労災というのは、任意加入ではなく、強制加入(義務)です。
1人でも労働者を雇用しているのであれば、労災に加入していないということはありません。
「ウチの会社は労災に入っていない」という会社の説明は、ウソということになります。
従いまして、会社が労災に入っていないと言っていたとしても、労災は使えます。
福岡県弁護士会
福岡県社会保険労務士会所属
弁護士・社会保険労務士
木村治枝
労災事故については、弁護士による無料相談を実施しています。着手金も無料です。
弁護士報酬は、会社や加害者側から獲得した損害賠償金等から清算しますので、労災被害者やそのご家族の方から直接お支払いいただくことは原則としてございません。
安心してご相談ください。
弁護士法人小杉法律事務所 代表弁護士の小杉です。
労災事故被害によりご本人はもちろん、支える周囲の方の生活リズムも変わり、大変な思いをされていることと思います。
また、これからの生活についても大きな不安を抱えていることと思います。
私たち弁護士法人小杉法律事務所は、弁護士兼社会保険労務士の木村治枝を中心として、労災事故被害者の方のために、後遺障害事例・死亡事故事例を中心として数々の案件を担当してきました。
その中で痛感するのは、なぜ労災事故で重傷・重体・死亡といった被害を受けた労働者本人やご家族が泣き寝入りしなくてはいけないのか?という矛盾への怒りです。
会社は、仕事中に労働者が怪我をしたという事実を隠蔽したがります。
隠蔽とまでいかなくとも、「本当に仕事が原因なのか?」「労働者の側に落ち度はないのか?」という目でみてきます。
安全配慮ができていない会社だと思われたくないですし、労災事故の発生率により労災保険の保険料率が上がるからです。
また、労働基準監督署の後遺障害等級認定等の判断の際には面談が実施されますが、ベースは書面審査です。
労災被害者ご本人や、ご家族がどのくらい辛い思いをしているかというのは、考慮の対象外となっています。
労災保険では、精神的苦痛の損害賠償であるところの「慰謝料」は対象外となっているので、どのような思いをしているかというのは認定の際には無関係な事情とされます。
会社も労働基準監督署も大きな組織ですから、労働者個人やそのご家族が戦ったとしても、勝ち目は薄いことが多いです。
ゆえに労災被害者やそのご家族が泣き寝入りしてしまう結末になることが多いのだと思います。
弁護士法人小杉法律事務所では、社労士資格も有する労災被害専門の弁護士が後遺障害事例や死亡事故事例を解決します。
労災後遺障害事例では、医学的な調査をもとに適切な後遺障害等級を労基署に認定させ、会社から慰謝料額など適正な損害賠償額を獲得します。
労災死亡事故事例では、亡くなられた方の出生から死亡事故までの人生の流れを丁寧に分析して、民事・刑事の両面において、弁護士兼社労士として適切に主張立証等を行っていくことを心がけています。
加害者サイドの虚偽の供述を裁判にて明らかにし、慰謝料などの損害賠償金約1億2000万円で解決
Aさんは、業務中、労災事故に巻き込まれ死亡してしまいます。
加害者サイドは労働基準監督署に対して虚偽の供述をして、労働者自身の過失による事故だと主張してきました。
Aさんのご遺族は近所の弁護士に依頼していましたが、加害者側の好き勝手に事が進むのが許せないと憤り、当事務所に依頼を変更されました。
当事務所ではまず、警察・検察と連携を取りながら、事故解析を進めました。
その上で、加害者サイドの起訴にこぎつけ、刑事裁判に被害者参加することにより、法廷で被告人が労災事故直後に虚偽供述をしていたことを明らかにします。
そして、刑事裁判での有罪判決(求刑どおり)を証拠として、民事裁判へと進み、慰謝料などの損害賠償金額約1億2000万円での解決に至りました。
なお、支給調整の関係で損害賠償請求を先行させ、これが解決した後に労災遺族年金の申請を行っています(手取り金額が増えます。)。
労災事故を原因とするものであるという脳外科医の医学的意見書を取り付けて高い等級を獲得
業務中に事故に遭い寝たきりとなってしまったBさん。
ご家族が手続を進めますが、簡単な仕事程度はできるということで、後遺障害等級5級の認定しかなされませんでした。
Bさんは寝たきりですので、仕事はおろか、日常生活すらも常時の介護がなければできない状態であるのに、簡単な仕事程度はできるという5級の判断に納得がいかず、当事務所に依頼することにしました。
当事務所おいて情報公開請求で認定理由を取り付けて精査したところ、労災事故と関係がある部分の後遺障害では簡単な仕事はできる程度の高次脳機能障害にしかなっておらず、その後寝たきりの状態まで悪化したのは持病の脳梗塞のせいだという判断理由となっていました。
膨大な量のカルテと医学文献を読み込み、労災事故前後のMRI画像を比較した上で、著明な脳外科医のもとに医師面談へ行きました。
労災事故前後の比較から、寝たきりの原因となっている高次脳機能障害は、持病の脳梗塞によるものではなく、労災事故を原因とするものであるという医学的見解を頂くことができたので、この見解を医学的意見書にしました。
当該意見書及び弁護士名義の意見書を付けた上で、労災障害補償給付の申請をし、見立てどおり後遺障害等級1級の3を獲得することができました。
私は社会保険労務士(社労士)資格も有していますが、これは、社労士として活躍したかったからというわけではなく、労災専門の弁護士として多くの労災被害者の方々を救うためです。
というのも、弁護士では労災の最初の申請から代理することができません。最初の申請を失敗したせいで、労基署が労災被害者にとって否定的見解を出し、その後も労災が判断を変えず、裁判所も労災の判断に無批判に従ってしまい、悲惨な結末となってしまうことがあります。
後の審査請求や取消訴訟・損害賠償請求訴訟に置いて、当初の労基署の判断が覆ることはありますが、当初の認定が維持されてしまというリスクを可能な限り減らすべく、弁護士登録のみならず社労士登録も行うことにしました。
労災被害者側専門の弁護士として、私の弁護士人生に後悔の無いよう、「労災事故に遭ってお困りの方々を一人でも多く救う」という使命を全うしたいと思います。
会社側の悪質性や労災被害の甚大さを、過去の裁判例や医学文献等から立証し、裁判相場以上慰謝料の増額に努めることができる
労働者側に責任を押し付ける会社の見解を客観的証拠から排斥して、安全配慮義務違反や過失割合の争いに勝利することができる
後遺障害等級の審査請求・取消訴訟・損害賠償請求訴訟によって後遺障害等級の上昇に努めることができる
社労士資格も有していることを活かし、弁護士資格のみではできない各種労災申請代理をすることができる
労働者やご家族の事故前の様子を丁寧に立証し、家族の慰謝料金額に反映させることができる
労災申請や慰謝料などの損害賠償請求のみならず、残業代請求や解雇無効などの関連請求も共に行うことができる
電話、メール、LINEのいずれかでご連絡ください。
慰謝料額について、後遺障害等級についてなど具体的な事柄でも結構ですし、こういう事態になってしまってどうしたら良いのか分からない、など抽象的な事柄でも結構です。難しく考えずまずは連絡してみてください。
ご質問や気になっていることに対しては、すべてお答えいたします。
また例えば損害賠償額について、今後のスケジュールなど、ご質問がなかった事項に対しても回答いたしますのでどうぞご安心ください。
ご相談料・着手金は無料です。
弁護士報酬も、加害者および保険会社が費用負担するので、被害者の方からお支払いいただく必要はありません。
私たちが一緒に闘いますので、安心してお任せください。
労災というのは、任意加入ではなく、強制加入(義務)です。
1人でも労働者を雇用しているのであれば、労災に加入していないということはありません。
「ウチの会社は労災に入っていない」という会社の説明は、ウソということになります。
従いまして、会社が労災に入っていないと言っていたとしても、労災は使えます。
使えます。
派遣社員の方であっても、パートの方であっても、アルバイトの方であっても、仕事中や通勤中の事故であれば、労災は使えます。
できます。
労災から給付を受けられるのは、治療費や休業損害の一部や逸失利益の一部のみですので、残額については会社から回収しないといけません。
また、労災は慰謝料が給付されることはありませんので、慰謝料請求については、その全額を会社に対して請求していかないといけません。
労災から給付を受けた方は、会社に対して損害賠償請求ができる可能性があるので、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
会社に責任がない場合や加害者がいない場合には、被害者は損害賠償請求をすることができませんから、労災申請によって被害回復を図ることになります。
他方で、会社や加害者に対して損害賠償請求をすることができる場合については、労災申請を行う必要がないかというとそうではありません。
例えば、労災申請による障害(補償)給付と、損害賠償請求による逸失利益とを二重取りすることはできませんが、会社や加害者との示談・和解の際に「乙は甲に対し、本件労災事故に関して、労働者災害補償保険法に基づく過去及び将来の給付金並びに乙の甲に対する既払金とは別に、解決金として金●●●●万円の支払義務があることを認める。」との条項を入れておけば、会社や加害者に対する損害賠償請求が解決した後、障害(補償)給付を受け取ることができるようになります。
また、被害者にも過失があるケースでは、会社や加害者から治療費や休業損害を支払ってもらうよりも、労災から給付を受けた方が被害者の受け取るトータルの金額は高くなります。
加えて、労災には特別支給金という制度もあり、支給を受けたとしても損害賠償請求との二重取りと判断されない支給金もあります。
以上のとおり、会社や加害者へ損害賠償請求ができるケースであっても、労災申請を利用した方が良いケースというのは多く存在します。
労災申請の内容については、それぞれの種類に応じて説明しておりますので、そちらのページをご覧ください。
※被災労働者が休業(補償)給付受給中に退職したとしても、支給要件を満たしていれば、退職後も休業(補償)給付が支払われます(労働者災害補償保険法第12条の5)。
休業(補償)給付は、所定の請求用紙(様式第8号)に必要事項を記載して労働基準監督署へ提出する方法で請求します(8号請求と呼ばれます。)。
その際、請求用紙に療養のために休業が必要であることについての当該傷病の主治医に証明印を押捺してもらう必要があります。
休業(補償)給付は、給付基礎日額の60%に休業特別支給金として20%が加わり、合計給付基礎日額の80%が支給されます。(給付基礎日額の説明はこちらをご覧ください)
