺障害が残ってしまったり、被害者が亡くなってしまったりするケースが少なくありません。
その結果、車側が支払う損害賠償額が高額になりやすい傾向があります。
後遺障害が残った場合や死亡事故となった場合には、慰謝料・逸失利益・治療費などを合算すると、賠償額が数千万円を超えることもあります。
車側としては個人の資力では賄えないような賠償責任が生じることもあり得ますので、
任意保険への加入をお勧めします。
自転車と車による事故の過失割合をシーン別で解説

自転車と車の事故における過失割合は、事故が発生した状況・場所・走行方向などによって大きく異なります。
実務上、過失割合は、別冊判例タイムズ39号と呼ばれる、東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂6版)』をもとに判断されることがほとんどです。
以下では、代表的なシーン別に基本過失割合を解説します。
なお、以下の数値はあくまで基本過失割合です。後述する修正要素をはじめ、個別具体的な事情によって大きく変わることもあります。
交差点の事故における過失割合|信号あり
信号機のある交差点での事故では、双方の信号の色が過失割合を大きく左右します。
まず、直進車両同士の出会いがしらの事故を見てみましょう。
| 自転車(青):車(赤) | 0:100 |
| 車(青):自転車(赤) | 80:20 |
| 自転車(黄):車(赤) | 10:90 |
| 車(黄):自転車(赤) | 40:60 |
| 自転車(赤信号直前の黄):車(赤) | 15:85 |
| 車(赤信号直前の黄):自転車(赤) | 55:45 |
| 自転車(赤):車(赤) | 30:70 |
| 自転車(赤):車(赤信号だが明らかに後から交差点に進入) | 15:85 |
当然ですが、信号を遵守していた側の過失が低くなる一方、信号を無視した側には重い過失が認められます。
交差点の事故における過失割合|信号なし
信号のない交差点では、道路の幅員・優先関係・走行方向などによって過失割合が決まります。
双方直進で接触
双方が直進して交差点内で接触する、いわゆる「出会い頭事故」の場合です。
この場合、道路の優先関係をもとに過失割合が決定されます。
まずは道路の幅に着目する場合です。
| 同じ幅の道路 | 自転車20:車80 |
| 自転車が狭い道 車が広い道 | 車30:自転車70 |
| 自転車が広い道 車が狭い道 | 自転車10:車90 |
次に、一方通行規制の有無に着目する場合(一方通行規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故)です。
| 通常 | 自転車20:車80 |
| 自転車側に一方通行規制違反がある場合 | 自転車50:車50 |
次に、一時停止規制の有無に着目する場合(一時停止規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故)です。
| 一時停止規制のある道路から、一時停止せずに交差点に進入したのが車の場合 | 自転車10:車90 |
| 一時停止規制のある道路から、一時停止せずに交差点に進入したのが自転車の場合 | 自転車40:車60 |
| 一時停止規制のある道路から、一時停止をした後に交差点に進入のが自転車の場合 | 自転車30:車70 |
最後に、優先道路に着目する場合(優先道路と非優先道路が交差する交差点における出会い頭事故)です。
| 自転車が優先道路:車が非優先道路 | 自転車10:車90 |
| 車が優先道路:自転車が非優先道路 | 自転車50:車50 |
対向車が右折するときの接触
直進する自転車と、対向方向から右折してきた車が衝突した場合です。
| 基本 | 直進自転車10:対向右折車90 |
| 両者とも黄信号で交差点に進入した場合 | 直進自転車20:対向右折車80 |
| 両者ともに赤信号で交差点に進入した場合 | 直進自転車30:対向右折車70 |
| 右折車が青信号で交差点に進入後、黄信号で右折した場合 | 直進自転車40:対向右折車60 |
| 右折車が青信号で交差点に進入後、赤信号で右折した場合 | 直進自転車70:対向右折車30 |
| 右折車が青矢印信号で右折をし、直進自転車が赤信号で進入した場合 | 直進自転車80:対向右折車20 |
同方向を走行中の車との事故における過失割合
同じ方向に走行している状況での事故も多く発生します。
直進中に車両の進路変更で接触
| 進路変更をする車と後続直進自転車との事故 | 車90:自転車10 |
| 進路変更をする自転車と後続直進車との事故 | 自転車20:80 |
横断歩道の事故における過失割合
自転車が横断歩道(または自転車横断帯)を通行中に車と接触した場合です。
| 自転車(歩行者用信号青):車(対面信号赤) | 自転車0:車100 |
| 自転車(歩行者用信号青点滅):車(対面信号赤) | 自転車10:車90 |
