後遺障害等級の解説

後遺障害等級一般論

自賠責の後遺障害第7級の解決事例|後遺障害専門の弁護士法人小杉法律事務所

本稿では、自賠責の後遺障害等級表で第7級に定められている後遺障害について解説するとともに、

弁護士法人小杉法律事務所での解決事例を合わせてご紹介させていただきます。なお、解決事例については随時更新してまいります。

自賠責の後遺障害等級第7級にはどのような後遺障害が規定されている?

自動車損害賠償保障法施行令における後遺障害等級別表第二には、1号~13号の後遺障害が定められています。

また、被害者請求手続きにより自賠責保険請求を行い、第7級が認定された場合には、基本的には自賠責保険金1051万円が支払われます。

ではどのような後遺障害が規定されているのか、以下で見ていきましょう。

⑴別表第二第7級1号 視力障害

1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの」に該当する場合には、第7級1号の視力障害が認定されます。

①「失明」の定義

後遺障害等級認定上での「失明」とは、眼球を亡失(摘出)したもの、明暗を弁じ得ないもの、ようやく明暗を弁ずることができる程度のものをいい、暗室で被検者の眼前で照明を点滅させた際に明暗を弁別できる視力である光覚弁(明暗弁)や、検者の手のひらを被検者の眼前で上下左右に動かしたときの動きの方向を弁別できる能力である手動弁「失明」に含まれます

②「視力」の定義と矯正視力での等級認定

次に、後遺障害等級認定における「視力」とは矯正視力をいいます。「矯正視力」は、眼鏡による矯正医学的に装用可能なコンタクトレンズによる矯正、そして眼内レンズによる矯正によって得られた視力も含まれます。ただし、これらの矯正が不能である場合には、裸眼視力によることとなります。

矯正視力による具体的な等級認定は次のa~dのとおりです。

a 角膜の不正乱視が認められず、かつ眼鏡による完全矯正を行っても不等像視を生じない者については、眼鏡により矯正した視力を測定して等級認定する

b a以外の者について、コンタクトレンズの装用が医学的に可能であり、かつコンタクトレンズによる矯正を行うことにより良好な視界が得られる場合には、コンタクトレンズにより矯正した視力を測定して等級認定する

c 眼鏡による完全矯正を行うと不等像視を生じる場合であり、コンタクトレンズの装用が不能な場合には、眼鏡矯正の程度を調整して不等像視の出現を回避しうる視力により等級認定する

d コンタクトレンズの装用の可否及び視力の測定は、コンタクトレンズを医師の管理下で3か月間試行的に装用し、その後に行う。なおコンタクトレンズの装用が可能と認められるのは、1日8時間以上の連続装用が可能な場合とする。

③視力の測定方法

視力の測定方法については原則として万国式試視力表(ランドルト環を用いたもの)によるものとされています。

万国式試視力表(ランドルト環)は、「C」が回転したものが並んでいるような、一般的な視力検査で用いられている下図のものですね。

⑵別表第二第7級2号 両耳の聴力障害①

両耳の聴力が40㎝以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」に該当する場合に認定されます。

①具体的な認定基準

以下のいずれかの要件を満たす場合に7級2号が認定されます。

・両耳の平均純音聴力レベルが70㏈以上のもの

・両耳の平均純音聴力レベルが50㏈以上であり、かつ最高明瞭度が50%以下のもの

②聴力の検査方法

後遺障害等級認定にあたり用いられる検査が、純音聴力検査と語音聴力検査の2つになります。

まず、純音聴力検査は、聴力障害の程度や障害の原因となった部位を判断することができるものであり、気導聴力検査と骨導聴力検査の2検査を実施します。

検査はオージオメーターという機器を用いて行い、オージオグラムという表に測定結果を記載します。なお障害の程度は㏈(デシベル)で表されます。

そして、これらの聴力検査により得られた聴力レベルを基に、平均純音聴力レベルを算出することとなります。具体的な計算式は次のとおりです。

500㎐の聴力レベルをA、1000㎐の聴力レベルをB、2000㎐の聴力レベルをC、4000㎐の聴力レベルをDとして、

(A+2B+2C+D)×1/6

なお、純音聴力検査は、原則として「聴覚検査法(1990)」によって行われ、症状固定後に日を変えて3回測定し、2回目と3回目の測定値の平均をとります

このとき、2回目と3回目の測定値の差が10㏈未満であることが必要とされます。

 

そして、もう一つの検査である語音聴力検査は、言語の聞こえ方を検査するもので、その程度は語音明瞭度(%)で表されます。

語音聴力検査の主なものとしては、語音聴取域値検査や語音弁別検査が挙げられます。

語音聴力検査の結果は語音オージオグラム(スピーチオージオグラム)という表に記載されることとなり、これより最高明瞭度を判断します

なお語音聴力検査は、検査結果が適正と判断できる場合には、検査は1回で差し支えないとされています。

⑶別表第二第7級3号 両耳の聴力障害②

一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、1耳の平均純音聴力レベルが90㏈以上であり、かつ他耳の平均純音聴力レベルが60㏈以上のものが7級3号に該当します。