なお、休業初日から3日間は、休業(補償)給付は支給されず、事業主に支払義務があります(労働基準法第76条1項)。
業務災害又は通勤災害による傷病について治療を続けてきた被災労働者が症状固定の状態に至り、後遺障害を残存させた場合、その後遺障害の等級に応じて、障害(補償)年金、障害(補償)一時金、障害特別年金、障害特別一時金、障害特別支給金が支給されます。
障害等級 | 障害(補償)年金又は一時金 | 障害特別年金又は一時金 | 障害特別支給金 |
---|---|---|---|
第1級 | 毎年 給付基礎日額の313日分 | 毎年 給付基礎日額の313日分 | 一回 342万円 |
第2級 | 毎年 給付基礎日額の277日分 | 毎年 給付基礎日額の277日分 | 一回 320万円 |
第3級 | 毎年 給付基礎日額の245日分 | 毎年 給付基礎日額の245日分 | 一回 300万円 |
第4級 | 毎年 給付基礎日額の213日分 | 毎年 給付基礎日額の213日分 | 一回 264万円 |
第5級 | 毎年 給付基礎日額の184日分 | 毎年 給付基礎日額の184日分 | 一回 225万円 |
第6級 | 毎年 給付基礎日額の156日分 | 毎年 給付基礎日額の156日分 | 一回 192万円 |
第7級 | 毎年 給付基礎日額の131日分 | 毎年 給付基礎日額の131日分 | 一回 159万円 |
第8級 | 一回 給付基礎日額の503日分 | 一回 給付基礎日額の503日分 | 一回 65万円 |
第9級 | 一回 給付基礎日額の391日分 | 一回 給付基礎日額の391日分 | 一回 50万円 |
第10級 | 一回 給付基礎日額の302日分 | 一回 給付基礎日額の302日分 | 一回 39万円 |
第11級 | 一回 給付基礎日額の223日分 | 一回 給付基礎日額の223日分 | 一回 29万円 |
第12級 | 一回 給付基礎日額の156日分 | 一回 給付基礎日額の156日分 | 一回 20万円 |
第13級 | 一回 給付基礎日額の101日分 | 一回 給付基礎日額の101日分 | 一回 14万円 |
第14級 | 一回 給付基礎日額の56日分 | 一回 給付基礎日額の56日分 | 一回 8万円 |
現実に介護費を支出 | 親族による介護 | |
---|---|---|
常時介護を要する場合(1級) | 支出額(月上限10万4290円) | 一律月5万7030円 |
随時介護を要する場合(2級) | 支出額(月上限5万2480円) | 一律月2万8520円 |
被災労働者が業務災害又は通勤災害によって死亡した場合、被災労働者の遺族に対して、遺族(補償)給付がなされます。
具体的には、遺族の身分関係などに応じて、遺族(補償)年金又は遺族(補償)一時金、遺族特別年金又は遺族特別維持金、遺族特別支給金が支払われます。
遺族(補償)年金・遺族特別年金・遺族特別支給金の受給資格が認められるためには、以下の①及び②の要件を満たすことが必要です(労働災害補償保険法第16条の2)。
労災認定において生活維持関係が認められるためには、次のような事情があるか否かが重要です。
まず、遺族が被災労働者と現実に同居していた場合は、基本的に生活維持関係が認められます。なお住民票など書類上の記載ではなく、、実際に同居の実態があったかどうかがポイントです。
また、仮に同居していなくても、その遺族と被災労働者の間で生活費や療養費などの経済的な援助(出稼ぎや仕送りなど)が行われていたり、お互い定期的に音信や訪問が行われているなどの事情があれば、生活維持関係が認められる場合があります。
なお、生活維持関係が認められるためには、主として被災死亡労働者の収入によって生計を維持している必要は無く、被災死亡労働者の収入によって生計の一部を維持している共働きの場合も、これに含まれます。
配偶者には、内縁の配偶者を含みます。
逆に、配偶者であっても、長期間別居をしているなど事実上離婚状態にあった配偶者は含まれません。
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹など受給資格者が複数いる場合は、以下の順番の優先順位があり、順位の高い者が受給権者となります。
※被災労働者が死亡した時点で60歳に達しておらず上記要件を満たさないという場合は若年停止と呼ばれ、60歳に達すれば支給がなされます。
受給権者が死亡したり婚姻したりしたため受給権者ではなくなった場合、次の順位の遺族が繰り上がって支給を受けることができるようになります(「転給」といいます。)。
※受給要件に登場する「障害」というのは、①労災保険でいう障害等級5級以上に該当する障害を有している、②ケガや病気が治らないで身体の機能又は精神に高度な制限を受けている若しくは労働に高度な制限があるといった障害を有している場合をいいます。
遺族数 | 遺族(補償)年金 | 遺族特別年金 | 遺族特別支給金 |
---|---|---|---|
1人 | 給付基礎日額の153日分 ※55歳以上の妻又は障害状態にある妻の場合は175日分 |
給付基礎日額の153日分 ※55歳以上の妻又は障害状態にある妻の場合は175日分 |
300万円 |
2人 | 給付基礎日額の201日分 | 給付基礎日額の201日分 | 300万円 |
3人 | 給付基礎日額の223日分 | 給付基礎日額の223日分 | 300万円 |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 | 給付基礎日額の245日分 | 300万円 |
給付基礎日額の説明はこちらをご覧ください
死亡した被災労働者の遺族の中に、遺族(補償)年金を受け取る権利のある遺族がいない場合には、その他の遺族に対して遺族(補償)一時金及び遺族特別一時金が支給されます。
具体的な受給権者の順位は次のとおりです。
遺族(補償)一時金 | 遺族特別一時金 | 遺族特別支給金 |
---|---|---|
給付基礎日額の1000日分 | 給付基礎日額の1000日分 | 300万円 |
給付基礎日額の説明はこちらをご覧ください
葬儀を執行したことを証明する「葬儀執行証明書」を添付して申請を行います。
現実に要した葬儀費用を明らかにする必要はありませんが、既に実施済みの場合にのみ申請ができ、これから葬儀を実施するという場合には申請ができません。
①被災労働者の給付基礎日額の60日分と②給付基礎日額の30日分+31万5000円のいずれか高い方の金額とされています。
業務災害又は通勤災害によって重度の後遺障害を受け又は長期療養が必要となった被災労働者本人で、その子どもなどの学資等の思弁が困難であると認められる場合、幼稚園・保育園から大学に至るまで、就学等の状況に応じて支給される労災就学等援護費用の制度が定められています。
後遺障害等級1級~3級のケースの場合で、下記①又は②のいずれかの要件を満たすこと。
ただし、給付基礎日額が1万6000円を超える場合には支給されなくなります。
子どもが在籍する学校等 | 子ども1人あたりの支給月額 |
---|---|
幼稚園児・保育園児 | 1万2000円 |
小学生 | 1万4000円 |
中学生 | 1万8000円(通信制の場合は1万5000円) |
高校生 | 1万6000円(通信制の場合は1万3000円) |
大学生 | 3万9000円(通信制の場合は3万円) |
慰謝料というのは、被害者の被った精神的・肉体的苦痛による損害(非財産的損害)をてん補するものです(民法第710条)。
もともと裁判官の裁量が大きい損害項目であり、その性質上、出捐や事故前の現実収入のような算定の基礎とするものもないため、定額化が最初に行われた損害項目となっています。
従いまして、労災事故から一般的に生じる精神的苦痛(日常生活や就労における苦痛、治療を余儀なくされる苦痛、事故当事者として紛争解決に関わらなければならない苦痛など)は、通常は基準額で評価されていると扱われることになります。
逆を言えば、当該事故から通常考えられる精神的損害を超えるものが発生していることを裏付ける事実を具体的に主張・立証していけば、裁判基準より更なる増額も可能となるということです。
慰謝料は主に、受傷から治療終了までの間の精神的苦痛を金銭評価した入通院慰謝料(傷害慰謝料)と、後遺障害が残ってしまったことに対する精神的苦痛を金銭評価した後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の2つに分かれます。
なお、労災申請では慰謝料の支払いは一切なされないことになっていますので、慰謝料請求をするには会社又は加害者に対して、損害賠償請求をしていくことが必須となります。
裁判基準の慰謝料相場は、軽傷かどうかによって分けられています。
むち打ちの場合や軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の場合は、低い慰謝料相場とされ、それ以外の場合は高い慰謝料相場が適用されます。
通\入 | 0月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0か月 | 0 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | 314 | 321 | 328 | 334 | 340 |
1か月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 | 318 | 325 | 332 | 336 | 342 |
2か月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 | 322 | 329 | 334 | 338 | 344 |
3か月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 | 326 | 331 | 336 | 340 | 346 |
4か月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 316 | 323 | 328 | 333 | 338 | 342 | 348 |
5か月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 | 330 | 335 | 340 | 344 | 350 |
6か月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 | 332 | 337 | 342 | 346 | 352 |