| 自転車(歩行者用赤信号):車(対面信号赤) | 自転車25:車75 |
| 自転車(歩行者用赤信号):車(対面信号黄) | 自転車55:車45 |
| 自転車(歩行者用赤信号):車(対面信号青) | 自転車75:車25 |
| 自転車(歩行者用青信号):車(対面信号青) ※右左折 | 自転車10:車90 |
| 自転車(歩行者用赤信号):車(対面信号青)※右左折 | 自転車60:車40 |
そのほか事故における過失割合
横断歩道以外を走行中に車両と接触
交差点や横断歩道ではない場所で、自転車が道路を横断しようとした際の事故です。
横断歩道以外での横断は、自転車側の過失が若干重く評価されます。
| 横断自転車30:道路直進車70 |
走行中に開けられた車のドアと接触
停車中の車のドアが突然開いて走行中の自転車が接触する、いわゆる「ドア開放事故」です。
別冊判例タイムズには、自転車対車における「ドア開放事故」の過失割合は示されていませんが、
バイク対車の場合は示されています。
| バイク10:車90 |
バイク対車の場合と、自転車対車の場合を比較すると、
自転車の方が少し有利に考えられていますので、このバイク10:車90を参考にしつつ、過失割合を決めていく形になると思われます。
駐車場などの道路外に出入りする車両との接触
道路を直進する自転車と、駐車場などの道路外に出入りする車両との接触の場合です。
| 直進自転車:駐車場などの道路外から道路に進入する車 | 10:90 |
| 直進車:駐車場などの道路外から道路に進入する自転車 | 40:60 |
| 直進自転車:駐車場などの道路外に出るために右折する車 | 10:90 |
自転車と自転車の事故における過失割合
『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)』の全【338】の類型の中に、自転車同士の事故について規定した類型はありませんでした。
したがって自転車同士の事故の過失割合は、当時の事故態様の記録をみながら、過去の裁判例をもとに検討を進めていくしかなく、
公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部過失相殺研究部会が2014年2月に公表している「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」を参考にするしかなかったのです。
しかし、令和8年3月30日に発売された、改訂版である『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂6版)』では、新たに自転車同士の事故の類型が作成され、
これをもとに検討を進めることができるようになりました。
車と自転車の事故で過失割合が10対0になる場合

自転車と車の事故において、自転車側の過失がゼロ(車100:自転車0)と判断されるケースは限られています。
代表的なものとしては以下のような状況が挙げられます。
- 自転車が青信号で交差点を直進中に、車が赤信号で突っ込んできた場合
- 自転車が完全に停車中に、車が一方的に衝突してきた場合
ただし、こうした場合でも自転車側に交通違反(夜間の無灯火、右側通行など)があれば過失が加算される可能性があります。
過失割合は事故の状況を詳細に検討したうえで判断されるものですので、10対0を主張するには、事故状況の正確な立証が重要となります。
自転車と車の事故における過失割合の決まり方

過失割合の基本的な考え方
過失割合とは、事故の責任を当事者間でどの程度分け合うのかを示す割合のことです。
| 民法第722条2項 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。 |
これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。
過失割合は原則として、東京地裁民事交通訴訟研究会編別冊判例タイムズ39号『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂6版)』をもとに判断されます。
同書では事故態様ごとの基本過失割合が示されています。
交通事故の過失割合は「基本過失割合」と「修正要素」の2つの要素から成り立っています。
基本過失割合は、ここまでみてきたように、過去の判例や交通ルールに基づく一般的な基準として設定されています。
一方、修正要素は、事故の具体的な条件や状況に応じて基本過失割合に加減を行うものです。
このように、基本過失割合と修正要素をどちらも考慮したうえで最終的な過失割合が決定されます。
たとえば、決定された過失割合が被害者(自転車)10:加害者(車)90となったような場合には、
被害者は発生した損害のうち90%を加害者に請求することができるということになります。
過失割合を決めるのは誰?
