後遺障害等級の解説

脳損傷 神経症状

植物人間の寿命について(弁護士法人小杉法律事務所監修)

こちらの記事では、植物人間状態の被害者の方の予後・寿命について整理しています。

植物人間(遷延性意識障害)一般についてはこちらの記事で整理しております。

植物人間(遷延性意識障害・(遷延性)植物状態)とは

植物人間とは、頭部外傷や脳内出血などのため昏睡状態に至り、生命の危機を脱したのちに開眼できる状態にまで回復したものの、周囲との意思疎通能力を喪失した状態のことを言います。

遷延性意識障害、遷延性昏睡、(遷延性)植物状態とも言います。

大脳半球が広範囲(びまん性)に障害されているものの、脳幹機能は保たれているので呼吸は可能で、心拍も維持されます。

どのような症状か

周囲との意思疎通能力が喪失します。

声をだしても意味のある発言をすることは全く不可能です。

予後・寿命について

遷延性意識障害の状態でも脳幹機能は保たれており、自発呼吸があります。栄養補給や褥瘡予防などの適切な看護により数年~十数年の間生存が可能だとされていますが(標準脳神経外科学第16版(医学書院)、280頁)、この点、「数年~数十年」という書籍もあり、一様には言いにくい状態だと思われます。

加害者側は平均余命までの生存可能性が少なくないと主張し、介護費用の算定期間を短期間にすべきだと争うことが多くありますが、最近の傾向としては、被害者の健康状態が思わしくない状態を繰り返すなどの特別な事情がないかぎり、平均余命まで算定する裁判例が多数です。

介護費用など、遷延性意識障害の場合に請求すべき請求項目については植物人間について整理した記事で記載しております。

弁護士に相談を

弁護士に相談を

交通事故等で頭部外傷を負い遷延性意識障害になってしまう可能性があります。加害者に対しての損害賠償請求を適切に行うためには、受傷態様や残存した後遺障害についての立証資料を適切に収集する必要があります。弁護士法人小杉法律事務所の所属弁護士に是非ご相談ください。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。