7か月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 304 | 316 | 324 | 329 | 334 | 339 | 344 | 348 | 354 |
8か月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 | 336 | 341 | 346 | 350 | 356 |
9か月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 | 338 | 343 | 348 | 352 | 358 |
10か月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 394 | 310 | 322 | 330 | 335 | 340 | 345 | 350 | 354 | 360 |
11か月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 396 | 312 | 324 | 332 | 337 | 342 | 347 | 352 | 356 | 362 |
12か月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 398 | 314 | 326 | 334 | 339 | 344 | 349 | 354 | 358 | 364 |
13か月 | 158 | 187 | 213 | 238 | 262 | 282 | 300 | 316 | 328 | 336 | 341 | 346 | 351 | 356 | 360 | 366 |
14か月 | 162 | 189 | 215 | 240 | 264 | 284 | 302 | 318 | 330 | 338 | 343 | 348 | 353 | 358 | 362 | 368 |
15か月 | 164 | 191 | 217 | 242 | 266 | 286 | 304 | 320 | 332 | 340 | 345 | 350 | 355 | 360 | 364 | 370 |
※入院16か月以降は、6万円ずつ加算
※通院16か月以降は、2万円ずつ加算
※なお、大阪地方裁判所や名古屋地方裁判所では別の慰謝料基準が採用されていますが、大きな金額の差はありません。
通\入 | 0月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0か月 | 0 | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 | 165 | 176 | 186 | 195 | 204 | 211 | 218 | 223 | 228 |
1か月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 | 171 | 182 | 190 | 199 | 206 | 212 | 219 | 224 | 229 |
2か月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 | 177 | 186 | 194 | 201 | 207 | 213 | 220 | 225 | 230 |
3か月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 | 181 | 190 | 196 | 202 | 208 | 214 | 221 | 226 | 231 |
4か月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 | 185 | 192 | 197 | 203 | 209 | 215 | 222 | 227 | 231 |
5か月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 | 180 | 187 | 193 | 198 | 204 | 210 | 216 | 223 | 228 | 233 |
6か月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 | 188 | 194 | 199 | 205 | 211 | 217 | 224 | 229 | 234 |
7か月 | 97 | 119 | 139 | 152 | 166 | 175 | 183 | 189 | 195 | 200 | 206 | 212 | 218 | 225 | 230 | 235 |
8か月 | 103 | 125 | 143 | 156 | 168 | 176 | 184 | 190 | 196 | 201 | 207 | 213 | 219 | 226 | 231 | 236 |
9か月 | 109 | 129 | 147 | 158 | 169 | 178 | 185 | 191 | 197 | 202 | 208 | 214 | 220 | 227 | 232 | 237 |
10か月 | 113 | 133 | 149 | 159 | 170 | 179 | 186 | 192 | 198 | 203 | 209 | 215 | 221 | 228 | 233 | 238 |
11か月 | 117 | 135 | 150 | 116 | 171 | 180 | 187 | 193 | 199 | 204 | 210 | 216 | 222 | 229 | 234 | 239 |
12か月 | 119 | 136 | 151 | 161 | 172 | 181 | 188 | 194 | 200 | 205 | 211 | 217 | 223 | 230 | 235 | 240 |
13か月 | 120 | 137 | 152 | 162 | 173 | 182 | 189 | 195 | 201 | 206 | 212 | 218 | 224 | 231 | 236 | 241 |
14か月 | 121 | 138 | 153 | 163 | 174 | 183 | 190 | 196 | 202 | 207 | 213 | 219 | 225 | 232 | 237 | 242 |
15か月 | 122 | 139 | 154 | 164 | 175 | 184 | 191 | 197 | 203 | 208 | 214 | 220 | 226 | 233 | 238 | 243 |
※入院16か月以降は、5万円ずつ加算
※通院16か月以降は、1万円ずつ加算
※なお、大阪地方裁判所や名古屋地方裁判所では別の慰謝料基準が採用されていますが、大きな金額の差はありません。
裁判基準の慰謝料相場には2つの表がありますが、原則は高い方の基準を用います。
例外的に低い基準を用いるケースというのは、神経根症型や脊髄症型などではない単純なむち打ちの場合や、軽い打撲・軽い挫傷・軽い挫創の場合です。
入院待機中の期間や、ギプス固定中など安静を要する自宅療養期間は、慰謝料の算定上は、実際は入院していなくても入院期間とみることがあります。
弁護士法人小杉法律事務所の解決事例でも、実際入院していない期間を入院期間とする慰謝料算定に成功した事例が複数あります。
被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事などの都合で特に入院期間を短縮したと認められる場合には、入通院慰謝料金額が増額されることがあります。
傷害の部位・程度によっては、慰謝料額が20%~30%増額されます。
例えば、大腿骨の複雑骨折又は粉砕骨折や、脊髄損傷を伴う脊柱の骨折などは苦痛や身体の拘束が強い症状とされていますので、慰謝料の増額がなされやすいと思われます。
また、脳や脊髄の損傷、多数の箇所にわたる骨折、内臓破裂を伴う傷害の場合も、通常生命の危険があることが多く、慰謝料の増額がなされやすいと思われます。
生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術など極度の苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途慰謝料増額を考慮するとされています。
例えば、整骨院施術費が全部又は一部否定されるなど、慰謝料以外の他の損害費目が否定/制限される場合、その補完調整機能として慰謝料が増額されることがあります。
会社や加害者の悪質さにより慰謝料相場から増額されるケースとして、下記のようなものが挙げられます。
通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍(軽症の場合は3倍)程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあるとされています。
例えば、骨折をしてしまい、月1回のペースで20か月間通院したとします。
20か月間の通院慰謝料は172万円とされていますが、長期通院であるとして上記の減額をされてしまう場合は、実通院日数20回×3.5倍=70日(2か月10日)の通院期間分の慰謝料まで減額されてしまい>通院慰謝料額は60万円程度まで減額されてしまいます。
あくまで減額の目安であって、必ず減額するというルールではありませんので、20か月間の苦痛の程度などを立証し、減額されないような活動をしていかなければなりません。
なお、具体的に何か月が「長期」にあたるのかについての基準はありませんが、『交通事故損害額算定基準‐実務運用と解説‐』を参考に考えると、1年以上の通院が「長期」と評価されやすくなるものと思われます。
後遺症慰謝料は、障害等級ごとの慰謝料基準が存在します。
後遺障害等級の認定がなされた場合、その認定等級に応じた労働能力喪失率が定められています(労働省労働基準局長通牒昭和32年7月2日基発第551号)。
例えば、後遺障害等級14級の認定がなされた場合の労働能力喪失率は5%とされています。
親指以外の手指の指骨を失った場合は、後遺障害等級14級6号が認定されますが、プロのピアニストが労災事故に遭い、この後遺障害等級認定を受けた場合には、労働能力喪失率は5%では収まらないことになりそうです。
このようなケースでは、後遺症慰謝料も増額される傾向にあります。
上記①とは逆に、労働労力喪失の程度が後遺障害等級に比して小さい場合、逸失利益を減額する代わりに、後遺障害慰謝料額を増額して、全体の損害額を調整することがあります。
