圧迫骨折・体幹骨骨折 神経症状
肋骨骨折(弁護士法人小杉法律事務所監修)
こちらの記事では肋骨骨折について整理しています。
肋骨骨折
人体の胸部全体の骨格を胸郭(きょうかく)と言いますが、胸骨、肋軟骨(ろくなんこつ)、肋骨(ろっこつ)、胸椎で構成されています。
胸郭は胸部の胸腔に収められた内臓を保護する大きなカゴのような構造です。
前面の胸骨と背部の胸椎を、身体の両側で肋骨と肋軟骨がつないでいる仕組みになります。
肋骨は左右で1~12対ありますが、第1肋骨から第7肋骨には硝子軟骨からできている肋軟骨を介して前面の胸骨と直接つながっています。肋軟骨と胸骨の節度区部には肋骨切痕というくぼみがあります。
肋軟骨には柔軟性があり、前面からの衝撃を吸収する役割があります。
第1~第10肋骨には肋軟骨がありますが、第11~12肋骨にはありません。
肋骨は肋骨頭(ろっこっとう)によって胸椎とつながっていて、この部分を肋骨頭関節と言います。肋骨と胸椎、胸骨の結合は強くなく、可動することで呼吸運動を可能にしています。
肋骨骨折の原因
(標準整形外科学第15版(医学書院)、814頁)
肋骨骨折はすべての骨折の10~20%を占め、直達または介達外力によって生じます。
直達外力による骨折は、転倒などで胸部を打撲して起きる単純な肋骨骨折のみの場合や、交通事故や転落で強大な力が加わった場合には複数の肋骨が骨折して肺損傷を伴う場合もあります。
介達外力によるものは外力が肋骨をたわませて打撲部位とは離れたところに骨折で、第3~第10肋骨に多く認められます。
特殊な原因として、スポーツや呼吸器疾患(喘息など)による疲労骨折、骨脆弱性が原因となる受傷機転のはっきりしない骨折もあります。
※直達外力:受傷部位に直接的に働く外力
※介達外力:受傷部位から離れた部位に働く外力、間接的に働く外力
肋骨骨折の症状
(標準整形外科学第15版(医学書院)、814頁)
胸郭の痛み、特に呼吸時、体を動かしたときに増悪する痛みが特徴です。
診断・検査
(標準整形外科学第15版(医学書院)、814頁)
胸郭の呼吸性の規則的な動き、左右差、奇異呼吸の有無を観察し、触診で皮下気腫、胸郭の動揺を、打診、聴診で気胸や血胸の有無を確かめます。
胸部単純X線像で肺野、心臓、大血管、縦郭陰影の異常の有無をみます。多発肋骨骨折などの重傷外傷やX線所見で異常を認めた場合はCT検査で精査します。
肋骨骨折は胸部撮影では明確に描出されないので、骨撮影の条件で、疼痛のある部位をカセットに密着させて撮影します。全肋骨の輪郭を1本ずつ追っていき、見逃しの無いように読影します。
肋軟骨骨折や転位の無い肋骨亀裂骨折では単純X線像で明らかにならないこともありますので、診療所見が大切になります。
超音波検査も有用だと言われます。
治療
(標準整形外科学第15版(医学書院)、555頁)
非ステロイド性抗炎症薬の投与、バストバンドによる固定を痛みが軽減するまでの数週間行います。
肺挫傷や血胸を生じている場合は、胸部外科による管理が必要です。
認定されうる後遺障害等級
自賠責保険での後遺障害認定では、体幹骨のうち「その他体幹骨」と分類され、変形障害での認定可能性があります。
その他、骨折部位に疼痛等が残存した場合、神経症状での認定もありえます。
変形障害
別表第二第12級5号 | 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの |
「著しい変形」とは、裸体となったとき、変形や欠損が明らかにわかる程度のもので、レントゲン写真によってはじめて見出される程度のものは該当しません(この点については、採骨による変形の場合も同様です)。
後遺障害申請時には変形や欠損が外観上判別しやすい写真を撮影し、添付するのが有用です。
肋骨の変形は、肋骨全体を一括して、一つの後遺障害として取り扱われるため、変形した肋骨の本数や程度、部位は認定上考慮されません。例えば、肋骨を1本切除した場合も、3本切除した場合も、同じ別表第二第12級5号に該当します。また、肋軟骨も肋骨に準じて取り扱います。
神経症状
受傷部位に疼痛等が残存した場合です。
別表第二第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
別表第二第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
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