14級 バイクvs四輪車 主婦 加害者無保険 慰謝料 裁判 骨折
加害者が任意保険未加入で無資力だったものの、無保険車傷害特約を利用して、損害額の満額である約650万円を回収した事例
交通事故被害者Zさん(70代、女性、主婦)

今回ご紹介するのは、交通事故被害者Zさん(70代、女性、主婦)の解決事例です。
Zさんは交通事故で後遺症の残る怪我を負いましたが、
加害者が任意保険に加入しておらず、賠償金の支払能力もありませんでした。
ご依頼を受けた弁護士の大澤健人は、後遺障害等級14級を獲得、
無保険車傷害特約にて損害額の全額である約580万円を回収し、
合計約650万円を獲得して解決となりました。
弁護士はどのように本事案を解決したのでしょうか?
交通事故被害者専門弁護士が解説します。
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ご依頼前の状況

本件は、Zさんがバイク、加害者が自動車の事故です。
事故場所は見通しの良い交差点で、加害者側には一時停止の標識がありました。
加害者は、助手席に置いていたバッグから携帯電話を取り出そうとして脇見運転をしており、一時停止標識を見落として漫然と交差点に進入し、Zさんのバイクと出合い頭に衝突しました。
これにより、Zさんは外傷性くも膜下出血、頚椎捻挫、肋骨骨折(4本)、肺挫傷、右脛骨高原骨、右腓骨近位端骨折などの大怪我を負ってしまいました。
Zさんは約2カ月半入院し、退院後1年弱通院して症状固定となりました。
症状固定時にも、首や肩、右膝に痛みが残っていました。
今回の事件の問題点は、加害者側が任意保険に加入していないうえに、生活保護受給者(=無資力)だったことです。
つまり、加害者からの支払いの可能性がほとんどありませんでした。
そのため、Zさんは適切な補償を受けるために、弁護士のサポートを受けたいと考えるようになりました。
そして、症状固定になった段階で、「自分一人で手続きして後遺障害等級の認定を受けるのは難しいのではないか」と考えて、法律事務所を探し始めました。
しかし、他の法律事務所では、加害者側からの賠償が望めないことを理由に依頼を断られてしまい、複数個所に相談してたどり着いたのが小杉法律事務所でした。
弁護士大澤健人の法律相談

Zさんは、「事故によって受けた被害分の補償を十分に回収したいが、どうしたらいいかわからないため助けてほしい」ということで、ご相談に来られました。
そのため法律相談では、最大限の補償を獲得するための方針についてご説明させていただきました。
後遺障害等級の獲得についての方針
ご相談いただいた時、Zさんはご自身で医師に依頼して、後遺障害診断書を作成している最中でした。
しかし、弁護士が、Zさんの症状から想定される等級と等級獲得のために必要な診断書の記載を検討したところ、作成中の診断書の内容には不足があることが予想されました。
そのため、病院から後遺障害診断書が届き次第、内容の確認と修正を行う方針となりました。
等級獲得後の進め方の方針
今回は加害者からの賠償が望めないため、支払いの可能性があるのはZさん自身の加入している保険になります。
Zさんの加入している保険から十分な補償を得られるかどうかは、保険の契約内容や約款の記載によります。
約款を確認し、Zさんが加入している保険に、無保険車傷害特約や人身傷害保険などがついており、かついわゆる読み替え規定があれば、加害者が賠償する場合と同程度の補償を獲得できる可能性があると弁護士は考えました。
- 無保険車傷害特約とは?
加害者が任意保険に未加入などの理由で、十分な補償を受けられない場合に、
自身の保険会社が相手に代わり保険金を支払ってくれるという特約です。
- 読み替え規定とは?
人身傷害保険などでは、約款に従って保険金が支払われるのが原則ですが、
裁判で高い損害額が認められた場合には、約款に基づいた金額ではなく裁判所の認定額に基づいて保険金を支払うと規定されていることがあります。
この規定を読替規定と呼びます。
読み替え規定についての詳細はこちらのページへ。
特約への加入があり、読替規定もある場合には、以下の流れで進めていくことになります。
- 自賠責による後遺障害認定を受け、後遺障害等級を確定させる
- その後、すぐに訴訟提起して裁判で損害額を確定させる
- 裁判で確定した損害額をもとに、Zさんが加入する保険会社に請求を行い、全損害の補償をしてもらう
法律相談では上記について詳しくご説明をさせていただき、方針に納得いただいたZさんからご依頼を受けることになりました。
受任後の動き