具体的には、体幹骨の変形、歯牙障害、醜状障害などの後遺障害の場合、仕事への支障の程度が明らかでなく、労働能力喪失率が基準よりも減らされ、逸失利益が減額されることがあり、このようなケースで、後遺障害慰謝料額が増額されることがあります。
2本の歯牙障害、手のひら大には至らない上肢下肢の醜状障害など後遺障害等級は非該当認定となるが、後遺障害が残っているといったケースでは、当該事情を考慮して後遺障害慰謝料が算定されることがあります。
例えば、将来治療費の全部又は一部否定されるなど、慰謝料以外の他の損害費目が否定/制限される場合、その補完調整機能として後遺障害慰謝料額が増額されることがあります。
傷害慰謝料と同様、
といった場合には、後遺障害慰謝料額が増額されることがあります。
休業損害は、労働者の属性によって判断基準が異なります。
労災事故後仕事を休んだという場合、休業損害を請求していくことになります。
なお、労災に休業(補償)給付の申請をしていたとしても、更に会社や加害者に対して休業損害の損害賠償請求をしていくことはできます。
事案によって異なりますが、おおまかにいうと、休業(補償)給付で得られた金額(特別支給金を含む。)の半額を、さらに会社や加害者に対して請求することができます。
また、給料の減収の他に、賞与の減額分についても会社や加害者に請求していくことができます。
年収300万円代以下で、かつ、ご家族のために家事・育児・介護のいずれかをしているという方は、弁護士仕事を休んだことによる休業損害よりも、家事・育児・介護ができなくなった/しづらくなったことによる休業損害を請求した方が、賠償額が高くなることが多いです。
こうした休業損害の構成を「家事従事者の休業損害」と呼びます。
労災事故被害に遭った年にもよりますが、治療期間中、1日あたり1万円を少し超える金額が家事従事者の休業損害として認められます。
例えば、労災被害により丸々1年間治療をして、その間家事ができなかったという場合は、400万円弱の休業損害が認められることになります。
むち打ちなど重傷とはいえないが症状が残ってしまったケースというのは、家事が不可能になるというわけではなく、家事・育児・介護がしづらくなるということになります。
そのため、上記①の重傷のケースと異なり、治療期間中100%の休業損害までは認められないことが多いです。
事案によって異なりますが、相場としては休業損害合計50万円以上を目標にすることが多いです。
症状が残らず完治したというケースでも、完治に至るまでは痛みなどの症状が出ていたはずですので、その間の家事のしづらさの休業損害を請求していくことになります。
おケガの内容や、どのくらいの治療期間で完治したのかなどによって、休業損害の金額は異なってきます。
相場としては30万円程度が目安になりますが、事案によってこれよりも低くなることもあれば、高くなることもあります。
近年、「男は外に出て、女は家にいる」という昭和以前の価値観に変化が見られ、男性であっても家事・育児・介護を行っているというケースが増えてきています。
従いまして、従来の裁判例の傾向よりも、今後は男性の主夫としての休業損害が認められやすくなっていくものと思われます。
この場合、同居のご家族の収入資料などがあると、男性の主夫としての休業損害が認められやすくなります。
労災事故で後遺障害を残してしまったという場合、将来も仕事をし続けて稼ぎを得ることができたのに、それがしづらくなった/できなくなったという事態が生じます。
こうした事情を損害賠償請求として表したものを「逸失利益(いっしつりえき)」と呼びます。
逸失利益は、最も高額な損害費目となることも多く、慰謝料と並び損害賠償請求の中でも大事な要素と位置づけられます。
この逸失利益をどのように算定するかというと、
ただし、一括して賠償金を受け取るため、中間利息の控除というものが行われます。
以上の1~3を計算式に直すと、「基礎収入✕労働能力喪失率✕労働能力喪失期間の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」となります。
学生アルバイトなど若年の被害者の場合ですと、「基礎収入✕労働能力喪失率✕(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数)」という計算式になります。
以下では、①基礎収入、②労働能力喪失率、③就労可能年数と中間利息控除について、それぞれ詳細解説をしていきます。
なお、逸失利益は、労災申請の中の障害(補償)給付に対応します。
基礎収入額が400万円になるのか800万円になるのかによって、逸失利益の金額が倍変わってきます。
被害者の方が労災事故に遭わずに後遺障害なく生きていたとしたら、どのくらいの稼ぎがあったのかについては、想像するほかありませんので、立証が難しい側面はありますが、基礎収入額は極めて重要な要素のため、被害者の方の属性に応じた丁寧な立証をしていく必要があります。
以下では、被害者の方の属性ごとに分けて、基礎収入の説明をしていきます。
原則として、労災事故前年の年収を基礎収入額とします。
何か事情があって、労災事故の前年の年収が低かったという場合は、その事情を説明して、賃金センサスというものを基礎収入額にすることができる場合があります。
また、労災事故時の年齢が概ね30歳未満の若年労働者の場合も、賃金センサスを基礎収入額とすることができます。
仕事もしているが家族の家事や育児や介護をしているという人が、労災事故で後遺障害を残してしまった場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とすることができます(最高裁判所昭和49年7月19日判決 判例時報748号23頁)。
具体的には、令和4年の症状固定の場合ですと、基礎収入額が385万9400円とされていて(他の年の場合でもそこまで大きくは変わりません。)、この金額と労災事故前年の年収とのいずれか高い方を基礎収入額として請求していきます。
学生がアルバイト中に労災事故に遭い後遺障害を残してしまったという場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入額とするとされています。
例えば、令和4年症状固定の男の子の労災事故の場合ですと、基礎収入額は546万4200円とされます(他の年の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。
女の子の場合の令和4年賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額は385万9400円とされていますが、男の子の場合との金額の差が大きく、時代にそぐわないので、女の子の労災被害の場合には、男女差をできるだけなくす観点から男女計の賃金センサスを用いる裁判例が増えています。
令和4年の男女計の賃金センサスは489万3100円とされています。
公務員の場合、労災事故に遭い後遺障害を残してしまったとしても、それが理由で給料が支給されるということは、原則としてありません。
従いまして、減収がないことを理由に、加害者や国・地方公共団体から逸失利益を支払わないと言われてしまうことがあります。
しかしながら、公務員の方であっても、後遺障害を残してしまえば、労災事故前と比較して働きづらくなることがあるのは当然で、場合によっては、昇格や昇給遅れの原因にもなり得ます。
従いまして、公務員の公務災害の場合も、国や地方公共団体や加害者に対して逸失利益を請求していくべきであると考えています。
なお、弁護士法人小杉法律事務所の解決事例では、公務員であることを理由に逸失利益が否定された例はありません。
外国人が労災事故で後遺障害を負ってしまった場合は、在留資格によって扱いが変わってきます。
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者については、日本人とまったく同じに算定することになります。
従いまして、日本で給料を得ている永住者等については「A:労働者」、「B家事従事者(家族の家事・育児・介護をしている人)」、「C:学生アルバイト」、「D:公務員」と同じ算定になりますので、各パートの説明を御覧ください。
特殊技能等の就労可能な在留資格がある外国人は、日本において得ていた収入を基礎収入額とします。
ただし、在留期間の定めがありますので、算定の対象期間が在留期間を超えるケースでは、在留期間が更新される可能性のあることの立証に成功すれば在留期間以降も日本において得ていた収入を基礎収入額として、そうでない場合は母国の平均収入などを参考に基礎収入額とします。
留学生・研修中の外国人の場合、本国の平均収入が参考にされることが多いですが、当該外国人の状況によって個別に判断されます。
後遺障害等級の認定がなされた場合、その認定等級に応じた労働能力喪失率が定められています(労働省労働基準局長通牒昭和32年7月2日基発第551号)。
示談交渉においても、裁判においても、労働能力喪失率は労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考に定められることになっていますが、①被害者の職業、②年齢、③性別、④後遺症の部位、⑤後遺症の程度、⑥事故前後の稼働状況などを総合的に判断して、例外的に労働能力喪失率表よりも高い労働能力喪失率が認められることがあります。
弁護士法人小杉法律事務所の解決事例でも、多くの事例で労働能力喪失率表よりも高い労働能力喪失率が認められた実績があります。
示談交渉においても、裁判においても、労働能力喪失率は労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考に定められることになっていますが、①被害者の職業、②年齢、③性別、④後遺症の部位、⑤後遺症の程度、⑥事故前後の稼働状況などを総合的に判断して、例外的に労働能力喪失率表よりも低い労働能力喪失率が認定されてしまうケースがあります。
例えば、歯が無くなってしまった場合、顔にキズが残ってしまった場合、体幹骨が変形してしまった場合などが挙げられます。
実際の身体の動きに支障がないため、労働能力は喪失していないのではないかという問題意識です。
これらのケースの場合、相手方は労働能力喪失率表よりも低い労働能力喪失率を主張してくることが多く、裁判所も同様の判断をすることがあります。
しかしながら、歯がなくなると歯を食いしばることに支障が生じる、顔にキズが残り精神的ストレスがかかり対人の仕事が困難になる、腰椎圧迫骨折により腰の痛みや多少の可動域制限を伴っているなど、立証の仕方によっては、労働能力喪失率算定表どおりの労働能力喪失率を守れることもありますので、簡単に諦めてはいけません。
