交通事故コラム

慰謝料

交通事故入院時の賠償請求のポイントを弁護士が解説!

2024.11.10

入通院慰謝料 慰謝料

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 交通事故で入院した場合に賠償請求できる損害
  • 入院慰謝料の相場と計算方法
  • 入院中の内払
  • 入院雑費等の請求
  • 交通事故で入院した場合の慰謝料請求についての注意点

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求専門弁護士による賠償金無料査定サービスを実施しております。

交通事故被害に遭い、ご入院され、慰謝料請求について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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交通事故で入院した場合の賠償

交通事故による入院は、被害者にとって大きな負担となります。

その際に請求できる損害賠償は、治療関係費や慰謝料、休業損害、逸失利益など、多岐にわたります。

被害者はこれらの賠償を適切に請求するために、事故後すぐの対応や保険会社との交渉が重要です。

 

弁護士のサポートを受けることで、適切な賠償額を得るための手続きをスムーズに進めることができます。

 

積極損害と消極損害

交通事故における損害賠償は、大きく積極損害と消極損害に分けられます。

積極損害とは、実際に支出されたお金のことで、具体的には治療費や入院費が該当します。

 

消極損害は、交通事故がなければ得られたであろう利益の損失を指し、たとえば休業損害や逸失利益がこれに該当します。

 

交通事故で入院する場合は、発生した損害をもれなく適切に相手方に対して賠償請求していくことが重要となります。

 

治療関係費とその負担

交通事故で入院した場合、治療関係費が大きな問題となります。

治療関係費には、診察料や検査料、入院費、投薬料、手術料、処置料などが含まれます。

これらの費用は、必要かつ相当な範囲内で賠償請求が可能です。

 

交通事故被害に遭った場合、基本的にはこういった治療関係費などは相手方の任意保険会社が病院に対して支払いをしてくれる(いわゆる一括対応)ため、

あまり気にすることは少ないです。

 

ただし、

  • 被害者の方にも一定程度の過失があり相手方任意保険会社が治療費の一括対応を行わない場合
  • お怪我が重篤で入院治療費が高額になることが事故発生段階で想定されている場合
  • そもそも相手方が任意保険会社に加入していない場合

などは、任意保険会社による一括対応を満足に受けられない場合があります。

このような場合は、健康保険を利用することで自己負担を軽減できる場合もあります。

 

ただし、健康保険を利用した場合は自賠責様式の診断書や診療報酬明細書、後遺障害診断書を作成してもらうことができなくなる場合もあるので、

事前に弁護士や病院と相談しながら進めることをお勧めします。

 

入院慰謝料の相場と計算方法

自賠責基準と弁護士基準

交通事故で入院した被害者が請求できる慰謝料には、主に

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

の3つの計算方法があります。

 

自賠責基準は、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める保険金額を限度として定められた、

自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準

のことをいいます。

 

この基準での入通院慰謝料は、

  • 1日につき、4300円とする。
  • 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。

とされています。

 

これを見ていただけると分かるように、自賠責基準では入院と通院の区別がなく、治療日数一日につき4300円が支払われることになります。

 

一方で、過去の裁判例を基にしており、被害者側にとって最も適切な基準である弁護士基準(裁判基準)は、

  • 入院と通院の区別がある
  • 実治療日数ではなく期間で判断する

といった特徴があります。

 

弁護士基準について記載しているいわゆる『赤い本』(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編))をみると、

入院1か月の場合の入院慰謝料は53万円が一つの目安とされています。

 

自賠責基準で計算した場合は、日額4300円×30日=12万9000円であることを考えると、

弁護士基準での請求が必要な理由がお判りいただけると思います。

 

被害者にとって最も適切な慰謝料を請求するためには弁護士基準に基づく請求が必須です。

 

 

入院慰謝料増額の条件

入院慰謝料増額の条件(増額事由)として先ほどの赤い本で挙げられているのは以下のようなものになります。

  • 入院待機中の期間及びギプス固定中等安静を要する自宅療養期間は入院期間とみることがある。
  • 傷害の部位、程度によっては増額する。
  • 生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは増額を考慮する。

 

このような条件を満たすことで、弁護士基準(裁判基準)以上の慰謝料を請求できる場合があります。

 

関連記事:交通事故で手術を受けた場合に慰謝料請求について知っておくべきポイント

 

