交通事故コラム

後遺障害

肋骨を複数本骨折した時の後遺障害は?弁護士が解説!

2023.11.24

自賠責保険では、脊柱以外の体幹骨の変形について、後遺障害等級を定めています。

では、たとえば交通事故で肋骨を3本骨折し、いずれにも変形が残存してしまった場合はどのような取扱いになるでしょうか。

以下、弁護士が解説します。

 

1.体幹骨の等級認定のルール

鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨または骨盤骨といった脊柱以外の体幹骨の変形障害について、自賠責は第12級5号の等級を定めています。

体幹骨の変形障害の後遺障害等級に関する詳しい解説はこちら

 

そして、鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨または骨盤骨の2か所以上にそれぞれ著しい変形を残す場合には、

同一系列に属する障害として自動車損害賠償保障法施行令別表第二備考6を適用し、1級繰り上げ、第11級相当として等級認定をします

 

2.肋骨を複数本骨折して変形が残った時の等級は?

では、たとえば交通事故で肋骨を3本骨折し、治療が終了した段階でいずれの肋骨にも変形の後遺症が残ってしまったような場合には、等級はどのように認定されるでしょうか。

1に述べたルールを踏まえると、「2か所以上に変形が残っている」として、第11級相当が認定されそうなイメージがあります。

 

しかし、実際は第12級5号の認定にとどまることとなります。

理由としては、自賠責では、肋骨の変形について、肋骨全体を一括して一つの後遺障害として取り扱う運用になっているからです。

すなわち、変形した肋骨の本数や程度、部位に関係なく、肋骨に何本変形が残っていても「肋骨という1部位の変形」として判断するのです。

また、自賠責のいう「肋骨」は肋骨だけでなく肋軟骨も含んでおり、したがって肋軟骨の変形も肋骨に準じて取り扱われます。

 

3.まとめ

以上より、

交通事故で3本肋骨を骨折し、いずれにも変形が残ってしまった場合に、自賠責で認定される可能性のある等級は第12級5号となります

 

この点を踏まえると、「2か所以上に変形が残っている」というのは、

鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨・骨盤骨 という5つの骨の部位のうち、2つ以上の部位に変形が残った場合は第11級相当と認定されうる、と解釈できます。

つまり、たとえば鎖骨と肋骨に著しい変形を残す場合には、第11級相当と認定される可能性があるということです。

 

ですが、ただ変形が残っているだけでは自賠責の後遺障害等級は認定されません。

体幹骨の変形障害の後遺障害等級認定におけるポイントについてはこちらの詳しい解説をご覧ください。

 

また、適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、認定の基準や仕組みを熟知した後遺症被害者専門弁護士の介入が必須といえるでしょう。

小杉法律事務所では、後遺症被害者専門弁護士が無料でご相談を受けております。

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この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。