仕事内容と後遺障害の内容を丁寧に突き合わせて、満額の後遺障害逸失利益を回収できるようにする工夫が必要となってきます。
症状固定日が始期となります。
終期は、原則として67歳までとされています。
ただし、職種・地位・健康状態・能力等によって、67歳を超える期間が終期とされることがあります。
また、高齢者が元気な時代ですから、今後は例外の裁判例が多く登場していく可能性があり、もしくは、終期67歳という原則自体が変更になる可能性があります(この67歳ルールは、昔の平均余命を参考に作られたもので、時代錯誤のルールとなっています。)
67歳を超える人については、簡易生命表の平均余命の1/2が労働能力喪失期間とされます。
67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人についても、簡易生命表の平均余命の1/2が労働能力喪失期間とされます。
後遺障害逸失利益というのは、労災被害者が将来長期間にかけて取得するはずであった利益を、現在の一時金としてまとめて支給するものなので、本来ならばただちに手に入らないはずの金銭を受領して利息を得ることができるのは不公平な結果となるという理屈から控除がなされるものです。
具体的には、法定利率での利息を得ることができるだろうと考えられていて、その分が引かれることになっています。
例えば、令和2年4月1日、年収700万円の50歳会社員(妻・子2人あり)が労災事故に遭い、後遺障害等級10級10号の後遺症を残したという場合、労働能力喪失率27%、労働能力喪失期間を17年として計算すると、700万円✕0.27✕17年=3213万円が逸失利益ということになりますが、これはもらいすぎであると考えられています。
具体的には、労働能力喪失期間の17年をそのまま乗じるのではなく、中間利息控除が行われますので、17年に対応するライプニッツ係数13.1661年分の賠償金(700万円✕0.27✕13.1661=2488万3929円)をもらえば、17年間法定利率3%で運用することにより17年後に3213万円になると考えられています。
なお、民法改正により令和2年4月1日以降と令和2年3月31日以前とで、法定利率が異なっていますので、それに伴って中間利息控除の係数であるライプニッツ係数も変わってきます。
労働能力喪失期間 | 令和2年4月1日以降の労災事故 | 令和2年3月31日以前の労災事故 |
---|---|---|
1 | 0.9709 | 0.9524 |
2 | 1.9135 | 1.8594 |
3 | 2.8286 | 2.7232 |
4 | 3.7171 | 3.5460 |
5 | 4.5797 | 4.3295 |
6 | 5.4172 | 5.0757 |
7 | 6.2303 | 5.7864 |
8 | 7.0197 | 6.4632 |
9 | 7.7861 | 7.1078 |
10 | 8.5302 | 7.7217 |
11 | 9.2526 | 8.3064 |
12 | 9.9540 | 8.8633 |
13 | 10.6350 | 9.3936 |
14 | 11.2961 | 9.8986 |
15 | 11.9379 | 10.3797 |
16 | 12.5611 | 10.8378 |
17 | 13.1661 | 11.2741 |
18 | 13.7535 | 11.6896 |
19 | 14.3238 | 12.0853 |
20 | 14.8775 | 12.4622 |
21 | 15.4150 | 12.8212 |
22 | 15.9369 | 13.1630 |
23 | 16.4436 | 13.4886 |
24 | 16.6967 | 13.7986 |
25 | 17.4131 | 14.0939 |
26 | 17.8768 | 14.3752 |
27 | 18.3270 | 14.6430 |
28 | 18.7641 | 14.8981 |
29 | 19.1885 | 15.1411 |
30 | 19.6004 | 15.3725 |
31 | 20.0004 | 15.5928 |
32 | 20.3888 | 15.8027 |
33 | 20.7658 | 16.0025 |
34 | 21.1318 | 16.1929 |
35 | 21.4872 | 16.3742 |
36 | 21.8323 | 16.5469 |
37 | 22.1672 | 16.7113 |
38 | 22.4925 | 16.8679 |
39 | 22.8082 | 17.0170 |
40 | 23.1148 | 17.1591 |
41 | 23.4124 | 17.2944 |
42 | 23.7014 | 17.4232 |
43 | 23.9819 | 17.5459 |
44 | 24.2543 | 17.6628 |
45 | 24.5187 | 17.7741 |
46 | 24.7754 | 17.8801 |
47 | 25.0247 | 17.9810 |
48 | 25.2667 | 18.0772 |
49 | 25.5017 | 18.1687 |
50 | 25.7298 | 18.2559 |
51 | 25.9512 | 18.3390 |
52 | 26.1662 | 18.4181 |
53 | 26.3750 | 18.4934 |
54 | 26.5777 | 18.5651 |
55 | 26.7744 | 18.6335 |
56 | 26.9655 | 18.6985 |
57 | 27.1509 | 18.7605 |
58 | 27.3310 | 18.8195 |
59 | 27.5058 | 18.8758 |
60 | 27.6756 | 18.9293 |
61 | 27.8404 | 18.9803 |
62 | 28.0003 | 19.0288 |
63 | 28.1557 | 19.0751 |
64 | 28.3065 | 19.1191 |
65 | 28.4529 | 19.1611 |
66 | 28.5950 | 19.2010 |
67 | 28.7330 | 19.2391 |
68 | 28.8670 | 19.2753 |
69 | 28.9971 | 19.3098 |
70 | 29.1234 | 19.3427 |
71 | 29.2460 | 19.3740 |
72 | 29.3651 | 19.4038 |
73 | 29.4807 | 19.4322 |
74 | 29.5929 | 19.4592 |
75 | 29.7018 | 19.4850 |
76 | 29.8076 | 19.5095 |
77 | 29.9103 | 19.5329 |
78 | 30.0100 | 19.5551 |
79 | 30.1068 | 19.5763 |
80 | 30.2008 | 19.5965 |
81 | 30.2920 | 19.6157 |
82 | 30.3806 | 19.6340 |
83 | 30.4666 | 19.6514 |
84 | 30.5501 | 19.6680 |
85 | 30.6312 | 19.6838 |
86 | 30.7099 | 19.6989 |
労災保険でいうと、治療関係費は療養(補償)給付に対応します。
治療費は、「必要かつ相当な実費全額」が認められるとされています。
治療費の相当性については、高額診療・過剰診療として問題となるケースがありますが、病院での治療ではほとんど問題となりません。
整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の治療関係費は、「症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にある」とされています。
病院での治療費については、治療期間について争われることはあるものの、治療内容について必要性・有効性などが争われることは少ないですが、整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の治療類似行為については現れることが多いです。
医師の指示がポイントとなってくるため、仕事の都合などで整形外科に通いづらく整骨院に通いたいという方については、その旨、整形外科医に話をして、指示や同意を取り付けることが重要となってきます。
ただし、東洋医学について理解のある医師もいますが、整骨院など医療類似行為を認めていませんと宣言される医師もいます。
このような場合には、医師の指示や同意を取り付けることは不可能に近いです。
では、医師の指示や同意のない場合には、整骨院・接骨院、鍼灸、あんま、マッサージ、指圧など病院以外の施術費は認められないかというと、そういうわけではありません。
医師の指示や同意のない場合、加害者サイドは、これ見よがしに施術費を否定してきたりすることがありますが、東洋医学については「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」及び「柔道整復師法」により法的に免許制度が確立されたものですから、医師の指示や同意のない限り施術の必要性が認められないということはありません。
実際、優秀な柔道整復師などの先生は多くいらっしゃいますし、施術効果があがっている事例も多いです。
鍼灸治療に関していえば、病院においてもペインクリニックが鍼灸治療を用いているなど、その治療法が全国的に普及・一般化してきているともいえ、医師の指示や同意がなくとも労災事故との相当因果関係が認められるべきケースというのは多々あります。
医師の指示・同意を取り付けることがまず大事ではありますが、これが取り付けられなかった場合には、施術期間・施術内容・施術費の相当性などについて具体的に主張立証をしていくことになります。
なお、施術期間については、整骨院・接骨院は6か月程度、鍼灸は12か月程度が目安とされています。
駅・病院までの距離、代替交通機関の存否、年齢などにより相当とされる場合を除いて、通院の際のタクシー代は認められないのが原則とされています。
通院の際の電車料金やバス料金が否定されるということは、滅多にありません。
電車代やバス代の領収証を保管しておく必要も、原則としてありません。
否定されるケースというのは、おそらく交通費の問題ではなく、治療の必要性について争点となっているケースだと思われます。
自家用車で通院をするといった場合、1㎞あたり15円計算で交通費が支払われることになっています。