過失割合は最終的には、当事者間の合意(示談)または裁判所の判決等によって確定します。
実際の交通事故案件では、相手方の任意保険会社が示談交渉の中で過失割合の案を提示してくることがほとんどです。
ただし、保険会社が提示する過失割合が必ずしも適正とは限りません。
そもそも基本過失割合の設定が被害者側に不利であったり、
考慮すべき修正要素が考慮されていないなどもあり得ます。
保険会社側は支払う保険金額をできるだけ少なくしたい=被害者側の過失割合は大きい方が良いという立場ですから、
保険会社が提示する過失割合に納得がいかない場合は、専門弁護士に相談し、納得のいく解決を目指すべきです。
自転車と車の事故で過失割合を左右する修正要素

先ほども触れたように、自転車と車の事故の過失割合を決める際にはさまざまな修正要素が考慮されます。
自転車の過失割合が大きくなる要件
以下のような事情が認められると、自転車の過失割合が不利な方向に修正されます。
- 夜間であった
- 自転車が右側を通行していた
- 自転車に著しい過失(酒気帯び運転、2人乗り、無灯火、並進、傘を差すなどしてされた片手運転、脇見運転等の著しい前方不注視、携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用したり、画像を注視したりしながら運転する等)があった
- 自転車に重過失(酒酔い運転、制動装置不良等)があった。
車側の過失割合が大きくなる要件
以下のような事情が認められると、車側の過失割合が不利な方向に修正されます。
過失割合は相対的なものですから、車側の過失を重くさせる修正要素によって結果的に自転車側の過失割合が軽くなる場合もあります。
著しい過失(+5〜10%程度)
- 著しい速度超過
- 著しい前方不注意
- 酒気帯び運転
重過失(+10〜20%程度)
- 酒酔い運転
- 居眠り運転
その他
- 大型車・トラック・バスなど(交通弱者への配慮義務)
- 幹線道路走行中
また、自転車の運転手が児童や高齢者であった場合には別途修正がされることがあります。
さらに、自転車の速度が概ね時速10㎞以下のような場合には歩行者VS単車・四輪車の過失割合を参考にしたり、
逆に時速30㎞程度の速度であった場合には単車VS四輪車の過失割合を参考にすることもあります。
どの修正要素がどの類型で用いられ、どの程度過失割合を修正する重みがあるかどうかは類型によってさまざまです。
そのため、過失修正要素を正しく分析し公平な過失割合を設定するには、交通事故に詳しい弁護士の助けが重要となるケースも多くあります。
自転車で車と衝突事故を起こしたときの対処法

自転車と車の事故が発生した際には、以下の手順で対応することが重要です。
救護活動と二次被害防止に努める
事故が発生したらまず、自分自身や相手方の怪我の有無や程度を確認し、必要であれば救護活動を行います。
同時に、後続車両への安全確保など、二次事故を防ぐための措置をとることも重要です。
警察署に通報する
道路交通法の規定により、交通事故が発生した場合は必ず警察に通報しなければなりません。
| 道路交通法第72条「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。」 |
警察の現場確認が行われないと、その後過失割合の検討を行う際に証拠が少なく、トラブルになる可能性が高まります。
たとえ軽微な事故に見えても、必ず警察に連絡するようにしましょう。
相手と連絡先を交換する
- 相手方の氏名
- 住所
- 電話番号
- 車のナンバーおよび車種
- 加入している保険会社
などを確認し、記録しておきましょう。
その場で連絡先を確認しておかないと、後になって相手方と連絡が取れなくなるケースもあります。
状況を確認・記録する
自転車事故はドライブレコーダーなどが無いことも多いため、事故発生時の正確な記録が残らないことがあります。
- 事故現場
- 双方の車両
- 道路状況
- 信号機などの写真・動画
をできるだけ多く撮影しておきましょう。
交差点での発生や歩道からの進入など、事故の発生場所や状況を具体的に記録することで、過失割合の判断に役立ちます。
目撃者がいる場合は連絡先を共有しておくと、後の話し合いで大きな助けとなるでしょう。
保険会社へ連絡する
加入している自転車保険・損害保険・火災保険などに速やかに連絡します。
保険の種類によっては弁護士費用特約が利用できる場合もありますので、あわせて確認しておきましょう。
病院を受診する
事故後は自覚症状がなくても、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
