ABEMA的ニュースショーにて弊所弁護士大澤健人のインタビューが紹介されました。
2025.12.28
活動内容・実績

2025年12月28日㈰に放送されたABEMA的ニュースショーにて、
弊所弁護士大澤健人のインタビューが紹介されました。
今回の番組内では、ある交通事故の刑事処分について、
被害者代理人弁護士として大澤が意見を述べました。
以下では番組内で紹介されなかった点も含め、改めて意見や見解を述べさせていただきます。
今回の交通事故について

令和7年3月24日、静岡県浜松市で凄惨な交通事故が発生しました。
列になっていた自転車の小学生たちに、軽トラックが突っ込んだのです。
この交通事故により、列の中にいた当時小学2年生の女の子が亡くなり、そのお姉ちゃんも意識不明の重体となりました。
ご家族は今回の交通事故により筆舌に尽くしがたいような悲しみや憎しみ、怒りを感じられており、
刑事裁判への参加をはじめ、弁護士のサポートを受け、最大限できることをやりたいということで、弊所にご依頼いただきました。
過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪

軽トラックを運転していた加害者は、過失運転致死傷罪の疑いで、3月26日付で静岡地方検察庁浜松支部に送致されています。
この過失運転致死傷罪とはどのようなものなのでしょうか?
過失運転致死傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条に規定があります。
- 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」
基本的には自動車の運転中に交通事故を起こし、人の命を奪ってしまったり、人に怪我をさせてしまったりした場合には、
この罪名で送致・捜査をされることになります。
しかしながら、加害者側に、交通事故を起こす危険性が高いことを認識していたという事情があるような場合には、危険運転致死傷罪という罪に該当する可能性が出てきます。
この危険運転致死傷罪は、先ほどの自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第2条及び第3条に規定があります。
- 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期拘禁刑に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」
- 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条「アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は十五年以下の拘禁刑に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。」
この第2条と第3条の違いは、行為の凶悪性にあります。
例えば、第2条1号「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」と、
第3条1項「アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り」の違いは、
運転を開始した時点の酩酊や錯乱の程度によります。
運転を開始した時点で、正常な運転が困難な状態であることが分かっていたにもかかわらず運転し、
結果として人を死亡させたような場合、
- 「酒に酔っていて正常な運転ができる状態ではないけど運転してしまえ」
- 「薬の作用で正常な運転ができる状態ではないけど運転してしまえ」
という身勝手な気持ちで運転を開始している点で、極めて悪質と評価できます。
他方で、第3条1項というのは、運転を開始した時点では正常に運転できていたという点で第2条1号のケースと異なります。
薬の服用後に運転を開始したような事例において、運転を開始するときは正常な運転ができていたが、その後薬の作用で正常な運転ができなくなってしまったようなケースです。
このケースですと、「薬を飲んだから後で正常な運転ができなくなるかもしれないけど運転してしまえ」という点に非難が求められます。
第2条1号の「薬の作用で正常な運転ができる状態ではないけど運転してしまえ」という点と、
第3条1項の「薬を飲んだから後で正常な運転ができなくなるかもしれないけど運転してしまえ」という点について、この法律は前者の方が悪質だと捉えているので、第2条の法定刑の方が重くなっています。
両者を区別するために、第2条に該当するものを危険運転致死傷罪、第3条に該当するものを“準”危険運転致死傷罪と呼称することもあります。
今回問題になっているのは、加害者の運転が、過失運転致死傷罪に該当するのか、準危険運転致死傷罪に該当するのかという点です。
どちらに該当するのかという点は、執行猶予の可能性や法定刑などに大きく関わっているところであり、ひいてはご家族の処罰感情に合致するかという問題に繋がります。
加害者の刑事処分

加害者は令和7年3月24日に「過失運転致傷」の疑いで現行犯逮捕され、同月の26日には「過失運転致死傷」に切り替わり、同日静岡地方検察庁浜松支部に送致されています。
この警察・検察の捜査の中で、加害者が「事故当時の記憶がない」という趣旨の供述をしていました。
実際に、現場にブレーキ痕などがなく壁に激突していることや、防犯カメラ映像でも意識を失っているようにみられることなどから、
加害者は本件事故当時意識を失っていたのではないかと考えられます。
この点について検察が捜査を進めていくと、
加害者は、本件事故以前から突発性の不整脈が起こるリスク(持病)を抱えていたことが分かったのです。
突発性の不整脈が起こるリスクがあることを認識していたにもかかわらず運転をし、不整脈によって意識を失い、事故を起こしてしまったということができるのであれば、
「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた」ということができる可能性が生じ、準危険運転致死傷罪に該当する可能性が出てきます。
先ほども述べたように、過失運転致死傷罪にとどまるのか、準危険運転致死傷罪にあたるのかは、ご家族のお気持ちの上でも非常に大きな点です。
準危険運転致死傷罪に該当するためには、
- 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令に定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であったこと
- 同状態で自動車を運転したこと
- その病気により正常な運転が困難な状態に陥ったこと
- 人を死傷させたこと
- 上記に対する故意
が必要であると考えております。
ここで最も判断の分かれ目となっているのが「故意」です。
つまり加害者が「意識障害又は運動障害をもたらす状況に陥るおそれを有する何らかの病気により、正常な運転に支障が生じるおそれがある」という認識を持っていたか、
そしてそれを証拠から立証できるかが重要です。
弁護士大澤は、被害者参加代理人として、担当検察官と密にコミュニケーションとりながら、準危険運転致死傷罪の該当性について訴えています。
弁護士大澤健人のコメント

この度ABEMA的ニュースショーでも取り上げていただいたように、
今回の交通事故は、発生した被害の大きさや、ご家族の心痛を考えても、社会的な注目を浴びている事故だと認識しております。
刑事事件の捜査権限は警察・検察しか有しておりませんが、
被害者ご家族のお気持ちを検察にお伝えし、ご家族のお気持ちを踏まえた適切な判断が下されるよう引き続き尽力してまいります。
- 関連記事:弁護士大澤健人の詳細経歴などはこちら。

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