この金額自体が争いになることはなく、ガソリン代の領収証などを保管しておく必要もありません。
ただし、通院の際に駐車場料金が発生したという場合には、駐車場の領収証が必要となってきますので、駐車場の領収証については保管しておいていただけると弁護士としては助かります。
重度の後遺障害が残ってしまい、症状固定後も通院が必要と判断される場合には平均余命までの将来治療費が認められることになっています。
将来治療費が認められる場合は、将来治療する際にかかる通院交通費も認められます。
近親者が入院に付添い看護している場合、付添人が病院へ訪れる際の交通費も、労災被害者本人の損害として認められることになっています。
また、通院に付添い看護している場合も、被害者本人の交通費のみならず、付添人の交通費も労災被害者本人の損害として認められることになっています。
入院看護ではなく、見舞いのために近親者が病院へ行った際の交通費も認められることがあります。
子どもがアルバイトでの労災事故で入院してしまった場合や、労災事故被害が重大な場合(労災死亡事故含む。)に認められる傾向にあります。
労災事故前は電車・バス・自家用車などで通勤していたが、足のケガなどにより従来の通勤方法では通勤できなくなり、タクシーを利用して通勤したという場合、このタクシー代が損害として認められることがあります。
労災事故に遭い入院してしまったという場合、入院中の寝具・衣類・洗面具・食器等の日用品雑貨費の支出を余儀なくされたり、他にも、入院の報告や家族との連絡などのための電話代、新聞雑誌代・テレビ賃借料などの文化費など細々とした支出を余儀なくされることが多いです。
労災事故による損害賠償請求というのは、損害の裏付けとなる証拠を労災被害者の方で準備して、一つひとつ立証していくのが原則となっていますが、上記の入院中の雑費を一つひとつ個別に立証し、その相当性を判断していくというのは、著しく手間であるし、実益に乏しいことから、一般的に、入院雑費は日額1500円と定額化されています。
従いまして、入院していたことの立証さえ行えばよく、レシートなどを一々保管しおく必要はありません。
ただし、日額1500円以上の請求をしていくという場合は、証拠が必要となってきますので注意が必要です。
損害賠償請求関係費用その他の損害としては、下記のようなものがあります。
通勤災害において車両損害が出た場合(自家用車による仕事中の業務災害も同様)で、修理が相当な場合は、適正修理費相当額が認められます。
ただし、修理費が車両時価額に買替諸費用を加えた額を上回る場合には、修理費は認められず、車両時価額に買替諸費用を加えた金額のみが認められることになります。
また、修理不能な場合も、車両時価額に買替諸費用を加えた金額が認められることになります。
修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合は、評価損が認められます。
考慮要素としては、①初年度登録からの期間、②走行距離、③損傷の部位、④事故車両の人気度合い、⑤購入時の価格、⑥中古車市場での通常価格などが挙げられます。
傾向としては、外車又は国産人気車種の場合、初年度登録から5年以内・走行距離6万㎞以下だと評価損が認められやすい傾向にあります。
その他の車種の場合は、初年度登録から3年以内・走行距離4万㎞以下だと評価損が認められやすい傾向にあります。
評価損の金額は修理費の10%~30%とされることが多く、新車購入した間もない事故の場合はさらに増額される傾向にあります。
相当な修理期間または買替期間中、レンタカーの使用などにより代車を利用した場合に認められます。
部品の調達や営業車登録などの必要があるときは長期間の代車使用が認められることがありますが、そのような事情が無い限り、裁判所の代車使用認定期間は短めとなりますので、早めに代車は返還した方が良いといえます。
被害者が着ていた衣服、携行品(カバンやスマートフォンなど)に損傷がある場合、その損害についても賠償請求することができます。
労災事故の日から遅延損害金が発生します。
その利率については、令和2年3月31日までの労災事故の場合は5%とされています。
令和2年4月1日以降の利率は、事故日によって異なるとされています(民法第404条3項)。
なお、令和2年4月1日から令和8年3月31日までの労災事故の場合は3%と決まっています(民法第404条2項,令和4年法務省告示第64号)。
民事訴訟を提起すると、判決で認容された損害額の10%程度が弁護士費用の損害として更に認定されます。
なお、裁判で認定された弁護士費用は、実際依頼する弁護士に支払う弁護士費用とは別物です。
ご家族が労災事故によって重傷・重体となってしまった場合、死亡事故の場合にも比肩し得べき精神上の苦痛を受けたときは、民法第709条,710条に基づいて、ご家族自身が近親者慰謝料を請求できるとされています(最高裁判所昭和33年8月5日判決 最高裁判所民事判例集第12巻12号1901頁)。
重度後遺障害の場合に認められやすい損害といえます。
弁護士法人小杉法律事務所の解決事例でも、後遺障害等級2級の高次脳機能障害のケースにおいて、被害者本人の慰謝料のほかに、妻・子ども・兄弟・父母の計7名の近親者慰謝料が認められたものがあります。
症状固定とされた場合、これ以上治療しても症状は改善せず、後遺障害として残ってしまうとの判断がされたということですから、症状固定日以降の治療費は原則として認められません。
ただし、①いわゆる植物状態(遷延性意識障害)などで生命を維持するうえで症状固定後の治療の必要性・蓋然性が認められる場合、②治療によって症状の悪化を防止する必要性が認められる場合、③症状固定後も強い身体的苦痛が残り、苦痛を軽減するための治療の必要性が認められる場合などについては、症状固定後の治療費や将来治療費が認められるものとされています。
ちなみに、症状固定後の治療費とは、症状固定後に出費した治療費のことです。
将来治療費とは、平均余命までの間に出費するであろう将来の治療費のことで、症状固定後の治療費と異なり、まだ出費のないものをいいます。
なお、労災申請のアフターケア制度によっても、症状固定後の治療費が支払われることがあります。
被害者が入院している間の、家族の付添い費用が認められることがあります。
入院付添費は、日額6500円というのが裁判の一般的な相場とされていますが(東京地方裁判所平成25年3月7日判例タイムズ1394号50頁など)、症状の程度によっては1割~3割の範囲で増額が考慮されることがあります(7150円~8450円)。
また、仕事を休んで入院に付き添ったという場合で、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記入院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を入院付添費として請求していくことになります。
足を骨折して歩行できない、高次脳機能障害のため1人で通院できないといった場合、家族の通院付添い費が認められることがあります。
通院付添費は、日額3300円というのが裁判の一般的な相場とされていますが、事情に応じて増額されることがあります。
また、仕事を休んで通院に付き添ったという場合で、欠勤分の給料減少額(もしくは有給休暇を取得した場合の給料日額)が上記通院日額を上回る場合は、この休業損害相当額を通院付添費として請求していくことになります。
退院後に自宅療養している間、ご家族が自宅で付添い看護をしているという場合、自宅付添費が認められることがあります。
裁判相場日額というものは決まっていませんが、入院付添費の日額6500円というのが目安になります。
ただし、入院時よりも症状が改善していることが多いと思われますので、事情によっては日額6500円よりも低額の認定となることがあります。
他方で、入院中は看護師による完全看護体制が取られているのに対し、自宅看護中はご家族が主に看護をしなければならなくなりますから、入院付添費よりも高額の日額算定がなされることもあります。
重度の後遺障害を残してしまい、今後もずっと介護が必要であるという方については、将来介護費が認められることになっています。
職業付添人に介護を頼んでいる場合や、介護施設に入所している場合については、その実費相当額が認められます。
ご家族の方が介護をしているという場合は、日額8000円が裁判基準とされています。
ただし、これらについては、具体的看護状況によって増減することがあるとされています。
また、子どもが労災事故に遭い重度の後遺症を残してしまい、親がその介護をしているという場合は、親が67歳になるまでは近親者介護として計算し、親が67歳となった以降は職業付添人介護として将来介護費を算定することが多いです。
なお、将来の費用となりますので、逸失利益と同様、中間利息の控除が行われます。
また、現在は介護保険給付によって1割分の介護費しか負担していない場合であっても、将来介護費の算定に当たっては10割の請求ができることになっています。
例えば、現在の年間の介護費負担が50万円という場合は、将来介護費の算定にあたっては、年間介護費負担は500万円ということになります。
そして、この年額が平均余命の期間認められることになっています。
平均余命の計算は、厚生労働省が毎年出している簡易生命表によって行いますが、例えば、令和元年の50歳女性の場合、平均余命は38年とされています。
年間介護費500万円・平均余命38年の場合の将来介護費は、500万円×38年に対応するライプニッツ係数16.8679=8433万9500円となります。
なお、令和2年4月1日以降の労災事故の場合の38年に対応するライプニッツ係数は22.4925とされますので、このライプニッツ係数で計算した場合は1億1246万2500円となります。
重度の後遺障害を残してしまい、おむつ代などの雑費の出費を余儀なくされているという場合、平均余命までの将来雑費が損害として認められることがあります。
将来雑費の種類としては下記のようなものが挙げられます。
例えば、令和元年の50歳女性について、月10万円の介護雑費の支出があるケースにおける将来雑費は、月10万円×12か月×平均余命38年に対応するライプニッツ係数16.8679=2024万1480円となります。
なお、令和2年4月1日以降の労災事故の場合の38年に対応するライプニッツ係数は22.4925とされますので、このライプニッツ係数で計算した場合は2699万1000円となります。
おむつ代など細々とした雑費の支出も、今後一生続くとなると多大な出費となりますので、領収書やレシートなどを保管しておくようにしてください。