大前提として、身体に何らかの異常が生じている可能性がありますから、早期に医療機関を受診し、状態を確認するのは重要です。
また、損害賠償請求を行うという観点から見ると、後から痛みや症状が出た場合でも、
事故後早期の受診記録があれば事故との因果関係を立証しやすくなります。
逆に受診が遅れると、「事故とは関係ない」と判断されるリスクが高まります。
入院・通院する
医師の指示に従い、必要な期間しっかりと治療を継続しましょう。
これも前提として、医師が必要と認める期間はしっかりと治療を受けることは、自分の身体を守ることになります。
また、損害賠償請求の観点からみても、慰謝料額などは入通院期間に応じて決定されるのが原則です。
不必要に入通院期間を延ばすことは、否定されるリスクがありますが、
適切な治療を受けることはどの面から見ても重要です。
なお、相手方保険会社から治療費対応の打ち切りを言われた場合には、
- 治療費対応の延長の交渉を行う
- 自分の健康保険等を利用して通院を継続する
などの手段があります。
いずれにしても重要な局面ですので、弁護士に相談することをお勧めします。
ケガの完治後(治療終了後)に示談交渉を始める
示談交渉は、ケガが完治または症状固定(これ以上治療を続けても症状が改善しない状態)した後に開始するのが原則です。
治療が終了しないと、実際にどれくらいの怪我だったのか、後遺症は残っているのか、休業はどれくらい必要だったのかなどが確定できません。
ですから、治療終了後に、損害が確定してから示談交渉を始めましょう。
ただし、治療期間中に、お仕事ができない期間が続くことで、生活が苦しくなる方もいらっしゃいます。
そのような場合には、保険会社と内払(先払)の交渉を行うことも一つの手段です。
自転車で車と事故を起こしたときの注意事項

少しでも過失があると賠償義務が発生する
自転車側に少しでも過失がある場合、相手方への賠償義務が生じます。
相手方に大怪我が発生するケースは稀ですが、車が破損してしまったという物的損害等については賠償義務が生じることもあります。
また、過失割合によって自分が受け取れる慰謝料等の賠償額も減額されます。
最終的に自分の手元に残る額を最大化するためには、過失割合の交渉は非常に重要です。
一度成立した示談はほとんどくつがえらない
示談書に署名・捺印すると、原則として後から内容を変更することはできません。
車が相手方の場合、任意保険会社の担当者とのやり取りを行うことがほとんどです。
対して、自転車に付帯されている自転車保険は、担当者が示談交渉を行ってくれないケースもありますし、
そもそも自転車保険に加入していないという方も多くいらっしゃると思います。
保険会社はプロですから、保険会社の言うままになんとなく示談書に署名してしまい、
後から確認したところ全く適切な金額ではなかった、となり泣き寝入りしてしまわないように、
示談締結に当たっては弁護士に相談しながら慎重に進めましょう。
保険会社は低めの慰謝料を提示しがち
相手方の保険会社が提示する慰謝料は、弁護士が介入した場合に適用される「弁護士基準(裁判基準)」と比較して、大幅に低い場合がほとんどです。
示談金の妥当性を正確に判断するためにも、示談内容に合意する前に専門弁護士へ相談することをお勧めします。
軽症であっても人身事故で届け出る
たとえ軽微なケガであっても、人身事故として警察に届け出ることが重要です。
実際にケガをしているにもかかわらず物損事故として処理してしまうと、
- 綿密な操作がされず過失割合の交渉材料に欠ける
- 相手方保険会社に軽傷であるという印象を強く与えてしまう
などの原因で、適切な慰謝料額の獲得が難しくなることもあり得ます。
ケガが確認できた時点で、速やかに人身事故への切り替えを行ってください。
事故を起こした場合は警察への報告義務がある
道路交通法上、交通事故が発生した場合には警察への報告が義務付けられています。
ケガがない場合でも例外ではありません。警察を呼ばずに当事者間だけで解決しようとすると、後のトラブルに発展するリスクが高まります。
また、「ケガがない」と思っていても、後から症状が出ることもありますので、その場での安易な判断は禁物です。
痛みや負傷が遅れて現れたらすぐ人身事故に切り替える
事故直後は無症状でも、数日後にむち打ちや打撲の痛みが現れることがあります。
そのような場合は速やかに警察に届け出て、物損事故から人身事故への切り替えを行ってください。
事故から日が経ちすぎると警察が人身事故への切り替えを受け付けてくれない場合もあるので、症状が出た時点でできるだけ早く対応することが重要です。