検査方法については、⑵で解説したとおり純音聴力検査が用いられ、平均純音聴力レベルで等級判断がなされます。

⑷別表第二第7級4号 神経系統又は精神の障害

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に該当する場合に認定されます。高次脳機能障害、脊髄損傷、CRPS(複合性局所疼痛症候群)/RSD/カウザルギーといった神経系統の障害を残したことにより、軽易な労務以外の労務に従事することができないと判断された場合に認定されます。

⑸別表第二第7級5号 胸腹部臓器の障害

胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、以下のものが該当します。

a 呼吸器について、動脈血酸素分圧が60Torr超~70Torrであり、かつ動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr~43Torr)にないもの

b 呼吸器について、スパイロメトリーの結果につき%1秒量が35以下又は%肺活量が40以下であり、中等度の呼吸困難が認められるもの

なお、「中等度の呼吸困難」とは、呼吸困難のため、平地でさえ健常者と同様には歩けないが、自分のペースでなら1㎞程度の歩行が可能であるものをいいます。

c 呼吸器について、スパイロメトリーの結果につき%1秒量が35超~55以下又は%肺活量が40超~60以下であり、高度又は中等度の呼吸困難が認められるもの

なお、「高度の呼吸困難」とは、呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けないものをいいます。

d 循環器について、除細動器を植え込んだもの

e 胸腹部臓器について、胃の切除によって消化吸収障害、ダンピング症候群及び胃切除後逆流性食道炎を残すもの

f 胸腹部臓器について、人工肛門を増設したもの(ただし小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチ等の装着ができない場合もしくは大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ、パウチ等の装着ができない場合を除く)

g 胸腹部臓器について、小腸皮膚瘻を残し、瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出するもの(ただし小腸皮膚瘻の瘻孔から小腸内容の全部または大部分が漏出するもので、小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻周辺に著しいびらんを生じ、パウチ等の装着ができない場合を除く)

h 胸腹部臓器について、小腸皮膚瘻を残し、瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻周辺に著しいびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの

i 胸腹部臓器について、大腸皮膚瘻を残し、瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので、大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻周辺に著しいびらんを生じ、パウチ等の装着ができないもの

j 胸腹部臓器について、完全便失禁を残すもの

完全便失禁は、肛門括約筋の機能が全部失われることにより生じます。

k 泌尿器について、一側の腎臓を亡失し、糸球体濾過値(GFR値)が30ml/分超~50ml/分以下であるもの

l 泌尿器について、非尿禁制型尿路変向術を行ったもの(ただし尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パッド等の装着ができない場合を除く)

m 泌尿器について、禁制型尿リザボアの術式を行ったもの

n 泌尿器について、持続性尿失禁を残すもの

o 泌尿器について、切迫性尿失禁又は腹圧性尿失禁により、終日パッド等を装着し、かつ、パッドをしばしば交換しなければならないもの

⑹別表第二第7級6号 手指の欠損障害

一手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの」に該当する場合に認定されます。

「手指を失ったもの」とは、親指については指節間関節(IP)以上で、その他の指では近位指節間関節(PIP)以上で指を失ったものとされており、具体的には次のとおりとなります。

a 手指を中手骨又は基節骨で切断したもの

b 近位指節間関節(PIP なお親指にあっては指節間関節(IP))において、基節骨と中節骨とを離断したもの

⑺別表第二第7級7号 手指の機能障害

一手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「手指の用を廃したもの」とは、具体的には以下のものをいいます。

a 手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

b 中手指節関節(MCP)もしくは近位指節間関節(PIP 親指にあっては指節間関節(IP))の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの(親指については橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているものも含む)

c 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの

⑻別表第二第7級8号 下肢の欠損障害

一足をリスフラン関節以上で失ったもの」に該当する場合に認定されます。足関節を残し、リスフラン関節までの間で切断し失ったものをいい、リスフラン関節において離断したものも含まれます。なお、両下肢にてリスフラン関節以上で失った場合は別表第二第4級7号と認定されます。

⑼別表第二第7級9号 上肢の変形障害

1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」に該当する場合に認定されます。上腕骨の骨幹部又は骨幹端部(以下、「骨幹部等」とします)に癒合不全を残す場合、または橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残す場合であり、常に硬性補装具を必要とするものが該当します。

⑽別表第二第7級10号 下肢の変形障害

1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」に該当する場合に認定されます。大腿骨の骨幹部等、脛骨及び腓骨の骨幹部等、又は脛骨の骨幹部等に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものが該当します。

⑾別表第二第7級11号 足趾の機能障害

両足の足指の全部の用を廃したもの」に該当する場合に認定されます。

「足指の用を廃したもの」とは、具体的には以下のものをいいます。

a 第1趾の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

b 第1趾以外の足指を中節骨もしくは基節骨を切断したもの又は遠位指節間関節(DIP)もしくは近位指節間関節(PIP)において離断したもの

c 中足指節関節(MTP)又は近位指節間関節(PIP 第1趾にあっては指節間関節(IP))の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの

