交通事故の民事裁判の費用はどのくらい?改正民事訴訟法の施行の影響は?
交通事故

交通事故で被害に遭ったことにより損害が発生した場合、被害者は、加害者に対して損害賠償を請求する権利(債権)を有します。
損害賠償請求を行う手続きとしてはいくつか方法がありますが、裁判所に訴えを提起することにより、司法を通じて加害者に対して債務の履行を求めることができます。
これが、一般的に「民事裁判」・「民事訴訟」と呼ばれる手続きであり、法律分野では「裁判上の請求」と呼ばれています。
民事裁判による損害賠償請求は非常に強力なイメージがある一方、裁判を起こすには何十万、何百万の費用がかかるという印象がおありの方もいると思います。
本稿では、民事裁判の費用について解説していきます。
民事裁判の申立手数料
民事裁判の費用についてお話しするにあたり、留意しなければならないことがあります。
それが、令和8年5月21日に施行された改正民事訴訟法です。
まず、電子申立てに関する条文である、改正民事訴訟法132条の10第1項をみてみましょう。
第132条の10
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今回の改正民事訴訟法の施行によって民事訴訟手続きのデジタル化が推進されているところ、132条の10第1項は、訴訟提起にあたってオンライン上のシステムによる電子申立てを行うことができることを規定しています。
そのため、訴状等の提訴書類一式を裁判所に持参又は郵送する方法と、電子申立てとで提訴方法を選択することが可能になりました。
ただし、委任を受けて訴訟手続きを代理遂行する弁護士等の訴訟代理人については、電子申立てが義務付けられることとなり、従前の紙ベースでの訴訟提起はできなくなりました(改正民事訴訟法132条の11)。
| 132条の11
次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事件の申立て等をするときは、前条第1項の方法により、これを行わなければならない。ただし、口頭ですることができる申立て等について、口頭でするときは、この限りでない。
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訴訟提起の方法についてまとめると、次のとおりです。
・本人が行う場合→書面による申立て 又は 電子申立て
・委任を受けた訴訟代理人等が行う場合→基本的に電子申立てのみ
さて、ここであえて申立て方法について触れたのは、民事裁判の申立て手数料にも関わってくるためです。
改正民事訴訟法の施行に伴い、民事訴訟の費用面についても見直し等が行われた結果、書面による申立てと電子申立てとで申立手数料が異なる形になります。
下図は、裁判所が公開している手数料額早見表の一部を抜粋したものです。

この図は、民事裁判を提起する際の申立手数料を示したものであり、訴額(訴訟提起時の請求額)に比例する形で申立手数料も高くなります。
図の中央辺りに、「民事・行政訴訟(書面申立て)」という項目と「民事・行政訴訟(電子申立て)」という項目が確認できますが、同じ訴額の場合に申立手数料が異なるのが分かりますでしょうか。
たとえば、訴額が30万円の場合、書面による申立てをしたときは申立手数料が5500円となりますが、電子申立てをしたときは申立手数料が4400円となります。
手数料額早見表には訴額が50万円以降の申立手数料の金額も記載されていますが、一貫して、電子申立ての手数料のほうが、書面による申立ての手数料よりも1100円低いことが確認できます。
そのため、基本的に電子申立てしかできない弁護士等の訴訟代理人はともかく、本人訴訟をする場合においても電子申立てのほうが費用を抑えることができます。
このことから、(本人訴訟の場合に)従来の申立て方法である書面による申立てという方途を残しつつも、裁判所としては電子申立てを推奨する姿勢であることが窺われます(これは、改正民事訴訟法の施行の目的の一つが「訴訟追行の効率化」であることを考慮すれば、ある程度自然な帰結と言えるでしょう。)。
なお、上図では省略しましたが、手数料額早見表では次のような記載があります。
| ※1 被告が2名以上の場合は、被告の数から1を減じた数に2,000円を乗じて得た額を加算する。 |
これは端的に言えば、被告が1名増えるごとに申立手数料が2000円ずつ加算されることになります。
たとえば、訴額40万円で被告4名に対して電子申立てによる訴訟提起をする場合の申立手数料は、5400円+(4-1)×2000円=1万1400円となります。
そのため、民事裁判を提起するにあたり要する申立手数料に関して言えば、(訴額にもよるものの)莫大な金額になることはあまり多くはないと考えられます。
弁護士費用
本人訴訟を行う場合は、これまでに述べてきた申立手数料が民事裁判における主な費用となり、
あとは訴訟進行において証拠を取り付けたりする際に要する費用(医療記録の取付けに関する費用、鑑定費用など)を都度負担することになると考えられます。
他方で、不法行為に係る損害賠償請求の民事裁判は近年高度化・複雑化している傾向にあり、本人による訴訟追行もまた難しくなっている実態があります。
そのため、訴訟当事者(原告・被告)が弁護士に訴訟追行を委任することが多くなっています。
この、弁護士に依頼するときの費用について気にされている方が多いのではないかと思います。
しかし実は、弁護士が介入して損害賠償請求を行う場合、損害賠償請求額の1割を弁護士費用として上乗せして請求することができます。
これは、前述のとおり民事裁判の高度化・複雑化により、弁護士が訴訟代理人として訴訟手続きを行うことがスタンダードとなりつつある現状を鑑みたとき、弁護士費用の支出もまた一つの損害として捉えられるためです。
そのため、たとえば治療費や慰謝料などの損害賠償合計額が100万円である場合に、弁護士を訴訟代理人としてこれを請求するときは、弁護士費用として10万円(損害賠償合計額100万円の1割の金額)を上乗せして、合計110万円を相手方に請求することができます。
また、弁護士費用特約に加入しており、これが使用できる場合には、保険会社が弁護士費用を払ってくれますので、弁護士費用特約の保険上限額までは手出ししなくてもよい形になります(事故発生時点で加入している必要がある等、特約の使用に際して条件がある場合もございますので、詳しくはご加入の保険会社に確認されてみることをおすすめします。)。
おわりに

本稿では、民事裁判にかかる費用について、改正民事訴訟法の要点と合わせて解説いたしました。
交通事故等の被害に遭われた中で、弁護士を探すというのは決して簡単なことではないと思います。
お問合せをされる際にも、どのような弁護士なのか、豊富な知識を持ち合わせていそうか、信頼関係を築けそうか。
委任契約の根幹は信頼関係であり、弁護士も人ですので、人と人との相性がとても重要になると思います。
弁護士法人小杉法律事務所では、被害者専門・後遺障害専門を掲げております。
突然の被害に遭われ、おつらい思いをされている被害者の方々に寄り添うとともに、豊富な知識や経験、ノウハウに基づき法的サポートを行っております。
交通事故などの被害に遭われた方や、損害賠償請求・後遺障害のこと等でお悩みの方は、
ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

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