車いす・介護用ベッドなどの装具・器具の購入費は、必要性があれば認められることになっていて、また、同じものを一生使い続けるわけにはいきませんから、耐用年数に応じた将来の買い替え費用も請求できることになっています。
損害として認められる装具・器具としては、下記のようなものが挙げられます。
義眼、メガネ、コンタクトレンズ
補聴器
義歯、歯・口腔清掃用具、吸引機、障害者用はし、うがいキャッチなど
義手、上肢装具など
義足、車いす(手動・電動・入浴用)、盲導犬費用、折り畳み式スロープ、歩行訓練器、下肢、装具、短縮障害対応の特注靴、杖、自動車リフトなど
電動ベッド、介護支援別途、エアマット、体位変換補助用具、特殊寝台専用手すり、ベッドサイドテーブルなど
入浴についての天井走行リフトや走行用レール、入浴用担架、洗髪器など
人工呼吸器、コルセット、サポーター、介護テーブル、座位保持装置、起立保持具、補助いす、脊髄刺激装置、カツラ、エレベーター、手すり、パソコン、障害者用マウス、会話補助具など
被害者の後遺障害の内容や程度からして、必要性が認められる場合には、家屋改造費・自動車改造費・転居費用・家賃差額・自動車購入費などの相当額が認められることになっています。
ただし、バリアフリー化などは他の家族の便益となることもありますので、全額が損害として認められずに、支出した費用の一部のみが損害として認められることも多いです。
立証の良し悪しによって、認定額が変わってくる損害費目です。
労災事故前の家や自動車の状況と、被害者の後遺障害の内容程度を照らし合わせて、このままでは家で生活できないことや、病院への通院に支障が出ることを立証していく必要があります。
また、医学的見地からの意見も重要ですので、医師にも、従来の家の状況や車の状況を写真などで確認してもらい、医学的に、どのような家屋改造や自動車改造などが必要であるのかについて医学的な意見をもらうことも行っていきます。
労災被害により重度の後遺障害を残してしまい、家庭裁判所による後見人の選任が必要となってしまったというケースでは、成年後見開始の審判手続費用や、後見人報酬などが損害として認められることがあります。
労災死亡事故の場合、お亡くなりになられてしまったご家族の精神的苦痛の慰謝料請求(民法第709条,民法第710条)と、ご遺族の精神的苦痛の慰謝料請求(民法第711条)をすることができます。
ご家族の方の慰謝料については、相続するご遺族が相続分に従って請求していくことになります。
ご家族の無念を慰謝料として金銭評価するであるとか、遺族の深い悲しみを慰謝料として金銭評価するというのは、本来不可能な作業であり、多額の金額が付けられても納得できないと思います。
ただし、労災死亡事故が起きてしまった以上、慰謝料額の金銭評価をしなければならず、その評価は、これまでの死亡事故の裁判例などから形成されています。
慰謝料相場の中で高水準での解決を目指すとともに、個別事情による慰謝料増額を目指していきます。
以下では、慰謝料金額の相場について説明していきます。
なお、労災申請では慰謝料の支払は一切なされませんので、慰謝料請求をする場合は、会社又は加害者に対する損害賠償請求が必須となります。
2000万円~2800万円
弁護士に依頼した場合、裁判基準というもので、慰謝料相場を設定することができます。
裁判基準の慰謝料相場は、お亡くなりになられた被害者の方の属性によって分けられていて、①一家の支柱:2800万円、②母親・配偶者:2500万円、③その他:2000万円~2500万円とされています。
なお、これらの慰謝料相場は、お亡くなりになられた被害者本人の慰謝料額と、遺族固有の慰謝料額の合計の金額とされています。
下記のようなケースでは、弁護士に依頼した場合に用いられる裁判基準の死亡慰謝料相場から更に増額します。
加害者の悪質さにより慰謝料相場から増額されるケースとしては、下記のようなものが挙げられます。
被害者本人の無念さが考慮されて慰謝料相場から増額されるケースとしては、下記のようなものが挙げられます。
遺族の精神的苦痛の大きさが考慮されて慰謝料相場から増額されるケースとしては、下記のようなものが挙げられます。
裁判例の傾向として、遺族が死亡事故によって精神疾患となっているケースで、慰謝料増額がなされていることが多いです。
労災事故後しばらくしてお亡くなりになられた場合は、労災事故後のお亡くなりになるまでの苦痛などが考慮され、慰謝料増額がなされるケースがあります。
そうではなく、傷害慰謝料という名目で別途慰謝料が算定されることもありますが、いずれにしても労災事故後しばらくしてお亡くなりになられた場合、慰謝料総額は増額することが多いです。
死亡事故の場合、今後も仕事をして稼ぎを得ることができたのにそれができなくなった、これまで家事をしてくれていたのに今後それができなくなった、まだ学生だが将来は働いて稼ぎを得るはずだったのにそれができなくなった、といった事情が生じます。
こうした事情を損害賠償請求として表したものを「死亡逸失利益(しぼういっしつりえき)」と呼びます。
死亡逸失利益は、最も高額な損害費目となることも多く、死亡事故の損害賠償請求の中でも大事な要素と位置づけられます。
この死亡逸失利益をどのように算定するかというと、
以上を計算式に直すと、「基礎収入✕(1-生活費控除率)✕就労可能期間の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数」となります。
アルバイト学生など若年の労災被害者の場合ですと、「基礎収入✕(1-生活費控除率)✕(就労可能期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数)」という計算式になります。
以下では、①基礎収入、②生活費控除率、③就労可能年数と中間利息控除について、それぞれ詳細解説をしていきます。
なお、死亡逸失利益は、労災申請の遺族(補償)給付に対応します。
基礎収入額が400万円になるのか800万円になるのかによって、死亡逸失利益の金額が倍変わってきます。
被害者の方が死亡事故に遭わずに生きていたとしたら、どのくらいの稼ぎがあったのかについては、想像するほかありませんので、立証が難しい側面はありますが、基礎収入額は極めて重要な要素のため、被害者の方の属性に応じた丁寧な立証をしていく必要があります。
以下では、労災被害者の方の属性ごとに分けて、基礎収入の説明をしていきます。
原則として、労災事故の前年の年収を基礎収入額とします。
何か事情があって、労災事故前年の年収が低かったという場合は、その事情を説明して、賃金センサスというものを基礎収入額にすることができる場合があります。
また、労災事故時の年齢が概ね30歳未満の若年労働者の場合も、原則として賃金センサスを基礎収入額とすることができます。
家族のために家事や介護をしている人が、パート中やその通勤中に労災事故で死亡した場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とすることができます。
具体的には、令和4年の死亡事故の場合ですと、基礎収入額が385万9400円とされます(他の年の死亡事故の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。
この賃金センサスの金額と仕事の収入とのいずれか高い方の金額が基礎収入額とされます。
学生がアルバイト中やその通勤中に労災事故で死亡した場合、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入額とするとされています。
例えば、令和4年の男の子の死亡事故の場合ですと、基礎収入額は546万4200円とされます(他の年の死亡事故の場合でもそこまで大きくは変わりません。)。
女の子の場合の令和4年賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額は385万9400円とされていますが、男の子の場合との金額の差が大きく、時代にそぐわないので、女の子の死亡事故の場合には、男女差をできるだけなくす観点から男女計の賃金センサスを用いる裁判例が増えています(京都地方裁判所平成31年3月22日自保ジャーナル2051号42頁、京都地方裁判所平成28年3月18日判決自保ジャーナル1977号1頁、仙台地方裁判所平成25年3月29日判決自保ジャーナル1906号147頁など多数)。
令和4年の男女計の賃金センサスは489万3100円とされています。
高齢者であっても、実際に仕事をしていて収入を得ていれば、死亡事故の前年の年収が基礎収入額として認められます。
高齢者であっても、実際に家事や介護をしていれば、家事従事者として死亡逸失利益が認められます。
年齢別の賃金センサスが採用されることが多いですが、多くの家事労働をこなしている場合や、重労働の介護をしている場合などには全年齢の賃金センサスが採用されることがあります。
令和4年の死亡事故の場合ですと、70歳以上の賃金センサスは295万5200円とされていて、全年齢の賃金センサスは385万9400円とされていて、年齢別とされるか全年齢とされるかで大きな差が出てきます。
最近の高齢者は元気ですから、30代主婦などと比較しても、多くの家事労働をこなしているケースも多く、その点をご遺族の話から丁寧に立証をして、全年齢平均賃金での逸失利益を目指していくことが重要です。
年金も基本的には死亡逸失利益の基礎収入額として認められます。
ただし、遺族年金など被害者の方が保険料を拠出したとは認められないものについては否定される傾向にあります。
具体的には、下記の種類の年金が死亡逸失利益の基礎収入額として裁判例で認められています。
外国人労働者の死亡事故の場合は、在留資格によって扱いが変わってきます。
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者については、日本人とまったく同じに算定することになります。
特殊技能等の就労可能な在留資格がある外国人は、日本において得ていた収入を基礎収入額とします。
ただし、在留期間の定めがありますので、算定の対象期間が在留期間を超える場合には、在留期間が更新される可能性のあることを立証した場合は在留期間以降も日本において得ていた収入を基礎収入額として、そうでない場合は母国の平均収入などを参考に基礎収入額とします。
留学生・研修中の外国人の場合、本国の平均収入が参考にされることが多いですが、当該外国人の状況によって個別に判断されます。
被害者がまだ存命だったとした場合、収入も得られますが、その分、生活費もかかってくるため、支出されたであろう生活費を控除することになります。
生活費控除率についての詳細はこちらのページをご覧ください。