⑿別表第二第7級12号 外貌醜状

外貌に著しい醜状を残すもの」に該当する場合に認定されます。

具体的には、以下のようなものが該当します。

a 頭部につき、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損が残った場合

b 顔面部につき、鶏卵大面以上の瘢痕、又は10円銅貨大以上の組織陥没が残った場合

c 頸部につき、てのひら大以上の瘢痕が残った場合

⒀別表第二第7級13号 生殖器の障害

両側の睾丸を失ったもの」に該当する場合に認定されます。

⒁相当等級として第7級相当と認められるもの

自賠責は、以下の後遺障害について、政令別表第二備考6を適用し、別表第二第7級相当として取り扱っています。

a 常態として精液中に精子が存在しないもの

b 両側の卵巣を失ったもの

c 常態として卵子が形成されないもの

後遺障害等級7級に関する弊所での解決実績

弁護士法人小杉法律事務所での後遺障害等級7級に関連する解決実績をご紹介いたしております。

これらは一例であり、このほかにも弊所では多くの解決事例がございます。

⑴小学生の交通事故で、高次脳機能障害3級と外貌醜状7級の併合1級が認定されたケース

被害者の方は小学生で、歩行中のところを車にひかれてしまった事案になります。

入通院による治療を行いましたが、高次脳機能障害、頭部醜状、足の痛みが残存してしまいました。

担当弁護士は、実際に被害者の方にお会いして本人の様子を確認し、高次脳機能障害でどのような症状がみられるか、実際に残存している傷跡の状態を確認するとともに、等級認定にあたっては傷痕の大きさや長さが重要になるため、傷跡の大きさや長さを測定しました。

また、ご両親のお話や、治療期間中にしたためていた日記の内容なども踏まえて自賠責保険請求に必要な書類を整えたり、後遺障害診断書作成にあたって実際に主治医との面談を行ったり、また小学校の先生ともお会いして、被害者の方の事故前後での学校生活の様子の変化などもお伺いしました。

さらに、醜状障害が残存する場合、自賠責調査事務所で醜状面談が行われ、傷跡の測定等がなされるのですが、この醜状面談に弁護士も同席し、適切に測定がなされるように指摘等を加えました。

その結果、外貌醜状につき第7級12号高次脳機能障害について第3級3号に該当するとして、併合1級との認定を受けることができました。

→等級獲得後、事件解決に向けて弁護士はどのように動き、どのような解決に至ったでしょうか。詳しくはこちらで解説しております。

⑵事前認定で神経症状12級認定→弁護士相談時に高次脳機能障害等の残存が判明し、異議申立で高次脳7級、醜状7級認定のケース

被害者の方はバイクを運転していたところ、右折しようとした対向車に接触され、身体ごと吹き飛ばされてしまった事案になります。

本件事故で被害者は脳挫傷等の重傷を負い、頭部手術ののち1か月の入院と約1年の通院治療をして症状固定となりました。

症状固定後、相手方保険会社による事前認定手続きで神経症状12級13号が認定され、約300万円での示談提示がなされていました。

このような等級認定や示談金額が妥当であるかについてお問い合わせをいただいたため、実際にご来所いただき、法律相談を行いました。

被害者の方とお話しする中で、被害者には高次脳機能障害が残存している可能性があることが判明しました。

また、被害者の頭部には傷跡が残存していたため、頭部の醜状障害についても等級認定される可能性がありました。

これらを踏まえ、弁護士は異議申立で高次脳機能障害及び頭部醜状障害を主張するべく、日常生活状況報告や陳述書を作成し、また後遺障害診断書に頭部醜状障害のご追記をいただくよう主治医の先生に依頼し、ご追記いただくことができました。

異議申立後、自賠責事務所での醜状面談に弁護士も同席し、その結果として高次脳機能障害第7級4号及び頭部醜状障害第7級12号に該当するとして、併合5級の認定を受けることができました。

→異議申立で併合5級獲得後、賠償金の金額はどのくらい変化したでしょうか?詳しくはこちらで解説しております。

おわりに

本稿では、自賠責保険の後遺障害等級表に第7級として定められている後遺障害について解説するとともに、

弁護士法人小杉法律事務所での解決事例を紹介いたしました。

特に弊所では、交通事故で被害に遭われた方の損害賠償請求事件を専門で取り扱っておりますことから、

後遺障害の知識についても蓄積もあり、また後遺障害等級認定の獲得実績も数多くございます。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者専門・後遺障害専門の弁護士が無料で法律相談を行っております

交通事故被害やその後遺障害等級認定でお悩みの方、交通事故の損害賠償請求できちんと補償されるのかご不安がおありの方は、

ぜひ一度、弁護士法人小杉法律事務所の無料相談をお受けください。

後遺症被害者専門弁護士への無料相談はこちらのページから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。