ご依頼をうけた弁護士の大澤は、まずは後遺障害診断書の訂正を病院に依頼することから始めました。
作成された後遺障害診断書を確認すると、「いつも痛みがあるわけではない」「寒いときに痛む」といった記載がされていました。
Zさんに症状を確認したところ、膝の常時痛を訴えておられましたので、常時痛みがあることを明記していただけないか病院にお伺いし、適切な記載に修正いただきました。
また、並行して保険約款の確認も行ったところ、無保険車傷害特約への加入が確認できましたので、当初の方針で手続きを進めていくことになりました。
後遺障害等級第14級9号の獲得

修正された診断書を元に、自賠責に後遺障害等級の申請を行ったところ、常時痛が残存していると認められ、後遺障害等級併合14級が認定されました。
ただ弁護士としては、高原骨折の状況からすれば、12級も認定の可能性もあると考えていました。
そこで、Zさんがこれまで通院してきた複数の医療機関すべてに医師面談に行き、神経の損傷を医学的に証明できないかを調査しました。
結果としては、いずれの病院でも「骨は非常にキレイに癒合しており、不整は確認できない」ということでしたので、異議申立は断念することになりました。
しかし、様々な可能性を探ったことで、現在の等級が真に適切なものであるとわかったため、Zさんからも非常に感謝していただき、等級に納得したうえで訴訟提起に進むことができました。
訴訟提起へ

訴訟提起の相手方について
Zさんの保険会社に保険金を請求するために、まずは加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起することになりました。
ここで悩ましいのが、Zさんの保険会社にも訴訟告知をすべきか(=裁判に参加する機会を与えるべきか)という点でした。それぞれのメリットデメリットは以下の通りです。
①保険会社が訴訟に参加しない場合
加害者本人は、支払い能力がないため損害額がいくらになっても関係がなく、裁判で損害額を争ってこない可能性があります。
したがって、相手方が加害者のみであれば、裁判でこちらの主張する金額を全面的に認めてもらえる可能性が高まります。
一方で、実際に支払いをする保険会社としては、主張をする機会が与えられないわけですから、判決確定後に「訴訟に参加できていないから読み替え規定の使用は認められない」「全額は支払えない」等と主張し、保険会社が支払金額を争ってこないかが懸念されました。
②保険会社が訴訟に参加する場合
実際に支払いをする保険会社が訴訟に参加するとなれば、保険会社側も弁護士を就けて、細かい金額まで争ってくることになります。
そうなれば、裁判所が認定する損害額は、①の場合よりも低くなってしまいます。
一方、十分に主張が尽くされたうえで裁判所の判断が出るため、裁判所が認定した金額には争いの余地がなく、保険会社からまず間違いなく全額が支払われることになります。
弁護士が検討を重ねた結果、
- ①の場合でも、保険会社が特に争わず全額支払ってくれる可能性もあること
- もし争ってきても保険会社を相手方として再度訴訟をするという選択肢があること
- 保険会社側の弁護士の介入を防ぎ、損害額を下げさせないことを優先した方が良い
という判断で、今回は①を採用し、保険会社への訴訟告知は行わないことにしました。
訴訟経過