入院期間と通院日数の影響

ここまでみてきたように、交通事故による怪我で入院した場合、その入通院の期間は慰謝料に大きな影響を与えます。

入院や通院は被害者の精神的苦痛を伴い、その補償としての慰謝料が重要な項目となります。

したがって、入通院期間を正確に把握し、それに応じた慰謝料の請求を行うことが大切です。

 

ところで、退院後に通院を続けていく中で相手方保険会社が治療費の一括対応を打ち切ってくる場合があります。

入通院慰謝料の対象となる期間は事故発生日から、

これ以上治療を続けても良くならないと判断された時点=症状固定日までとされています。

 

この症状固定の判断は本来的には主治医が行うものであり、相手方任意保険会社が行うものではありません。

 

したがって、主治医が治療の効果が得られており、治療を継続すべきだと判断している場合は、

治療費一括対応の延長交渉や、健康保険等を利用した自費での通院も検討すべきです。

 

この点は自費通院分の治療費がそのまま被害者の方の損になる可能性もあるので、

弁護士に相談することをお勧めします。

 

賠償金の内払について

自賠責保険による高次脳機能障害の審査

保険会社のサービスとしての内払

交通事故によって入院を余儀なくされた被害者は、

入院中の細かい出費が重なるだけでなく、お仕事ができなくなるという面もあり、多くの場合、経済的な負担を抱えることになります。

 

このような状況を軽減するために、保険会社は「内払」と呼ばれるサービスを提供することがあります。

 

内払とは、最終的な損害賠償額が確定する前に、被害者の負担を軽くするために一部の賠償金を先に支払う制度です。

これにより、被害者は入院中に必要となる治療関係費や日常生活費を賄うことが可能となります。

 

内払利用の注意点

まず、内払で先に受け取った金額は最終的な賠償額から差し引かれることになります。

したがって、内払を利用したのちに最終的な示談がまとまった際には、想定していたよりも最終示談額が少なくなる場合があります。

 

また、内払はあくまで任意保険会社によるサービスです。

損害額が確定する前に一部お支払を行うということは、相手方任意保険会社からしても賠償金を多く払いすぎてしまうリスクを背負う行為です。

 

ですから、内払で裁判基準で認められる金額全額について支払を受けられるといったことは現実的にはほとんどありません。

それを前提として冷静に交渉を行わなければ、逆に内払に一切応じてくれなくなるといった可能性も生じ得ます。

 

もちろん内払は被害者の方の治療中の生活に大きな影響を与えますから、この点は冷静に交渉を代行してくれる弁護士に相談することをお勧めします。

 

入院雑費とその他の諸費用

入院雑費の相場と計算方法

交通事故による入院中には、様々な雑費が発生します。この入院雑費は、損害賠償請求の対象となり得ます。

 

この入院雑費については、使途と金額が分かる領収証を全て保管しておき、それに基づいて実費で請求することが求められそうですが、

弁護士基準(裁判基準)上は入院実日数1日につき1500円が、領収証等が無くても認定されます。

 

入院中に領収証の管理をする必要がないのは被害者側からすれば安心ですね。

 

個室料や特殊な費用の賠償可否

入院時に個室を利用した場合や、特殊な治療を受けた場合の費用についても気になるところでしょう。

通常、個室料や特別室の費用は、医師の指示があった場合や症状が特に重篤である場合に限り、賠償請求が可能となることが多いです。

 

個室を使用した理由が医療上または衛生上必要であることを証明できると、裁判所や保険会社においても賠償の対象と認められる可能性が高まります。

特別な処置や器具の使用に関しても同様に、医療提供者の指示や必要性が確認できれば賠償対象として請求することができるでしょう。

したがって、個室や特別な医療処置が必要とされる判断に関しては、医師の診断書や証明書をしっかりと取得し、証拠として保存しておくことが肝要です。

 

交通事故で入院した際の賠償請求は弁護士に依頼しましょう

ここまでみてきたように、交通事故で入院した際に適切な賠償金を得るためには、

請求できる費目を見落とすことなく、それぞれの費目について基準を熟知したうえでしっかりと請求していくことが重要になります。

 

入院中からこういった点に気を付けながら治療を行うことは難しいため、

専門の弁護士によるサポートを受けられることをお勧めします。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

被害者の方お一人お一人にとって最も適切な賠償金を獲得できるようサポートさせていただきます。

 

交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士へのご相談の流れについてはこちらから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。