保険未加入の加害者とは直接交渉しなければいけない
得に自転車同士の事故に多いですが、相手方が保険に入っていないケースがあります。
この場合には、加害者と直接交渉をせざるを得なくなりますから、トラブルが起きやすいです。
こういった場合には、トラブルによるストレスを抱える前に弁護士に相談することをお勧めします。
ヘルメットの有無が過失割合に影響する可能性もある
ここまで見てきた過失割合というのは「事故発生」に対する過失割合です。
民事の損害賠償請求における過失というのは、「事故発生」に寄与したというだけでなく、
「被害拡大」に寄与した過失も認定される場合があります。
ここで問題になるのがヘルメット着用についてです。
令和5年4月1日に施行された改正道路交通法では、自転車乗車中のヘルメットの着用が努力義務化されました。
| 道路交通法第63条の十一
「1 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。 |
現在の判例の傾向では、努力義務化されたからといって直ちにヘルメット未着用が過失として認定されるわけではなく、
一般社会に自転車運転中にヘルメットを着用することが浸透しているかどうかを重視しているように思われます。
しかし、ロードバイクのような比較的高速度での走行が可能な自転車については、ヘルメット着用が社会的に浸透していると評価されることから、
ヘルメット未着用が被害者側の過失として認定された判例もあります(東京地方裁判所令和4年8月22日判決)。
直近で大きな問題になるケースは少ないかもしれませんが、少し頭に入れておいた方が良いかもしれません。
自転車と車の事故における損害賠償請求

請求可能な損害賠償の項目
自転車と車の事故で被害者が請求できる損害賠償の項目は、主に以下のとおりです。
積極損害(実際に支出した費用)
- 治療費・入院費
- 通院交通費
- 付添看護費・介護費用
- 自転車の修理・買い替え費用
- その他事故に関連して支出した費用
消極損害(得られなかった利益)
- 休業損害(事故によって働けなかった期間の収入の喪失)
- 逸失利益(後遺障害が残った場合や死亡した場合の将来収入の喪失)
慰謝料
- 入通院慰謝料(治療期間・入通院の態様に応じて算定)
- 後遺障害慰謝料(後遺障害等級に応じて算定)
- 死亡慰謝料
自転車側に過失が認められるときの損害賠償額
自転車側に過失が認められる場合、損害賠償額は被害者に認定される過失割合によって減額されます。
たとえば、発生した損害の総額が1,000万円で、自転車側の過失が10%と認定された場合、
受け取ることができる賠償額は1000万円×(100%-10%)=900万円となります。
このように、過失割合は最終的な受取額に直結するため、適正な過失割合を主張することが非常に重要です。
不当に高い過失割合を認めてしまうと、本来受け取れるはずの賠償額が大幅に減少することになります。
事故後の対応と専門家への相談の重要性

事故の記録をしっかり残すポイント
交通事故が発生した際、特に自転車事故では、その場での正確な記録が非常に重要です。
自転車事故はドライブレコーダーなどが無いことも多いため、事故発生時の正確な記録が残らないことがあります。
まずは、交通事故の現場写真を撮影し、事故状況を詳細に記録することを心掛けてください。
交差点での発生や歩道からの進入など、事故の発生場所や状況を具体的に記録することで、過失割合の判断に役立ちます。
また、警察への通報も必須です。警察の現場確認が行われない場合、後にトラブルとなる可能性が高まります。
加えて、目撃者がいる場合は連絡先を共有しておくと、後の話し合いで大きな助けとなるでしょう。
専門弁護士に相談することで得られるメリット
交通事故、特に自転車と車の事故において正確な過失割合を主張するためには、専門弁護士への相談が大きな助けになります。
交通事故に精通した弁護士は、法的な知識を基に適切な過失割合を提示し、示談や裁判を有利に進めるサポートをしてくれます。
さらに、専門弁護士に依頼することで心理的な負担が軽減され、被害者が治療や日常生活の復旧に集中できるというメリットもあります。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートを行っております。
自転車で事故をされた被害者の方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士との初回無料の法律相談の流れについてはこちら。
弁護士