圧迫骨折・体幹骨骨折 神経症状
肋骨骨折の症状(弁護士法人小杉法律事務所監修)
こちらの記事では、肋骨骨折で生じる症状について整理しています。
肋骨骨折とは
(今日の整形外科治療指針第8版(医学書院)、660頁)
肋骨骨折は日常生活で遭遇する頻度の高い骨折の1つで、多くは数週間で治癒する単純な骨折だと言われます。
血気胸、フレイルチェストなどの合併症にさえ注意すれば、予後の良好な疾患です。
交通事故や労災事故による骨折もありますが、近年の高齢者人口の急激な増加に伴い、軽微な外傷による骨脆弱性骨折が増加しています。
骨折による症状
疼痛
(標準整形外科学第15版(医学書院)、814頁)
胸郭の痛み、特に呼吸時、体を動かしたときに増悪する痛みが特徴です。
特殊な病態
(今日の整形外科治療指針第8版(医学書院)、660頁)
フレイルチェスト
上下連続した肋骨をそれぞれ2カ所以上骨折してできた骨連続性を失った胸壁部分が吸気時に陥没し、呼気時に膨隆する特徴的な胸壁運動のことを言います。
緊張性気胸
肋骨骨折に伴って肺表面の臓側胸膜が破綻した場合、今日腔内に肺内空気が流入し肺の虚脱が生じます。緊張性気胸は、一方向弁により空気が胸腔内に閉じ込められ発症する病態です。通常の気胸とは異なり、胸腔内圧の上昇により静脈還流が障害され循環不全を起こし、対側肺も縦郭偏位のため圧迫され重篤な呼吸不全に陥ります。
治療指針
(今日の整形外科治療指針第8版(医学書院)、662頁)
基本的には保存的療法の適応になり、手術を要することは稀だと言われています。高エネルギー外傷による多発外傷の場合は、臓器や血管損傷を念頭に置いた対応が必要になります。血気胸・フレイルチェストなどの特殊な病態の場合は、速やかに専門医への相談につなぎます。
※保存療法
バストバンドで胸郭を外固定します。これにより疼痛を軽減させる効果があります。多くは2~3週で疼痛が軽快しバンドを外すことが可能です。疼痛が強い場合は鎮静薬や湿布を処方します。
診断について
(今日の整形外科治療指針第8版(医学書院)、661~662頁)
衣服を脱いだ状態で触診し、圧痛点を確認します。骨折部に圧痛を認め、時に転位や軋轢音を触知することがあります。動揺性のある場合はフレイルチェスト、皮下気腫のある場合は気胸が疑われます。
単純X線では、圧痛部位をペンなどでマーキングし、その部位を中心とした2方向を撮影すると検出率が高まります。それでも転位がわずかだとX線ではわかりにくいことが多いので、初診時に骨折線が認められなくても、骨折の可能性を完全には否定しないほうが良いと言われています。
気胸・血胸を合併していることがあるので、呼吸苦の有無や呼吸音、酸素飽和度を確認し、適宜、胸部単純X線や胸部CTを追加して評価します。
認定されうる後遺障害等級
自賠責保険での後遺障害認定では、体幹骨のうち「その他体幹骨」と分類され、変形障害12級での認定可能性があります。
その他、骨折部位に疼痛等が残存した場合、神経症状として12級か14級での認定もありえます。
→肋骨骨折で認定されうる後遺障害の詳細はこちらの記事でご確認ください。
弁護士に相談を
交通事故や労災事故等の外傷で肋骨骨折を受傷してしまうことがあります。治療費や休業損害、慰謝料等の損害賠償請求を加害者側に対し適切に行うために、受傷の態様を把握し、残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集していく必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士による無料相談を是非ご活用ください。