原則として、死亡した年が始期となります。
終期は、原則として67歳までとされています。
ただし、職種・地位・健康状態・能力等によって、67歳を超える期間が終期とされることがあります。
例えば、開業医や医学部生の場合70歳まで、税理士の場合75歳までとされた裁判例があります(京都地方裁判所平成7年12月21日判決自保ジャーナル1146号2頁、京都地方裁判所平成12年3月23日判決判例時報1758号108頁、大阪地方裁判所平成22年3月11日判決自保ジャーナル1840号57頁)。
高齢者が元気な時代ですから、今後は例外の裁判例が多く登場していく可能性があり、もしくは、終期67歳という原則自体が変更になる可能性があります。
67歳を超える人については、簡易生命表の平均余命の1/2が就労可能年数とされます。
67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人についても、簡易生命表の平均余命の1/2が就労可能年数とされます。
年金の逸失利益については、簡易生命表の平均余命となります。
死亡逸失利益というのは、故人が将来長期間にかけて取得するはずであった利益を、現在の一時金としてまとめて支給するものなので、本来ならばただちに手に入らないはずの金銭を受領して利息を得ることができるのは不公平な結果となるという理屈から控除がなされるものです。
具体的には、法定利率での利息を得ることができるだろうと考えられていて、その分が引かれることになっています。
例えば、令和2年4月1日、年収700万円の50歳会社員(妻・子2人あり)が死亡事故に遭ったという場合、生活費控除率30%、就労可能年数を17年として計算すると、700万円✕(1-0.3)✕17年=8330万円が逸失利益ということになりますが、これはもらいすぎであると考えられています。
具体的には、就労可能年数の17年をそのまま乗じるのではなく、中間利息控除が行われますので、17年に対応するライプニッツ係数13.1661年分の賠償金(700万円✕(1-0.3)✕13.1661=6451万3890円)をもらえば、17年間法定利率3%で運用することにより17年後に8330万円になると考えられています。
なお、民法改正により令和2年4月1日以降と、令和2年3月31日以前とで、法定利率が異なっていますので、それに伴って中間利息控除の係数であるライプニッツ係数も変わってきます。
労働能力喪失期間 | 令和2年4月1日以降の労災事故 | 令和2年3月31日以前の労災事故 |
---|---|---|
1 | 0.9709 | 0.9524 |
2 | 1.9135 | 1.8594 |
3 | 2.8286 | 2.7232 |
4 | 3.7171 | 3.5460 |
5 | 4.5797 | 4.3295 |
6 | 5.4172 | 5.0757 |
7 | 6.2303 | 5.7864 |
8 | 7.0197 | 6.4632 |
9 | 7.7861 | 7.1078 |
10 | 8.5302 | 7.7217 |
11 | 9.2526 | 8.3064 |
12 | 9.9540 | 8.8633 |
13 | 10.6350 | 9.3936 |
14 | 11.2961 | 9.8986 |
15 | 11.9379 | 10.3797 |
16 | 12.5611 | 10.8378 |
17 | 13.1661 | 11.2741 |
18 | 13.7535 | 11.6896 |
19 | 14.3238 | 12.0853 |
20 | 14.8775 | 12.4622 |
21 | 15.4150 | 12.8212 |
22 | 15.9369 | 13.1630 |
23 | 16.4436 | 13.4886 |
24 | 16.6967 | 13.7986 |
25 | 17.4131 | 14.0939 |
26 | 17.8768 | 14.3752 |
27 | 18.3270 | 14.6430 |
28 | 18.7641 | 14.8981 |
29 | 19.1885 | 15.1411 |
30 | 19.6004 | 15.3725 |
31 | 20.0004 | 15.5928 |
32 | 20.3888 | 15.8027 |
33 | 20.7658 | 16.0025 |
34 | 21.1318 | 16.1929 |
35 | 21.4872 | 16.3742 |
36 | 21.8323 | 16.5469 |
37 | 22.1672 | 16.7113 |
38 | 22.4925 | 16.8679 |
39 | 22.8082 | 17.0170 |
40 | 23.1148 | 17.1591 |
41 | 23.4124 | 17.2944 |
42 | 23.7014 | 17.4232 |
43 | 23.9819 | 17.5459 |
44 | 24.2543 | 17.6628 |
45 | 24.5187 | 17.7741 |
46 | 24.7754 | 17.8801 |
47 | 25.0247 | 17.9810 |
48 | 25.2667 | 18.0772 |
49 | 25.5017 | 18.1687 |
50 | 25.7298 | 18.2559 |
51 | 25.9512 | 18.3390 |
52 | 26.1662 | 18.4181 |
53 | 26.3750 | 18.4934 |
54 | 26.5777 | 18.5651 |
55 | 26.7744 | 18.6335 |
56 | 26.9655 | 18.6985 |
57 | 27.1509 | 18.7605 |
58 | 27.3310 | 18.8195 |
59 | 27.5058 | 18.8758 |
60 | 27.6756 | 18.9293 |
61 | 27.8404 | 18.9803 |
62 | 28.0003 | 19.0288 |
63 | 28.1557 | 19.0751 |
64 | 28.3065 | 19.1191 |
65 | 28.4529 | 19.1611 |
66 | 28.5950 | 19.2010 |
67 | 28.7330 | 19.2391 |
68 | 28.8670 | 19.2753 |
69 | 28.9971 | 19.3098 |
70 | 29.1234 | 19.3427 |
71 | 29.2460 | 19.3740 |
72 | 29.3651 | 19.4038 |
73 | 29.4807 | 19.4322 |
74 | 29.5929 | 19.4592 |
75 | 29.7018 | 19.4850 |
76 | 29.8076 | 19.5095 |
77 | 29.9103 | 19.53297 |
78 | 30.0100 | 19.5551 |
79 | 30.1068 | 19.5763 |
80 | 30.2008 | 19.5965 |
81 | 30.2920 | 19.6157 |
82 | 30.3806 | 19.6340 |
83 | 30.4666 | 19.6514 |
84 | 30.5501 | 19.6680 |
85 | 30.6312 | 19.6838 |
86 | 30.7099 | 19.6989 |
一般に、葬儀(訪問客の接待も含みます。)やその後の法要(四十九日・百日の法要等)・供養等を執り行うためにする費用、仏壇、仏具購入費、墓碑建立費等については、150万円の範囲内で賠償を認めるという取扱いがなされています(なお、事例によっては、150万円以上の葬儀費用が認められることもあります。)。
総額が150万円に満たない場合には、現実の支出額の全額が認められます。
葬儀費用等の総額にかかわらず、遺体搬送料など葬儀を行わなくてもかかる費用については、葬儀費用とは別に損害として認められることになっています。
なお、葬儀費用は、労災申請の葬祭給付に対応します。
家族の病院への駆けつけ費用や、遠方の家族の葬儀参加のための費用などが認められることがあります。
弁護士法人小杉法律事務所では、東京―福岡間の遺族の駆けつけ費用や法事参加のための交通費として約10万円が認められた解決事例がございます。
故人の治療費や休業損害ではなく、遺族の治療費や休業損害のため、これを認めるべきではないとする裁判例や学説も存在します。
しかしながら、森冨義明・村主隆行編編『交通関係訴訟の実務』161頁以下古市文孝裁判官「間接損害の諸問題2(被害者の近親者の損害)」によると、「原則否定説に立って近親者の治療費・休業損害等を一切認めないというのは,明解ではあるものの,やや硬直的な考えであるとも思われます。」とされていて、詳細な立証により、相当因果関係のある損害として認められることがあります。
京都地方裁判所平成31年3月22日判決(自保ジャーナル2051号42頁)は、子の死亡により経営する飲食店を休業した父の休業損害について、子が死亡した父の悲しみは深いものであり、相応の期間の休業はやむを得なかったものと認められるとして、1.2か月間の休業損害(本来得られるはずの利益に加えて家賃・従業員給与・駐車場料金を加算した金額)を認めています。
また、遺族の心療内科治療費を認めた裁判例も複数存在します(名古屋地方裁判所平成14年12月3日判決交通事故民事裁判例集第35巻6号1604頁、東京地方裁判所平成15年2月25日判決自保ジャーナル1511号18頁、東京地方裁判所平成19年12月17日判決交通事故民事裁判例集第40巻6号1619頁、横浜地方裁判所平成23年10月18日判決判例時報2131号86頁など)。
弁護士法人小杉法律事務所でもご遺族の治療費や休業損害を認めさせた解決事例が多数ございます。
労災事故後しばらくしてお亡くなりになられたという場合は、その間、下記のような様々な損害が発生し、これらも損害賠償として認められることになります。
具体的には、治療費、入院付添費、付添人交通費、入院雑費、休業損害、傷害慰謝料(入院慰謝料)などが挙げられます。
労災死亡事故におけるその他の損害としては、下記のようなものが挙げられます。
損害賠償請求訴訟を提起する場合、年3%の遅延損害金を付けて損害賠償請求をしていくことができます(令和2年3月31日より前の労災事故の場合は年5%)。
損害賠償請求訴訟を提起する場合、損害賠償金額の10%を弁護士費用として加算することができます。
なお、依頼している弁護士に支払う実際の弁護士費用とは別物です。