訴訟提起後の経過
訴訟を提起したところ、相手方に代理人が就き、「被告は今後自己破産予定であり、破産申し立てを行った場合には管財人が訴訟追行をすることになるため、現時点では具体的な反論などは行わない」と説明されました。
その後、被告側は、Zさんの医療記録を開示しようと文書送付嘱託申立なども行ってきました。
しかし、その開示対象が不必要に広範囲だと思われましたので、不要な個人情報を取得されることを防ぐべく、弁護士大澤が
「認否の回答すら保留されている状況でカルテの取得は必要がない」
「必要性の怪しいカルテの取得費用が捻出できるのであれば、その分被害弁済をすべきである」
といった意見を出したところ、取得されるカルテはごく一部に制限されることになりました。
その後、加害者側の手続きの進捗確認のために第2回期日が行われました。
すると、期日間に被告代理人が辞任しており、期日には加害者本人が出頭し、破産申立も訴訟も別の代理人に委任予定と説明されました。
第3回期日では、新しい代理人が就いたものの、代理人が期日に遅刻してきたうえ、破産申立手続きの準備も進んでおらず、「破産の準備をしていたので訴訟の準備は何も進んでいない」などと主張する状況でした。
このような被告の対応により審理が進まない状況が続いていましたので、弁護士大澤は強く抗議し、相手方の書面提出期限を当初の予定よりも2週間早めていただきました。
訴訟の停滞と結審に向けての対応
以上のような被告の対応により裁判は停滞しており、その後も数か月にわたり破産申立は行われず、期日でも具体的な反論すらなされない状況が続きました。
十分に争っていただかなければ、読み替え規定が使えない可能性も出てくるため、被告側もきちんと反論をしていただくよう裁判所を通じて意見しました。
しかし、それでも手続きは停滞したままの状況が続いたため、弁護士は、
- 破産申立を行っても、事故による損害賠償請求の支払は免れないため、破産申立を待つ必要はないこと。
(破産法253条1項3号において、「重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」は非免責債権とされています。) - 破産申立手続きが大きく遅滞していること。
- 加害者からの回収が目的ではなく、無保険車傷害特約からの回収を考えており、損害額が確定しさえすればよいこと。
- 事故による損害賠償請求権は非免責債権のはずではあるが、万が一免責許可決定が出てしまうと、裁判は請求棄却となり、無保険車傷害特約も使えなくなる恐れがあること。
等を理由に、早急に結審して頂くよう、裁判所に上申しました。
それまで裁判所は破産申立を待つ方針でしたが、この上申により方針が変わり、判決に進んでいただけることになりました。
判決

判決では、当方の主張が全面的に認められ、損害額は請求通りの約580万円とする判決が下りました。
また、本件事故は出合い頭の衝突事故のため、通常はZさんにも過失が生じますが、弁護士の主張立証が功を奏し、Zさんの過失も0となりました。
無保険車傷害特約を利用し、合計650万円にて解決

判決後は、裁判で確定した損害額をもとに保険会社に保険金の請求を行いました。
判決を獲得していたことにより、無事に読み替え規定を使うことができ、支払い金額について特に争われることもなくスムーズに手続きが進められ、無事に約580万円全額が支払われました。
これにより、自賠責保険金なども合わせると、合計約650万円の保険金が獲得できました。
請求通りの金額が支払われるケースは稀なため、良い解決になったと考えています。
依頼者の声

裁判でも被告の対応が悪かったので、ずっと納得できない気持ちがありましたが、無事に判決が出て補償もされたことで心に区切りをつけることができました。
自分一人ではここまでできませんでしたし、一緒に戦ってくださり本当に感謝しています。
相手の対応もあり、判決が出るまではかなり時間がかかりましたが、その間スタッフの方が寄り添ってくださったのも支えになりました。
長い間本当にありがとうございました。
弁護士大澤健人のコメント

加害者が完全に無資力で無保険車傷害特約を使用するという難しい事案でしたが、無事にZさんに適切な補償を受けていただくことができました。
相手方が任意保険に加入している場合でも、こちらの主張する金額が全面的に認められるケースはかなり少ないため、良い結果となり私共も非常に喜ばしく思っております。
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当該解決を行った弁護士大澤健人の経歴やその他解決事例等についてはこちら。
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