積極損害
事故による通院交通費はどこまでカバーされる?知っておきたいポイント
2024.11.11
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- そもそも通院交通費とは?
- 交通手段別の通院交通費の計算方法
- 通院交通費明細書の書き方
- 通院交通費請求の注意点
などについて解説します。
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通院交通費とは何か?
交通事故によって負傷した場合、通院のための交通費は「積極損害」として請求することができます。
この「積極損害」とは、交通事故被害に遭ったことで実際に支出せざるを得なくなった出費のことを指し、通院にかかる交通費もこれに該当します。
通院交通費は事故後の治療が必要な期間に限り、必要かつ相当な範囲で認められることが一般的です。
したがって、被害者は適切な範囲でこれらの費用を請求する必要があります。
交通事故の被害者が請求できる費用の概要
交通事故による通院交通費は、被害者が事故の結果として生じた必要な費用として請求できるものです。
具体的には、公共交通機関を利用した場合の運賃や、自家用車のガソリン代、高速料金、駐車場代などが含まれます。
また、状況によってはタクシー利用も認められることがあります。
これらの交通費を請求する際には、通院にかかった実費を明確にし、適切に保険会社へ提出する必要があります。
通院交通費が認められる条件
通院交通費が認められるためには、交通事故とその通院の間に相当因果関係がある必要があります。
つまり、事故の結果として必要となった通院でなければなりません。
さらに、その支出が必要かつ相当な範囲であることも求められます。
具体的な条件としては、利用した交通手段が合理的であること、通院の経路が最短かつ適切であることが挙げられます。
保険会社に請求する際には、これらの条件をきちんと満たしているかどうかを確認することが重要です。
交通手段別の通院交通費の計算方法
公共交通機関を利用した場合の計算
交通事故による通院交通費の中で、公共交通機関を利用した場合の計算方法は明確です。
バスや電車などの運賃は、実際に支払った金額を基に請求できます。
特に、交通系ICカードを使用すると利用履歴を確認することができ、保険会社に提出する際の証拠としても有用です。
ただし、実際のところ公共交通機関は区間さえわかればネットなどで金額が簡単にわかるため、
わざわざ利用履歴や領収証などを提出しなくても認められることも多いです。
通院に必要な範囲内での支出が認められることから、無駄な出費とはならない点がポイントです。
自家用車を利用した場合の計算
自家用車を使用して通院した場合の交通費の計算は少し異なります。
自家用車を使用した通院を余儀なくされた場合に、余計に支出することになるのはガソリン代です。
このガソリン代は通常、1 ㎞あたり15円で計算されます。
そして、googlemapなどから自宅(職場)と病院の距離を計測し、その距離に1㎞あたり15円をかけた金額が、通院1回あたりのガソリン代(=通院交通費)となります。
さらに、駐車場代や高速道路の使用料も別途請求が可能です。
ただし、ガソリン代などは領収証がなくても通院交通費として認められますが、駐車場代や高速道路使用料などは実際に支出した証拠が無ければ認められませんので、
この駐車場代や高速道路使用料が発生している場合には忘れずに領収証を保管しておくようにしましょう。
タクシーを利用した場合の注意点
タクシーを使用した場合の通院交通費は、他の交通手段と比べて慎重に判断されます。
利用が認められるのは、例えば、
- 交通事故による受傷直後(急性期)であるとき
- 交通事故による怪我で歩行が困難な場合
- 公共交通機関を利用するのが著しく不便な状況下
などに限られます。
東京地方裁判所平成14年3月22日判決(交通事故民事裁判例集35巻2号385頁)では、右大腿骨開放骨折、右脛骨高原骨折(開放性)等の傷害を受けた兼業主婦について、
総通院日数1253日分のタクシー利用料を通院交通費として認めています。
大阪地方裁判所平成26年3月27日判決(自保ジャーナル1927号92頁)では、後遺障害等級第7級12号に該当する外貌醜状を遺した短大生について、
下肢を負傷したものではなく、公共交通機関を利用しての通院が不可能であったわけではないが、顔面を負傷しており人目をはばかる心情も理解できないものではないことを考慮し、
タクシー利用料を通院交通費として認めています。
大阪地方裁判所平成7年3月22日判決(交通事故民事裁判例集28巻2号458頁)では、
公共交通機関を利用した通院をしようとすれば、自宅から1時間かけて徒歩で駅まで出なければならなかった被害者に対して、
タクシー利用はやむを得なかったとして、タクシー利用料を通院交通費として認めています。
上記の判例のような事情がなければなかなか認められません。
また、タクシー利用をしても良いか(利用料を支払ってもらえるか)を事前に保険会社へ確認することが望ましいです。
更に、利用した際の領収書は必須となりますので、大切に保管しておきましょう。
通院交通費明細書の書き方と提出のポイント
必要な書類とその準備
通院交通費を請求する際には、通院交通費明細書が必要です。
この明細書は、保険会社から雛形が提供されるのが一般的です。まずは、保険会社との連絡を取り、必要な書類を確実に準備しましょう。
通常、明細書の記載項目としては、事故日、被害者名、請求者、通院経路、移動手段などが求められます。
加えて、電車やバスの運賃については、交通系ICカードの履歴を用いると便利ですが、なくても認められます。
タクシーを利用した場合には、領収書の添付が必要となることが多いため、事前に確認しておくと良いでしょう。
実際の書き方の手順
通院交通費明細書の記入は、それぞれの項目に正確な情報を入力することが重要です。
まず、通院の日付とその際の出発地点、到着地点を時系列で記載します。
移動手段についても詳細に記入し、自家用車を使用した場合は、走行距離に基づいたガソリン代の計算を行います。
基準として、1 kmあたり15円などの具体的な計算方法を適用し、正確な金額を求めます。
他にも、駐車場料金や高速料金が発生した場合は、それぞれ明細に記載し、その理由も併記してください。これにより、保険会社への提出時にスムーズに対応されるでしょう。
保険会社への提出と確認プロセス
書類が完成したら、通院交通費明細書を保険会社へ提出します。提出後、保険会社による確認が実施されます。
提出された情報が適切であるか、通院が必要であったか、費用が妥当であるかといった点が検討されます。
場合によっては、追加の証明資料の提出や説明を求められることがあります。
迅速に対応するために、必要書類や情報を手元に保管しておくとよいでしょう。
なお、交通費の振込には通常数週間を要しますので、あらかじめスケジュールを把握しておくことが大切です。
通院交通費の交渉は弁護士のサポートによりスムーズに進む場合があります。
ここまでみてきたように、通院交通費の計算や請求は、細かい資料の積み重ねが一番のポイントです。
ただでさえいきなり交通事故に遭い、治療を続けなければいけない中で、
細かい資料を検討するのは被害者の方にとってかなりストレスになります。
また、保険会社に対して請求したり交渉したりといったことも、専門の弁護士のサポートを受けた方がよりスムーズに進む場合が多いです。
治療に専念するためにも、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
被害者の方お一人お一人にとって最も適切な金額を獲得できるようサポートさせていただきます。
交通事故被害に遭い、今後の賠償請求に疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。